ヘアサイクル(毛周期)とは
髪の毛は一度生えたら、一生伸び続ける訳ではありません。古い髪は抜け落ち、そしてまた新しい髪が生え変わります。この一連の流れのことをヘアサイクル(毛周期)と呼びます。
ヘアサイクルは「成長期・退行期・休止期・脱毛」で構成されている
ヘアサイクルは以下の4段階で構成されています。
- 成長期
- 退行期
- 休止期
- 脱毛
それぞれの段階が一周するまで、1~2か月で終わるような事は無く、数年をかけてヘアサイクルは周回します。各段階の期間など詳しく説明していきます。
成長期 (期間:2年~6年)
成長期は毛母細胞が分裂し、新たな髪の毛が生えたり元の髪が伸びたりする時期です。
ヘアサイクルが正常な場合、髪の毛の約90%近くは、この成長期の状態にあると言われています。
退行期(期間:2週間~3週間)
退行期は毛母細胞の活動が弱くなり、髪の成長が止まりはじめる時期。髪の毛の1%ほどが、この退行期の状態にあると言われています。
2週間~3週間ほどの時間をかけて、髪の毛が毛母細胞と離れ、髪の成長が止まります。
休止期(期間:2か月~3か月)
休止期は毛母細胞の分裂が停止し、髪の毛が抜け落ちはじめる時期です。髪の毛の10%~20%ほどが、この休止期の状態にあると言われています。
髪が抜けおちた後には、新しく生えてくる髪の準備が徐々に始まります。
ヘアサイクルが乱れると抜け毛・薄毛に繋がる
AGAや薄毛の原因の多くは、このヘアサイクルの乱れが原因。特に成長期が大幅に短くなるとされており、通常であれば2年~6年ほど続くとされる成長期が、1年や数か月程度で終わってしまいます。
そうなると、髪は十分に成長できないまま退行期・休止期を迎えてしまうため、薄毛になってしまうのです。
ヘアサイクルが乱れる原因
ヘアサイクルの乱れは、様々な要素が複合的に重なり発生すると言われています。その中でも乱れる原因の以下の3つを紹介します。
- 頭皮の血行不良
- 髪の生成に必要な栄養不足
- 男性ホルモンの影響
頭皮の血行不良
一つ目の原因は、頭皮の血行不良。髪の毛が成長するために必要な栄養素のアミノ酸やミネラル、ビタミンなどは、血液を通して毛乳頭にある毛細血管に送られます。
しかし頭皮の血行が悪化すると、当然ながら栄養が正常に届けられなくなります。そのため、髪の成長を阻害し薄毛が進行するのです。
血行の悪化にはストレスなど様々な原因がある
血行が悪化する原因は、以下のような事が挙げられます。
- ストレス
- 運動不足
- 生活習慣の乱れ
- 睡眠不足
- 加齢
- 紫外線
- 過度なエアコンなどの冷房
髪の生成に必要な栄養不足
二つ目の原因は、髪の生成に必要な栄養の不足。先の通り、髪の成長には栄養が不可欠。
髪はケラチンと呼ばれるタンパク質によって大部分が形成されています。そして、そのケラチンを生成するために必要な成分が、アミノ酸やビタミン。
そのため過度なダイエットをしていたり、外食の頻度が高かったり、食生活に偏りや乱れがあると、髪がしっかりと成長できなくなってしまいます。
男性ホルモンの影響
三つ目の原因は、男性ホルモンの影響。AGAのほとんどは、男性ホルモンが影響しているとされています。
男性ホルモンがAGAを引き起こすメカニズムには、男性ホルモンの「テストステロン」が大きく影響しています。このテストステロンは頭皮にある「5αリダクターゼ」という還元酵素と結合し、DHT(ジヒドロテストステロン)というホルモンが新たに生まれます。
そしてDHTは毛根にある毛乳頭の受容体に取り込まれ、髪の成長を止めるように信号を出します。その結果、髪の毛が細くなってしまったり、髪が抜け落ちたりするのです。
乱れたヘアサイクルを改善する・整える方法
ヘアサイクルの乱れを改善させる主な方法は以下の2つです。
- フィナステリドやミノキシジルなどAGA治療薬を使う
- 生活習慣を改善する
フィナステリドやミノキシジルなどAGA治療薬を使う
先ほど、ジヒドロテストステロンが原因でヘアサイクルが乱れると説明しました。そのジヒドロテストステロンの生成を抑えるのが、フィナステリド(商品名:プロペシア)というAGA治療薬です。
ジヒドロテストステロンはテストステロンと呼ばれる男性ホルモンと5αリダクターゼと呼ばれる還元酵素が結合して生まれる男性ホルモンです。
AGA治療薬であるフィナステリドは、その5αリダクターゼの活動を抑え、ジヒドロテストステロンの生成を抑えます。そのため毛母細胞が十分に活動できるようになり、ヘアサイクルの乱れが改善されるのです。
加えて、ミノキシジルは毛母細胞を刺激し細胞分裂の働きをより高めて、髪の毛を成長させることができます。
生活習慣を改善する
先の通り、ヘアサイクルの乱れの原因の一つに血行の悪化をあげましたが、生活習慣の血行の良し悪しは密接に関係しています。まずはすぐに実践できる以下の対策を実践してみましょう。
- 睡眠時間をしっかり確保する
- 食生活のバランスを見直す
- 飲酒・喫煙を控える
- ストレスを発散する
- 頭皮マッサージを行う
対策方法の詳細については、コチラの記事をご覧ください。
関連記事:AGA対策・薄毛改善のために知っておきたい生活習慣、食べ物について医師が解説します。
ヘアサイクルに関するよくある質問
最後にヘアサイクルに関する質問をまとめたので、ぜひチェックしてみてください。
Q. 一生のうちヘアサイクルは何回行われますか?
A. 一生のうち20回~40回程度と言われています。
一生のうちヘアサイクルが行われる回数は20回~40回と言われています。ヘアサイクルが、20-40周すると、毛根の寿命が終わり、それ以上は髪の毛が生えて来なくなるのですが、生えて来なくなるのですが、AGAでは、ヘアサイクルが狂い、髪の毛の寿命が短くなっています。
Q. 毛母細胞の分裂回数に限界は無いんですか?
A. 限界はあり40回~50回程度と言われています。
毛母細胞の分裂回数は40~50回が限界と言われています。そのため、毛母細胞の分裂が終了した場合はフィナステリドやミノキシジルなどAGA治療薬の投薬を施しても、髪の毛を再度生やすことは不可能です。
そのため、AGA治療は早期の対応が重要になります。最近では20代で治療を開始される方も決して珍しくありません。
Q. ヘアサイクルを戻す方法で女性特有の方法はありますか?
A. スピロノラクトンという治療薬を使った方法が挙げられます
スピロノラクトンという薬は、FAGA治療薬の一つです。スピロノラクトンは男性ホルモンを抑制し、女性ホルモンの濃度を相対的に高くすることで、乱れたヘアサイクルを改善させます。
詳しくはコチラの記事をご覧ください。
Q. 加齢が影響でヘアサイクルが乱れることはありますか?
加齢に伴い、ヘアサイクルは短くなります。
一般的に、加齢に伴い、ヘアサイクルは徐々に短くなり、成長期が短縮することが知られています。遺伝や、生活習慣も影響していますが、そういった場合でもAGA治療は可能です。
Q. ノコギリヤシはヘアサイクルを改善するのに役立ちますか?
A. 一定の効果は認められています。
ノコギリヤシの中に含まれるβシトステロールとオクタコサノールにもフィナステリドと同様に5αリダクターゼの活動を抑える働きがあるとされていますヘアサイクルの改善に一定の効果はあるとも言えますが、フィナステリドよりも有用性は低い成分であり、薬のような安定した効果を得ることは難しいと考えられます。