インフルエンザの解熱剤は何を使う?使用できる薬と注意点を医師監修で解説

「インフルエンザで高熱がつらいけど、手持ちの解熱剤を飲んでも大丈夫?」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
インフルエンザによる発熱時には解熱剤を使用すること自体は問題ありませんが、使用できる成分が限られている点に注意が必要です。
この記事では、インフルエンザに使用できる解熱剤と注意が必要な解熱剤、正しい使い方について詳しく解説します。
ご自身やご家族がインフルエンザにかかった際に慌てないよう、ぜひ参考にしてください。

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インフルエンザの発熱に解熱剤を使ってもいい?

インフルエンザにかかると38度以上の高熱が出ることが多く、解熱剤を使いたいと考える方も多いでしょう。

結論として、インフルエンザの発熱に解熱剤を使用すること自体は問題ありません。

ただし、使用する解熱剤の成分には注意が必要です。

ここでは、インフルエンザ時の解熱剤使用について基本的な考え方を解説します。

解熱剤の使用自体は問題ない

インフルエンザによる高熱がつらい場合、解熱剤を使用して症状を和らげることができます。

高熱が続くと体力が消耗し、脱水症状を起こしやすくなるため、必要に応じて解熱剤を使用することが推奨されています。

特にお子さんや高齢者は体力が奪われやすいため、症状がつらい場合は解熱剤の使用を検討してもよいでしょう。

ただし、発熱は体がウイルスと戦っている免疫反応の一つでもあるため、必ずしも熱を下げなければならないわけではありません。

ただし使用できる成分が限られている

インフルエンザの発熱時に使用できる解熱剤は、成分によって推奨度が異なります。

一般的に推奨されているのはアセトアミノフェン(カロナールなど)であり、安全性が高いとされています。

一方で、一部の解熱鎮痛剤はインフルエンザ脳症との関連が指摘されており、使用に注意が必要です。

手持ちの解熱剤を使用する前に、成分を確認することが大切です。

迷った場合は医師・薬剤師に相談を

どの解熱剤を使用してよいかわからない場合は、自己判断せずに医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

インフルエンザの症状がつらく、医療機関への受診が難しい場合は、オンライン診療を活用する方法もあります。

特に小さなお子さんや妊娠中の方、持病のある方は、必ず専門家に相談した上で解熱剤を使用するようにしましょう。

適切なお薬を選ぶことで、安心して症状を和らげることができます。

インフルエンザに使用できる解熱剤【アセトアミノフェン】

インフルエンザの発熱時に最も推奨されている解熱剤は、アセトアミノフェンという成分を含むお薬です。

アセトアミノフェンは安全性が高く、小児から高齢者まで幅広い年齢層に使用されています。

ここでは、アセトアミノフェンの特徴や代表的な薬剤名について解説します。

アセトアミノフェンとは?作用の仕組み

アセトアミノフェンは、脳の体温調節中枢に働きかけて熱を下げる解熱鎮痛剤です。

血管を拡張させて体の熱を外に逃がすことで、体温を下げる働きがあります。

また、頭痛や関節痛などの痛みを和らげる鎮痛作用も持っています。

他の解熱鎮痛剤と比べて胃への負担が少なく、副作用のリスクが低いことが特徴です。

代表的な薬剤名(カロナール・アンヒバ坐剤など)

アセトアミノフェンを含む代表的なお薬には、以下のようなものがあります。

区分代表的な薬剤名剤形
処方薬カロナール錠剤
・細粒
・シロップ
処方薬アンヒバ坐剤坐剤
処方薬アルピニー坐剤坐剤
市販薬タイレノールA錠剤
市販薬ラックル錠剤
市販薬小児用バファリンCII錠剤

錠剤が飲みにくいお子さんには坐剤やシロップ剤が処方されることもあるため、医師に相談してみてください。

小児から高齢者まで幅広く使用できる

アセトアミノフェンは、小児から高齢者、さらには妊娠中・授乳中の方にも比較的安全に使用できるとされています。

100年以上の使用実績があり、世界中で広く使用されている解熱鎮痛剤です。

日本小児科学会でも、インフルエンザに伴う発熱に対してはアセトアミノフェンの使用が適切であるとしています[2]

ただし、用法・用量を守って正しく使用することが大切です。

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インフルエンザ時に注意が必要な解熱剤

インフルエンザの発熱時には、一部の解熱鎮痛剤の使用に注意が必要とされています。

これらの成分は、インフルエンザ脳症との関連が指摘されているためです。

以下の表で、注意が必要な成分と代表的な薬剤名をまとめました。

成分名代表的な薬剤名備考
ジクロフェナクナトリウムボルタレンなど小児のインフルエンザには使用を控える
メフェナム酸ポンタールなど小児のインフルエンザには使用を控える
アスピリンバファリンAなど小児は使用を控える(ライ症候群のリスク)
ロキソプロフェンロキソニンなど小児への安全性が確立していない

注意が必要な理由

上記の成分は、いずれもNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる種類の解熱鎮痛剤です。

1999〜2000年の研究報告により、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸がインフルエンザ脳症との関連が指摘されました[2]

また、アスピリンは小児がインフルエンザや水痘の際に使用すると、ライ症候群という合併症との関連が報告されています[3]

これらの成分を含む解熱剤は、特に小児のインフルエンザには使用を控えることが推奨されています。

市販の総合感冒薬にも注意

市販の総合感冒薬(風邪薬)の中には、上記の成分が含まれているものがあります。

特にアスピリンやイブプロフェンを含む風邪薬は多く販売されているため、成分を確認せずに服用すると意図せず摂取してしまう可能性があります。

インフルエンザの可能性がある場合は、総合感冒薬を自己判断で服用せず、医療機関を受診するか薬剤師に相談することをおすすめします。

市販薬を購入する際は、必ず成分表示を確認するようにしましょう。

一部の解熱剤とインフルエンザ脳症の関連について

インフルエンザ脳症は、インフルエンザに感染した後に発症することがある合併症です。

一部の解熱剤との関連が指摘されていますが、現在もその因果関係については研究が続けられています。

ここでは、インフルエンザ脳症について基本的な情報をお伝えします。

インフルエンザ脳症とは

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザウイルスに感染した後に、けいれんや意識障害などの神経症状が現れる病気です。

主に5歳以下の小児に発症することが多いとされていますが、成人での発症例も報告されています[3]

発症すると症状が急速に進行することもあるため、早めの受診が大切です。

高熱が続く場合や、お子さんの様子がいつもと違うと感じた場合は、早めに医療機関を受診してください。

解熱剤との関連性について

1999〜2000年に行われた研究により、インフルエンザ脳症を発症した患者さんの中に、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸を含む解熱剤を使用していた方がいたことが報告されました[2]

この報告を受け、これらの成分を含む解熱剤はインフルエンザ時の使用に注意が必要とされるようになりました。

ただし、解熱剤を使用していない症例でもインフルエンザ脳症は発症しており、解熱剤が直接の原因であるとは証明されていません[2]

唯一、アセトアミノフェンについては安全性が高いことが確認されています。

お子さんがいるご家庭で気をつけたいこと

お子さんがインフルエンザにかかった場合は、解熱剤の選択に特に注意が必要です。

小児に使用できる解熱剤はアセトアミノフェンが基本となるため、ご家庭にある場合は服用して問題ありません。

また、解熱剤を使用しても症状が改善しない場合や、けいれん・意識障害・異常行動などがみられた場合は、早めに医療機関を受診してください。

発熱から少なくとも2日間は、お子さんを一人にしないよう気をつけましょう。

解熱剤を使用する際のポイント

解熱剤を使用する際は、用法・用量を守り、適切なタイミングで使用することが大切です。

熱を下げすぎる必要はなく、症状がつらいときに使用するのが基本的な考え方です。

ここでは、解熱剤を正しく使用するためのポイントを解説します。

用法・用量を守る(大人・小児別の目安)

アセトアミノフェン(カロナール)の服用量は、年齢や体重によって異なります。

以下の表を参考にしてください。

対象1回服用量服用間隔1日上限
大人300〜1000mg4〜6時間以上4000mg
小児10〜15mg/kg4〜6時間以上60mg/kg

用量について不安がある場合は、処方時に医師や薬剤師に確認することをおすすめします。

症状がつらいときに使用する

解熱剤は、高熱でつらいときや、ぐったりしているときに使用するのが基本です。

熱が出ているからといって、必ず解熱剤を使用しなければならないわけではありません。

お子さんの場合、高熱でも元気に過ごしているようであれば、無理に解熱剤を使う必要はないでしょう。

食事や水分が十分に取れない場合や、眠れないほどつらい場合に使用を検討してみてください。

熱を下げすぎる必要はない

発熱は、体がウイルスと戦うための免疫反応の一つです。

体温を高くすることで、ウイルスの増殖を抑えたり、免疫細胞を活性化させたりする効果があるとされています。

アセトアミノフェンは作用がマイルドなため、服用しても熱が1度程度しか下がらないこともあります。

39度の熱が38度になる程度でも体は楽になりますので、平熱まで下げる必要はありません。

インフルエンザかわからないときの解熱剤の選び方

高熱が出ているけれど、インフルエンザかどうかわからないという場合もあるでしょう。

そのような場合でも、解熱剤の選び方を知っておくと安心です。

ここでは、インフルエンザの可能性がある場合の解熱剤の選び方について解説します。

迷ったらアセトアミノフェンを選ぶ

インフルエンザかどうかわからない状況で解熱剤を使用したい場合は、アセトアミノフェンを選ぶことをおすすめします。

アセトアミノフェンは、インフルエンザ脳症との関連が指摘されておらず、安全性が高いとされています[2][3]

風邪なのかインフルエンザなのか判断がつかない場合でも、アセトアミノフェンであれば安心して使用できるでしょう。

ご家庭にアセトアミノフェンを含む市販薬を常備しておくと、いざというときに役立ちます。

市販薬を選ぶ際の確認ポイント

市販薬を購入する際は、必ず成分表示を確認するようにしましょう。

「アセトアミノフェン」と記載されているお薬を選ぶことで、インフルエンザの可能性がある場合でも安心して使用できます。

わからない場合は、薬局の薬剤師に「インフルエンザの可能性があるが使用できる解熱剤はどれか」と相談してみてください。

総合感冒薬ではなく、解熱鎮痛剤単体のお薬を選ぶと成分がわかりやすいでしょう。

インフルエンザの予防内服薬はクリニックフォアで

インフルエンザの予防内服薬をご希望の方は、クリニックフォアのオンライン診療をご利用ください。

予防内服とは、インフルエンザの治療に使われる抗インフルエンザ薬を、感染予防目的で服用することです。

受験や大切なイベントを控えている方、ご家族がインフルエンザにかかった方など、どうしても感染を避けたい事情がある方におすすめです。

クリニックフォアでは、スマートフォンやパソコンから全国どこからでも診察を受けることができます。

処方されたお薬は最短当日発送でお届けいたしますので、お忙しい方でも気軽にご利用いただけます。

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※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
※対面診療をご案内する場合もございます。

インフルエンザと解熱剤に関するよくある質問

カロナールを飲んでも熱が下がりにくいのはなぜですか?

カロナール(アセトアミノフェン)は作用がマイルドなため、熱が1度程度しか下がらないこともあります。

また、熱が上がっている最中に服用すると、効果を感じにくいことがあります。

服用量が体重に対して不足している場合も、十分な効果が得られないことがあるため、用量について医師や薬剤師に確認してみてください。

子どもに市販の解熱剤を使っても大丈夫ですか?

お子さんに市販の解熱剤を使用する場合は、必ず「アセトアミノフェン」を含むお薬を選んでください。

ロキソニンやアスピリンを含むお薬は、お子さんのインフルエンザには使用を控えることが推奨されています。

判断に迷う場合は、薬剤師に相談するか、医療機関を受診して処方されたお薬を使用することをおすすめします。

解熱剤と抗インフルエンザ薬は一緒に飲んでも大丈夫ですか?

解熱剤(アセトアミノフェン)と抗インフルエンザ薬(タミフル、ゾフルーザなど)は、一緒に服用しても問題ありません。

抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を抑えるお薬であり、解熱剤とは作用が異なります。

ただし、他に服用しているお薬がある場合は、念のため医師や薬剤師に確認することをおすすめします。

妊娠中・授乳中でも解熱剤は使用できますか?

アセトアミノフェンは、妊娠中・授乳中の方にも比較的安全に使用できるとされています。

ただし、妊娠週数や体調によって判断が異なる場合があるため、使用前に医師に相談することをおすすめします。

ロキソプロフェンなど他の解熱鎮痛剤は、妊娠中の使用が制限されている場合があるため、自己判断での使用は控えてください。

まとめ

インフルエンザの発熱時には、解熱剤を使用すること自体は問題ありません。

ただし、使用できる成分が限られており、アセトアミノフェン(カロナールなど)が推奨されています。

一方で、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸、アスピリン、ロキソプロフェンなどは使用に注意が必要とされています。

特にお子さんの場合は、アセトアミノフェン以外の解熱剤は使用を控えるようにしましょう。

解熱剤は症状がつらいときに使用し、熱を下げすぎる必要はありません。

どの解熱剤を使用してよいかわからない場合は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

インフルエンザにかかった際は、適切なお薬を選んで、しっかりと体を休めてください。

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※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

  

参考文献

  1. 日本小児科学会「2024/2025シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」
  2. 日本小児科学会「インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤の影響について」
  3. 日本小児神経学会「Q57:インフルエンザ脳症はどうしたら予防できますか?」