妊婦さんがインフルエンザにかかったときに知っておきたいこと
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症で、38度以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が急にあらわれるのが特徴です[1]。
妊娠中は、発熱や倦怠感といった症状が妊娠に伴う生理的変化によるものか、インフルエンザなどの感染症によるものか判断が難しい場合があります。
また、妊婦さんはインフルエンザに感染すると重症化しやすいといわれています[2]。
そのため、妊娠中にインフルエンザのような症状があらわれた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
適切な診断と治療を受けることが、お母さんと赤ちゃんの安心につながります。
妊娠中にインフルエンザにかかると重症化しやすい
インフルエンザは肺炎や脳症などの合併症を起こすことがあり、妊婦さんではそのリスクが高まります。
妊娠中は赤ちゃんを守るために免疫の働きが調整され、ウイルスに対する抵抗力が弱まります。また、つわりの影響で食事が思うようにできなかったり、活動が難しくなったりして、体力が低下することもあるため、感染すると症状が強く出やすくなるケースも少なくありません。
妊娠後期では呼吸器・循環器への負担が増えるため、インフルエンザで症状が悪化する可能性があります。
妊婦さんのインフルエンザが赤ちゃんに与える影響
妊婦さんがインフルエンザに感染すると「赤ちゃんに直接うつるのでは?」と心配される方もいるでしょう。
実際には、インフルエンザの胎盤を通じた直接的な胎児感染は一般的ではなく、極めてまれとされています。[3]。
ただし、妊婦さん自身が重症化した場合に、間接的に赤ちゃんに影響することがある点には注意が必要です。妊婦さんのインフルエンザが重症化すると、血中酸素濃度が低下し、胎盤を通じた赤ちゃんへの酸素や栄養の供給が不十分になる可能性があります。また、高熱が続くことで子宮内環境が変化し、赤ちゃんの発育に影響を及ぼすことも懸念されます。
さらに妊娠後期になると子宮が大きくなり、肺が圧迫されて呼吸がしづらくなります。心臓にも負担がかかるため、インフルエンザにかかると呼吸機能や循環機能が悪化しやすくなります。特に妊娠28週以降はこうした変化が顕著になり、早産や胎児発育不全のリスクが高まると言われているのです。
インフルエンザを予防するためには、人混みを避ける、手洗い・うがいを徹底するなど、日常的な予防策の実施が大切です。そのうえで、医師に相談してワクチン接種も検討してみましょう。
もし感染してしまった場合は、自己判断で市販薬を使うのではなく、できるだけ早く医療機関を受診してください。早期に適切な治療を受けることで、お母さんと赤ちゃんの両方を守ることにつながるでしょう。
妊婦さんがインフルエンザにかかったときの対応
妊娠中にインフルエンザが疑われる症状があらわれた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。妊婦さんは高齢者や幼児と同じく重症化リスク群に含まれるため、自己判断での対応は避け、医師の診察を受けるようにしましょう。
発症時には、まず医療機関へ電話で連絡し、妊娠していることや症状を伝えたうえで指示を仰ぐのが適切です。受診時には母子手帳を持参し、妊娠週数や症状の詳細をなるべく正確に伝えましょう。市販薬の服用や自己判断での服薬は避け、医師の指示に従うことが重要です。
早期にインフルエンザの治療を受けることで重症化を防ぎ、お母さんと赤ちゃんを守ることにつながります。インフルエンザを疑う症状があらわれたら、症状の軽い・重いに関わらず、医療機関を受診しましょう。
早めに医療機関に連絡し妊娠週数と症状を正確に伝える
インフルエンザを疑う症状があらわれた場合は、軽症でも早めに医療機関や相談窓口へ連絡することが推奨されています。38度以上の発熱、せき、のどの痛み、関節痛、筋肉痛、全身のだるさなどが一つでも見られたら、速やかに連絡しましょう。
医療機関へ連絡する際は、まず電話で妊娠中であることを伝え、症状や発症時刻を説明してください。事前に連絡することで、感染拡大防止のための配慮(別室での待機など)や受診時間の調整が可能になります。夜間や休日に症状が出た場合は、かかりつけの産婦人科の緊急連絡先や地域の夜間・休日診療所、救急相談窓口を利用すると安心です。
受診時には妊娠週数を正確に伝えることが非常に重要です。妊娠週数によって使用できるお薬や治療方針が異なるため、医師が適切な判断を下すための必須情報となります。具体的には、妊娠週数(妊娠○週○日)、最終月経開始日、出産予定日を伝えましょう。切迫早産や妊娠高血圧症候群などの既往がある場合は、その情報も併せて報告してください。
症状については、発熱の有無と体温、発症時刻、せきや鼻水の程度、関節痛や筋肉痛の有無、呼吸の苦しさ、食事や水分の摂取状況などを具体的に伝えることが大切です。特に呼吸困難や意識障害がある場合は重症化のサインであり、緊急性が高いことを明確に伝える必要があります。
市販薬や自己判断での対処は避ける
妊娠中のインフルエンザ対処では、市販薬の服用や自己判断での対応は避け、医療機関を受診することが推奨されています。自己検査キット(簡易検査キット)だけに頼らず、医療機関での適切な診断と治療を受けましょう。
市販の解熱鎮痛薬や風邪薬の多くには、妊娠中の服用に注意が必要な成分が含まれています。特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は妊娠後期に服用すると赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります[4]。仮に以前から服用しているお薬があっても、自己判断での服用は避け、医師に確認することが大切です。
インフルエンザにかかった妊婦さんが自宅療養する際の注意点
まず、早めに医療機関を受診し、処方されたお薬を正しく服用することが基本です。また、外出を控える目安は妊婦さんに限らず共通です。発症から5日経過し、さらに解熱後2日以上は外出を控えることがすすめられています。
療養中は脱水を防ぐために十分な水分を摂り、体力維持のために栄養管理を心がけましょう。赤ちゃんの状態確認も大切ですので、胎動を定期的にチェックし、普段と違う様子があれば速やかに医療機関へ連絡してください。
特に注意すべきは重症化の兆候です。呼吸困難や意識障害などが見られた場合は、直ちに緊急受診が必要です。自宅療養中も症状の変化をよく観察し、不安があればためらわず医療機関に相談することが、お母さんと赤ちゃんを守るうえで重要です。
発症後5日間かつ解熱後2日間は外出を控える
インフルエンザを発症した場合、他者への感染を防ぐため、発症後5日間が経過し、かつ解熱後2日間以上が経過するまではできるだけ外出を控えることが推奨されています。この期間は、ウイルスの排出量が多く感染力が高いためです。
「症状が出始めた日(発症日)」を0日目として数えます[5]。たとえば、月曜日に症状が出て水曜日に解熱した場合、発症から5日目は土曜日、解熱後2日間は金曜日となるため、両方の条件を満たす日曜日以降に外出可能となります。
【例】
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
| 0日目(発症日) | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 |
| 発熱 | 発熱 | 解熱 | 解熱後1日目 | 解熱後2日目 | 解熱後3日目 | 外出可能 |
| 発症後、最低5日が経過するまで休む | ||||||
| 解熱後2日が経過するまで休む | ||||||
解熱剤を服用している場合は、お薬の作用で一時的に熱が下がっているだけの可能性があるため注意が必要です。解熱剤を服用せずに平熱が続いた時点から2日間をカウントしてください。妊娠中は免疫機能が変化しているため、回復に時間がかかることもあります。無理をせず十分な療養期間を確保しましょう。
水分補給と栄養管理を十分に行う
インフルエンザによる発熱や発汗により体内の水分が失われやすくなるため、脱水予防のための十分な水分補給が重要です。水、麦茶、経口補水液、スープなどをこまめに摂取してください。
特に妊娠中は通常時よりも多くの水分を必要とするため、少量ずつ頻繁に水分を取ることを心がけましょう。吐き気がある場合は、一度に大量に飲むのではなく、スプーン1杯ずつから始めるなど工夫してください。
栄養管理も体力維持のために欠かせません。食欲がない場合でも、消化の良いおかゆ、うどん、バナナ、ヨーグルトなど、食べやすいものを少量ずつ摂取しましょう。タンパク質やビタミンを含む食品(卵、豆腐、果物など)を取り入れることで、回復を促進できます。つわりなどの場合もあるため無理に食べる必要はありませんが、ほとんど食事が取れない状態が続く場合は医療機関に相談してください。
胎動と妊婦さん自身の状態を確認し異常があればすぐに連絡する
妊娠中にインフルエンザにかかった場合、お母さんの体調管理だけでなく赤ちゃんの状態確認も重要です。日頃から胎動を感じている妊娠週数(個人差はありますがおよそ妊娠16週以降)であれば、自宅療養中も定期的に胎動をチェックするとよいでしょう[6]。
胎動の確認方法として、安静にした状態で1時間に何回胎動を感じるか、または10回の胎動を感じるまでに何時間かかるかを記録する方法があります。普段と比較して胎動が明らかに少ない、またはほとんど感じないといった異常があれば、速やかに医療機関に連絡してください。
また、腹痛、出血、破水感、規則的な子宮収縮(お腹の張り)などの症状があらわれた場合も、早期対応が必要です。これらは切迫早産や胎盤異常などのサインである可能性があります。妊娠中の感染症では、お母さんの重症化だけでなく赤ちゃんへの間接的な影響も考慮する必要があるため、少しでも不安な点があれば遠慮なく産科に相談しましょう。
呼吸困難や意識障害があれば緊急受診する
インフルエンザの重症化兆候があらわれた場合は、速やかな医療介入が必要となります。以下のような症状が見られたら、直ちに救急医療機関を受診してください。
呼吸に関する症状として、息苦しさ、呼吸が速い、胸の痛み、唇や爪が青紫色になる(チアノーゼ)などがあります。これらは肺炎や呼吸不全の兆候である可能性があり、特に妊娠後期では呼吸器への負担が大きいため注意が必要です。
意識に関する症状として、意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い、けいれん、異常な言動などが挙げられます。これらはインフルエンザ脳症の可能性があり、緊急性の高い状態です。
その他、水分がほとんど取れない、尿が半日以上出ない、持続する嘔吐、高熱が3日以上続くなども受診が必要な症状です。妊娠中は重症化リスクが高いため、様子を見るのではなく、これらの症状があらわれたら迷わず医療機関に連絡し、医師の指示を仰いでください。夜間や休日の場合は救急車の要請も検討しましょう。
妊婦さんの家族がインフルエンザにかかったときの対応方法
家族がインフルエンザに感染した場合、妊婦さんへの家庭内感染を防ぐための対策が重要です。重症化リスクの高い妊婦さんは、家族との距離を保つ、共有物品を避ける、マスクを使用する、可能であれば部屋を分けるなどの感染拡大防止策を実施してください。
具体的な対応として、感染した家族とは可能な限り距離を保ち、同じ部屋で過ごす時間を最小限にしましょう。タオル、食器、リモコンなどの共有物品の使用は避け、接触する可能性のある物品は定期的に消毒してください。感染した家族はもちろん、妊婦さん自身もマスクを着用し、こまめな手洗いを徹底することが感染予防に有効です。
家族が感染した場合でも、妊婦健診は延期せず、かかりつけの医療機関に状況を説明し相談してください。また、家族との濃厚接触後に発熱やインフルエンザ様症状があらわれた場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。症状が出る前でも、濃厚接触があった事実を医療機関に伝えることで、適切な対応が可能になります。
家庭内感染のリスクは高いため、家族がインフルエンザと診断された時点で、妊婦さんは予防的な観察と早期受診の準備を心がけましょう。
また、家族からの感染を防ぐために、インフルエンザの予防内服ができる場合がありますので、検討してみるのもよいでしょう。
インフルエンザの予防内服については、次の項目で詳しくご説明します。
妊婦さんのインフルエンザの予防内服について
予防内服とは、治療にも使われる抗インフルエンザ薬を予防のために使う方法です。受験や大事な仕事など休めない予定があるときや、家族や職場で感染者が出た場合に行われることがあります。
妊婦さんにおいても、インフルエンザにかかると高熱や合併症が母体や赤ちゃんに影響することがあるため、医師の判断のもとで行える予防内服薬を検討するとよいでしょう。
インフルエンザ予防の基本はワクチン接種ですが、流行株を予測して作られるため完全ではありません。抗インフルエンザ薬は型に関係なくウイルスの増殖を抑えることができ、ワクチンと併用することでより高い予防効果が期待できます。
代表的なお薬にはタミフル、イナビル、ゾフルーザがあり、服用方法や作用の仕組みに違いがあります。
副作用として下痢や腹痛、悪心などが報告されていますが、多くは軽度で重い症状はまれです。タミフルに関しては一時期異常行動が心配されましたが、2025年11月時点では、予防投与でそのような症状が出る可能性は非常に低いと考えられています。
当クリニックでは、抗インフルエンザ薬による予防投与を受け付けています。こちらはオンラインでも処方が可能です。
ご家族や職場の方に感染が確認された場合、予防内服薬により発症リスクが低減する可能性があります。保険適用外ではありますが、予防薬として利用することが可能です。
※保険適用外の自由診療になります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※お薬代(税込)
- オセルタミビル(タミフル後発品)1日1回10日分:8,250円
- イナビル(先発品)2容器で1回分:10,450円
- ゾフルーザ(先発品)2錠で1回分 ※80kg未満の方向け:11,550円
- ゾフルーザ(先発品)4錠で1回分 ※80kg以上の方向け:19,250円
※価格は2025年11月時点のものになります。
※診察料1,650円 (税込) と配送料550円 (税込) がかかります。
妊娠中のお薬について
妊娠中でも使用が可能とされるお薬はいくつか存在します。たとえば、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンなどが挙げられます。ただし、妊娠中はお母さんの体だけでなく赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性があるため、どのお薬においても慎重な判断が必要です。
添付文書には共通して「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されており、これは妊娠中のお薬の使用における基本的な考え方です。つまり、お薬を使うことで得られるメリット(症状の改善や合併症の予防)が、赤ちゃんへのリスクよりも大きいと医師が判断したときに限り投与されることがあります。
また、妊娠中のお薬の影響は時期によって異なり、初期は赤ちゃんの重要な器官形成に、中期以降は成長や機能に、後期には動脈管収縮や羊水減少など特有のリスクが報告されています。同じ薬でも妊娠週数で使用可否が変わることがあり、経口薬や注射薬など剤形によっても影響は異なります。症状や週数、投与方法を医師が総合的に判断するため、お薬の服用を考えているときは医師に相談しましょう。
妊娠中に使用できるインフルエンザ治療薬
妊娠中にインフルエンザにかかった場合は、オセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)などの抗インフルエンザ薬を早めに使用することが日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会により推奨されています[2][7]。
また、長時間作用型の吸入薬であるラニナミビル(イナビル)も、妊婦さんに使用可能とされています。イナビルは妊娠初期での使用報告はありませんが、吸入薬であるため血液中に移行する量はごくわずかとされ、妊娠中の使用による大きな問題はないと考えられています[8]。
タミフルやリレンザ、イナビルはインフルエンザウイルスの増殖を抑え、発症初期に服用することで症状の悪化を防ぎ、回復を早める効果が期待できるお薬です。
3つのおもな違いは投与方法(経口か吸入か)や投与回数であり、患者さんの年齢や生活習慣に合わせて選択されます。
| 薬剤名 | 投与方法 | 投与回数 |
| オセルタミビル(タミフル) | 経口 (カプセル ・ドライシロップ) | 1日2回を5日間 |
| ザナミビル(リレンザ) | 吸入 | 1日2回を5日間 |
| ラニナミビル(イナビル) | 吸入 | 1回のみ |
早期に治療を行うことでお母さんの重症化を防ぎ、赤ちゃんへの影響も最小限に抑えることにもつながります。
妊婦さんのインフルエンザで選択される解熱鎮痛薬
妊娠中のインフルエンザに伴う発熱や痛みに対しては、アセトアミノフェン(カロナール)が解熱鎮痛薬の第一選択とされています[2]。ただし、妊娠後期の服用は医師による慎重な判断が求められます。
一方、NSAIDsに関しては、低用量アスピリンを除き、多くは「妊娠後期は原則禁忌※」です[9]。また、妊娠中期以降も胎児動脈管収縮や羊水過少症などのリスクがあるため、医師が赤ちゃんの状態を確認しながら投与可否を判断する必要があります。※ブコローム(パラミヂン)は「投与しないことが望ましい」と記載されています。
一部のNSAIDs局所製剤(テープ・パップ・ゲル・軟膏など)は妊娠後期に禁忌とはされていません。しかし、妊娠中期以降でも赤ちゃんの動脈管収縮が報告されているため、禁忌でなくても慎重な投与が求められます。
また、いずれのお薬も「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とされており、この条件に沿って慎重に判断することで使用可能となっています。
お薬は必要なときだけにとどめ、自己判断での使用を避け医師の指示に従うようにしましょう。
妊婦さんのインフルエンザワクチン接種の適切な時期とメリット
妊娠中のインフルエンザワクチン接種は、妊娠週数に関わらず推奨されています[3]。
2025年11月現在、日本で使用されているインフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」です。これは病原体を無毒化したもので、赤ちゃんに影響を及ぼすことはないとされています。
医師の判断のもと、妊娠初期から後期まで、どの時期でも接種可能です。
接種に適している時期は、インフルエンザ流行期前の10月から12月です。この時期に接種することで流行期に十分な免疫を獲得することが期待できます。ただし、インフルエンザの流行時期がこれよりも早まることもあるため、接種を検討している場合は接種できる医療機関を早めに調べておくとよいでしょう。
もしも接種が遅れて流行期に入ってしまっても、ワクチンを受けることには意味があります。免疫がつくまでには約2週間必要ですが、インフルエンザは流行期間が長いため、摂取が遅れても効果が得られる可能性があるためです。
予防接種は、かかりつけの産科医療機関や一般の医療機関で受けられます。接種時には妊娠していることを伝え、妊娠週数や健康状態について医師と相談してください。合併症やアレルギー歴など個別の状況に応じた判断が必要なため、主治医との事前相談が重要です。
なお、ワクチン接種は義務ではありません。接種しても新型インフルエンザの発症を完全に防げるわけではないため、人混みを避けたり、こまめな手洗いやうがいなど、基本的な予防対策も忘れずに行いましょう。
予防接種を受ける際には、妊婦さんへの負担を減らすために、待ち時間が少なくオンラインで予約できる医療機関を選ぶのがおすすめです。
当クリニックでは、インフルエンザワクチンの接種を対面診療にて行なっています。ご希望の方は、オンライン予約のうえでご来院ください。
※インフルエンザの予防接種の価格は、4,000円(税込4,400円)となります。
※価格は2025年11月時点のものになります。
妊婦さんがインフルエンザの予防接種を受けるメリット
インフルエンザワクチン接種のメリットは大きく3つあります。
- 妊婦さん自身の重症化を予防すること
- 妊婦さんの感染予防によって赤ちゃんへの間接的な影響を防ぐこと
- 妊娠中に接種することで抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、出生後の乳児も一定期間保護されること
インフルエンザにかかると、発熱やせきなどの症状によって体に大きな負担がかかることがあり、場合によっては重症化するケースもあります。妊娠を予定している方や妊娠中の方は、医師と話し合いながら接種を考えてみるのもよいでしょう。
お母さんの重症化を予防でき赤ちゃんを間接的に守る
妊婦さんがインフルエンザワクチンを接種すると、インフルエンザに感染する確率が低下し、仮に感染した場合でも症状が軽く済む傾向があります。
妊婦さんは免疫機能の変化や呼吸器・循環器への負担の増加により、インフルエンザに感染すると重症化しやすいといわれています。ワクチン接種により肺炎や多臓器不全といった重篤な合併症のリスクを減らし重症化を予防することにつながるでしょう。
お母さんがインフルエンザ感染を避けることで、高熱や重症化によって赤ちゃんへの酸素や栄養の供給が減ること、早産や発育不全などのリスクを減らせる可能性があります。
ワクチン接種は母子を守るための予防策のひとつです。妊娠中のどの時期でも接種は可能とされますが、できるだけ流行期に入る前に受けておくことが推奨されています。
生まれた赤ちゃんにも抗体が移行する
妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、お母さんの体で産生された抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行します。この移行抗体により、生まれた赤ちゃんも出生後の一定期間、インフルエンザ感染から守ることができる可能性があります。
生後6か月未満の赤ちゃんはインフルエンザワクチンを接種できないため、この時期を守る方法として妊娠中のお母さんへの接種が重要とされています。妊娠後期に接種すると、より高い濃度の抗体が移行する傾向があるとされており、お母さんと赤ちゃんの双方を守る効果が期待されています。
妊娠中のインフルエンザに関するよくある質問
妊娠中のインフルエンザについては、多くの方が疑問や不安を感じるものです。
ここでは、よく寄せられる質問とその答えを整理しました。インフルエンザのような症状が出たときの対応や、流産のリスクに関することなど、妊娠中に知っておきたい大切な情報を確認していきましょう。
妊娠中にインフルエンザかもしれないと思ったらどうしたらいいですか?
妊娠中にインフルエンザが疑われる症状(38度以上の発熱、せき、関節痛、全身倦怠感など)があらわれた場合は、自己判断せず早めに医療機関に連絡してください。まずは産婦人科または内科などに電話で相談し、妊娠していることと症状を伝えたうえで、受診の指示を仰ぎましょう。
市販の風邪薬や解熱剤は、妊娠中の服用に注意が必要な成分が含まれていることがあるため、自己判断での服用は避けてください。お薬は、医師の診察を受け、処方してもらうことが重要です。
まだインフルエンザに感染していない場合は、予防が最も重要です。医師と相談のうえで、インフルエンザワクチンの接種を検討しましょう。妊娠中のワクチン接種は日本産科婦人科学会からも推奨されており、お母さんと赤ちゃんの両方を守る効果的な予防手段となりえます。
インフルエンザにかかると流産のリスクは高まりますか?
インフルエンザウイルスが直接的に流産を引き起こすという明確な因果関係は、2025年11月時点ではわかっていません。しかし、妊婦さんがインフルエンザで重症化した場合、お母さんの高熱や合併症による間接的な影響により、赤ちゃんにリスクが生じる可能性があります。
重症化により肺炎や多臓器不全などの合併症が生じると、赤ちゃんへの酸素や栄養の供給が低下し、早産や胎児発育不全のリスクが高まる可能性があります。重症化を避けるために、症状が出たら早めに医療機関に相談することが推奨されます。早期の治療により、間接的な胎児への影響リスクを減らせる可能性があります。
発症後48時間以内に抗インフルエンザ薬の治療を開始することで効果が高いとされており、お母さんと赤ちゃんへの影響を最小限にすることが期待できます。
インフルエンザ様症状があらわれた場合は、様子を見ずに速やかに医療機関を受診してください。また、感染そのものを防ぐことができるよう、予防接種や日常的な感染対策を徹底しましょう。
インフルエンザのワクチンは妊娠何週から受けられますか?
妊娠中のインフルエンザワクチン接種は、妊娠の時期に関係なくすすめられています。日本で使われているワクチンは「不活化ワクチン」といって、病原体の感染する力を失わせたものなので、赤ちゃんに悪い影響はないとされています。
妊娠初期から後期まで接種することができ、流行が始まる前の10月から12月に受けると十分な免疫がつくと期待されます。ただし、流行が早まることもあるので、早めに準備しておくと安心です。
インフルエンザは妊婦さんにとって負担が大きく、重症化することもあるので、妊娠を考えている人や妊娠中の人は医師と相談しながら接種を検討するとよいでしょう。
まとめ
妊娠中のインフルエンザは赤ちゃんに直接感染する可能性は低いものの、妊婦さん自身が重症化しやすいため、早めの受診と適切な治療が重要です。
高熱や倦怠感などの症状が出た場合は自己判断せず、妊娠週数や症状を医療機関に伝えて診察を受けましょう。
妊娠中でも使用できるお薬はありますが、使用の可否は妊婦さんや赤ちゃんの健康状態、およびお薬の特性を踏まえて医師が判断します。
自宅療養では水分補給や栄養摂取、胎動の確認を行い、呼吸困難や意識障害などの重症化サインがあればすぐに受診してください。
家族が感染した場合は家庭内感染対策を徹底し、必要に応じて医療機関へ相談することも大切です。
正しい知識と早めの対応によって、妊娠中のインフルエンザによるリスクは大きく減らすことができるでしょう。
