糖尿病とは|血糖とインスリンの関係
糖尿病という名前は誰もが一度は耳にしたことがあると思いますが、体のなかで実際に何が起きている病気なのかとなると、意外にイメージしにくいのではないでしょうか。
糖尿病とは、血液中に含まれるブドウ糖、いわゆる血糖の量が慢性的に多くなりすぎてしまう状態のことです[1]。
その背景には血糖を調整するインスリンというホルモンの働きが深く関わっています[1]。
血糖とインスリンがどのように関係しているのかという基本を押さえておくと、なぜ食事や運動が治療の柱になるのか、なぜ放置がよくないのかが自然と理解できるようになります。
ここではまず、血糖とインスリンの関係から、糖尿病で血糖値が高くなっていく仕組みまでを、順番に整理していきましょう。
血糖値とインスリンの働き
血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のことで、健康な体ではインスリンというホルモンの働きによって、つねに一定の範囲におさまるように調整されています[1]。
食事でとった炭水化物は体のなかでブドウ糖にまで分解され、血液に取り込まれたあと、エネルギー源として全身の細胞へと運ばれていきます。
このとき膵臓から分泌されるインスリンは、血液中のブドウ糖を細胞のなかへ取り込ませることで、食後に上がった血糖値を再び適切な範囲へと戻すホルモンです。
インスリンはちょうど細胞のドアを開ける鍵のような役割を果たしており、鍵でドアが開くことで、ブドウ糖は細胞のなかに取り込まれ、エネルギーとして利用されます。
健康な状態であれば、食事のあとに血糖値がいったん上がっても、インスリンが速やかに働くため、しばらくすると自然に元の範囲へと戻っていきます。
まずはこのインスリンが血糖値を下げる中心的な役割を担っているという点を押さえておくと、糖尿病で何が起きているのかが理解しやすくなるでしょう。
糖尿病で血糖値が高くなる仕組み
特に、2型糖尿病では、インスリンの効きが悪くなるか、インスリンそのものの分泌が減るか、あるいはその両方が同時に起こることで、血糖値が高い状態が続いてしまいます[1]。
インスリンの効きが悪くなった状態はインスリン抵抗性と呼ばれ、内臓脂肪が増えると脂肪細胞からインスリンの働きを邪魔する物質が分泌されることが、その一因です。
一方で、血糖値を下げようとインスリンを出し続けた膵臓がしだいに疲れてしまい、インスリンをつくる力そのものが落ちると、今度は血糖を下げる力が足りなくなってしまいます。
インスリンという鍵があっても細胞のドアがかたくて開きにくい状態が抵抗性で、鍵そのものが足りなくなった状態が分泌の低下にあたると考えると、イメージしやすいでしょう。
日本人はもともとインスリンを分泌する力が欧米人に比べて弱い傾向があるとされ、見た目には肥満が目立たない方でも糖尿病を発症することがある点には注意が必要です。
効きと分泌という二つの面から血糖値が上がっていくと理解しておくと、なぜ生活習慣の見直しが大切になるのか、その理由も見えてくるでしょう。
日本で糖尿病が増えている背景
糖尿病は日本人にとって非常に身近な病気で、その疑いがある人は成人のおよそ6人に1人にのぼるとも報告されており、決して特別な人だけがかかる病気ではありません[1]。
食生活が欧米化して脂質や糖質をとる機会が増えたことや、車や交通機関の発達で日常的に体を動かす機会が減ったことなどが、血糖値の上がりやすい生活環境を広げてきました。
また、年齢を重ねるほどインスリンの働きは弱まりやすくなるため、社会全体の高齢化も、糖尿病の患者数が増え続けている背景のひとつと考えられています。
自分はまだ大丈夫だと感じていても、実際には健康診断で初めて血糖値の異常を指摘されて気づく方が多く、症状がないまま予備群の段階に入っている方も少なくありません。
だからこそ、糖尿病は誰にでも起こりうる身近な病気だととらえ、年に一度は健康診断で血糖値やHbA1cを確認しておくことが、早めの気づきにつながり安心です。
糖尿病の種類
糖尿病とひとことで言っても、その原因や成り立ちはさまざまで、大きく1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、そしてそのほかの原因によるものに分けられます[1]。
タイプによって発症の仕組みや進み方、治療の進め方が異なるため、自分や家族がどのタイプにあたるのかを知っておくことは、適切な対応を考えるうえでとても大切です。
ここでは、それぞれのタイプがどのような特徴を持つのかを、ひとつずつ順番に見ていきましょう。
1型糖尿病
1型糖尿病は、インスリンをつくる膵臓のβ細胞が壊れてしまい、インスリンがほとんど分泌されなくなることで血糖値が高くなるタイプです[1]。
本来は体を細菌やウイルスから守るはずの免疫の仕組みが、何らかの理由で誤って自分自身の膵臓のβ細胞を攻撃してしまうことが、主な原因と考えられています。
インスリンそのものが足りなくなるため、生活習慣とは関係なく発症し、子どもや若い世代を含めたあらゆる年代に起こりうる点が特徴です。
のどの渇きや多尿、急な体重の減少といった高血糖の症状が、比較的短い期間のうちにあらわれることもあります。
治療では不足したインスリンを注射で補うことが基本となり、血糖値の変化を見ながらインスリンの量を調整して管理していきます。
1型糖尿病は食べすぎや運動不足が原因で起こるものではないため、本人や家族が自分を責める必要はなく、適切な治療を続ければ日常生活を送れる病気だといえるでしょう。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの効きが悪くなったり分泌が不足したりして血糖値が高くなるタイプで、日本の糖尿病全体の9割以上を占めるもっとも多いタイプです[1]。
その発症には、食べすぎや運動不足、肥満といった生活習慣に加えて、遺伝的な体質や加齢など、複数の要因が複雑に絡み合っています。
中高年の方に多くみられますが、食生活の変化を背景に、近年では若い世代でも少しずつ増えてきているのが現状です。
初期にはほとんど自覚症状があらわれないため、多くの方は健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘されて、はじめて自分の状態に気づきます。
内臓脂肪が増えるとインスリンの効きが悪くなることから肥満のある方は特に注意したいタイプですが、やせている方でも体質によって発症することがあります。
太っていないから大丈夫とは言いきれません。
治療では食事や運動の見直しが土台となり、それでも血糖値が十分に下がらない場合には、お薬やインスリンを組み合わせて管理していきます。
2型糖尿病は生活習慣を整えることで進行を抑えられる余地が大きい病気でもあるため、できるだけ早く気づいて取り組み始めることが大切です。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて見つかった、まだ糖尿病には至っていない程度の血糖値の上昇のことをいいます[1]。
妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンが効きにくくなるため、特に食後の血糖値が上がりやすい状態です。
血糖値が高い状態が続くとおなかの赤ちゃんの発育や母体の健康にさまざまな影響が及ぶことがあります。
そのため、妊婦健診では血糖値を確認し、必要に応じて細やかな血糖管理を行っていきます。
多くの場合、高くなった血糖値は出産のあとに落ち着きますが、妊娠糖尿病を経験した方は将来糖尿病になりやすい傾向があるでしょう。
そのため、出産後も定期的に血糖値を確認しておくと、早めの対策につながり安心です。
その他のタイプ
1型や2型、妊娠糖尿病のほかにも、別の病気やお薬の影響によって血糖値が高くなるタイプの糖尿病があります[1]。
膵臓そのものの病気やホルモンの病気、肝臓の病気などが原因となって、二次的に血糖値が上がってしまうタイプです。
また、一部のお薬を使っている影響で、一時的に血糖値が高くなる場合もあります。
こうしたタイプでは、もとになっている病気やお薬への対応とあわせて、血糖値を管理していくことが必要になります。
生活習慣にこれといった心当たりがないのに血糖値が高いという場合には、こうした背景が隠れていないかを確認することも大切です。
気になるときは医療機関で相談しておくと、自分の状態に合った対処の方向性が見えてくるでしょう。
糖尿病の症状と初期サイン
糖尿病は症状が出てから気づく病気だと思われがちですが、実際には初期にはほとんど症状があらわれないため、知らないうちに進行してしまうことが少なくありません。
血糖値がかなり高くなって初めて体にさまざまな変化が出てくることが多いため、どのようなサインがあるのかをあらかじめ知っておくことが、早めの気づきにつながります[1]。
気になる変化があるときに、それが糖尿病のサインである可能性を知っておくと、見過ごさずに対処しやすくなります。
ここでは、高血糖でみられる代表的な症状と、初期に気づきにくい理由、そして進行したときにあらわれる症状を順に整理していきましょう。
高血糖でみられる代表的な症状
血糖値が高い状態が続くと、のどの渇きや多尿、体重の減少、疲れやすさといった症状があらわれることがあり、これらは高血糖を知らせる代表的なサインです[1]。
血糖値が高くなると体は余分な糖を尿として外に出そうとするため、尿の量や回数が増え、その分だけ体の水分が失われてのどが渇き、自然と水分を多くとるようになります。
さらに、糖をエネルギーとしてうまく使えなくなると、体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを補おうとするため、しっかり食べているのに体重が減っていくことがあります。
全身の細胞に十分なエネルギーが行き渡らなくなることで、疲れやすさやだるさを感じることがあるでしょう。
人によっては手足のしびれや皮膚のかゆみ、傷の治りにくさといった変化に気づいたりすることもあります。
これらの症状はある程度血糖値が高くなってからあらわれることが多いため、心当たりのある変化が続くときは、早めに健診や医療機関で血糖値を確かめておくと安心です。
初期は自覚症状が出にくい理由
糖尿病の初期は自覚症状がほとんどなく、本人が気づかないまま静かに進んでいくことが多い点が、この病気の難しいところです[1]。
血糖値が基準を少し超えた程度では、痛みやだるさといった分かりやすい変化が体にあらわれにくいため、つい見過ごしてしまいがちになります。
そのため多くの方は、自覚症状ではなく、健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘されて初めて自分の状態に気づくことが多いです。
症状がないことは一見よいことのように思えますが、その間にも体のなかでは血管に少しずつ負担がかかり続けています。
気づかないうちに合併症が進んで、別の不調をきっかけに糖尿病が見つかる場合もあります。
症状がないからといって安心はできないため、健診の結果を体からの数少ないサインととらえ、定期的に数値を確認しておくことが何よりも大切です。
進行するとあらわれる症状
血糖値が高い状態を長く放置すると、初期にはなかった症状が少しずつあらわれ、体のあちこちに影響が出てくるようになります。
手足の先がしびれたり感覚が鈍くなったりする神経の症状や、目がかすんで見えづらくなるといった視力に関わる変化を感じる方もいます。
また、足の傷が治りにくくなったり感染症にかかりやすくなったりすることもあり、これらは高血糖による神経や血管への影響、免疫機能の低下などが関係しています。
ここまで進むと、血糖値を下げるだけでなく合併症への対応も必要になり、症状が出てからでは対処が難しくなる場合もあるため、早い段階での気づきがいっそう重要になります。
気になる変化が続くときは我慢せずに、早めに医療機関で相談しておくと安心です。
糖尿病の主な原因
糖尿病、特に大多数を占める2型糖尿病は、ひとつの原因だけで起こるのではなく、生活習慣や遺伝、加齢などの複数の要因が重なり合って発症します。
生活習慣だけでなく、もともとの体質や年齢といった自分では変えにくい要因も関わっているため、原因を幅広く知っておくことが大切です。
自分に当てはまる要因が見えてくると、どこから見直せばよいのかが分かり、対策に取り組みやすくなります。
ここでは、糖尿病の主な原因を、生活習慣・体質・そのほかの要因という順に整理していきましょう。
食事・運動不足・肥満などの生活習慣
2型糖尿病のもっとも大きな要因のひとつが、食べすぎや運動不足、肥満といった毎日の生活習慣です[1]。
食べすぎや甘いものの摂りすぎが続くと血糖値が高い状態が長くなって膵臓に負担がかかります。
運動不足が続くと、とったエネルギーが消費されずに余って、内臓脂肪としてたまっていくでしょう。
内臓脂肪が増えるとインスリンの効きを邪魔する物質が出され、血糖値が下がりにくくなっていくため、こうしたインスリンの効きの悪さが2型糖尿病の発症につながります。
デスクワーク中心で体を動かす機会が少ない方や、外食が多く食事が偏りがちな方は、知らないうちにこうした要因が積み重なっていることがあります。
生活習慣は日々の積み重ねが関わるぶん見直しやすいポイントでもあるため、無理のない範囲で食事や運動を整えることが、血糖値の安定につながるでしょう。
遺伝・加齢・体質
糖尿病には生活習慣だけでなく、遺伝や加齢、もともとの体質といった、自分では変えにくい要因も深く関わっています[1]。
血のつながった家族に糖尿病の方がいる場合は自分も発症しやすい体質を受け継いでいることが多いです。
特に日本人はもともとインスリンを分泌する力が弱い傾向があるため、欧米人ほど太っていなくても発症しやすいとされています。
さらに、年齢を重ねるとインスリンの働きはしだいに衰えやすくなるため、加齢も発症に関わる要因のひとつです。
こうした体質や年齢は自分で変えられるものではありませんが、知っておくことで早めの対策につなげられるでしょう。
家族に糖尿病の方がいる場合は、より意識して健診を受けておくと安心です。
体質的に発症しやすくても生活習慣を整えることで発症や進行を抑えられる余地はあるため、自分を責めるのではなく、体質を踏まえて無理なく対策を続けていくことが大切です。
ストレスや睡眠不足などその他の要因
食事や運動、体質のほかにも、ストレスや睡眠不足、飲酒や喫煙といった要因が、血糖値に影響を与えることがあります[1]。
強いストレスが続くと血糖値を上げる方向に働くホルモンが分泌されて数値が上がりやすくなります。
睡眠不足は食欲を増やして食べすぎや肥満を招くだけでなく、インスリンそのものを働きにくくするでしょう。
また、お酒の飲みすぎは肝臓やインスリンの働きに負担をかけて血糖の管理を難しくします。
喫煙はインスリンの効きを悪くして糖尿病やその合併症のリスクを高めると考えられています。
仕事や家庭で忙しく生活リズムが乱れがちな方は、こうした要因が重なりやすいため、すべてを一度に変えようとせず、取り組みやすいものから整えていくとよいでしょう。
睡眠やストレスとの付き合い方を見直すことも、血糖値を安定させる助けになると考えられます。
糖尿病の診断基準と検査
健診で血糖値やHbA1cが高いと指摘されると、すぐに糖尿病と決まってしまうのかと不安になる方も多いのではないでしょうか。
実際には、糖尿病かどうかはひとつの数値だけで判断されるのではありません。
血糖値とHbA1cなどの複数の基準を組み合わせ、必要に応じて複数回の検査を行って慎重に判断されます[2]。
診断の基準をあらかじめ知っておくと、自分の数値がどの段階にあるのかを落ち着いて確認でき、必要以上に不安を抱えずに次の行動を考えられるようになるでしょう。
ここでは、血糖値とHbA1cによる診断の考え方や、正常型と糖尿病型の中間にあたる境界型の位置づけ、そして健診結果の見方までを整理していきます[2]。
血糖値による診断(空腹時・随時・OGTT)
糖尿病の診断ではまず、血糖値が糖尿病型にあたるかどうかを確認することから始まります。
何も食べていない状態で測る空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合や、食事の時間に関係なく測った随時血糖値が200mg/dL以上の場合は、糖尿病型と判定されます[2]。
さらに、ブドウ糖を飲んで血糖値の変化を調べる75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間後の値が200mg/dL以上の場合も同様です[2]。
空腹時血糖値が110mg/dL未満かつ負荷後2時間値が140mg/dL未満であれば正常型とされ、その中間にあたる値は境界型と呼ばれ、糖尿病へ進みやすいため注意が必要です。
ただし、これらの基準に一度当てはまっただけで糖尿病と確定するわけではなく、原則として日をあらためて複数回確認したうえで診断されます。
なお、のどの渇きや多尿といった典型的な症状がそろっている場合には一度の検査で診断されることもあります。
自分の数値がどの区分にあたるのかを知っておくことが、次の行動を考える第一歩になるといえるでしょう。
HbA1cでわかること
HbA1cは、過去1〜2か月のあいだの血糖値の状態を反映する数値で、糖尿病の診断や日々の血糖管理の目安として広く使われています[2]。
これは血液中のヘモグロビンのうち、糖と結びついているものの割合を示した値で、検査前の数日だけ節制しても下がりにくいです。
ふだんの血糖の状態が反映されやすいという特徴があります。
HbA1cが6.5%以上の場合は糖尿病型と判定され、血糖値とHbA1cが同じ日の検査でともに糖尿病型であれば一度の検査で診断されることもあります。
どちらか一方だけが高い場合は、日をあらためて再検査を行うのが原則です。
ただし、貧血など一部の状態ではHbA1cが実際の平均血糖値よりも低くなることがあるため、HbA1cだけで判断せず、血糖値とあわせて確認することが大切です。
過去の血糖の状態を映す数値であるため、自分のHbA1cを把握しておくと、血糖コントロールがうまくいっているかどうかが見えやすくなるでしょう。
境界型(糖尿病予備群)とは
境界型は、正常型と糖尿病型のちょうど中間にあたる段階で、糖尿病予備群とも呼ばれます[2]。
まだ糖尿病とは診断されないものの放っておくと糖尿病へ進みやすい状態で、空腹時血糖値110〜125mg/dLや負荷後2時間値140〜199mg/dLがその目安とされています[2]。
この段階では自覚症状がほとんどないため健診で指摘されて初めて気づく方が多く、すでに動脈硬化が進み始めていることもあるため、決して油断できません。
その一方で、この時期に食事や運動などの生活習慣を見直すと、糖尿病への進行を抑えられる余地が大きく、数値が正常型に近づく方もいます。
予備群と言われたら、これ以上進めないための大切な分かれ道ととらえ、気になる場合は医療機関で相談して、今できる対策を確認しておくと安心です。
健診結果の見方と再検査
健診の結果に「要再検査」や「要精密検査」と書かれていると、それだけで糖尿病と確定したように感じて不安になる方も多いのではないでしょうか。
これは糖尿病と決まったという意味ではなく、もう一度詳しく調べる必要があるという案内です。
血糖値やHbA1cのどちらかだけが高い場合には、再検査で両方を確認するのが原則です[2]。
再検査までのあいだに急に極端な節制をすると、ふだんの状態が分かりにくくなることもあるため、いつもどおりの生活で受けるほうが、より正確に状態を把握できます。
放置してしまうと、せっかくの体からのサインを見逃すことになりかねないため、できるだけ早めに医療機関を受診し、健診の結果を持参して相談しておくことが大切です。
不安を抱えたままにせず、まずは数値の意味を確認しておくことで、落ち着いて次の対応を考えられるようになります。
糖尿病を放置するリスクと合併症
糖尿病でもっとも気をつけたいのが、血糖値の高い状態が続くことによって全身の血管が傷つき、さまざまな臓器に障害が及ぶ合併症です。
合併症は初期には自覚症状が乏しく、静かに進んでいくことが多いため、症状が出る前の段階から血糖値を管理しておくことがとても大切です[1]。
ここでは、糖尿病に特有の三大合併症から、命に関わる動脈硬化の病気、そして見落としやすい影響までを整理していきます[1]。
三大合併症(神経障害・網膜症・腎症)
糖尿病に特有の合併症として、神経障害・網膜症・腎症の三大合併症がよく知られています。
これらは細い血管が傷つくことで起こることから、頭文字をとって「しめじ」と覚えられることもあります[1]。
神経障害は三大合併症のなかでも比較的早い時期から起こりやすいです。
手足のしびれや感覚の鈍さとしてあらわれ、進行すると立ちくらみや便秘、発汗の異常など、自律神経に関わる症状が出ることもあります。
網膜症は目の奥にある細い血管が傷つくもので、進行すると視力が低下し、失明につながることもあり、日本では糖尿病網膜症が中途失明の主な原因のひとつとされています。
腎症は腎臓の細い血管が傷つくもので、進行すると老廃物をうまく排出できなくなる合併症です。
さらに進むと人工透析が必要になることもあって、糖尿病は透析を始める原因としてもっとも多い病気とされています。
これらの合併症はいずれも初期には自覚症状が乏しいため、定期的な検査で早く見つけることと、血糖値を良い状態に保つことが、三大合併症を防ぐうえで何よりの基本になります。
動脈硬化による心筋梗塞・脳卒中
糖尿病は、太い血管が傷んで硬く狭くなる動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めます[1]。
血糖値が高い状態が続くと太い血管の壁にも負担がかかり、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞、脳の血管が詰まれば脳梗塞というように、深刻な病気につながっていくでしょう。
これらは三大合併症とは違って糖尿病でなくても起こりますが、糖尿病があるとリスクが大きく高まります。
さらに高血圧や脂質異常症をあわせ持つと、動脈硬化はいっそう進みやすくなります。
そのため、血糖値だけでなく血圧やコレステロールもあわせて管理することが大切です。
症状が出てからでは手遅れになることもあるため、早めの対策が将来の自分を守ることにつながります。
気になる場合は、血管の状態を調べる検査について医療機関で相談してみるとよいでしょう。
低血糖にも注意が必要
糖尿病の治療中は、血糖値が高くなることだけでなく、下がりすぎる低血糖にも注意が必要です[1]。
お薬やインスリンの効果が強く出すぎると血糖値が下がりすぎてしまい、冷や汗や動悸、手のふるえ、強い空腹感などの症状があらわれやすいです。
さらに進むと意識がもうろうとすることもあって、放置すると危険な場合があります。
こうしたサインを感じたときは、ブドウ糖や糖分を含む飲み物をとることが基本の対処となります。
糖尿病の治療を受けている方は、あらかじめ低血糖への備え方を主治医に確認しておくと安心です。
血糖値は高すぎても低すぎても体に負担がかかるため、ちょうどよい範囲に保つことが治療の目標になります。
歯周病や足の病変など見落としやすい影響
三大合併症のほかにも、糖尿病は歯周病や足の病変など、見落としやすい影響を全身に及ぼします[1]。
血糖値が高いと細菌に対する抵抗力が落ちて歯周病が進みやすくなり、その歯周病が進むと今度は血糖の管理が難しくなるため、互いに悪い影響を与え合うことが知られています。
また、神経障害や血流の低下があると足の小さな傷に気づきにくくなり、知らないうちに悪化しやすいです。
進行すると足の組織が傷んでしまうこともあるため、日ごろの足の手入れも大切です。
毎日足を観察して傷や変化がないかを確かめる習慣をつけ、気になる変化があるときは、早めに医療機関で相談しておきましょう。
糖尿病の治療
糖尿病と診断されても、適切に治療を続けていけば、血糖値を良い状態に保ちながら、これまでと変わらない日常生活を送ることは十分に可能です。
治療の目的は血糖値を下げること自体にあるのではなく、高血糖によって起こる合併症を防ぎ、健康な生活を長く維持することにあります[1]。
治療の基本となるのは食事療法と運動療法で、それだけで血糖値が十分に下がらない場合にはお薬やインスリンを組み合わせていくでしょう。
どの治療をどの程度行うかは、糖尿病のタイプや進み具合、体の状態によって一人ひとり異なります。
ここでは、糖尿病の治療の柱となる方法を、食事や運動から、お薬、インスリン、そして日々の管理まで順に整理していきます。
食事療法
食事療法は、糖尿病の治療の土台となるもっとも大切な取り組みのひとつで、食べる量や栄養のバランスを整えることで、食後の血糖値の急な上昇を抑えやすくなります。
主食や主菜、副菜をそろえたうえで、野菜やきのこ、海藻などを先に食べ、よくかんでゆっくり食べるようにすると、血糖値の上がり方をゆるやかにすることができます。
食べすぎを避けて腹八分目を意識することは膵臓への負担を減らしますし、甘い飲み物やお菓子のとりすぎ、お酒の飲みすぎについても、量や頻度を見直していくことが大切です。
ただし、極端な制限はかえって長続きしないため、無理のない範囲で続けられる工夫を選ぶことが、結果として血糖値の安定につながります。
具体的にどのような食事が自分に合うかは人によって異なるため、医師や管理栄養士に相談しながら進めていくと安心です。
運動療法
運動療法は、食事療法とならぶ糖尿病治療のもうひとつの柱で、体を動かすと筋肉がブドウ糖を取り込みやすくなり、血糖値が下がりやすくなります[1]。
運動を続けるとインスリンの効きそのものもよくなるため血糖の管理がしやすくなり、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動が、取り入れやすく続けやすい方法です。
目安としては週に合計150分ほどで、無理のないペースで毎日少しずつ体を動かし、可能であれば筋力をつける運動も組み合わせると、より効果が高まると考えられています[3]。
ただし、合併症の状態によっては運動を控えたほうがよい場合もあるため、運動を始める前には、自分に合った内容を医師に確認しておくと安心です。
日常のなかで体を動かす機会を少しずつ増やしていくことが、血糖値の安定につながっていくでしょう。
薬物療法
食事療法や運動療法だけでは血糖値が十分に下がらない場合には、お薬を使った治療が検討されます[1]。
糖尿病のお薬には、インスリンの分泌を助けるものや、インスリンの効きをよくするもの、糖の吸収や排出に働きかけて血糖値を下げるものなど、さまざまな種類があります。
どのお薬を使うかは糖尿病のタイプや血糖値の状態、体の状態に応じて医師が判断するため、飲み始めたら自己判断でやめたり量を変えず、医師の指示に従うことが大切です。
お薬によっては低血糖が起こることもあるため、効きすぎのサインを知っておき、気になる症状や不安があるときは医師や薬剤師に相談しておくと安心でしょう。
お薬はあくまで食事や運動と組み合わせて使うものであり、生活習慣の見直しとあわせて続けていくことが、良い血糖管理につながります。
インスリン療法
インスリン療法は、不足しているインスリンを注射で補う治療で、インスリンがほとんど分泌されなくなる1型糖尿病では欠かせない治療です[1]。
2型糖尿病でも、血糖値が高い状態が続く場合などに、必要に応じてインスリン療法が行われることがあります。
インスリン療法と聞くと不安に感じる方もいますが、近年は使いやすい器具が増えており、適切に行えば、血糖値を安定させて合併症を防ぐうえで大きな助けになります。
注射の方法や量は医師の指導のもとで決められるため、自己流で変えずに指示に従い、効きすぎによる低血糖にも注意して、その備え方を確認しておくことが大切です。
不安なことは遠慮せず主治医に相談することで、安心して治療を続けられます。
血糖コントロールの目標とシックデイ対策
治療では、血糖値を良い範囲に保つための目標を決めて取り組んでいき、合併症を防ぐ目安として、HbA1cを一定の値より低く保つことがひとつの目標とされています[1]。
ただし、この目標値は年齢や体の状態によって異なるため、主治医と相談して、自分に合った目標を決めていくことが大切です。
また、かぜや発熱などで体調を崩した日は血糖値が乱れやすくなり、こうした日はシックデイと呼ばれますが、食事がとれなくても自己判断でお薬を中断しないことが基本です。
シックデイには水分をしっかりとり、消化のよいものを少しずつ口にするとよいとされます。
糖尿病のお薬の中には、シックデイのときに飲まない方が良いものもあるため、どう対応すればよいか迷うときは、早めに主治医へ連絡して指示を仰ぎましょう。
あらかじめシックデイの対応を確認しておくと、いざというときにも落ち着いて対処できます。
通院と検査を続ける大切さ
糖尿病の治療は一度始めたら終わりというものではなく、通院と検査を続けていくことが、長く血糖値を安定させる支えになります。
血糖値やHbA1cを定期的に測ることで治療がうまくいっているかを確かめられ、目や腎臓、神経の検査を定期的に受けることで、合併症を早く見つけることにもつながります。
調子がよいからと自己判断で通院をやめると、知らないうちに悪化することがあるため、治療の効果や体の変化を医師と共有しながら、自分に合った治療を続けることが大切です。
気になる症状や不安があれば診察のときに遠慮せず伝えるようにし、無理なく通える医療機関を見つけておくと、治療を続けやすくなります。
通院を生活の一部として続けていくことが、合併症を防ぐ大きな力になります。
血糖値の自己測定とセルフケア
治療の状況によっては、自宅で血糖値を測る自己測定をすすめられることもあり、自分で血糖値を確認できると、食事や運動が数値にどう影響するかが分かりやすくなります。
測った値を記録しておくと診察のときに医師へ伝える手がかりになりますが、一つひとつの数値に一喜一憂しすぎず、全体の流れをみることが大切です。
足の手入れや口の中のケアといった日々のセルフケアも合併症の予防に役立つため、無理のない範囲で習慣にしていくとよいでしょう。
分からないことは医師や看護師に確認しながら進め、自分の体の状態を知ることが、治療を前向きに続ける力になります。
小さなセルフケアの積み重ねが、長い目で見て大きな違いを生みます。
糖尿病の予防と日常生活の工夫
糖尿病、特に大多数を占める2型糖尿病は、生活習慣を整えることで予防したり、発症を遅らせたりすることが期待できる病気です。
すでに予備群と言われた方であっても、今からの取り組みしだいで、糖尿病への進行を抑えられる余地が十分に残されています。
特別なことを始める必要はなく、毎日の食事や運動、そして健診の習慣こそが予防の土台になります。
ここでは、糖尿病を防ぐために日常生活で取り入れやすい工夫を整理していきましょう。
食事と体重管理
糖尿病の予防では、食事の見直しと体重の管理が大きな柱になり、食べすぎを避けて栄養のバランスのとれた食事を心がけることが基本になります。
野菜やきのこ、海藻などの食物繊維を多くとると血糖値の急な上昇を抑えやすくなる一方で、甘い飲み物やお菓子、脂っこい食事のとりすぎには注意が必要です。
適正な体重を保つことはインスリンの効きをよくするうえでも役立ちますが、急激な減量よりも、無理のないペースで体重を整えていくほうが続けやすいでしょう。
朝食を抜く、夜遅くに食べるといった習慣も、できる範囲で見直していくと血糖値の安定につながります。
完璧を目指すのではなく、続けやすい工夫から少しずつ始めていくことが大切です。
運動と生活習慣の見直し
適度な運動を習慣にすることも糖尿病の予防にとても役立ち、体を動かすと血糖値が下がりやすくなり、インスリンの効きもよくなります。
ウォーキングなどの有酸素運動を週に合計150分ほど続けることが目安ですが、まとまった時間がとれなくても、階段を使う、こまめに歩くといった工夫でも役立ちます[3]。
さらに、十分な睡眠をとって生活リズムを整えることや、自分なりの気分転換でストレスをためこまないようにすることも、血糖値の安定につながるでしょう。
喫煙はインスリンの効きを悪くするため禁煙は予防の面でも大切で、無理なく続けられる習慣を少しずつ積み重ねていくことが予防への近道になります。
できることから生活を整えていくことが、将来の発症を遠ざける力になります。
間食やお酒との付き合い方
予防の面では、間食やお酒との付き合い方を見直すことも役立ちます。
甘いお菓子やジュースは血糖値を上げやすいため量や回数をあらかじめ決めておき、どうしても食べたいときには果物やナッツなどに置き換えるといった工夫ができます。
お酒は適量を守れば楽しめますが、飲みすぎは血糖の管理を難しくするため、おつまみに揚げ物や甘いものが多くなりすぎないように気をつけたいところです。
我慢ばかりではなく無理なく続けられる範囲で楽しむことが長続きのコツで、自分なりのルールを決めておくと付き合い方を整えやすくなります。
楽しみを完全になくすのではなく、上手に付き合っていく姿勢が、無理のない予防につながります。
続けるための工夫と周囲のサポート
予防や治療を長く続けていくには、無理なく取り組める工夫と、周囲のサポートが大きな助けになります。
完璧を目指すと続きにくいため、できたことに目を向けるようにし、家族と一緒に食事や運動を見直すと、取り組みを続けやすくなるでしょう。
体重や歩数を記録すると変化が目に見えてやる気につながることもあり、うまくいかない日があっても自分を責めずに、翌日からまた続ければ十分です。
ひとりで抱え込まず、医師や家族に相談しながら進めていくことで、無理なく続けやすくなります。
こうした小さな積み重ねが、将来の健康を守る大きな力になっていきます。
定期的な健診による早期発見
糖尿病は初期に症状が出にくいため定期的な健診による早期発見がとても重要で、血糖値やHbA1cは健康診断で手軽に確認できる項目です。
年に一度は健診を受けて自分の数値の変化を把握しておくと、境界型の段階で気づくことができ、糖尿病への進行を抑えやすくなります。
家族に糖尿病の方がいる場合はより意識して検査を受けておくと安心で、要再検査などの案内が出たら、放置せずに早めに医療機関を受診しましょう。
早く気づくほど生活習慣の見直しだけで対応できる可能性が高くなるため、健診は未来の自分を守る大切な機会だととらえておきたいところです。
面倒に感じても、定期的に受けておくことが、早期発見と早めの対策につながります。
糖尿病とうまく付き合うための生活のヒント
糖尿病は、一度かかると長く付き合っていくことになる場合が多い病気だからこそ、無理なく続けられる工夫を見つけて、生活のなかにうまく組み込んでいくことが大切です。
我慢ばかりを重ねるとかえって続きにくくなるため、楽しみながら取り組める方法を見つけることが、長く向き合っていくための鍵になります。
日々の小さな工夫の積み重ねが、血糖値の安定や合併症の予防につながっていきます。
ここでは、食事や運動、生活リズム、そして心の持ち方まで、日常生活で取り入れやすいヒントを整理していきましょう。
食事を楽しみながら続ける工夫
食事療法は長く続くものだからこそ、食べてはいけないものを増やすよりも、食べ方や組み合わせを工夫するほうが、無理なく続けられます。
野菜やきのこを先に食べる、よくかんでゆっくり食べるといった習慣は取り入れやすく、外食のときには定食のように品数の多いものを選ぶと、栄養のバランスを保ちやすいです。
たまの楽しみとして好きなものを少量味わえば気持ちにゆとりが生まれ、家族と同じ食卓を囲みながら全体を健康的に整えるのも、続けやすい方法のひとつです。
味つけを薄めにすると、あわせて血圧の管理にもつながるため、糖尿病以外の生活習慣病の予防にも役立ちます。
完璧を求めるのではなく、長く続けられることを大切にする姿勢が、結果として血糖値の安定につながるでしょう。
運動を生活に取り入れるコツ
運動が大切だと分かっていても続けるのが難しいと感じる方は多いため、まずは生活のなかでできることから始めるのがおすすめです。
一駅手前で降りて歩く、エレベーターより階段を使う、買い物や家事で体を動かすといったことも、立派な運動のひとつになります。
歩数計やスマートフォンで歩数を記録すると続けるはげみになり、家族や友人と一緒に取り組むと、楽しみながら続けやすくなります。
ただし、体調が悪い日や合併症がある場合は無理をせず、運動の内容を医師に相談しながら進めることが大切です。
完璧を目指さずに少しずつ体を動かす習慣を積み重ねていくことが、無理のない血糖管理につながります。
体調を整える生活リズム
血糖値を安定させるには毎日の生活リズムを整えることも役立ち、食事や睡眠の時間をなるべく一定に保つと、体のリズムが整いやすくなります。
十分な睡眠をとることは血糖値やインスリンの働きを保つうえでも大切で、適度に体を動かす習慣とあわせて、血糖値の安定につながります。
夜遅くの食事や夜更かしは、できる範囲で控えていくと、体への負担を減らすことができるでしょう。
体調を崩した日は無理をせず、必要に応じて主治医に相談することが、悪化を防ぐことにつながります。
規則正しい生活が、治療を支える土台になっていきます。
不安やストレスとの向き合い方
糖尿病とわかるとこれからのことが不安になる方も少なくありませんが、強いストレスは血糖値にも影響するため、心の負担を軽くすることも大切です。
自分なりの気分転換やリラックスの方法を見つけておくと、ストレスとうまく付き合いやすくなります。
不安や悩みをひとりで抱え込まず、家族や医療者に気持ちを話すだけでも楽になることがあり、同じ病気と向き合う人の体験を知ることが支えになる場合もあります。
不安が強いときには遠慮せず主治医に相談し、気持ちを整えながら自分のペースで付き合っていくことが大切です。
心と体の両方を大切にしながら向き合っていくことが、長く続けるための力になります。
糖尿病と関わりの深い生活習慣病
糖尿病は単独で起こるだけでなく、高血圧や脂質異常症といったほかの生活習慣病と深く関わっていることが少なくありません。
これらをあわせ持つと動脈硬化がいっそう進みやすくなるため、血糖値だけでなく、血圧やコレステロールもあわせて管理していくことが大切です。
複数の数値が気になるときは、それぞれを別々に考えるのではなく、まとめて生活習慣を見直していくほうが効率的です。
ここでは、糖尿病と関わりの深い生活習慣病について整理していきます。
メタボリックシンドロームとの関係
糖尿病は、内臓脂肪の蓄積に高血糖や高血圧、脂質の異常が重なったメタボリックシンドロームと、深く関わっています。
内臓脂肪が増えるとインスリンの効きが悪くなって血糖値が上がりやすくなり、こうした状態が続くと、糖尿病や動脈硬化のリスクが高まっていきます。
おなかまわりが気になる方は、内臓脂肪が増えているサインかもしれないため、注意が必要です。
食事や運動で内臓脂肪を減らすことは糖尿病の予防にもつながるため、複数の数値が気になるときは、まとめて見直していくとよいでしょう。
体重やおなかまわりの変化に目を向けることが、生活習慣全体を整えるきっかけになります。
高血圧・脂質異常症との合併
糖尿病は高血圧や脂質異常症をあわせ持ちやすいことが知られており、これらが重なると血管にかかる負担が大きくなって、動脈硬化が進みやすくなります[1]。
動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まっていくため、血糖値だけでなく、血圧やコレステロールの管理も同じように重要になります。
健診ではこれらの数値もあわせて確認しておくと、自分の状態を全体としてとらえやすくなるでしょう。
複数の数値が高いときには生活習慣の見直しがいっそう大切になるため、気になる場合は、まとめて医師に相談しておくと安心です。
血糖値とあわせて血圧やコレステロールを整えることが、合併症の予防につながります。
糖尿病が心配なときの受診の目安
健診で数値を指摘されたり、気になる症状があったりすると、受診したほうがよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
糖尿病は早く気づいて対応するほど生活習慣の見直しだけで対応できる可能性が高くなるため、迷ったときには様子を見すぎずに、一度相談しておくと安心です。
受診のハードルを下げるためにも、どこを受診すればよいのか、何を準備すればよいのかを知っておくと役立ちます。
ここでは、受診の目安と、受診前の準備について整理していきます。
何科を受診すればよいか
糖尿病が心配なときは、まず内科や糖尿病内科で相談でき、かかりつけ医がいる場合は、健診の結果を持って相談するのもよい方法です。
のどの渇きや多尿、体重の減少などが続くときや、健診で要再検査などの案内が出た場合には、放置せずに早めに受診することが大切です。
合併症が心配なときには、目なら眼科、足なら専門の診療科というように、必要に応じて連携して診てもらうこともあります。
どこを受診すればよいか迷うときは、まずかかりつけ医に相談すると、適切な診療科を判断しやすくなります。
早めに相談しておくことが、その後の対応をスムーズに進めることにつながるでしょう。
受診の前に準備しておくこと
受診をスムーズに進めるために、いくつか準備しておくとよいことがあります。
これまでの健診結果があれば持参すると数値の変化を伝えやすく、気になる症状やいつごろから続いているかをメモしておくと、診察のときに役立ちます。
ふだん飲んでいるお薬があればお薬手帳を持参し、家族に糖尿病の方がいるかどうかも、伝えておきたい情報のひとつです。
聞きたいことをあらかじめ書き出しておくと、限られた診察の時間を有効に使うことができます。
こうした準備をしておくことで、落ち着いて相談でき、不安の解消にもつながります。
糖尿病に関するよくある質問
Q:糖尿病は治りますか?
A:糖尿病は完全に治すというよりも、血糖値を良い状態に保ちながら付き合っていく病気で、特に2型糖尿病は、早い段階で生活習慣を整えると数値が改善する場合もあります。
治療を続けることで、合併症を防ぎながら健康な生活を送ることを目指せます。
気になるときは、自己判断せずに医師に相談しながら取り組むと安心です。
Q:血糖値はいくつから糖尿病ですか?
A:空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上などが糖尿病型の目安ですが、一度の数値だけで確定するわけではなく、複数の検査をふまえます[2]。
境界型と呼ばれる中間の段階もあるため、数値の意味は医師に確認するのが確実です。
自分の数値が気になるときは、医療機関で相談しておくと安心です。
Q:糖尿病の初期症状はありますか?
A:糖尿病の初期はほとんど自覚症状がなく、健康診断で気づくことが多いとされています。
血糖値がかなり高くなると、のどの渇きや多尿、体重の減少などがあらわれることがあります。
気になる変化が続くときは、早めに血糖値を確かめておきましょう。
Q:1型と2型の違いは何ですか?
A:1型はインスリンがほとんど分泌されなくなるタイプで生活習慣とは関係なく発症し、2型はインスリンの効きや分泌が不足して起こり、生活習慣や体質が関わります[1]。
日本の糖尿病の9割以上は2型とされています。
タイプによって治療の進め方が異なるため、自分がどのタイプかを知っておくことが大切です。
Q:糖尿病は遺伝しますか?
A:糖尿病そのものが必ず遺伝するわけではありませんが、なりやすい体質は受け継がれることがあり、家族に糖尿病の方がいる場合は発症しやすい傾向があるとされています。
体質が気になる方は、意識して健診を受けておくと安心です。
体質的に発症しやすくても、生活習慣を整えることで発症や進行を抑えられる余地はあります。
Q:予備群と言われたら治療が必要ですか?
A:予備群の段階では、すぐにお薬が必要になるとは限らず、まずは食事や運動などの生活習慣を見直すことがすすめられます。
この時期に取り組むと、糖尿病への進行を抑えられる余地が大きいとされています。
気になる場合は医療機関で相談し、今できる対策を確認しておきましょう。
Q:糖尿病でも食べられるものはありますか?
A:糖尿病でも食べてはいけないものが決まっているわけではなく、量やバランス、食べ方を工夫すれば、さまざまな食品を楽しめます。
極端に制限するよりも、続けやすい食べ方を見つけることが大切です。
迷うときは、医師や管理栄養士に相談しながら進めると安心です。
Q:糖尿病は何歳から気をつければよいですか?
A:糖尿病は中高年で増えますが、若い世代でも生活習慣によって発症することがあり、特に40歳を過ぎると増える傾向があります[1]。
年齢に関わらず、年に一度は健診で確認しておくと安心です。
家族に糖尿病の方がいる場合は、早めから気をつけておくとよいでしょう。
Q:運動はどのくらいすればよいですか?
A:ウォーキングなどの有酸素運動を、週に合計150分ほど続けることが目安とされていますが、まとまった時間がとれなくても、こまめに体を動かすだけでも役立ちます[3]。
無理のないペースで続けることが、長く取り組むコツです。
合併症がある場合は、運動の内容を医師に確認しておくと安心です。
Q:水を飲むと血糖値は下がりますか?
A:水を飲むこと自体が血糖値を大きく下げるわけではありませんが、甘い飲み物を水やお茶に置き換えると、血糖値の上昇を抑えることにつながります。
血糖値の管理には、食事や運動を中心に取り組むことが基本です。
飲み物の選び方も、毎日の積み重ねとして大切にしたいポイントです。
まとめ
糖尿病は、インスリンの働きが十分でなくなって血糖値が慢性的に高くなる病気で、1型・2型・妊娠糖尿病などのタイプがあり、日本では2型が大多数を占めます。
初期にはほとんど自覚症状がないため、健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘されて気づく方がほとんどです。
放置すると、神経・目・腎臓の三大合併症や、心筋梗塞・脳卒中などの命に関わる病気につながる可能性があります。
血糖値が高い背景には、生活習慣だけでなく、遺伝や加齢、体質などさまざまな要因が関わっています。
治療の基本は食事療法と運動療法で、お薬やインスリンは必要に応じて組み合わせられるでしょう。
特に2型糖尿病は、生活習慣を整えることで予防や進行の抑制が見込める病気でもあります。
気になる数値や症状があるときは、一度医療機関で相談し、自分のペースで無理なく向き合っていきましょう。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。お薬の服用に関しては必ず医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
