インフルエンザは同じ部屋でうつる確率は高まる
インフルエンザ感染者と同じ部屋にいると、感染リスクは高まります。
アメリカで実施された家庭内感染の研究では、ワクチン未接種の同居家族における二次感染リスクは約15〜20%と報告されています[1]。とくに子どもでは感染リスクが高くなる傾向がみられました。
ただし、この調査は「同じ部屋でどの程度一緒にいたか」という条件までは含まれていません。したがって、換気が不十分な閉鎖空間で感染者と同じ部屋に長時間いた場合は、より感染リスクが高くなると考えられます。
同じ部屋で過ごしたときに以下のような状況だったならば、うつる確率はさらに高まると考えられます。
- マスクなしで感染者と会話をした
- 1~2m以内の距離でせき・くしゃみを浴びる環境だった
- 換気が不十分な部屋で長時間一緒に過ごした
これはインフルエンザの主な感染経路が、感染者のせきやくしゃみで飛んだウイルスを吸い込む「飛沫感染」と、ウイルスが付着した手で口や鼻を触ることで感染する「接触感染」だからです[2]。
どの程度の時間いればうつる確率が高まるという明確な基準はありませんが、距離が近い、換気が弱い、マスクなし、手洗いを怠る、というような状況が重なるほど感染しやすいと考えらます[2]。
インフルエンザがうつりやすい人の特徴
同じ部屋で過ごしていても感染する人としない人がいるのは、接触状況や感染対策の有無、免疫力など、さまざまな要因が関係するためです。
どのような条件で感染リスクが高まるのかを知り、今後の対策の見直しに役立ててください。
インフルエンザワクチンを接種していない
ワクチンを接種していない場合、インフルエンザウイルスに対する免疫(抗体)がない、または不十分な状態です。そのため、ウイルスが体内に侵入した際に発症に至るリスクが高まります[3]。
インフルエンザワクチンには、発症を予防する効果と、発症後の重症化や死亡を予防する効果が認められています[3]。
厚生労働省によると、65歳以上の高齢者では34〜55%の発症を阻止し、82%の死亡を阻止する効果がありました[3]。
6歳未満の子どもでも、発症防止に対する有効率が60%と報告されています[3]。
ワクチンを接種していれば、感染しても発症を防げたり、発症しても重症化を回避できたりする可能性が高まります。
そのためワクチン未接種の人は、インフルエンザ感染者と同じ環境にいると発症しやすいと考えられ、感染リスクが高まる要因のひとつになり得るのです。
基本的な感染対策を徹底していない
手洗いやマスク着用、換気といった基本的な対策が不十分だと、ウイルスに触れたり吸い込んだりする機会が増えてしまい、体内に入るウイルス量が多くなることで感染リスクが高まります。
インフルエンザの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染の2つです[2]。
飛沫感染は、感染者のくしゃみやせきで放出されたウイルスを口や鼻から吸い込むことで起こり、接触感染はウイルスや飛沫が付着したものに触れた手で口や鼻を触ることで成立します。
これら2つの感染経路を断つために、手洗いやマスク、換気は有効です。マスクは、飛沫を防ぐためにインフルエンザ感染者本人が装着することも大切です。
忙しさや家庭の状況によって徹底が難しい場面もあり、そのような場合は結果的にウイルスに触れる回数が増え、インフルエンザがうつる可能性が高まる要因となります。
同じ部屋にいたのが子どもだった
インフルエンザ感染者と同じ部屋にいたのが子どもの場合は、大人よりもインフルエンザにうつる確率が高くなります。
先述したアメリカの研究では、家庭内での二次感染リスクは全体で約15〜20%でしたが、子どもではさらに高い傾向が報告されています[1]。
子どもがうつりやすい理由として考えられているのは、以下のとおりです。
- 正しい手洗いが難しく、接触感染を防ぎにくい
- マスクの着用を継続できないことがある
- 感染者との距離を保つことが難しい
すでに同じ部屋で過ごしてしまった場合は、潜伏期間(1〜4日)の間、子どもの体調変化をとくに注意深く観察しましょう。
インフルエンザはいつまでうつる?感染リスクが高いのは発症前日~発症5-7日後
インフルエンザウイルスは症状が出る前日から排出が始まり、発症後5-7日目頃まで感染力を持ち続けます[2]。
症状や熱がなくなったからといって感染力がなくなるわけではありません。
インフルエンザがうつりやすい期間を知り、感染拡大を防ぎましょう。
感染力のピークは発症後3日間、ウイルス排出は7日目頃まで
インフルエンザウイルスの排出は、発症1日前から始まり、発症後3日目をピークとして5-7日目頃まで続きます[2]。
とくに発症直後の数日間は、せきやくしゃみに含まれるウイルス量が多くなる時期です。
この期間は、可能な限り感染者を別室で休ませ、マスク着用や換気を徹底しましょう。
解熱後すぐに同じ部屋で過ごすのは注意が必要
熱が下がっても、インフルエンザウイルスが体内から完全に消えるわけではありません。
インフルエンザウイルスは発症後5-7日目頃まで体外へ排出されるといわれており、すぐに通常の生活に戻ると周囲へ感染を広げてしまう可能性があります[2]。
解熱後も油断せず、数日間は感染者とほかの家族の部屋をわけたり、マスクの着用・手洗いを徹底したりと基本的な対策を続けてください。
家庭内でのインフルエンザ感染拡大を防ぐ具体的な対処法
インフルエンザは症状が出る前からウイルスが排出されるため、感染者と接触した時点ですでにウイルスに曝露している可能性があります。
そのため「感染しているかもしれない」という前提で、早めに予防策を実行することが重要です。
家庭内の二次感染を最小限に抑えるため、以下の対処法を実践しましょう[4]。
- 感染者と非感染者の部屋をわける
- 定期的に換気する
- 感染者も含め家族全員がマスクを着用する
- こまめな手洗い・アルコール消毒をおこなう
- 湿度50~60%を保持する
- タオルや食器は共有しない
- ドアノブ、電気のスイッチなど共有部分を消毒する
対策を講じるのが早いほどウイルスに触れる機会を減らせるため、できることから始めてみてください。
インフルエンザ感染者と同じ部屋で過ごした場合は予防内服薬という選択肢も検討
インフルエンザ感染者と同じ部屋で過ごしてインフルエンザウイルスの曝露の可能性が高い場合、抗インフルエンザ薬を予防的に服用する「予防内服」という方法が考えられます。
予防内服は、大事な仕事や受験、資格試験など、どうしても体調を崩すわけにはいかない用事がある方に処方されるものです。
ただし、すべての人に推奨されるわけではなく、曝露の状況や個人のリスク要因などを医師が総合的に判断して処方されます。
クリニックフォアでは、対面診療・オンライン診療の両方で予防内服の相談が可能です。
同じ部屋で過ごしてしまったあと、発症を防ぎたい事情がある場合は、クリニックフォアへご相談ください。
※自費診療となります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
インフルエンザを疑うべき初期症状
インフルエンザは、一般的な風邪とは異なり、突然の高熱と強い全身症状が同時に出ることが特徴です[4]。
<インフルエンザの初期症状>
- 38度以上の突然の発熱
- 頭痛
- 関節痛・筋肉痛
- 全身のだるさ
上記の症状があらわれたあとに、せきや鼻水、のどの痛みといった呼吸器症状が続き、通常は約1週間で軽快します。
インフルエンザ感染者と同じ部屋で過ごして1〜4日間経過後に症状が出始めたら、インフルエンザを発症したものと考えて、クリニックフォアや最寄りの医療機関の受診をご検討ください。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
インフルエンザ感染者と同じ部屋で過ごしてしまったときに感じる疑問
インフルエンザの感染リスクについて解説してきましたが、実際の生活のなかでは「この状況は大丈夫なのか」「どう行動すべきか」と迷う場面も多いものです。
ここでは日常でよくあるケースを取り上げ、判断の目安となるポイントをまとめました。
迷ったときにどのように行動すればよいか、より具体的にイメージするための参考にしてください。
インフルエンザ感染者と同じ部屋で寝たらうつりますか?
同じ部屋で長時間過ごすと、インフルエンザにうつる確率は高くなるでしょう。
インフルエンザはせきやくしゃみの飛沫を吸い込むことで感染しやすく、飛沫は空気中に1メートルほど飛散します。
就寝時は距離が近くなるうえに換気も不十分になりやすいため、ウイルスを吸い込む可能性が高まります。
やむを得ず同室になる場合は、距離の確保や換気、手洗い、同室にいる全員のマスク着用などでリスクを減らしてください。
家族がインフルエンザに感染した場合、仕事は休むべきですか?
家族が感染していても、本人に症状がなければ感染症における指針や法律上の出勤制限はありません。
ただしインフルエンザには1〜4日の潜伏期間があるため、接触後しばらくは発熱やせきなどの初期症状に注意が必要です。
体調に変化があれば速やかに出勤を控えることを推奨します。
判断が難しい場合は、勤務先のルールや感染対策方針に従いましょう。
インフルエンザ感染者と同じ部屋で過ごしたあとは冷静に体調を観察しましょう
インフルエンザ感染者と同じ部屋で過ごした場合、ウイルスに曝露している可能性はありますが、具体的な確率は明らかになっていません。
ワクチンの未接種、感染対策が不十分などの場合は感染しやすいため、接触後は潜伏期間である1〜4日程度は発熱やせき、倦怠感などの体調変化に注意しましょう。
症状が出た場合は外出を控え、必要に応じてクリニックフォアや最寄りの医療機関の受診をご検討ください。
自身が感染している可能性を考えて手洗いやせきエチケットを徹底し、高齢者や基礎疾患のある方との接触は控えることをおすすめします。
正しい知識にもとづき、落ち着いて体調管理をおこないましょう。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
