保険診療・自由診療・混合診療の違い・特徴
診療は、保険診療、自由診療(保険外診療)、2つを併用する混合診療の3つに分けることができます。
それぞれのおおまかな違いは以下の通りです。
保険診療 | 自由診療(保険外診療) | 混合診療 | |
概要 | 公的な健康保険が適用される診療 | 保険が適用にならない診療 | ・保険診療と自由診療の併用※原則禁止 ・一部、混合診療が認められるケースがある |
診察・治療内容 | 国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査・治療 | 医療保険各法等の給付対象とならない検査・治療 | |
費用 | 同じ診療内容なら、どの医療機関でも同じ | 同じ診療内容でも、医療機関によって異なる | 保険診療分も全額自己負担となる場合がある |
原則1~3割負担 | 全額自己負担 | 混合診療が認められるケースでは、費用は分けて考える |
まずはそれぞれについて詳しく解説します。
保険診療とは
保険診療とは、公的な健康保険が適用される診療のことです。具体的には、国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査・治療のことを指します。
病気によってできる検査や治療が決まっているため、病気や症状によっては保険適用内ではできない検査や治療もあります。
また、保険適用の場合は、年齢や所得によって自己負担割合が異なり、その負担割合は基本的に1~3割となります。なお、19歳以上70歳未満の場合は3割負担となることが一般的です。
保険が適用される条件
保険適用となるのは、国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査や治療を行う場合です。
ただ、保険適用となるには、病気と認められている症状を改善する目的である必要があります。たとえば、「きれいになりたい」「美しくなるために整形したい」「痩せたい」といった美容目的の場合は、保険が適用されないことが一般的です。
自由診療(保険外診療)とは
自由診療(保険外診療)とは、保険が適用にならない診療のことです。具体的には、医療保険各法等の給付対象とならない検査・治療を指し、厚生労働省が認めていない治療法やお薬を用いる場合などが該当します。
たとえばがん治療などにおいては、未承認であっても効果が期待できるお薬や治療法もあり、そのような治療を行う場合は保険適用外となります。また、美容目的の治療も自由診療となることが一般的です。
なお、自由診療の費用は全額自己負担となります。
混合診療とは
混合診療とは、保険診療(保険で認められている治療)と自由診療(保険で認められていない治療)を併用することを言います。
ただ、混合診療は原則禁止されており、保険診療と自由診療を併用する場合は、全てが原則自由診療扱い、つまり、保険適用の診療も全額自己負担となる場合があります。たとえばがんの治療で未承認のお薬を使うような場合に、治療費が数百万円になる、という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは、本来は保険診療に該当する部分も全額自己負担となっていることが、理由の一つとして挙げられます。
また、混合診療の禁止の理由としては、以下の2点が挙げられています。
- 保険外の費用負担を患者に求めることが一般化することで、患者の負担が不当に大きくなる恐れがあるため
- 保険適用外の診療(安全性や有効性などが確認されていない診療)が実施されることで、エビデンスに欠ける特殊な医療の実施を助長する恐れがあるため
混合診療が認められるケース
混合診療が認められるケースもあり、その場合は保険適用の診療は保険適用、適用外の診療は自己負担することになります。
保険診療との併用が認められる診療には、評価療養と選定療養の2種類があります。
【評価療養】
評価療養とは、将来的に保険適用にする可能性があり、その評価の目的も含む診療のことです。具体的には、以下が該当します。
- 先進医療
- 治験にかかわる診療
- 薬事法承認後で保険収載前のお薬や医療機器などを使用する治療
- お薬の適応外使用(認められている薬効とは異なる効果を期待して使用する承認申請がされているもの)
- 医療機器や再生医療等製品の適応外使用(同上)
【選定療養】
選定療養は、保険適用にする予定はないものの、患者さんの利便性や、医療の選定に関するもののことです。具体的には、以下が該当します。
- 大病院の初診、再診
- 予約診療
- 時間外診療
- 特別の療養環境(差額ベッド代)
- 制限回数を超える医療行為
- 180日以上の入院
- 子供の虫歯の指導管理
- 歯科の金合金等
- 金属床総義歯
先進医療はどんなもの?
混合診療が認められるケースの一つが、先進医療を行うケースです。先進医療とは、以下の
ような医療のことを指します。
- 保険診療の対象になっていない先進的な医療技術
- 未承認のお薬や医療機器の使用を伴う先進的な医療技術
- 承認されているお薬や医療機器において、その承認事項に含まれない用法・用量または効能・効果、性能などを目的とした使用を伴う先進的な医療技術
ただし、上記に当てはまればどのようなものでも先進医療となるわけではありません。先進医療として認められるためには、厚生労働省における先進医療会議で実施が許可される必要があります。
また、医療技術ごとに一定の施設基準が設定されるため、その基準を満たし、かつ届け出が行われた医療機関でしか実施できません。
保険診療のメリット・デメリット
続いて、保険診療のメリット・デメリット、自由診療のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
メリット
- 自己負担額が抑えられる
- エビデンスに基づいた一般的な治療が受けられる
デメリット
- 希望の治療法が保険適用とならないケースがある
自由診療のメリット・デメリット
メリット
- さまざまな治療法から選択できる
- 整容上のお困りごとの相談もできる
デメリット
- 自己負担額が大きい
- 同じような治療でも、医療機関によってやり方などが異なることがある
- 十分なエビデンスの裏付けがない治療が提供されることがある
- 明確な効果が期待できない治療が提供されることがある
保険診療と自由診療に関するよくある質問
最後に、保険診療と自由診療に関するよくある質問にお答えします。
保険診療の費用に決まりはある?
保険診療の費用は決まっています。全ての検査や治療に点数が定められており、1点=10円換算で計算されます。
なお、そこからどれだけ自己負担するかは、年齢や収入によって異なります。前述の通り、19歳以上70歳未満の場合は3割負担となることが一般的です。
自由診療の費用に決まりはある?
自由診療の費用に決まりはありません。医療機関によって自由に設定することができるため、同じような治療でも、値段に大きく差が出ることがあります。
消費税に違いはある?
保険診療には消費税はかかりませんが、自由診療や健康診断などは消費税がかかります。
同じ治療でも保険診療と自由診療がある?
同じ治療でも、保険診療になることもあれば、自由診療になることもあります。この違いは、治療の目的と医療機関によります。詳しくは以下の通りです。
目的によって異なる
同じような症状に対する同じ治療でも、保険診療になる場合もあれば、自由診療になる場合もあります。同じような症状でも、生活に支障が出ていて治療の必要性があるような場合では、保険適用となるのです。
たとえばまぶたが垂れ下がる「眼瞼下垂」では、保険診療でまぶたを切除したり縫いつけたりする治療を行うことがあります。これは、二重整形とほぼ同じ効果が期待できる治療ですが、美容目的の二重整形は、通常は自由診療となります。
医療機関によって異なる
医療機関によっては、どのような治療でも自由診療で行っているところもあります。このような医療機関では、通常は保険診療となる治療でも、自由診療で行われます。
保険診療と自由診療を同じ病院で受けてはいけない?
同日に同じ医療機関で保険診療と自由診療を受けると、全てが自由診療扱いとなり、全額自己負担になることがあります。
また、別日であっても保険診療で受診していた同じ病気に対する自由診療をうけると、全てが自由診療扱いとなります。すでに保険診療でお会計が済んでいても、初診にさかのぼって自由診療扱いとなるので注意しましょう。
これらのルールは複雑でわかりにくいため、心配な場合は医師に確認しましょう。
保険診療と自由診療を切り替えることはできる?
前述のように、同じ疾病に対する診療は保険診療と自由診療を切り替えることは原則できません。ですが、保険診療から自由診療へ、または自由診療から保険診療へ切り替えるケースもあります。
たとえば、健康診断(自由診療)で病気が見つかり、その治療を保険診療で行うケースがあります。
不妊治療は自由診療?
不妊治療は以前は自由診療でしたが、2022年4月から、条件に当てはまれば一部の治療が保険適用可能になりました。
また、実施する治療が先進医療に位置づけられるものである場合は、混合診療(保険適用と自由診療の併用)も可能です。
整骨院は混合診療できる?
整骨院や接骨院で柔道整復師に係る場合は、保険適用の施術と適用外の施術を同時に行うことができます。そもそも、整骨院での施術は診療費ではなく「療養費」なので、混合診療という考え方が存在しません。
交通事故や第三者行為の治療は保険診療?自由診療?
交通事故や第三者行為(他人の行為)による怪我や疾病の治療を受ける際は、保険診療もしくは自由診療を選択することが可能な場合があります。保険診療を受診した場合には、その後必ず適切な手続きを行う必要があります。
どちらを選択したほうがよいかは、事故の過失の割合や、保険の補償内容によっても異なるので、必ず医療機関受診の際に受傷の経緯はお伝えするようにしてください。
クリニックフォアのオンライン診療は保険診療も自由診療もあり
クリニックフォアでは、さまざまなお悩み・症状に対応するオンライン診療を行っています。自由診療の診療科が多いですが、内科、皮膚科、アレルギー科について保険診療も行っています。
ご自身の症状や、希望する治療内容によって診療科をご選択ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。