インフルエンザと風邪の見分け方はある?
インフルエンザは風邪に比べて全身症状が強いことが特徴です。
また、インフルエンザは新型コロナウイルス感染症とも症状が似ているため、症状のみで判断するのは困難です。医師により治療方針やお薬の使用が判断されることで、合併症や重症化の予防につながります。周囲への感染拡大を防ぐ意味でも、早めの受診が大切です。
次の見出しでは、インフルエンザ・風邪・新型コロナウイルスの3つの違いを詳しく解説します。
インフルエンザ・風邪・新型コロナウイルスの違い
3つの疾患は発熱の仕方、症状の出現部位、全身症状の強さに違いがあります。
インフルエンザは急激な高熱と強い全身症状、風邪は局所的な気道症状が主体、新型コロナウイルスは症状の幅が広く個人差が大きいという特徴があります。以下の表で主な違いを整理します[2][3]。
| 症状の種類 | インフルエンザ | 風邪 | 新型コロナウイルス |
| 発熱 | 38℃以上の急激な高熱 | 発熱(インフルエンザほど高くない) | 発熱、せき、等の感冒様症状が主症状 |
| のど ・鼻 ・せき | 発熱や全身症状に続いてあらわれる | のどの痛み ・鼻水 ・鼻づまりが主症状 | 強い咽頭痛が特徴的 |
| 全身症状 | 強い倦怠感 ・関節痛 ・筋肉痛 | 倦怠感 | 全身倦怠感 |
| 特徴 | 急激に発症する強い全身症状がみられる | 比較的ゆっくり発症する | 味覚 ・嗅覚異常、呼吸困難感がみられるケースや罹患後症状(後遺症)※が2か月以上残るケースがある[4][5] |
※罹患後症状:感染力がなくなった後も原因が特定できないまま続く症状や、回復後に新たにあらわれる症状、いったん治まって再び出る症状の総称。代表的な症状には、疲労感、せき、息切れ、脱毛、集中力低下、嗅覚・味覚障害など多岐にわたる症状が含まれ、こうした症状は個人差が大きく、複数が同時に続くこともある。
インフルエンザウイルスは全身に影響を及ぼし症状が重篤化しやすい一方、風邪のウイルスは主に上気道に限定され全身への影響は少ないことが違いです。
新型コロナウイルスは潜伏期間が比較的長く、無症状から重症まで症状の幅が広いことが特徴です。また、味覚・嗅覚障害や呼吸困難感の症状が感染から1週間ほど経ってからあらわれるケースがあります。
3つの疾患には症状の違いがありますが、症状だけで確定診断することはできません。高熱や強い症状が出た場合は、自己判断せず医療機関で検査を受けることが重要です。
医療機関を受診すべきタイミング
急な発熱や強い関節痛、筋肉痛、強い倦怠感などの全身症状があらわれた場合は、できるだけ48時間以内に医療機関の受診を検討しましょう。
インフルエンザにかかった際に必ずしも受診しなければいけないわけではありませんが、発症から48時間以内で検査が陽性の場合は、基本的に抗インフルエンザ薬の使用が推奨されます。抗インフルエンザ薬の使用によって、症状の軽減や回復期間の短縮が期待できるとされています[6]。
また、以下のような基礎疾患を持つ方や、高齢者などは重症化のリスクが高いと考えられているため受診が推奨されます[7]。
- 持病をお持ちの方
- 慢性呼吸器疾患
- 慢性心疾患
- 糖尿病などの代謝性疾患
- 腎機能障害
- ステロイド内服などによる免疫機能の低下
- 妊婦
- 乳幼児
- 高齢者
かかりつけ医がいる方は、対応についても相談すると安心です。
子どものインフルエンザと風邪の症状の違いは?
子どものインフルエンザでも、大人と同様に38℃以上の高熱が突然あらわれ、風邪と比べて重症化しやすいことが特徴です[8]。風邪の場合はのどの痛みや鼻水といった上気道症状が中心であり、発熱しても比較的軽度です。
ただし子どもの場合も、見分けるためには医療機関を受診して医師の診察や検査を受ける必要があります。子どもは一見元気にみえても急に体調を崩すことや、症状が悪化しやすいことがあるため、自己判断で済ませるのは避けたほうが安心です。
インフルエンザA型には主に呼吸器感染症を引き起こしやすいタイプが存在し、多くは軽症で改善しますが、子どもではクループ症候群や気管支炎、肺炎などを合併することや、熱性けいれんを伴うケースも報告されています[8]。こうした症状が疑われる際には、早めに医療機関を受診することが推奨されています。
なお、子どものインフルエンザでは、使用する解熱剤の種類によって症状が悪化する可能性が指摘されています。お薬の使用についても、医師の指示に従うことが大切です。
子どもがインフルエンザにかかったら
子どもがインフルエンザにかかったかも?と思ったときは、早めに医療機関を受診し、療養に専念できるようにケアをしましょう。
<自宅療養のポイント>
- 安静にして十分な水分を与え、休養させる
- 処方されたお薬は、医師の指示に従って服用させる
- 就学前の子どもはマスクの着用は推奨されていないため、保護者や周囲の大人が着用を心がける[9]
- 日常的に手洗いを心がける
- 発症から5日後、および熱が下がってから2日(幼児は3日)は外出を控える
- 子どもの様子をこまめに観察する
- 子どもの異常行動に注意する
子どもがインフルエンザにかかったとき、早期受診と適切な自宅療養が重症化防止につながります。また、家族内での感染拡大を防ぐため、大人は手洗いやマスク着用などの基本的な感染対策を心がけましょう。
次に、子どもの観察ポイントについて解説していきます
子どものインフルエンザで注意すべき症状
子どもがインフルエンザに感染した場合、以下の症状がみられる場合は、直ちに医療機関を受診することが推奨されています[10]。
- けいれんが起こる
- 呼びかけに答えないなど反応が鈍い
- 落ち着きがなく、あばれる、意味不明の言動がある
- 呼吸が速い、または息苦しそうにしている
- 顔色が悪い(土気色や青白いなど)、唇が紫色になっている
- 脱水の兆候がある(下痢やおう吐で水分が取れない、尿量が少ない、泣いている乳児の涙が出ないなど)
これらの症状は、インフルエンザ脳症や重症化の兆候である可能性があり、迅速な医療対応が必要です。呼吸困難や意識障害は生命に関わる危険な状態であるため、迷わず救急受診を検討してください。
また、子どもの異常行動には十分に注意してください。
インフルエンザにかかった方で、抗インフルエンザ薬の使用の有無に関わらず、異常行動が報告されています[11]。
とくに未就学児での報告が多く、発熱から2日以内にみられることが多いため、少なくともこの期間は保護者の目が届くようにし、以下の対策をおこないましょう。
- 玄関や全ての窓を施錠する
- できる限り、1階やベランダに面していない部屋で寝かせる
落ち着きがない、あばれる、意味不明の言動といった行動がみられた場合は、目を離さずにまず安全を確保しましょう。そして落ち着いたのち、医療機関に相談しましょう。
子どものインフルエンザの出席停止期間の目安
学校保健安全法により、インフルエンザは第2種の感染症に定められており、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで出席停止とされています[12]。
出席停止期間は、ウイルスが排出される期間や症状の回復に必要な期間を踏まえて定められています。ただし、病状によって学校医やその他の医師が「感染の恐れがない」と判断した場合には、この限りではありません。
なお、保育園は学校保健安全法の直接の対象ではありませんが、この法律を参考に作成された「保育所における感染症対策ガイドライン」に沿って運用している園が多くあります。そのため、通っている園に対応を問い合わせるとよいでしょう[13]。
出席停止期間は感染拡大を防ぐための大切な基準です。自己判断で早めに登校・登園させるのではなく、医師の診断を受けたうえで、定められた期間を守って復帰するようにしましょう。
家庭内でできるインフルエンザの感染対策
インフルエンザ患者が家庭内にいる場合、適切な感染対策を行うことで家族への感染リスクを大幅に減らすことができます。
以下の4つの対策を組み合わせて実践しましょう[6]。
1.外出後の手洗い・衛生管理
流水と石けんによる手洗いは、手指などに付着したインフルエンザウイルスを物理的に除去する有効な方法です。これはインフルエンザに限らず、接触感染や飛沫感染を防ぐ基本的な対策です。アルコール製剤による手指衛生も効果があります。
2.適度な湿度の保持
乾燥した空気は気道粘膜の防御機能を低下させ、感染しやすくなります。室内では加湿器などを活用し、湿度を50~60%に保つことが効果的です[14]。
3.十分な休養と栄養バランス
抵抗力を高めるためには、日常的に十分な休養とバランスの取れた食事を心がけましょう。
4.人混みや繁華街の回避
流行期には、とくに高齢者、基礎疾患のある方、妊婦、体調不良や睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えることが望ましいです。やむを得ず外出する場合には、不織布製マスクを着用することで飛沫感染の防止に一定の効果が期待できます。
インフルエンザの予防内服について
インフルエンザは感染力が強く、家庭内感染が起こりやすいとされています。
家族内での感染を防ぐために、抗インフルエンザ薬の予防内服を行うという方法があります。
予防内服は、服用を始めるタイミングが大切で、感染者と接触してから48時間以内に開始することで発症の可能性を下げる効果が期待できます。
以下にあてはまる方は、医師に相談してみるとよいでしょう。
- ご家族がすでにインフルエンザにかかっている場合
- 受験や大事な会議など、休めない予定を控えている場合
- 高齢の方や持病があり、重症化が心配な方
- ワクチンをまだ接種していない方
当クリニックでは、感染リスクに備えるための「抗インフルエンザ薬の予防投与」を自由診療にてご提供しています。※保険適用外の自由診療になります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
お薬は以下の種類をご用意しております。
- オセルタミビル(タミフル後発品)1日1回10日分:8,250円
- イナビル(先発品)2容器で1回分:10,450円
- ゾフルーザ(先発品)2錠で1回分 ※80kg未満の方向け:11,550円
- ゾフルーザ(先発品)4錠で1回分 ※80kg以上の方向け:19,250円
※診察料1,650円 (税込) と配送料550円 (税込) がかかります。
※価格は2025年11月時点のものになります。
インフルエンザと風邪に関するよくある質問
インフルエンザと風邪は症状が似ているため、判断に迷うことも多いでしょう。また、お薬の使い方や前兆の見分け方など、実際の対処に関する疑問も寄せられます。
ここでは、インフルエンザと風邪に関してのよくある疑問にお答えします。
風邪とインフルエンザのお薬の違いは何ですか?
インフルエンザには抗ウイルス薬による治療がありますが、風邪には特効薬がなく、対症療法のみです。
風邪のウイルスを直接減らすお薬はなく、基本的には症状を和らげる「対症療法」が中心です。具体的な例として、解熱鎮痛剤があります。発熱や痛みを抑えるために使われることがあります。
インフルエンザの治療には、ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビルやザナミビルなど)と呼ばれる抗ウイルス薬が使われます。これらのお薬は、発症から48時間以内に服用することで、症状を軽くし、病気の期間を短くする効果が可能です[6]。インフルエンザ、A型・B型どちらにも効果が期待できます。治療薬と対症療法を併用して、症状の緩和をめざします。
ただし、解熱鎮痛剤に関しては注意が必要です。アスピリンやジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸といった一部の解熱剤は、子どもへの使用を避けるよう推奨されています[15]。子どもに解熱剤を使う場合は、なるべくアセトアミノフェンを選ぶようにしましょう。
大人の場合も、市販薬を使うときは薬剤師に、処方薬を使うときは医師に相談すると安心です。
インフルエンザの前兆は熱なしでもわかりますか?
インフルエンザは急激に症状が出ることが多く、明確な前兆を自覚しにくいとされます。
インフルエンザは感染してから発症するまでの潜伏期間が2日程度(1日から4日)であり、この潜伏期間中は無症状であることが多いです。また、発症時は突然38℃以上の高熱や全身症状があらわれます[1]。このため、風邪のように徐々に症状が進行するのとは異なり、前兆を感じ取ることは難しいといえるでしょう。
さらに、せきやのどの痛みといった呼吸器症状は、インフルエンザだけでなく、風邪や他の呼吸器感染症でもみられる一般的な症状です。そのため、これらの症状だけでインフルエンザと判断することはできません。
ただし、インフルエンザの流行状況を把握しておくことは重要です。地域でインフルエンザが流行している時期に、急激な発熱や強い全身症状が出た場合は、インフルエンザの可能性を考えて早めに医療機関を受診しましょう。
まとめ
風邪と比較して、インフルエンザは突然の高熱や強いだるさ、関節や筋肉の痛みなど全身に出やすいのが特徴です。
風邪はのどの痛みや鼻水などが中心で、重症化は少ないとされています。症状だけで見分けるのは難しいため、医師の診断を受けましょう。
急な高熱や強い全身症状が出たときは、できるだけ48時間以内に受診すると安心です。高齢者や子ども、持病のある方は重症化しやすいので注意が必要です。
子どもの場合は急に悪化したり異常行動がみられることもあるため、早めの受診と医師の指示に従った療養が重要です。
家庭では手洗いや加湿、十分な休養、マスク着用など基本的な感染対策を心がけ、登園・登校は医師の判断と定められた期間を守るようにしましょう。
