禁煙補助薬のニコチネルTTS、チャンピックスの違いについて医師が解説します。
皆さんは「ニコチネルTTS」というお薬や、「チャンピックス」というお薬を聞いたことはありますか?喫煙家の方で禁煙したいと思ったことのある方や、実際に禁煙しようと思ってチャレンジしては失敗して、という方はご存知かもしれませんね。
これらのニコチネルTTSとチャンピックスはそれぞれ禁煙補助薬の一つなのですが、実は作用や服用方法、注意すべき事柄やお勧めの人まで違うところも多いです。
今回はそんなニコチネルTTSとチャンピックス、二つの禁煙補助薬の違いについて詳しく解説します。

禁煙補助薬とは?
ではまず禁煙補助薬とはどういう薬なのかを説明する前に、なぜ喫煙をやめるのが難しいのかということについて説明します。
たばこの有害物質としてはニコチンやタールなどが有名ですが、タバコをやめづらくしているのは主にニコチンのせいです。
具体的には、タバコを摂取してニコチンが体内に入ってくると、脳内で快楽物質を大量に放出します。これだけならまだ良いのですが、30分も経つとこの効果が切れてしまい、むしろ不快になってしまうということです。この二つの作用により、喫煙者は常にタバコを吸っていないとイライラしてストレスを感じてしまうわけです。

さらに厄介なのが、ニコチンには他の違法薬物、例えばヘロインやコカインと同等の依存性があるということところにあります。これにより、さらにタバコを止めることは困難になっています。
そこで、禁煙を簡単にできるようにするのが、禁煙補助薬です。
禁煙補助薬は大きく分けて2つあり、ニコチンを貼り薬から摂取し、その量を徐々に減らすことで気づいたらやめられる「ニコチネルTTS」と、ニコチンと似た作用をもち、ニコチンの作用をブロックすることでタバコへの欲望を減らしていく飲み薬の「チャンピックス」です。
以降、この二つの違いについて説明していきます。
ニコチネルTTSとチャンピックスの服用方法は?
まずはこれらの服用方法の違いについて説明します。
ニコチネルTTSは貼り薬で、徐々に減らしていくという方法で、チャンピックスは飲み薬で、徐々に増やしていく方法であるという違いがあります。

ニコチネルTTSとチャンピックスの注意事項は?
次に、これらの薬の注意事項について説明します。
ニコチネルTTSは初めにも説明したように、ニコチンそのものを使った薬です。そのため、ニコチネルTTSを服用したままニコチンを摂取、つまりタバコを吸ってしまうと、薬で想定された以上のニコチンが体内に入ってしまうことになるため、急性ニコチン中毒になってしまう恐れがあります。
一方チャンピックスは、ニコチンは使っていないのでニコチネルTTSと違って服用中にタバコを無理に止める必要はありません。むしろ、服用中にタバコを吸っても普段ほどのリラックス効果はないのでそれによりやめやすくなる可能性もあります。しかし、チャンピックスには眠気や意識障害などの副作用が一部報告されているため、車の運転など、危険を伴う行為は控えた方が良いでしょう。

ニコチネルTTSとチャンピックスがお勧めの人は?
以上のことを踏まえて、それぞれどういった方にお勧めなのでしょうか。
ニコチネルTTSは車の運転などを普段行わない方、薬を飲んでいるのを周りに知られたくない方などにお勧めです。
チャンピックスは、服用期間中に喫煙を我慢できる自信のない方、皮膚が弱くてパッチを貼ると皮膚が荒れてしまいそうな方にはお勧めです。
参考文献
医療用医薬品:ニコチネル(ニコチネルTTS30 他) – KEGG https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048929