赤ちゃんのインフルエンザ予防接種は生後6か月から受けられる
初めての冬を迎える赤ちゃんを前に、予防接種を受けさせるべきか悩んでいる方は多いでしょう。
ここでは、接種できる月齢と制度上の扱い、まだ受けられない赤ちゃんへの対応について詳しく解説します。
生後6か月未満は接種の対象になっていない
生後6か月未満の赤ちゃんは、インフルエンザの予防接種を受けられません。
免疫の仕組みが十分に育っておらず、ワクチンによる反応が得られにくいからです。
生後6か月を迎えるタイミングを確認したうえで、かかりつけの医師に相談してみてください。
赤ちゃんの接種は定期接種ではなく任意接種にあたる
現在国内で用いられているインフルエンザワクチンは、定期接種にあたる四種混合やヒブワクチンのように、自治体から予診票が一律に届く形ではありません。
受けるかどうかの判断も、医療機関の予約も保護者が自分で進める必要があります。
母子健康手帳のスケジュール表に載っていないことで、受けなくてよいものだと受け取ってしまう方もいるようです。
任意という言葉は不要という意味ではないため、効果と必要性を知ったうえで判断していくのが良いでしょう。
まだ接種できない赤ちゃんを守る方法
生後6か月未満の赤ちゃんは、周囲の大人が感染を持ち込まないようにすることで守りましょう。
厚生労働省も、乳幼児を守るためには、ワクチン接種に加えて家族や周囲の大人が手洗いや咳エチケットを徹底することが重要だとしています[1]。
流行時期に人が多く集まる場所を避け、ウイルスに触れる機会をできるだけ減らす工夫もあります[1]。
きょうだいが保育園や幼稚園に通っている家庭では、上の子が家庭内に持ち込む経路が最も多いです。
両親や同居する祖父母、上の子が接種を済ませておくことが、赤ちゃんを守る現実的な手立てになります。
赤ちゃんのインフルエンザ予防接種で期待できる効果
乳幼児を対象とした研究では、発病を防ぐ効果が数値として報告されています[1]。
ここでは、報告されている効果の中身と、赤ちゃん特有のリスクについて詳しく解説します。
乳幼児の発病防止効果は概ね20〜60%と報告されている
乳幼児のインフルエンザワクチンには、発病を防ぐ効果が報告されています。
厚生労働省によると、乳幼児の有効性に関しては報告によって多少幅があるものの、概ね20〜60%の発病防止効果がありました[1]。
6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対する有効率は60%でした[1]。
有効率とは、接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準として、接種した人のリスクがどれだけ相対的に減ったかを示す指標です[1]。
数値に幅があるのは、対象となった年齢やシーズンの流行状況が研究ごとに異なるためです。
完全に防げるわけではないものの、発病する可能性を下げられる手段のひとつと捉えておきましょう。
重症化を防ぐ効果も示唆されている
赤ちゃんへの接種には、重症化を防ぐという側面もあります。
高熱が出た赤ちゃんが入院に至ることは、保護者にとって最も避けたいです。
かかるかどうかだけを基準にすると効果が小さく見えますが、かかったあとの経過を左右する点に接種の意味があります。
赤ちゃんは急性脳症などの合併症に注意が必要
厚生労働省は、子どもではまれに急性脳症を伴うなど、重症になることがあると示しています[1]。
インフルエンザは38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさが比較的急速に現れるのが特徴で、赤ちゃんは体調の変化を言葉で伝えられません[1]。
発熱に加えて、けいれんや呼びかけへの反応が鈍いといった様子が見られた場合は、早めの受診が求められます。
赤ちゃんのインフルエンザ予防接種の回数と接種量
厚生労働省は、年齢ごとの接種量と回数を具体的に定めています[1]。
ここでは、接種量と回数、間隔、予約の組み立て方について詳しく解説します。
3歳未満は1回0.25mLを2回接種する
生後6か月以上3歳未満の赤ちゃんは、1回0.25mLを2回接種します[1]。
1回接種後よりも2回接種後のほうが高い抗体価の上昇が得られることから、日本では13歳未満を2回接種としています[1]。
抗体価とは、ワクチン接種などによって体内でつくられた抗体の量を示す値のことです。
3歳以上13歳未満になると1回0.5mLとなり、量が変わる点も知っておくと安心です[1]。
2回の間隔は4週間おくことが望ましい
インフルエンザHAワクチンの接種上の注意では、2回接種を行う場合の接種間隔は免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましいと記載されています[2]。
一般には2〜4週間の範囲で案内されることが多く、医療機関の方針によって日程が決まります。
1回目を10月中旬に受けた場合、2回目は11月中旬頃が目安になる計算です。
間隔が空きすぎたからといって最初からやり直す必要はありませんが、判断に迷う場合は医師に確認しておきましょう。
1回目の会計の際に2回目の予約まで取っておくと、忘れずに済みます。
2回目まで終える時期から逆算して予約する
日本では例年12月から3月頃にインフルエンザが流行し、1月末から3月上旬にピークを迎えるため、12月中旬までに接種を終えることが望ましいです[1]。
赤ちゃんは4週間の間隔をあけて2回受けるため、1回目は11月上旬までに済ませておく必要があります。
10月中に1回目を受けておけば、余裕をもって12月上旬に2回目を終えられます。
11月後半から12月にかけては予約が集中し、希望する日時が取りにくくなる傾向もあります。
秋のうちにかかりつけの医療機関へ問い合わせておくと、あわてずに進められるでしょう。
赤ちゃんの接種前に保護者が確認したい3つのこと
他の予防接種の予定と重なっていたり、卵アレルギーが気がかりだったりする方もいるでしょう。
ここでは、保護者が確認しておきたい3つのポイントについて詳しく解説します。
他のワクチンとの接種間隔と同時接種の考え方
2020年10月から、注射生ワクチンどうしでなければ、前の接種からの間隔にかかわらず接種を受けられるようになりました[3]。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンに分類されるため、この制限の対象外です[3]。
同じ日に2種類を接種することも、翌日以降に分けて接種することも可能です[3]。
0歳は定期接種の予定が立て込む時期にあたり、同時接種を提案されることも少なくありません。
スケジュールが重なった場合は、母子健康手帳を持参して医師に相談してみてください。
卵アレルギーがある場合の相談の仕方
卵アレルギーがある赤ちゃんは、接種前に医師への相談が必要です。
厚生労働省は、本剤の成分または鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものにアレルギーを呈するおそれのある方について、接種にあたって注意が必要としています[1]。
インフルエンザワクチンは発育鶏卵を用いて製造されるため、こうした注意が示されています[1]。
相談の際は、これまでに出た症状の内容と程度、卵を食べた経験の有無を具体的に伝えると判断がスムーズです。
離乳食で卵をまだ試していない時期の赤ちゃんもいるため、その旨も合わせて共有しておきましょう。
接種を受けられるかどうかは医師が個別に判断するため、自分の判断で見送らずに一度相談してみることをおすすめします。
接種後に起こりうる副反応と経過の目安
比較的多く見られる副反応は接種した場所の赤み、はれ、痛みで、接種を受けた方の10〜20%に起こりますが、通常2〜3日で消失します[1]。
全身の反応としては発熱、頭痛、寒気、だるさなどが5〜10%に起こり、こちらも通常2〜3日で消えます[1]。
赤ちゃんは不機嫌になったり、いつもより長く泣いたりする形で現れることもあるでしょう。
まれにショックやアナフィラキシー様症状が見られることもあるため、接種後30分間は医療機関内で安静にしてください[1]。
帰宅後に異常が認められた場合は、速やかに医師へ連絡しましょう。
赤ちゃんのインフルエンザ予防接種にかかる費用と助成
2回受けることを踏まえると、家計への影響も小さくありません。
一方で、子ども向けの助成制度を設けている自治体もあり、条件を確認する価値があります[1]。
ここでは、費用の考え方と助成の調べ方について詳しく解説します。
任意接種のため全額自己負担が基本になる
費用は医療機関によって異なり、公定価格が定められていないことから施設ごとに差が生じます[1]。
赤ちゃんは2回接種のため、1回分の金額を2倍にした額が必要になる点も見込んでおきましょう。
きょうだいがいる家庭では人数分がまとまった出費になり、負担を感じる場面もあります。
予約の前に医療機関へ金額を確かめておくと、当日の会計であわてずに済みます。
自治体の助成制度を接種前に確認する
定期接種の対象でない方であっても、市区町村によっては独自の助成事業を行っている場合があると厚生労働省も案内しています[1]。
東京都練馬区では、2026年度(令和8年度)は生後6か月から高校3年生相当までを対象に、2026年10月1日から2027年1月31日までの期間で費用の一部助成が実施されています[4]。
助成を受けるには区から送られた予診票が必要で、予診票を持たずに接種した場合や対象期間外の接種は助成の対象外となる運用が取られています[4]。
対象年齢や期間は年度ごとに見直されることがあるため、前年度の情報をもとに判断せず、その年度の案内を確かめることが大切です。
お住まいの市区町村の公式サイトや保健センターへ問い合わせておくと、負担を抑えたうえで接種に進めるでしょう。
赤ちゃんのインフルエンザ予防接種に関するよくある質問
赤ちゃんの接種について寄せられることの多い疑問にお答えします。
Q:赤ちゃんは何か月から予防接種を受けられますか?
A:生後6か月から受けられます。
それより下の月齢は対象に含まれておらず、家族や周囲の大人が感染を持ち込まないよう対策することで守ります。
Q:0歳で受けても効果はありますか?
A:乳幼児でも、発病防止効果は概ね20〜60%と報告されています[1]。
この数値は0歳児に限定したものではないですが、効果の面から接種を検討する価値はあるでしょう。
Q:卵アレルギーがあっても受けられますか?
A:これまでの症状の程度をもとに医師が個別に判断します。
自分の判断で見送らず、症状を具体的に伝えて相談してみてください。
Q:他の予防接種と同時に受けられますか?
A:不活化ワクチンにあたるため、他のワクチンとの接種間隔に制限はありません。
0歳は定期接種の予定が重なりやすいため、母子健康手帳を持参して医師に相談すると調整しやすいです。
まとめ
インフルエンザの予防接種は生後6か月から受けられ、それより下の月齢は接種の対象になっていません[1]。
任意接種にあたるため、受けるかどうかを保護者が判断します。
生後6か月以上3歳未満の赤ちゃんは1回0.25mLを2回接種し、間隔は4週間おくことが望ましいです[1][2]。
乳幼児の発病防止効果は概ね20〜60%と報告されており、重症化予防に関する有効性を示す報告も見られます[1]。
12月中旬までに2回目を終えるには、10月から11月上旬までに1回目を受けておく計画が現実的です[1]。
卵アレルギーや他の予防接種との調整が気になる場合は、母子健康手帳を持参して医師に相談してみてください[1][3]。
まだ接種できない月齢の赤ちゃんは、家族が接種と手洗いを徹底することで守れますので、できるところから備えていきましょう[1]。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
予防接種に関しては医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断により接種できない場合があります。

