【大人・社会人】インフルエンザで仕事を休む期間と対応のポイント
社会人がインフルエンザで休む際は、法的に出勤を止める決まりはありません。
ただし、感染拡大を防ぐためにもなるべく外出を控え、お薬の服用なども含め医師の指示に従って自宅で療養することが勧められています[2]。
また、事業者には従業員の健康と安全を守る安全配慮義務があります[3]。これは、感染症による社内拡大を防ぐための対応も含まれており、従業員が安心して働けるよう職場環境に配慮する努力義務です。インフルエンザに感染した従業員が出社すると職場全体に広がる恐れがあるため、集団感染防止の観点からも休養を指示することが求められます。
現在、多くの事業者では学校保健安全法の「出席停止期間」を参考に独自の就業規則を設けています。具体的には「発症後5日かつ解熱後2日」を出勤停止の目安とするケースが多く、この場合は事業者の判断による休業扱いとなることがあります。
もしインフルエンザと診断された場合は、職場への連絡は速やかに行いましょう。診断結果や症状、医師から指示された療養期間を伝えると事業者側も状況を把握しやすくなりスムーズです。
診断書の提出について、厚生労働省からは推奨されてはいませんが、職場の規定で求められる場合は提出する必要があります。
休み期間中の扱いは、それぞれの職場によって異なります。事前に就業規則や服務規程を確認し、必要な手続きを把握しておくことが望ましいでしょう。
休み期間中の扱いについて確認しておく
インフルエンザでの休みは、事業者の規定により有給休暇、特別休暇、または欠勤として扱われます。事前に就業規則を確認するか、人事部に問い合わせましょう。
事業者の判断で出勤停止を命じられた場合、事業者都合の休業とみなされ休業手当が支払われるケースもあります[4]。
ただし、労働者が自主的に休む場合は、通常の欠勤または有給休暇の扱いになることが一般的です。
有給休暇が残っている場合は、有給休暇として処理するのが一般的ですが、傷病手当金の対象となる場合もあるため、長期化しそうな場合は健康保険組合に確認が必要です。給与への影響を最小限にするためにも、早めに人事担当者と相談するとよいでしょう。
【子ども・年齢別】インフルエンザの出席停止期間について
子どものインフルエンザの休みは、学校保健安全法により「出席停止」となるため、欠席扱いにはなりません。[5]
※保育園は学校保健安全法の対象には含まれていないため、保育園がある地域の関係機関や医療機関と協議しルールが決められている場合があります[6]。
解熱後の待期期間は子どもの年齢によって異なるため、正しい日数の数え方を理解することが重要です。
インフルエンザの出席停止期間の基準
学校保健安全法施行規則では、小学生以上は「解熱後2日」、幼児は「解熱後3日」の経過が必要と定められています[5]。つまり出席停止期間は「発症後5日」と「解熱後の日数」の両方を満たす必要があります。どちらか一方だけでは登校・登園できません。発症日と解熱日を正確に記録し、両方の条件を満たしているか確認しましょう。
また、一度解熱しても再び発熱した場合は「解熱後の日数」がリセットされます。再度解熱した日を新しい基準として数え直し、そこから2日(幼児は3日)経過するまで登校・登園はできません。
小学生・中学生・高校生の出席停止期間の考え方
小学生・中学生・高校生は、「発症した日を0日目とし、その翌日から5日間」かつ「解熱した日を0日目とし、その翌日から2日間」の両方を満たすまで出席停止となります[5]。
発症日と解熱日はそれぞれ「0日目」として数えることがポイントです。
具体例を、表とあわせてみていきましょう。
【小~高校生の出席停止期間の考え方】
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
| 0日目(発症日) | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 |
| 発熱 | 発熱 | 解熱0日目 | 解熱後1日目 | 解熱後2日目 | 解熱後3日目 | 登校可能 |
| ①発症後、最低5日が経過するまで休む | ||||||
| ②解熱後2日が経過するまで休む | ||||||
| ①、②の条件両方を満たせば登校可能 | ||||||
小~高校生の子どもが、月曜日に発症して水曜日に解熱したケースでは、以下のように考えます。
①「発症後5日」の数え方:発症した月曜日が発症0日目となります。火曜日が発症1日目、水曜日が2日目、木曜日が3日目、金曜日が4日目、土曜日が5日目となります。そのため、少なくとも土曜日まではお休みする必要があります。
②「解熱後2日」の数え方:解熱した水曜日が解熱0日目となります。木曜日が解熱1日目、金曜日が2日目となります。
上記の場合、①②どちらも満たされる土曜日まではお休みとなり、日曜日から登校可能となります。
数え方に不安があるときは、受診の際に確認しましょう。
保育園児・幼稚園児(幼児)の出席停止期間の考え方
幼児は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」が出席停止期間です[5]。小学生以上と比べて、解熱後の期間が1日長く設定されています。
保育園は学校保健安全法の対象ではありませんが、これに基づいて作成された「保育所における感染症対策ガイドライン」に準じて運用する保育園が多いです[7]。
登園可能な日をどのように判断すればよいのか、具体例をみてみましょう。
【保育園児・幼稚園児(幼児)の出席停止期間の考え方】
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 月 |
| 0日目(発症日) | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 |
| 発熱当日 | 発熱 | 発熱 | 解熱0日目 | 解熱後1日目 | 解熱後2日目 | 解熱後3日目 | 登園可能 |
| ①発症後、最低5日が経過するまで休む | |||||||
| ②解熱後3日が経過するまで休む | |||||||
| ①、②の条件両方を満たせば登園可能 | |||||||
幼児が月曜日に発症し木曜日に解熱したケースでは、以下のように考えます。
発症日と解熱日当日はそれぞれ「0日目」として数えてください。
①「発症後5日」の数え方:月曜日に発症した場合、火曜日が1日目、水曜日が2日目、木曜日が3日目、金曜日が4日目、土曜日が5日目となります。そのため、最短でも土曜日までは登園できません。
②「解熱後3日」の数え方:木曜日に解熱した場合、金曜日が1日目、土曜日が2日目、日曜日が3日目となります。
上記の場合、①②どちらも満たされる日曜日まではお休みとなり、次の月曜日から登園可能となります。
学校・園への連絡と登校・登園再開時の注意点
インフルエンザの診断を受けたら速やかに学校や園に連絡し、登校・登園再開時に必要な書類を確認しておきましょう。
園や学校によっては、医師が記入した「治癒証明書」や保護者が記入する「登校許可書」などの提出が求められる場合があります。必要な書類の種類や書式は園や学校によって異なるため、初回の連絡時に確認しておくと安心です。
出席停止期間が明けても、体調が完全に回復していない場合は無理せず、医師や学校に相談することが大切です。感染拡大を防ぐためにも、規定の期間をしっかり守りましょう。
家族がインフルエンザに感染した場合の出勤・登校に関する注意点
同居家族がインフルエンザに感染しても、ご自身に症状がなければ基本的に仕事や学校を休む必要はありません。ただし、症状がみられていなくても、潜伏期間中でウイルスを保有している可能性があるため、感染対策は十分に行いましょう。
出勤・登校する場合は、普段以上に気を付けて感染対策を行い、体調に変化があれば休む判断が必要です。家庭内での感染拡大を防ぐことが、職場や学校へのウイルス持ち込みを防ぐことにもつながります。
感染対策に努め体調に変化があれば出勤・登校を控える
無症状でもウイルスを保有し、他者に感染させるリスクがあります。インフルエンザの潜伏期間は1〜3日程度とされており、 この期間もウイルスを排出する可能性があるためです[8]。
自身も感染している可能性(潜伏期間)を考慮し、普段以上にしっかりと感染対策を行いましょう。
具体的な対策として、マスクの着用※、こまめな手洗い・消毒、人との距離を保つ、せきエチケットなどが推奨されています[9]。
※幼児に関してはマスクの着用は求められていません[10]。乳幼児は正しくマスクを着用することが難しく、窒息や熱中症などの危険を伴います。とくに2歳未満ではリスクが高いため注意が必要です。子どもがマスクをする際は保護者の見守りが必要です。
もしのどの痛みや倦怠感、微熱など、インフルエンザを疑う症状があらわれた場合は、感染を広げてしまう可能性があるため、念のため出勤や登校を控えましょう。
初期段階で適切に対応することが、感染拡大を防ぐポイントです。異変を感じたら速やかに上司や学校へ連絡し、帰宅または受診を優先してください。
また、家族内での感染が拡大する前に、抗インフルエンザ薬の予防内服を行うという方法があることも知っておきましょう。
インフルエンザの感染力は非常に強く、家庭内での感染を防ぐのが難しい場合があります。クリニックフォアでは、感染リスクに備えるための「抗インフルエンザ薬の予防投与」を自由診療にてご提供しています。
※保険適用外の自由診療になります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
【このような方におすすめです】
- 同居のご家族がインフルエンザにかかった方
- 受験や大切な会議など、休めない予定を控えている方
- ご高齢の方や基礎疾患があり、重症化が心配な方
- インフルエンザのワクチンを接種していない方
インフルエンザの治療薬を予防目的で使用することで、発症の可能性を引き下げることが期待できます。ただし、予防効果を得るには「感染者と接触後48時間以内」に内服を開始することが重要です。
家族がインフルエンザにかかってしまった方や、大切な予定を控えている方などは、抗インフルエンザ薬の予防内服をご検討ください。
クリニックフォアでは以下の種類をご用意しております。
- オセルタミビル(タミフル後発品)1日1回10日分:8,250円
- イナビル(先発品)2容器で1回分:10,450円
- ゾフルーザ(先発品)2錠で1回分 ※80kg未満の方向け:11,550円
- ゾフルーザ(先発品)4錠で1回分 ※80kg以上の方向け:19,250円
※診察料1,650円 (税込) と配送料550円 (税込) がかかります。
※価格は2025年11月時点のものになります。
家庭内でも感染対策を意識する
家庭内での感染拡大を防ぐことが、結果的に職場や学校へのウイルスの持ち込みを防ぎます。家族がインフルエンザに感染したら、家庭内での感染対策も徹底しましょう。
厚生労働省は、手洗いや換気、マスク着用などの基本的な感染対策を推奨しています[9]。
具体的には、以下の対策を徹底しましょう。これらの対策は、家庭内でも職場や学校でも同様に重要です。
【家庭内のインフルエンザの感染を防ぐためのポイント】
- 流水・石鹸による手洗いやアルコール製剤による手指消毒
- 室内は適切な湿度(50〜`)を保つ[9]
- 定期的な換気
- 十分な休養をとり、栄養をバランスよくとる
- マスクを着用する
とくに、インフルエンザにかかった家族を看病する人は感染リスクが高まります。看病する際にもなるべくマスクを着用し、手洗いを徹底してウイルスを他の場所に持ち込まないよう注意しましょう。
インフルエンザと新型コロナウイルスの休み期間の違い
インフルエンザと新型コロナウイルスは、感染症法において同じ5類感染症ですが、出席停止期間の基準が異なります[11]。
感染症の出席停止期間は、学校保健安全法によって定められています。新型コロナウイルスの出席停止基準は「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」とされています[5]。 インフルエンザが「解熱後2日(幼児は3日)」を基準とするのに対し、新型コロナウイルスは「症状軽快後1日」とされています。
「症状が軽快」とは、従来の一般的な療養期間の考え方と同様に、解熱剤を使用せずに熱が下がり、さらに呼吸器症状が改善に向かっている状態を指します[12]。
両方に感染した場合や、どちらか判別がつかない場合は、医師の指示に従いより長い方の基準に合わせて休みましょう。
インフルエンザの休み期間に関するよくある質問
インフルエンザの休み期間について、多くの方が疑問に感じる点を解説します。正確な情報を知ることで、適切な対応ができ、感染拡大を防ぐことにつながるでしょう。
インフルエンザA型とB型で休む期間は変わりますか?
インフルエンザの型によって休み期間が変わることはありません。学校保健安全法で定められた「発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)」の基準が適用されます。
インフルエンザで流行しやすい型はA型、B型ですが、出席停止期間の計算方法はすべて同じです。型によって症状の程度や流行時期に違いはあるものの、感染力や感染期間の観点から、同一の基準で管理されています。
医師から型を告げられても、休む期間の計算方法は変わらないため、発症日と解熱日を正確に記録し、定められた基準に従いましょう。
子どもの看病のために仕事を休めない場合はどうすればよいですか?
「子の看護等休暇」の利用や、地域の「病児保育サービス」などを検討しましょう。働く保護者が利用できる制度やサービスは複数あります。
「子の看護等休暇」は、小学3年生修了までの子を養育する労働者(日々雇用を除く)が対象です。対象となる子が1人の場合は1年間に5日まで、対象となる子が2人以上の場合は1年間に10日まで取得できます。
この休暇は、以下の場合に取得可能です[13]。
- 病気、けがをした子の看護をする場合
- 子に予防接種・健康診断を受けさせる場合
- 感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合(子が感染症に罹患していなくても取得可能)
- 子の入園式、卒園式、入学式に参列する場合
地域の「病児保育サービス」に関しては、それぞれの自治体によって利用条件や利用料が異なります。利用には事前登録が必要な場合が多いため、自治体が提供する病児保育施設や、民間のベビーシッターサービスなどを普段から調べておくと、いざというときに慌てず対応できます。
まとめ
インフルエンザの休み期間は、大人と子どもで基準が異なります。
社会人の場合、法律で出勤停止が定められているわけではありませんが、職場の判断で休養を求められるケースが多いです。実務上は学校保健安全法を参考に「発症後5日・解熱後2日」を出勤停止の目安とする企業が一般的です。休みの扱いは会社の規定によって、有給、欠勤、特別休暇、または休業手当の対象になるため、事前に確認しておきましょう。
一方、子どもの場合は法律で出席停止期間が明確に定められています。小学生以上は「発症後5日」かつ「解熱後2日」、幼児は「解熱後3日」が必要で、どちらか一方を満たすだけでは登校・登園はできません。保育園は学校保健安全法の対象外ですが、同様の基準で運用していることも多いため園に確認しましょう。
家族が感染した場合、自分に症状がなければ出勤や登校は可能ですが、潜伏期間中でもウイルスを排出する可能性があるため、マスク・手洗い・換気などの感染対策を徹底する必要があります。体調に変化があれば、無理をせず休むようにしましょう。
