機能性ディスペプシアは何科を受診すればいい?
機能性ディスペプシアの疑いがある場合は、まずかかりつけの内科や消化器科を受診することが第一選択です[1]。
胃もたれ・みぞおちの痛みなどの症状は、胃潰瘍・逆流性食道炎・胃がんなどでもあらわれるため、消化器内科で器質的な疾患がないことを確認したうえで診断が確定します[1]。
精神的なストレスが症状の悪化に強く関わっている場合は、消化器内科での治療と並行して心療内科との連携が有効なケースもあります[1]。
かかりつけ内科から消化器内科へつなぐのが基本の流れ
かかりつけの内科では血液検査・腹部エコーなどの初期検査が可能で、必要に応じて消化器内科への紹介状を作成してもらうことで専門的な医療機関につなぎやすくなります。
機能性ディスペプシアの診断は「器質的な疾患がないことを確認したうえで成立する除外診断」であるため、胃カメラがおこなえる消化器内科での検査が確実な選択肢のひとつです[1]。
消化器内科・内科・心療内科の使い分け
3つの診療科の特徴と使い分けは以下のとおりです。
| 診療科 | 役割・特徴 | こんな場合に受診 |
| 消化器内科(胃腸内科) | 胃カメラ・腹部エコー・ピロリ菌検査など専門的な検査が可能。除外診断の中心 | 機能性ディスペプシアが疑われる場合の第一選択 |
| 内科 | 全身の幅広い疾患を診察。血液検査・腹部エコーなど初期検査が可能 | 近くに消化器内科がない場合の入口として活用(必要に応じて消化器内科へ紹介) |
| 心療内科 | ストレス管理・抗不安薬・抗うつ薬のアプローチが中心 | 消化器内科での治療で改善が不十分で、精神的ストレスが強く関与している場合に連携として活用 |
「最初から心療内科に行くべきか」と迷う場合は、まずはかかりつけの内科で相談してみてもよいでしょう。
機能性ディスペプシアかもしれない症状のセルフチェック
機能性ディスペプシアの代表的な4つの主症状は以下のとおりです[1]。
- 食後のもたれ感・膨満感
- 早期満腹感(少し食べただけでお腹がいっぱいになる)
- みぞおちの痛み(心窩部痛)
- みぞおちの灼熱感(心窩部灼熱感)
上記のうち1つ以上が6ヶ月以上前から始まっており直近3ヶ月間も継続している場合、機能性ディスペプシアの可能性が考えられます[1]。
以下の点にも当てはまる場合は、より強く機能性ディスペプシアを疑う根拠になります。
- 胃カメラで異常なしと言われたことがある
- 市販の胃腸のお薬を服用しても症状が改善しない
- ストレスが多い時期に症状が悪化しやすい
- 吐き気・げっぷ・食欲不振が胃もたれや胃痛と合わせてあらわれている
症状が数週間以上続いている・繰り返すという場合は消化器内科を受診することが推奨されます。
ただし、以下の症状がある場合は、より緊急性の高い疾患が疑われるため速やかに対面の消化器内科または救急外来を受診してください[ 1]。
- 黒色の便・血便・吐血
- 体重の急激な減少
- 高熱を伴う激しい腹痛
- 飲み込む時に痛みがある
受診前に知っておきたい機能性ディスペプシアの基本
機能性ディスペプシア(FD)とは、食道・胃・十二指腸に炎症・潰瘍・がんなどの器質的な病気がないにもかかわらず、慢性的にみぞおちを中心とした不快症状が続く疾患です[1]。
胃粘膜に目に見える病変はありませんが、胃の機能に以下の3種類の異常が起きているため症状があらわれます[1]。
- 胃の運動障害:食べ物を受け入れる適応性弛緩や十二指腸へ送り出す胃排出能の乱れによって、食後のもたれ感・早期満腹感が起きる
- 胃の知覚過敏:通常なら気にならない程度の胃の膨らみや胃酸の刺激でも、強い痛みや不快感として感じてしまう状態
- 脳腸相関の乱れ:精神的なストレスや不安が自律神経を通じて胃腸の機能に直接影響し、症状が慢性化する
機能性ディスペプシアは2013年に保険診療の病名として正式に認定された疾患であり、以前「神経性胃炎」「慢性胃炎」と診断されていた状態の一部がこの疾患に当たります[1]。
日本人では健康診断受診者の11〜17%・上腹部症状で受診した方の約45〜53%が機能性ディスペプシアであると報告されており[1]、決して珍しい疾患ではありません。
「検査で異常なし=気のせい・精神的なもの」ではなく、適切な治療によって症状の改善が期待できます。
受診の流れ:初診でおこなわれる検査と診断の手順
消化器内科を受診した際の一般的な流れは以下のとおりです[1]。
- 問診:どのような症状が・いつから・どのくらいの頻度で続いているか・食事との関係・体重の変化・服用中のお薬の名称を確認される
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査):食道・胃・十二指腸を直接観察し、胃潰瘍・逆流性食道炎・胃がんなどの器質的な疾患がないかを確認する
- ピロリ菌検査:感染が確認された場合は除菌治療が優先される
- 腹部超音波検査:胆嚢・胆管・膵臓・肝臓などの状態を確認する
- 血液検査:炎症・肝臓・膵臓の機能を調べる
- 診断:検査で大きな異常が認められなかった場合に機能性ディスペプシアと診断され、治療が開始される
受診前に症状の内容・起きやすいタイミング・体重変化などをメモにまとめておくと診察がスムーズになります。
お薬手帳を持参するか服用中のお薬の名前をメモして受診することが推奨されます。
過去に別の医療機関で胃カメラを受けた経験がある方は、重複した検査を減らせる可能性があるため、その結果を持参することがおすすめです。
機能性ディスペプシアの治療:受診後に始まること
治療は「お薬による治療」と「生活習慣改善・ストレス管理」の組み合わせが基本です[1]。
症状タイプ別に選ばれやすいお薬は以下のとおりです。
| 症状タイプ | 選ばれやすいお薬 |
| PDS(食後のもたれ感・早期満腹感) | 消化管運動改善のお薬(アコファイドなど) |
| EPS(みぞおちの痛み・灼熱感) | 胃酸分泌抑制のお薬(プロトンポンプ阻害薬・H2ブロッカーなど) |
| 両タイプ共通・改善が不十分な場合 | 漢方薬(六君子湯など) |
| ストレスや不安が症状に大きく関わっている場合 | 抗不安薬・抗うつ薬(追加で使用) |
生活習慣面では脂っこいもの・アルコール・カフェインを控えて腹八分目でよく噛んでゆっくり食べること、規則正しい食事・十分な睡眠・適度な運動・禁煙が推奨されます[1]。
機能性ディスペプシアは再発しやすい特徴があるため、症状が改善したあとも生活習慣の改善とストレス管理を継続することが重要です[1]。
消化器内科での治療を続けても症状が改善しない場合は、精神的な要素が強く関わっていることが考えられるため、医師の判断のもとで心療内科との連携を検討することが推奨されます[1]。
自己判断でお薬を中断せず定期的に担当医に経過を伝えながら治療を続けることが、回復への近道です。
機能性ディスペプシアを放置するとどうなる?
機能性ディスペプシアを放置すると、以下の4つのリスクが高まります[1]。
- 症状の慢性化によるQOL低下:食欲低下・体重減少・仕事や日常生活への支障が長期化する
- 重篤な疾患の見落とし:機能性ディスペプシアと同様の症状は胃がん・膵炎・慢性胆嚢炎・糖尿病・甲状腺疾患などでもあらわれるため、定期的な検査が重要
- 他の消化管疾患の併発:過敏性腸症候群や胃食道逆流症など、他の機能的疾患を合併し症状が複雑になることがある
- 精神症状との悪循環:症状が続くこと自体がストレスとなり不安・抑うつを引き起こし、胃の症状がさらに悪化する
早期に受診することで、これらのリスクを最小限に抑えることが可能です。
クリニックフォアのオンライン診療で機能性ディスペプシアを相談する
「機能性ディスペプシアかもしれないが消化器内科に行く時間がない」「検査で異常なしと言われたが症状が続いている」という場合、まずオンラインで医師に相談することも選択肢のひとつです。
クリニックフォアでは機能性ディスペプシア・ストレス性胃炎などの消化器症状に対するオンライン診療をおこなっており、通院の時間や手間をかけずに医師に相談することが可能です。
ただし、以下の緊急症状がある場合は速やかに対面での消化器内科受診をおこなってください。
- 黒色の便・血便・吐血
- 突然の激しい腹痛
- 体重の急激な減少
胃カメラ検査など対面での精密検査が必要と判断されたケースでは、対面の医療機関への受診を案内する場合があります。
「症状が数週間以上続く」「市販の胃腸のお薬で改善しない」「以前の治療で改善しなかった」という方は、オンラインで医師に相談することをおすすめします。
※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※診療費は診察内容によって異なります。保険診療の自己負担割合(原則3割)に応じた金額となります。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
機能性ディスペプシアの受診科についてのよくある質問
機能性ディスペプシアの受診科についてよくある質問をまとめましたので、参考にしてみてください。
機能性ディスペプシアは何科を受診すれば診てもらえますか?
消化器内科(または胃腸内科)が第一選択です。
症状は胃がん・胃潰瘍・膵炎・慢性胆嚢炎などでもあらわれるため、消化器内科で胃カメラ・腹部エコー・血液検査・ピロリ菌検査などを受けて他の疾患を除外することが診断の前提となります[1]。
機能性ディスペプシアの受診前に知っておくべきことは何ですか?
受診前に症状の内容・起きやすいタイミング・体重の変化・これまでの検査結果・服用中のお薬の名称をメモにまとめておくと問診がスムーズになります。
受診のタイミングは「症状が数週間以上続いている」「市販のお薬で改善しない」「繰り返す」場合が目安です。
セルフチェックはあくまで受診の参考とし、医師の診察を受けることが重要です。
機能性ディスペプシアの検査では何を調べますか?
消化器内科では胃カメラ・ピロリ菌検査・腹部超音波検査・血液検査が一般的におこなわれます[1]。
これらの検査で異常が見つからず器質的な病気が除外された場合に機能性ディスペプシアという診断が確定します[1]。
機能性ディスペプシアは心療内科でも診てもらえますか?
心療内科でも診療をおこなっている医療機関がありますが、診断には胃カメラなどの消化器内科的な検査が前提として必要なため、まず消化器内科で器質的な疾患がないことを確認してから心療内科との連携を検討することが正しい受診の流れです[1]。
まとめ
機能性ディスペプシアの疑いがある場合は消化器内科(または胃腸内科)が第一選択であり、胃カメラ・腹部エコー・血液検査・ピロリ菌検査などによる除外診断を経て初めて診断が確定します[1]。
「食後のもたれ感・早期満腹感・みぞおちの痛み・みぞおちの灼熱感」のいずれかが6ヶ月以上前から続いており直近3ヶ月も継続している場合は消化器内科への受診が推奨されます[1]。
「検査で異常なし」なのに症状が続く理由は胃の運動障害・知覚過敏・脳腸相関の乱れという機能的な異常が起きていることなども考えられ[1]、「気のせい」とは異なります。
治療はお薬による治療と食事改善・睡眠確保・禁煙・ストレス管理という生活習慣改善の組み合わせが基本で、再発しやすい疾患のため症状改善後も継続することが重要です[1]。
放置すると症状の慢性化・重篤な疾患の見落とし・精神症状との悪循環などのリスクが高まるため、数週間以上症状が続く場合は消化器内科を受診することが推奨されます[1]。
自己判断でお薬を中断せず、担当医に経過を伝えながら治療を続けましょう。
慢性的な胃の不調でお悩みの方は、まず医師に相談してみてはいかがでしょうか。
※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※診療費は診察内容によって異なります。保険診療の自己負担割合(原則3割)に応じた金額となります。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
