インフルエンザB型の主な特徴
インフルエンザB型は、オルトミクソウイルス科に属するインフルエンザウイルスの一種で、主に人に感染します[1]。A型と比べて流行規模は小さく、世界的なパンデミックを起こすことはほとんどありません[2]。
インフルエンザウイルスには、抗原性の違いによってA型、B型、C型、D型の4つの型があります[3]。このうち、季節性インフルエンザとして毎年流行するのはA型とB型です。
B型の特徴として、ウイルスの抗原変異が比較的緩やかであることが挙げられます[1]。A型では抗原シフトと呼ばれる大きな変異が起こり、新型インフルエンザの原因となりますが、B型ではこうした大規模な変異は確認されていません。
感染経路は飛沫感染と接触感染が中心で、せきやくしゃみによる飛沫や、ウイルスが付着したものを触った手で口や鼻に触れることで感染します[4]。
冬から春にかけて流行する
インフルエンザB型は、主に冬から春にかけて流行します[3]。これはインフルエンザA型とも流行時期は変わりありません。
日本国内では、毎年の流行パターンとして、まずA型が流行し、そのあとにB型が続く傾向がみられますが、年によってはB型が先行する場合や、A型とB型が同時に流行する場合もあります。学校や職場など、人が集まる場所では感染が広がりやすいため、流行期には特に注意が必要です。
感染力はA型と同程度に強く、日本ではおよそ10人に1人が毎年発症しているといわれています[4]。飛沫感染が主な経路であるため、マスク着用や手洗いなどの基本的な感染対策が有効です。
流行期間中は、発熱やせきなどの症状が出た場合、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
B型は山形系統とビクトリア系統の2種類が存在
インフルエンザB型ウイルスは、抗原性の違いにより「山形(Yamagata)系統」と「ビクトリア(Victoria)系統」の2つの系統に分類されます[3]。
どちらの系統が流行するかは年によって異なり、片方だけが流行する年もあれば、両系統が同時に流行する年もあります。しかし2020年3月以降は、山形系統は世界的に検出されていません。
パンデミックは起こりにくい
インフルエンザB型は、A型と異なり世界的な大流行(パンデミック)を起こすことはほとんどありません[2]。この理由は、ウイルスの抗原変異の仕組みに違いがあるためです。
インフルエンザウイルスは小さな変異を繰り返し、インフルエンザA型・B型ともに起こります。変異が起こることにより、インフルエンザA型は多くの種類に分けられますが、B型は多くありません [5]。
人に感染するインフルエンザA型ウイルスは、インフルエンザA(H1N1)とA(H3N2)です。A(H1N1)は、2009年にパンデミックを引き起こしたものです。その後、2009年以前に流行していた季節性インフルエンザA(H1N1)ウイルスに取って代わり、A(H1N1)pdm09とも表記されます。
2025年時点のところで、パンデミックを引き起こすインフルエンザウイルスはA型だけであるとされています。
インフルエンザB型でみられる症状
インフルエンザB型の症状は、A型と変わりはないとされています[3]。
<インフルエンザB型の症状>
- 38度以上の高熱
- 頭痛
- 筋肉痛
- 関節痛
- 全身倦怠感
上記の症状が急激にあらわれ、これらの全身症状に加えて、せきやのどの痛み、鼻水といった呼吸器症状も伴います。インフルエンザB型に限ったことではありませんが、子どもの場合は下痢や嘔吐などの消化器症状があらわれやすいともいわれています。
年齢や基礎疾患の有無、免疫状態によって症状のあらわれ方は異なるため、発熱の程度だけで判断せず、総合的な症状を医師に伝えることが大切です。
インフルエンザB型にも抗インフルエンザ薬は有効
インフルエンザB型に対しても、抗インフルエンザ薬(抗ウイルス薬)の服用は有効です[3]。抗インフルエンザ薬は、ウイルスの増殖を抑えることで症状の悪化を防ぎ、回復を早める効果があります。
また抗ウイルス薬だけでなく、発熱やせきなどの症状を和らげるための対症療法も併用します。十分な休養と水分補給も回復には欠かせません。
症状があらわれたら早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。ではそれぞれについて詳しく解説します。
発症後48時間以内に抗ウイルス薬を服用する
抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内に服用を開始することで効果が得られます。この時間内に治療を始めることで、発熱期間を約1~2日短縮できるといわれています[5]。
<抗インフルエンザ薬の主な種類>
| ノイラミニダーゼ阻害薬 | オセルタミビル(タミフル) |
| ザナミビル(リレンザ) | |
| ラニナミビル(イナビル) | |
| ペラミビル(ラピアクタ) | |
| キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 | バロキサビル(ゾフルーザ) |
48時間を過ぎてから服用した場合でも一定の効果は期待できますが、ウイルスが既に増殖してしまった後では期待するほど効果が得られない可能性も否定できません。そのため、インフルエンザが疑われる症状(急な発熱、頭痛、全身倦怠感など)があらわれたら、48時間以内に医療機関を受診し、検査や抗インフルエンザ薬の処方を相談することが重要です。
診断を受け、迅速検査でインフルエンザと確定診断された場合、年齢や症状の程度、基礎疾患の有無などを考慮して医師の判断で抗インフルエンザ薬が処方される場合があります。処方されたお薬は、医師の指示通りに最後まで服用しましょう。
発熱した場合は解熱剤で対症療法をおこなう
インフルエンザB型で発熱がある場合は、坐薬や内服薬などの解熱剤を使用して症状を和らげる対症療法をおこないます[5]。解熱剤としては、アセトアミノフェンの使用が推奨されています。
アセトアミノフェンは、子どもから成人まで幅広い年齢層で安全に使用できる解熱鎮痛剤です。
発熱以外の症状に対しても、医師の判断により適切な対症療法をおこないます。せきがひどい場合は鎮咳薬、のどの痛みがある場合はトローチやうがい薬、鼻水・鼻づまりには抗ヒスタミン薬や点鼻薬などが使用されます。
ただし、解熱剤や他の対症療法薬は、症状を一時的に和らげるものであり、ウイルスそのものを排除するわけではありません。また十分な休養と水分補給を心がけることが回復への近道です。
インフルエンザB型かもと思ったときの対処法
インフルエンザB型が疑われる症状があらわれたら、早めに医療機関を受診することが重要です[4]。発熱、頭痛、全身倦怠感などの症状があり、周囲でインフルエンザが流行している場合は、症状が軽くても受診を検討してください。
受診の際は、インフルエンザの疑いがあることを伝えましょう。マスクを着用して来院することで、他の患者さんへの感染拡大を防ぐことができます[4]。
症状が軽くても周りで流行している場合は受診を検討する
症状が比較的軽くても、周囲でインフルエンザが流行している場合は医療機関の受診を検討しましょう。軽症にみえても、インフルエンザウイルスに感染している可能性があり、適切な治療を受けることで重症化するリスクを抑えられる可能性があります。
特に以下のような状況では、早めの受診を検討するとよいでしょう。
- 家族や職場、学校でインフルエンザ患者が出ている
- 地域でインフルエンザの流行が報告されている
- 微熱程度でも全身倦怠感や筋肉痛がある
- 高齢者、乳幼児、妊婦、基礎疾患のある方
抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内に服用することで症状の悪化を防ぎ、回復を早める効果があります[5]。「もう少し様子をみよう」と受診を遅らせると、治療の効果が十分に得られない可能性があるため、注意が必要です。
また、早期に軽症でも受診することで、家族や周囲への感染拡大を防ぐための適切な対策も講じることができます。流行期には積極的に医療機関に相談することを検討しましょう。
受診する際はマスクを着用してインフルエンザの疑いがあることを伝える
インフルエンザが疑われる症状がある場合、医療機関を受診した際には、インフルエンザの可能性があることを伝えましょう。マスクを着用して受診をすることで、他の患者さんへの感染拡大を防ぐことができます[4]。マスク着用は「せきエチケット」の基本であり、飛沫による感染を防ぐ重要な対策です。マスクがない場合は、ティッシュやハンカチで口と鼻を覆い、せきやくしゃみをする際は周囲の人から顔を背けたり離れたりしましょう。
また、公共交通機関を利用する場合も、マスク着用を徹底し、可能であれば混雑する時間帯を避けることが推奨されます[4]。タクシーや自家用車での移動が可能であれば、そちらを選択することで感染拡大のリスクをさらに低減できます。
これらの配慮は、自分自身の治療だけでなく、社会全体の感染拡大防止にもつながるため重要です。
インフルエンザB型にかからないための予防法
インフルエンザB型の予防には、ワクチン接種と日常的な感染対策の両方が重要です。効果的な予防法は、大きく分けて5つあります[4]。
- 流行前にワクチン接種をする
- マスクの着用
- 外出後の手洗いやうがいをおこなう
- 適度な湿度を維持する
- 人混みや繁華街への外出を控える
これらの予防策を組み合わせることで、インフルエンザB型への感染リスクを大きく減らすことが可能です[3]。特に流行期には、日常生活の中でこれらの対策を意識的に実践しましょう。
流行前にワクチン接種をする
インフルエンザワクチンは、発病の可能性を減らし、重症化を予防する効果があります。日本では12月〜3月が流行シーズンのため、流行前の接種が重要です[3]。
ワクチンの効果として、65歳以上の高齢者福祉施設入所者では34〜55%の発病阻止効果と82%の死亡阻止効果が報告されています。6歳未満の小児では約60%の発病防止効果が確認されています。ただし、ワクチン接種でインフルエンザを完全に防ぐことはできません[3]。
接種回数は、13歳以上は原則1回、13歳未満は2回です。高齢者や基礎疾患のある患者、医療従事者などは特にワクチン接種が推奨されています。流行が始まる前の12月中旬頃までに接種を済ませましょう。
マスクの着用
マスクは、インフルエンザの飛沫感染を防ぐための有効な手段です。人混みに入る可能性がある場合は、不織布マスクの着用が推奨されます[4]。
インフルエンザウイルスは、感染者のくしゃみやせきの飛沫と一緒に放出され、それを口や鼻から吸い込むことで感染します。くしゃみやせきの飛沫は1〜2メートル飛ぶとされており、マスクはこの飛沫の吸入を防ぐ役割を果たします[4]。
マスクを正しく着用するポイントは以下のとおりです。
- 鼻と口の両方を確実に覆う
- 鼻の部分に隙間がないようにする
- あごの部分が出ないようにする
マスクの着用と手洗いをおこなうことにより、ウイルスの体内への侵入を減らすことが可能です。
外出後の手洗いやうがいをおこなう
手洗いは、インフルエンザの接触感染を防ぐ基本的かつ有効な方法です。帰宅時や食事前には必ず石けんで手を洗いましょう。
インフルエンザウイルスは、ドアノブやつり革など様々なものに付着しており、それに触れた手で口や鼻を触ることで感染します[3][4]。流水と石けんによる手洗いは、手指についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効です。また、インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指消毒も効果があります。
正しい手洗いの手順は以下のとおりです。
「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」
- 流水で手をぬらし、石けんをつけて手のひらをこする
- 手の甲をのばすようにこする
- 指先・爪の間を念入りにこする
- 指の間を洗う
- 親指と手のひらをねじり洗いする
- 手首も洗う
マスクの着用と手洗いをおこなうことにより、ウイルスの体内への接触や侵入を減らすことが可能です。外出後だけでなく、調理の前後や食事前などこまめに手を洗う習慣をつけましょう。
適度な湿度を維持する
室内の湿度を50〜60%に保つことで、インフルエンザの感染リスクを下げることが期待できます[4]。乾燥しやすい冬場は加湿器を利用しましょう。
空気が乾燥すると、のど(気道粘膜)の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります[5]。気道粘膜は本来、ウイルスの侵入を防ぐバリア機能を持っていますが、乾燥によってこの機能が弱まってしまいます。
加湿器がない場合は、濡れタオルを室内に干す、洗濯物を室内に干すなどの方法も有効です。
人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザの流行期には、人混みや繁華街への外出を控えることで感染リスクを減らせます。特に重症化リスクの高い方は注意が必要です。
インフルエンザは飛沫感染が主な感染経路であり、人が多く集まる学校や職場などでは感染のリスクが高まります[4]。感染者のくしゃみやせきで空中に吐き出された分泌物に混じったウイルスが、他の人の口や鼻から侵入することで感染が成立します。
以下に該当する方は、インフルエンザの流行期に外出をできるだけ控えましょう。
- 高齢者
- 幼児
- 妊娠中の女性
- 基礎疾患のある人(慢性呼吸器疾患、心疾患、糖尿病など)
- 体調の悪い人
- 睡眠不足の人
やむを得ず外出する場合は、不織布製マスクを着用することで飛沫感染をある程度防ぐことができます[5]。また、外出後は手洗いを徹底し、うがいをすることも重要です。
インフルエンザの予防内服薬を処方してもらう
インフルエンザの予防のために、ワクチン接種だけでなく抗インフルエンザ薬の予防内服を処方してもらうのも一つの手段です。予防内服とは、実際の治療に使われるお薬を、感染予防目的で服用することを指します。
<予防内服薬を処方してもらう方の例>
- 受験などどうしても感染できない事情がある方
- 乳幼児や高齢者と同居をしている方
- ご家族や会社の同僚など周囲の方がインフルエンザに感染した方
抗インフルエンザ薬を服用することで、インフルエンザの感染を予防することができる可能性があります。
※自由診療での処方となります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
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インフルエンザB型に関するよくある質問
インフルエンザB型について、多くの方が疑問に思う点をまとめました。症状の特徴や回復期間など、よくある質問にお答えします。
下痢や腹痛は必ず起こりますか?
インフルエンザB型で下痢や腹痛などの消化器症状が必ず起こるわけではありません。消化器症状は、インフルエンザB型に感染することの多い子どもにみられることがありますが、全員にあらわれる症状ではありません[1]。
下痢や嘔吐など、消化器症状の有無や程度には個人差があります。そのため、消化器症状の有無でB型かA型かを判断することもできません。
インフルエンザが疑われる症状がある場合は、消化器症状の有無にかかわらず、医療機関を受診して適切な診断を受けることが重要です。
インフルエンザB型は何日で治りますか?
インフルエンザB型は、適切な治療を受けた場合、通常1週間以内で主な症状が改善します[2]。ただし、完全に回復するまでの期間は個人差があり、年齢や基礎疾患の有無によっても異なります。
症状の経過は以下のようなパターンが一般的です。
- 発症後1~3日:発熱や全身症状がピークに達する
- 4~5日目:発熱が徐々に下がり始める
- 5~7日目:発熱が治まり、主な症状が改善する
- 1~2週間:人によってはせきや倦怠感が残ることがある
抗インフルエンザ薬を発症後48時間以内に服用した場合、発熱期間を約1~2日短縮できることが報告されています[5]。早期治療により、症状の重症化を防ぎ、回復を早めることが可能です。
症状が改善しても、発症後3~7日間はウイルスを排出し続ける可能性があるため、他者への感染に注意が必要です[3]。学校保健安全法では、「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで」を出席停止期間としています[6]。
高齢者や基礎疾患がある方、乳幼児では回復に時間がかかる場合や、合併症のリスクがあるため、症状が長引く場合は医療機関に相談しましょう。
まとめ
インフルエンザB型は、主に人に感染するインフルエンザウイルスの一種で、インフルエンザA型と同様に冬から春にかけて流行します。症状の重症度にも大きな差はなく、発熱、頭痛、全身倦怠感などの全身症状が中心です。
治療の基本は抗インフルエンザ薬の服用です。発症後48時間以内に服用を開始することで、発熱期間を約1~2日短縮し、症状の重症化を防ぐことが期待できます。症状があらわれたら早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。
予防には、流行前のワクチン接種、石けんによる手洗い、マスク着用、十分な休養とバランスの取れた食事が有効です。これらの対策を組み合わせることで、感染リスクを大きく減らすことができます。
インフルエンザB型について正しい知識を持ち、適切な予防と早期治療を心がけましょう。
