微熱でもインフルエンザの可能性はある
インフルエンザの典型的な症状として38度以上の発熱があげられますが、高熱ばかりではなく微熱や平熱の場合もあります[1]。
千葉県医師会の資料によると、インフルエンザなのに高熱が出ない理由として、以下の3つがあげられています[1]。
- 予防接種を受けたことで症状を抑えられている
- 加齢などで免疫力が弱まっている
- 解熱剤を服用した(風邪薬に解熱成分が含まれていた)
微熱だからといってインフルエンザではないと判断するのは危険です。
周囲の感染状況や、全身のだるさや関節痛など他の症状があれば、インフルエンザの可能性もあります。
インフルエンザの予防接種を受けて重症化を抑えられている
インフルエンザワクチンを接種していると、感染しても高熱が出ずに微熱で済むことがあります。
ワクチンは感染や発症そのものを完全には防御できませんが、重症化や合併症の発生を予防する効果が証明されています[2]。そのため、ワクチン接種者がインフルエンザに感染した場合、38℃以上の高熱ではなく、37度台の微熱にとどまるケースも少なくありません。
ワクチン接種後に微熱や全身症状が出た場合は、「ワクチンを打ったから大丈夫」と油断せず、インフルエンザの可能性も考慮してください。
軽症であっても周囲への感染リスクはあるため、医療機関で迅速診断キットによる検査など、診断を受けることを検討してもよいでしょう。
加齢などに伴い免疫力が低下している
加齢などに伴う免疫力の低下により、インフルエンザに感染しても典型的な高熱が出にくいことがあります。
千葉県医師会の資料によると、ウイルスに感染して高熱が生じるのは、ウイルスと戦うためのための人体の防衛機能です。しかし加齢などにより免疫力や体力が衰えてくると、体温を上げる力が弱まると考えられています[1]。
実際2010〜2011年流行期の調査によると、65歳以上の高齢者で39度以上の高熱を示した割合はわずか3.3%でした[3]。37.5度を超える発熱がみられないまま、迅速診断キットで陽性と診断された高齢者が20%に達したとも報告されています[3]。
熱だけで判断するとインフルエンザを見逃し、肺炎といった重篤な合併症につながるリスクが高くなります。
高齢者の周囲にいる家族や介護者は、本人の普段の様子と比べて活気がない、食事量が減った、反応が鈍いなどの変化があれば、たとえ微熱であっても医療機関への相談を検討してください。
微熱を風邪と判断して市販の風邪薬や解熱剤を服用した
インフルエンザの初期症状を「風邪」と判断して市販薬を服用すると、解熱成分によって一時的に熱が下がり、微熱にとどまることがあります。
「体調が悪くなった時点で風邪かと思い市販薬を服用したのだが、そのお薬に解熱成分が含まれていた」ことが、高熱が出ない理由のひとつとしてあげられています[1]。
解熱剤の効果で微熱になっているだけで、実際にはインフルエンザに感染している可能性があるため注意が必要です。
微熱であっても全身症状がある場合や周囲でインフルエンザが流行している時は、医療機関を受診してインフルエンザの検査を受けることを検討してください。
インフルエンザを疑うべき微熱以外の症状
微熱だけではインフルエンザかどうか判断できないため、発熱以外の症状にも注目することが重要です。
インフルエンザの臨床症状として、発熱以外に以下があげられます。
- 全身のだるさ・関節痛・筋肉痛
- 寒気・頭痛
- せき・のどの痛み・鼻水
症状が複数あてはまる場合は、たとえ微熱であってもインフルエンザの可能性を考慮し、医療機関を受診しましょう。
強い全身のだるさ・関節痛・筋肉痛
インフルエンザの特徴は、風邪と比べて全身症状が強くあらわれる点です[2]。
一般的な風邪では鼻水やのどの痛みといった局所症状が中心ですが、インフルエンザでは全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状が突然あらわれます[2]。これらの症状は発熱と同時に、あるいは発熱に先行して出現することも珍しくありません。
微熱であっても、「からだがだるい」「節々が痛い」「筋肉が痛む」といった全身症状が強い場合は、インフルエンザが疑われます。
急な頭痛
インフルエンザでは、発熱に伴って急激で激しい頭痛があらわれることがあります。[2]。
ウイルスをやっつけるために体温を上げると、脳内の血管も膨張して脳内の神経が圧迫され、激しい頭痛が起こるともいわれています[1]。
これはインフルエンザ特有の症状のひとつであり、一般的な風邪の頭痛とは異なる強さが特徴です。
微熱であっても急に強い頭痛があらわれた場合は、インフルエンザの可能性を考慮してください。
せき・のどの痛み・鼻水
インフルエンザでは発熱や全身症状が先にあらわれ、その後に呼吸器症状が出てくるのが特徴です。
国立健康危機管理研究機構では「発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然あらわわれ、せき、鼻汁などの上気道炎症状が続く」とされています[2]。
つまり、微熱や全身症状が数日続いたあとに、せきやのどの痛み、鼻水といった呼吸器症状が出てきた場合は、インフルエンザの可能性が高いと考えられます。
あてはまる場合は、お近くの医療機関もしくはクリニックフォアの対面診療やオンライン診療にご相談ください。
微熱でインフルエンザが疑われる場合の受診タイミング
微熱でインフルエンザが疑われる場合、適切なタイミングで医療機関を受診しないと診断と治療に影響します。
推奨される受診のタイミングは、以下のとおりです。
- 微熱が出始めてから12時間~48時間以内
- 高熱・呼吸困難・意識障害などの症状があらわれ始めたら速やかに受診
それぞれの理由を理解し、受診のタイミングを逃さないようにしましょう。
微熱が出始めてから12時間~48時間以内
インフルエンザが疑われる場合、発症後12〜48時間以内に医療機関を受診することをおすすめします。
抗インフルエンザウイルス薬は、発症から48時間以内に服用を開始すると、発熱期間が通常1〜2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します[4]。
症状が出てから48時間以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません[4]。
一方、発症直後(12時間未満)はウイルス量が少なく、迅速診断キットで正確に判定できない場合があります。そのため、症状が出始めてから12時間以上経過し、48時間以内に受診するのが適切なタイミングです。
この時間帯に受診することで、以下のメリットがあります。
- 迅速診断キットで比較的正確な診断が可能
- 抗インフルエンザウイルス薬の効果を最大限に得られる可能性がある
- 発熱期間の1〜2日短縮が期待できる
- 周囲へのウイルス排出量を減らせる可能性がある
とくに高齢者や基礎疾患のある方、子ども、妊婦の方は重症化リスクが高いため、微熱であっても発症後48時間以内の受診を検討してください。
高熱・呼吸困難・意識障害などの症状があらわれ始めたら速やかに受診
高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなどの状況であれば、微熱であってもすぐに受診してください。
<注意すべき症状[4]>
- 呼吸が苦しい、息切れがする
- 胸の痛みや圧迫感がある
- 意識がもうろうとする、反応が鈍い
- 水分が取れない、尿が出ない
- けいれんを起こす
子どもがインフルエンザを発症すると異常行動(急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回るなど)を起こすことがあります[4]。このような症状がみられた場合も、すぐに医療機関に対応を相談してください。
微熱でインフルエンザかもと感じたらすべきこと
自宅で療養する際は、重症化を防ぐとともに周囲への感染拡大を防ぐことが重要です。
インフルエンザ発症前日から発症後3〜7日間は鼻やのどからウイルスを排出するため、外出を控えることも大切です[4]。解熱後もウイルスを排出するため、油断は禁物です[4]。
基本的なセルフケアと感染対策を実践し、自分と周囲の人々を守りましょう。
安静を第一に十分な水分補給を心がける
自宅で療養する際は、安静にして休養をとることが基本です。
インフルエンザはからだがウイルスと戦っている状態であり、十分なエネルギーが必要です。無理に活動すると体力を消耗し、ウイルスと戦う力が弱くなって回復が遅れるだけでなく、重症化のリスクも高まります。
とくに睡眠を十分にとることや十分な水分補給は欠かせません。こまめな水分摂取は体温調節を助けてくれます。
インフルエンザでは発熱により体内の水分が失われやすく、脱水状態になると症状が悪化する可能性があります。厚生労働省も「お茶でもスープでも飲みたいもので水分補給を」と推奨しています[4]。
今は微熱でも、今後熱が上がらないとはいい切れません。
十分な休養と水分摂取を心がけ、症状悪化を防ぎましょう。
マスク着用とせきエチケットで周囲への感染を防ぐ
自宅療養中は、家族など周囲の人への感染を防ぐための配慮が必要です。
インフルエンザの主な感染経路は、せきやくしゃみの際に口から発生される小さな水滴(飛沫)による飛沫感染、ドアノブや電気のスイッチなど触れる場所を介してうつる接触感染の2つです[5]。
症状が出ない場合や軽い症状が出るだけの場合もあるため、周囲の人にうつさないよう注意が必要です。
実践すべきせきエチケットの例として、以下があげられます[4]。
- せきやくしゃみが出ているときはできるだけ不織布製マスクを着用する
- せきやくしゃみをほかの人に向けて発しない
- とっさのせきやくしゃみの際にマスクがない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆う
- 鼻水・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨てる
- 手のひらでせきやくしゃみを受け止めたときはすぐに手を洗う
一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3〜7日間は鼻やのどからウイルスを排出します[4]。
せきやくしゃみなどの症状が続いている場合には、不織布製マスクを着用する等、周りの方へうつさないよう配慮しましょう。
自己判断での解熱剤の服用は成分を確認し慎重におこなう
インフルエンザの発熱に対して解熱剤を飲む場合は、成分を確認し慎重に選ぶ必要があります。
子どもの場合、日本小児神経学会は解熱剤の服用と脳症との関連を示しており、以下の成分が含まれる解熱剤は避けるよう注意を呼びかけています[6]。
- アスピリン
- メフェナム酸
- ジクロフェナクナトリウム
このことから、インフルエンザに対する解熱剤は、アセトアミノフェンを選ぶようにしましょう[6]。
市販の解熱鎮痛剤を服用する際は、必ず成分表示を確認してください。解熱剤に関して不明な点があれば、自己判断せずにかかりつけ医もしくはクリニックフォアの対面診療もしくはオンライン診療までご相談ください。
微熱でインフルエンザと診断された場合の出席・出勤停止期間
インフルエンザと診断された場合、微熱であっても一定期間は学校や職場への復帰を控える必要があります。
学校には学校保健安全法施行規則にもとづく明確な出席停止基準がありますが、社会人には法律上の規定はありません。
ただしインフルエンザ発症前日から発症後3〜7日間は鼻やのどからウイルスを排出するため、外出を控えることが望ましいです[4]。
解熱後もウイルスを排出するため、周囲への感染拡大防止の観点から多くの会社が学校の基準を目安にしています。
学校の出席停止期間の基準は「発症後5日かつ解熱後2日」
学校保健安全法施行規則では、インフルエンザによる出席停止期間を「発症した後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」と定めています[7]。
| 発症からの経過 | 熱の状態 | 登校可否 |
| 0日目(最初に微熱が出た日) | 微熱 | ✕ |
| 1日目 | 微熱持続 | ✕ |
| 2日目 | 解熱(0日目) | ✕ |
| 3日目 | 解熱1日目 | ✕ |
| 4日目 | 解熱2日目 | ✕ |
| 5日目 | 解熱3日目 | ✕(条件達成) |
| 6日目 | 解熱4日目 | 登校可 |
微熱の場合でも、最初に症状が出た日を発症0日目として計算します。
解熱が早くても、発症後5日間は登校できない点に注意してください。
幼児(幼稚園・保育園など)の場合は解熱後3日を経過する必要があるため、1日長く休む必要があります[7]。
社会人は法律上の規定はないため会社の就業規則を確認する
社会人がインフルエンザにかかった場合、学校のような法律上の出勤停止義務はありません。
とはいえ多くの企業では学校保健安全法施行規則の基準(発症後5日かつ解熱後2日)を参考に、独自の出勤停止規定を設けています。出勤停止期間や復帰手続きについては、事前に会社の人事部門や上司に確認しておくことをおすすめします。
会社に復帰する際は、基本的に治癒証明書や陰性証明書の提出は不要です[4]。これは、インフルエンザは陰性を証明することが一般的に困難であることや、医療機関に過剰な負担をかける可能性があるためです[4]。
インフルエンザは発症後3〜7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれており、せきやくしゃみなどの上気道症状が長引くこともあります[4]。
復帰後は不織布製マスクを着用するといったせきエチケットを徹底し、周りの方へうつさないよう配慮しましょう。
インフルエンザで微熱が出る前に予防内服薬も検討
予防内服とは、治療に使われる抗インフルエンザウイルス薬を感染予防目的で服用することです。乳幼児や高齢な方と生活している、受験などどうしても感染できない事情がある方が、感染した方と濃厚接触があった方に検討されます。
家族がインフルエンザを発症したといったときに、どうしても体調を崩せないという方は、微熱が出て「インフルエンザかもしれない」という不安を抱える前にクリニックフォアへご相談ください。
予防内服は保険適用外(自由診療)となります。詳しくはクリニックフォアにご相談ください。
※自由診療となります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
インフルエンザの微熱に関するよくある質問
微熱でインフルエンザが疑われる場合、さまざまな疑問が生じるものです。
多く寄せられる質問にお答えしますので、次にとるべき行動の判断材料にご活用ください。
インフルエンザで微熱から高熱になることはありますか?
インフルエンザの典型的な症状のひとつに38度以上の発熱がある以上、微熱から急激に高熱へ移行する可能性は十分にあります。
微熱の時点で全身のだるさや関節痛などの症状がある場合はインフルエンザの可能性が考えられ、急激に症状が変化するかもしれません。高熱が出た場合や症状が悪化した場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
微熱や症状が軽い場合でも、インフルエンザの検査は受けられますか?
もちろん、インフルエンザの検査を相談することは可能です。医師が必要と判断すれば実施されます。
インフルエンザの確定診断は、主に迅速診断キットを用いておこなわれます。
症状が軽い場合でも周囲への感染拡大を防ぐ観点から、検査を受けることは大切な選択肢です。
また、厚生労働省は「高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど具合が悪ければ早めに医療機関を受診」と述べています。微熱であっても、全身倦怠感や関節痛などインフルエンザを疑う症状がある場合は、医療機関に相談してみてください。
ただし、発症から12時間未満の場合はウイルス量が少なく、迅速診断キットで正確に判定できない場合があります。検査を受ける際は、発症から12時間以上を目安に受診しましょう。検査の必要性については、医師の判断に従ってください。
家族がインフルエンザになりました。自分も微熱があるのですが、インフルエンザでしょうか?
家族がインフルエンザに感染していて自分に微熱がある場合、インフルエンザに感染している可能性は高いと考えられます。家庭内は密接な接触が避けられないため、感染リスクが非常に高い環境であるためです。
インフルエンザウイルスの潜伏期間は通常1〜4日間(平均2日間)です[8]。
家族が発症してから数日以内に微熱や全身症状が出た場合は、インフルエンザの可能性が高いでしょう。
微熱が出始めて12時間以上経過している場合は、医療機関を受診して検査を受けることをおすすめします。早期に診断されれば、必要に応じて抗インフルエンザウイルス薬による治療を開始でき、重症化を防げるかもしれません[4]。
これ以上家族内感染しないために、家族全員のマスク着用、こまめな手洗い、部屋の換気などの基本的な感染対策を徹底しましょう。
インフルエンザは微熱の場合もあるため、適切な対処で症状悪化を防ぎましょう
インフルエンザでは高熱が出るのが一般的であるものの、微熱しか出ない場合もあります。ワクチン接種している方や高齢者では、典型的な高熱が出にくい傾向です。
微熱から突然高熱へ移行することもあるため、体調の変化には十分な注意が必要です。
強い倦怠感や関節痛、悪寒などの全身症状がある場合はインフルエンザの可能性を考えても良いでしょう。
発症後12〜48時間以内に受診できれば、抗インフルエンザウイルス薬がより効果を発揮しやすくなります。市販薬を服用する際は成分に注意し、解熱剤はアセトアミノフェンを選ぶと安心です。
自宅では安静と水分補給を心がけ、外出は控えて周囲への感染を防ぎましょう。
クリニックフォアでは「微熱だけどインフルエンザの感染が心配」「家族がインフルエンザで自分も診てほしい」というご相談も承っております。ご自宅から医師の診察を受けられますので、まずはお気軽にご相談ください。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
