2025-2026年インフルエンザピークの予測
2025-2026年シーズンのインフルエンザは、例年と比較して流行の立ち上がりが非常に早い傾向にあります。
すでに多くの地域で患者数が急増しており、早めの対策が求められている状況です。
流行のピーク時期を予測し、適切な準備を進めることで、感染リスクを軽減できる可能性があります。
2025-2026年シーズンの流行傾向
2025-2026年シーズンは、過去10年間と比較しても大規模の流行になる可能性が指摘されています。
東京都では2025年10月2日に「インフルエンザの流行シーズンに入った」と発表され、2003/04シーズン以来の早さで流行が始まりました[2]。
2025年12月時点の患者数は昨年同期の約22倍に達しており、全国的に警報レベルを超える地域が急増しています[4]。
流行の早期化は、新型コロナウイルス対策の緩和によりインフルエンザに感染する機会が増えたことや、免疫を持たない方の増加、海外からのウイルス持ち込み増加などが要因として考えられるでしょう。
「まだ冬本番ではないから大丈夫」と油断せず、早めの予防対策を心がけることが大切です。
今シーズンのピーク時期の見通し
例年であれば流行ピークは1月末から3月上旬ですが、今シーズンは流行開始が早かったため、12月下旬〜1月にかけて前倒しになる可能性があります。
すでに12月時点で高水準の患者数が報告されており、今後さらに増加することが懸念されます。
ただし、流行のピーク時期は気象条件やウイルスの変異、ワクチン接種率などの要因によって変動するため、正確な予測は困難です。
最新の流行情報を定期的に確認し、状況に応じて柔軟に対策を講じることをおすすめします。
今シーズンは流行規模が大きいため、医療機関の混雑も予想されます。年末年始の人の移動が活発になる時期と流行する時期は重なるため、感染拡大にはとくに注意が必要でしょう。
流行しているウイルスの型と特徴
現在、国内で流行しているインフルエンザウイルスは主にA型H3N2亜型(A香港型)です。
今シーズンの特徴として、A香港型から派生した新変異株「サブクレードK」(J.2.4.1系統)が主流となっています[3]。
東京都の検査データによると、2025-2026年シーズンに検出されたウイルス154件のうち、A香港型が138件(約90%)を占めています[2]。
厚生労働省の発表によると、サブクレードKは感染が拡大するスピードが従来のウイルスより早いものの、症状や重症度は従来の季節性インフルエンザと大きく変わらないと想定されています[3]。
典型的な症状としては、38℃以上の高熱、鼻水・鼻づまり、せき、のどの痛みなどです[1]。
インフルエンザの流行状況とは
インフルエンザは毎年冬になると日本各地で流行し、多くの方が感染する季節性の感染症です。
流行の規模や時期は年によって異なり、地域差も見られるのが特徴といえます。
感染拡大を防ぐためには、流行状況を正しく把握し、適切なタイミングで予防対策を講じることが重要です。
インフルエンザの流行とは何を指すのか
インフルエンザの流行とは、一定期間内にインフルエンザ患者が急増し、地域社会全体に感染が広がっている状態を指します。
季節性インフルエンザは、いったん流行が始まると短期間で多くの方に感染が拡大する特徴があります[1]。
この期間中に感染者数が大幅に増加するのが一般的です。
流行の開始時期や規模は、その年の気候条件やウイルスの型、人々の免疫状態などによって左右されるでしょう。
「いつもより風邪をひいている人が多い」と感じたら、すでに流行が始まっているサインかもしれません。
周囲の感染状況に注意を払い、早めの対策を心がけることで重症化リスクを軽減できる可能性があります。
流行状況を把握するための指標(定点当たり報告数)
インフルエンザの流行状況は「定点当たり報告数」という指標で把握されています。
全国約5,000か所の医療機関(定点医療機関)から毎週報告されるインフルエンザ患者数を集計し、1医療機関あたりの平均患者数として算出したものが定点当たり報告数です[4]。
この数値が1.0を超えると「流行シーズン入り」とされ、注意が必要な状態になります。
2025年12月第48週(11月24日〜30日)の全国定点当たり報告数は44.99と、警報レベル(30)を大きく上回る水準で推移しています[4]。
定点当たり報告数は厚生労働省や国立健康危機管理研究機構のウェブサイトで毎週公表されており、誰でも確認することが可能です。
流行状況を定期的にチェックすることで、適切なタイミングで予防対策を強化できるでしょう。
注意報・警報の基準と意味
インフルエンザの流行が拡大すると、「注意報」や「警報」が発令されます。
定点当たり報告数が10を超えると「注意報レベル」、30を超えると「警報レベル」とされ、よりいっそうの感染対策が求められます[5]。
注意報レベルでは今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があり、警報レベルでは大きな流行が発生または継続していることを示しています[5]。
東京都では2025年10月30日に注意報基準を超え、同年11月13日には警報基準を超えたことが報道発表されました[2]。
全国的にも感染が急拡大しており、例年にない規模の流行となっています[4]。
感染が急拡大している状況を踏まえ、基本的な感染対策を徹底することが求められます。
過去のインフルエンザ流行状況
インフルエンザの流行パターンは年によって大きく異なります。
過去の流行状況を振り返ることで、今シーズンの流行予測や対策に役立てることが可能です。
新型コロナウイルスの流行以降、インフルエンザの発生動向にも変化が見られています。
過去5年間の流行パターン
過去5年間のインフルエンザ流行状況を見ると、年によって大きな違いがあることがわかります。
2019年以降の流行状況については、以下の表のとおりです。
| シーズン | 流行状況 |
| 2019-2020年 | 例年通りの流行 |
| 2020-2021年 | 新型コロナ対策の影響でほぼ流行なし |
| 2021-2022年 | 新型コロナ対策の影響でほぼ流行なし |
| 2022-2023年 | 流行が再開 |
| 2023-2024年 | 比較的大きな流行 |
| 2024-2025年 | 1999年以降最大の流行ワクチン使用量は2010-2011年シーズン以降最少[6] |
| 2025-2026年 | 流行開始が過去20年で最も早い集団発生件数は前年比約1.9倍[2] |
2020〜2022年は新型コロナウイルスの影響でインフルエンザに感染する機会が少なかったため、とくに小児を中心に免疫を持たない方が増加したといわれています。
その影響もあり、2022-2023年シーズン以降は大規模な流行が続いています。
過去の流行パターンを参考にしつつも、毎年状況が異なることを念頭に置いて対策を進めることが重要です。
流行の年ごとの違いと要因
インフルエンザの流行規模や時期が年によって異なる背景には、複数の要因が関係しています。
流行するウイルスの型や亜型の違い、ワクチンとの適合度、気象条件(気温・湿度)、人々の免疫状態などが流行の規模に影響を与えます。
とくにウイルスの抗原性が大きく変化した年は、過去の感染やワクチン接種による免疫が効きにくくなり、大規模な流行につながることがあるでしょう。
2025-2026年シーズンは、ワクチン株(J2系統)と流行株(サブクレードK)との間に、一定の抗原性の違いがあることが指摘されています[3][6]。
また、学校の長期休暇のタイミングや、社会的なイベントの有無なども流行拡大に影響する要因です。
これらの要因が複雑に絡み合うため、流行の正確な予測は難しいのが現状といえます。
新型コロナウイルス流行後の変化
新型コロナウイルスの世界的流行以降、インフルエンザの発生動向にも大きな変化が見られました。
2020年から2022年にかけては[1]、マスク着用や手洗いの徹底、外出自粛などの感染対策が広く実施された結果、インフルエンザの流行がほぼ抑えられました。
一方で、この期間にインフルエンザに感染する機会が減少したことで、小児を中心に免疫を持たない方が増加した可能性が指摘されています。
2022-2023年シーズン以降はインフルエンザの流行が再開し、2024-2025年シーズンは1999年以降の報告体制で最大の流行となりました[6]。
免疫を持たない方が増えたことが、流行の早期化や拡大の一因となっているでしょう。
今後数年間は大規模な流行が続く可能性があるため、継続的な予防対策が求められます。
地域別のインフルエンザ流行状況
インフルエンザの流行状況は地域によって異なります。とくに都市部では人口密度が高く、感染が拡大しやすい傾向があります。
お住まいの地域の状況を把握し、適切な対策を講じることが大切です。
全国の流行状況
2025年11月28日発表(第47週:11月17日〜23日)時点では、39都道府県が警報レベル(定点当たり30以上)を超えており、全国的に大きな流行が発生しています[4]。
とくに報告数が高いのは東北・関東地方です。四国・沖縄地方では比較的低い傾向にあります[4]。
厚生労働省のウェブサイトでは毎週金曜日に都道府県別の報告数が公開されており、最新の流行状況を確認できます。
東京都の流行状況
東京都は人口が多く、通勤・通学による人の移動が活発なため、インフルエンザが流行しやすい地域です。
2025-2026年シーズンの集団発生件数(2025年9月1日〜11月30日・第48週まで)は、保育所で1,413件、小学校で1,851件、中学校で653件と、とくに教育施設での感染拡大が顕著です[2]。
臨時休業(学級閉鎖等)の累計は2,860件に達し、前シーズン(2024-25年)累計の1,537件を大幅に上回るペースで推移しています[2]。
東京都感染症情報センターのウェブサイトでは、都内の詳細なデータが公開されています。
流行ピーク前に備えるべきこと
インフルエンザの流行ピークを迎える前に、しっかりと準備を整えておくことが大切です。
家庭での備えを万全にし、感染した場合の対応を事前に確認しておくことで、いざというときに慌てずに対処できます。
職場や学校でも、感染拡大を防ぐための対策を講じることが求められます。
家庭で準備しておきたいもの
インフルエンザに感染した場合に備えて、体温計、マスク、消毒用アルコール、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)、経口補水液やスポーツドリンクなどを準備しておくと安心です。
高熱が続くと脱水症状を起こしやすくなるため、水分補給ができる飲料を多めにストックしておきましょう。
また、消化の良い食品(おかゆ、うどん、ゼリーなど)も用意しておくと、食欲が低下した際に役立ちます。
子どものいる家庭では、小児用の解熱剤や体温計を別途準備しておくことをおすすめします。
今シーズンは医療機関の混雑が予想されるため、オンライン診療の登録も検討してみてください。
不安な場合はインフルエンザの予防内服という選択肢
予防接種に加えて、抗インフルエンザ薬を発症前に服用する「予防内服」という方法があります。
予防内服とは、治療にも使われる抗インフルエンザ薬を事前に服用し、発症リスクを下げる目的でおこなうものです。
一人暮らしの方でも、次のような状況では検討されることがあります。
- 身近な人(職場・学校など)でインフルエンザの感染者が出たとき
- 受験や仕事など、絶対に体調を崩したくない予定があるとき
- 基礎疾患があるなど、重症化リスクが高く感染を避けたい場合
ただし、予防内服は保険適用外の自由診療となり、服用しても100%発症を防げるわけではありません。「一人暮らしで倒れたら困る」という不安がある場合の、一つの選択肢として知っておくと良いでしょう。
予防内服薬として処方できるお薬は以下のとおりです。
- オセルタミビル(タミフル後発品)1日1回 10日分:8,250円
- イナビル(先発品)2容器で1回分:10,450円
- ゾフルーザ(先発品)2錠で1回分 ※ 80kg 未満の方向け:11,550円
- ゾフルーザ(先発品)4錠で1回分 ※ 80kg 以上の方向け:19,250円
予防内服を希望される場合は、医師に相談のうえ、ご自身の状況に合った対応を確認しましょう。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
感染した場合の対応と外出自粛期間
インフルエンザに感染した場合は、安静にして十分な休養を取ることが基本です。
発症から48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬を服用すると、発熱期間が1〜2日短縮される効果が期待できます[1]。
外出については、発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまでは控えることが推奨されています[1]。
この期間は鼻やのどからウイルスを排出しており、周囲の方に感染を広げる可能性があるためです。
症状が改善しても、せきやくしゃみが続く場合はマスクを着用し、周囲への配慮を続けてください。
発熱後2日間はとくに異常行動に注意が必要なため、一人にしないよう見守りを続けましょう[7]。
職場・学校での対策
職場や学校においても、インフルエンザの感染拡大を防ぐための対策が重要です。
体調不良を感じたら無理をせず休むこと、せきエチケットを徹底すること、共用スペースの定期的な消毒などが基本的な対策となります。
学校では、学級閉鎖や学年閉鎖の基準が設けられており、一定数の欠席者が出た場合に臨時休業が実施されます。
職場では、テレワークの活用や時差出勤、会議のオンライン化など、感染拡大を防ぐための柔軟な対応を検討してください。
インフルエンザに感染した従業員が復帰する際、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは推奨されていません[1]。
今シーズンは大流行が発生しているため、事業継続計画(BCP)の確認も検討しておきましょう。
インフルエンザワクチン接種と重症化予防
インフルエンザの予防において、ワクチン接種は最も効果的な方法の一つです。
ワクチンには発症を予防する効果だけでなく、感染した場合の重症化を防ぐ効果も期待できます。
とくに重症化リスクの高い方にとって、ワクチン接種は重要な感染対策といえます。
ワクチン接種による予防効果
インフルエンザワクチンには、感染後の発症を一定程度抑える効果と、発症した場合の重症化を防ぐ効果が期待できます[1]。
ワクチンを接種しても感染を完全に防ぐことはできませんが、発症リスクの低減と重症化予防において有効性が報告されている点は理解しておきましょう。
とくに高齢者施設に入所している高齢者では、発病を約34〜55%阻止し、死亡を約82%阻止する効果があったとされています[8]。
また、2024-2025年シーズンでは、日本の小児で57〜73%の発症予防効果が報告されています[6]。
毎年流行するウイルスの型が変わる可能性があるため、シーズンごとにワクチン接種を受けることが大切です。
ワクチンの効果は接種後約2週間で現れ始め、約5か月間持続するとされているため、適切なタイミングで接種するとよいでしょう。
2025-2026年シーズンのワクチンの特徴
2025-2026年シーズンのインフルエンザワクチンは、これまでの4価から3価に変更されました。
ワクチンに含まれる株は、A(H1N1)pdm09、A(H3N2)、B型ビクトリア系統の3種類です[6]。
B型山形系統は2020年春以降、世界的に自然感染例が確認されなくなったため、WHOの推奨に基づき除外されました。
今シーズンの供給量は約5,293万回分と、近年の平均使用量を超える供給量が見込まれています[9]。
流行株との抗原性のずれが指摘されていますが、ワクチンによる重症化予防効果は一定程度期待できます[3][6]。
日本感染症学会も「変異株が出現しているが、2025/26シーズンにおいてもインフルエンザワクチンの接種を強く推奨する」としています[6]。
ワクチン接種のベストタイミング
インフルエンザワクチンは、流行シーズンが始まる前に接種することが理想的です。
日本では例年12月から3月にかけて流行するため、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとされています[1]。
ワクチンの効果が現れるまでに約2週間かかることを考慮すると、10月〜11月中の接種が効果的なタイミングといえるでしょう。
2025-2026年シーズンはすでに大流行が発生していますが、流行が始まってからでもワクチン接種には効果が期待できます。
まだワクチンを接種していない方は、できるだけ早めに医療機関に相談することをおすすめします。
流行は通常3〜4か月続くため、今からでも残りの期間の予防に役立つでしょう。
重症化しやすい方とワクチンの重要性
インフルエンザに感染した場合に重症化しやすいのは、免疫機能が低下している方や基礎疾患のある方です。
65歳以上の高齢者、5歳未満の乳幼児、妊婦、慢性呼吸器疾患・心疾患・糖尿病・腎臓病などの基礎疾患のある方は、重症化リスクが高いとされています[1][7]。
また、免疫機能を抑制する治療を受けている方や、著しく肥満の方もリスクが高くなるでしょう。
これらの方は、インフルエンザに感染した場合に肺炎や脳症などの重篤な合併症を起こす可能性があります。
該当する方は、ワクチン接種や日常的な感染対策を徹底することが重要です。
早期受診が必要なケース
インフルエンザの症状が重い場合や、特定の危険な症状が見られた場合は、早期に医療機関を受診することが大切です。
小児の場合、けいれん、異常行動(急に走り出す、意味不明な発言をするなど)、呼吸が速い・苦しそう、顔色が悪いなどの症状が見られたら、直ちに受診が必要です[1]。
成人の場合は、呼吸困難、胸の痛み、3日以上続く高熱、症状が一度改善した後に再び悪化した場合などが早期受診の目安となるでしょう。
高齢者や基礎疾患のある方は、症状が軽くても早めに医療機関に相談することをおすすめします。
ぐったりして水分が取れない場合や、意識がもうろうとしている場合は、直ちに救急受診が必要です。
「いつもの風邪と違う」と感じたら、無理をせず医療機関を受診しましょう。
インフルエンザの感染対策
インフルエンザの感染を防ぐためには、日常生活の中でできる基本的な対策を継続することが重要です。
ワクチン接種に加えて、手洗いやせきエチケット、室内環境の整備などを組み合わせることで、感染リスクを効果的に減らすことができます。
感染対策は自分自身を守るだけでなく、周囲の方への感染拡大を防ぐことにもつながります。
手洗い・せきエチケットの重要性
手洗いは、インフルエンザをはじめとする感染症予防の基本です。
流水と石けんによる手洗いは、手指に付着したインフルエンザウイルスを物理的に除去する効果があり、アルコール消毒も有効とされています[1][10]。
推奨される手洗いのタイミングについては以下のとおりです。
- 外出先から帰宅したとき
- 食事の前
- トイレの後
- 調理や食品を扱う前後
上記のタイミングで、30秒以上かけて丁寧に洗うことを習慣にしましょう。
また、せきエチケットを心がけましょう。せきエチケットとは、せきやくしゃみをする際に周囲への飛沫感染を防ぐ行動です[1][10]。
せきエチケットのポイントは、次の3つです。
- マスク、ティッシュ、ハンカチ、袖などで口と鼻を覆う
- 使用したティッシュはすぐにゴミ箱へ捨てる
- せきやくしゃみの症状があるときは不織布製マスクを着用する
今シーズンは感染規模が大きいため、基本的な感染対策をあらためて徹底することが大切です。
マスク着用が効果的な場面
マスクの着用は、特定の場面において感染予防効果が期待できます。
医療機関を受診する際や、高齢者施設を訪問する際には、マスクの着用が推奨されています[4]。
インフルエンザの流行期に、重症化リスクの高い方が混雑した場所に行く際も、マスクの着用が感染予防に効果的でしょう。
せきやくしゃみなどの症状がある方は、他の方へうつさないためにマスクを着用することがマナーといえます。
マスクは鼻から顎までしっかり覆い、隙間ができないように正しく装着することが大切です。
とくに人混みや交通機関、学校・職場では着用が効果的とされています[10]。
室内環境の整え方(湿度・換気)
室内環境を整えることも、インフルエンザの感染予防に効果が期待できます。
空気が乾燥すると、のどや鼻の粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザに感染しやすくなります[1]。
加湿器などを使って室内の湿度を50〜`に保つことで、粘膜の乾燥を防ぎ、ウイルスの感染力を低下させる効果が期待できるでしょう[10]。
また、定期的な換気を行うことで、室内に漂うウイルスを屋外に排出することができます。
冬場は寒さのために換気を怠りがちですが、1〜2時間に1回程度、窓を開けて空気を入れ替えることを心がけましょう。
エアコン使用時は空気が乾燥しやすいため、加湿器の併用とこまめな水分補給がおすすめです。
インフルエンザの予防内服について
インフルエンザの予防には、ワクチン接種のほかに「予防内服」という方法もあります。
予防内服とは、治療に使われる抗インフルエンザ薬を感染前に服用し、発症リスクを下げる方法です。
予防内服が検討される場面は、以下のとおりです。
- 家族や職場でインフルエンザ感染者が出たとき
- 受験や重要な仕事など、体調を崩せない予定が控えているとき
- 高齢者や基礎疾患のある方など、重症化リスクの高い方が感染者と接触したとき
ただし、予防内服は保険適用外となるため、全額自費での処方となる点にご注意ください。
また、服用しても発症を100%防げるわけではありません。
予防内服薬として処方できるお薬は以下のとおりです。
- オセルタミビル(タミフル後発品)1日1回 10日分:8,250円
- イナビル(先発品)2容器で1回分:10,450円
- ゾフルーザ(先発品)2錠で1回分 ※ 80kg 未満の方向け:11,550円
- ゾフルーザ(先発品)4錠で1回分 ※ 80kg 以上の方向け:19,250円
予防内服を希望される場合は、医師に相談のうえ、ご自身の状況に合った対応を確認しましょう。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
インフルエンザの流行やピークについてよくある質問
インフルエンザがピークを迎える時期や流行について、多くの方が抱く疑問にお答えします。
Q1. インフルエンザのピークは何月ですか?
例年のピークは1月末から3月上旬ですが、2025-2026年シーズンは流行開始が早かったため、ピーク時期も前倒しになる可能性があります。
最新の流行情報を定期的に確認し、状況に応じた対策を心がけてください。
Q2. インフルエンザワクチンは流行後に接種しても効果がありますか?
流行が始まってからでも、ワクチン接種には効果が期待できます。
ワクチンの効果は接種後約2週間で現れ始めるため、流行期間中であっても未接種の方は接種を検討してください。
今シーズンは、ワクチン株と流行株にずれがありますが、重症化予防効果は一定程度維持されています[3][6]。
Q3. インフルエンザと風邪の見分け方はありますか?
インフルエンザと普通の風邪は、症状だけで見分けることはできません。
しかし、それぞれの症状の特徴を理解しておくと安心です。 普通の風邪は、のどの痛み、鼻水、くしゃみ、せきなどの症状が中心で、発熱があっても比較的軽度です[1]。
インフルエンザは38℃以上の高熱、頭痛、全身倦怠感などの全身症状が急激にあらわれるのが特徴です[1]。
Q4. インフルエンザに感染したら何日休む必要がありますか?
学校保健安全法では、インフルエンザによる出席停止期間が定められています[1]。
具体的には「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで」です。
職場での休業期間については法的な定めはありませんが、学校の基準を参考に判断することが一般的です。
症状が改善しても無理をせず、十分に回復してから復帰するようにしましょう。
まとめ
インフルエンザの流行ピークは、例年1月末から3月上旬にかけて訪れます[1]。
しかし2025-2026年シーズンは例年より約1〜2か月早く流行が始まり、12月時点で39都道府県が警報レベルを超える異例の状況となりました[2][4]。
インフルエンザのピークについて、今シーズンのポイントは以下のとおりです。
- 流行ピーク:例年より早く、12月から本格化
- 主流株:新変異株「サブクレードK」(症状・重症度は従来と同程度)[3]
- ワクチン:流行中でも発症予防・重症化防止に有効[6][8]
ピークを迎えているときこそ、手洗い・せきエチケット・適切な湿度管理といった基本的な感染対策の徹底が大切です[10]。
高齢者・乳幼児・妊婦・基礎疾患のある方は重症化リスクが高いため、体調に変化を感じたら早めに医療機関へご相談ください[1]。
