高血圧の原因とは?注意すべき生活習慣を知って対策しよう!

高血圧とは、正常よりも血圧が高い状態のことを言います。繰り返し測定し、最高血圧(上)が140mmHg以上、または最低血圧(下)が90mmHg以上であれば、高血圧と定義されています。

実は、日本人の3人に1人は高血圧と言われており、50代男性の約50%、60代女性の約50%は高血圧だというデータも。年齢とともに高血圧は増えるので、原因を知り、対策に取り組むことが大事です。この記事では、高血圧の原因について詳しく解説します。

高血圧の原因ごとの種類

高血圧は、原因によって本態性高血圧と二次性高血圧に分けることができます。

本態性高血圧:原因がはっきりわからない高血圧

原因がはっきりわからない高血圧を、本態性高血圧と呼びます。考えられる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 体質
  • 肥満
  • 塩分の摂り過ぎ
  • 過度の飲酒
  • 運動不足
  • ストレス
  • 喫煙
  • 加齢

など

なお、日本人で高血圧の人の約90%は本態性高血圧だと言われています。

二次性高血圧:病気やお薬が原因となる高血圧

残りの約10%は二次性高血圧とされています。これは、ホルモンの異常や、お薬の副作用によって高血圧になっているというものです。

生活習慣の改善や、降圧薬を使った通常の高血圧治療では効果が見られないケースがありますが、原因となる病気の治療や、お薬の中止によって改善が見込めます。

高血圧の原因

ここからは、高血圧の原因として考えられるものを詳しくご紹介します。

遺伝・体質

高血圧の原因として、遺伝や体質が挙げられます。ただしこれは「高血圧になる遺伝子」のようなものがあるわけではなく、高血圧になりやすい体質が遺伝すると考えられています。一説には、両親がともに高血圧の場合、半数が高血圧になると言われています。

また、高血圧には生活習慣も大きくかかわっています。そのため、家族みんなで高血圧になりやすい生活を送っている可能性も考えられます。

肥満

肥満(BMIが25以上)の人は、そうでない人よりも高血圧のリスクが高いです。BMIが20未満の人を基準にすると、BMIが25~29.9の人では、高血圧の発症リスクが推定で1.5~2.5倍も高いということが、さまざまな研究でわかっています。

肥満になると高血圧になりやすい理由はさまざまですが、体重が大きいと血液の量も増えることや、過食によって塩分摂取が増えているケースが多いことなどが挙げられます。

また、血圧の調節には、自律神経やホルモンの働きがかかわっています。肥満の場合、たまった脂肪細胞から分泌される物質によって自律神経やホルモンの働きも影響を受け、高血圧につながるという理由も考えられています。たとえば、肥大した脂肪細胞からアンジオテンシノーゲンというタンパク質が分泌されると、血管が収縮して血圧が上がります。さらに、肥満になると、インスリンというホルモンの働きが悪くなり、血管が硬くなり血圧が上がります。

(参考)

https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf

塩分の摂り過ぎ

高血圧の原因の代表的なものが、塩分の摂りすぎです。

塩分に含まれるナトリウムには、血圧を上げる働きがあります。さらに、塩分を摂りすぎると、体内の塩分濃度を一定に保つために体内の水分が増えます。すると血流量が増え、血圧が上がるというメカニズムになっています。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日の食塩摂取の目標量は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満です。なお、すでに高血圧になっている場合は1日6g未満が推奨されています。

(参考)

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

https://www.jpnsh.jp/com_salt.html

過度の飲酒

過度の飲酒は血圧を高めてしまいます。さらに、過度の飲酒を長期間続けると、血管の柔軟性がなくなる「動脈硬化」になり、さらに高血圧につながるのです。また、お酒のつまみには塩分がたくさん含まれているものも多いので、アルコールの量に比例して、塩分摂取も多くなることが考えられます。

なお、1日の限度となるお酒の量の目安は以下の通りです。

  • 日本酒:1合
  • ビール:中瓶1本
  • 焼酎: 半合弱
  • ウイスキー・ブランデー:ダブル1杯
  • ワイン:2杯弱

女性の場合はこの半分程度が目安となるので注意しましょう。

高血圧とお酒の関係の詳細はこちら

アルコール血圧

(参考)

https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf

運動不足

運動不足になると、血流が悪化したり、肥満になったりすることで高血圧につながります。

逆に、運動をすることは、塩分を排泄するはたらきを高めたり、ストレス解消になったりと、メリットがたくさんあります。

ストレス

精神的なストレスがかかると、交感神経が活発になります。すると、心臓の収縮が強くなって血液量が増えたり、血管が収縮したりして高血圧につながります。

また、ストレスがかかったときにだけ急激に血圧が上がる「昼間高血圧(ストレス下高血圧)」というものもあります。これは「仮面高血圧」といって、通常の血圧測定では発見されづらい高血圧の一つに分類されるものです。

仮面高血圧でも、一般的な高血圧の人と同様に脳卒中や心筋梗塞のリスクがあるので注意が必要です。

睡眠不足

睡眠不足になると、ストレスがあるときと同様に交感神経が活発になり、高血圧につながります。

さらに、睡眠不足によって食欲が増すホルモンが増え、食欲を減らすホルモンが減ることで、結果として食欲が増すとされています。肥満だけでなく、カロリー過多も高血圧の原因になると考えられています。

また、睡眠の質も重要。なかなか寝付けなかったり、途中で起きてしまったりすることも、血圧に影響を及ぼすことがあります。

喫煙

たばこに含まれるニコチンによって血管が収縮し、血圧が上がるとされています。また、喫煙を続けると、血中の活性酸素が増え、動脈硬化を促進するため、さらに高血圧につながります。

病気

ホルモン分泌異常や腎臓の病気、血管や脳・中枢神経の病気などによって高血圧になることがあります。このような病気が原因で起こる高血圧が、二次性高血圧です。

二次性高血圧が起きる病気には、以下のようなものが挙げられます。

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 腎動脈硬化症
  • 腎動脈狭窄
  • 線維筋性異形成
  • 高安大動脈炎
  • 解離性大動脈瘤
  • 先端巨大症
  • クッシング症候群
  • 原発性アルドステロン症
  • 褐色細胞腫
  • 甲状腺機能低下症
  • 甲状腺機能亢進症
  • 副甲状腺機能亢進症
  • レニン産生腫瘍
  • 17α-水酸化酵素欠損症

など

お薬の副作用

お薬の副作用による高血圧も、二次性高血圧に分類されます。

原因となる最も代表的なお薬が、非ステロイド性消炎鎮痛剤です。市販の風邪薬や頭痛薬などにも、該当するものがあります。

【成分名】

  • ロキソプロフェンナトリウム
  • イブプロフェン
  • アスピリン(アセチルサリチル酸)
  • セレコキシブ
  • ジクロフェナクナトリウム

など

他には、ステロイド、交感神経刺激薬、抗がん剤なども原因となりえます。また、漢方薬に含まれる甘草(グリチルリチン)や、サプリメント、健康食品が原因になることもあるため、注意しましょう。

高血圧の対策・治療法

高血圧の予防や改善のためには、ここまでに紹介した原因を避けることが大事です。

  • 塩分摂取制限をする
  • お酒を飲みすぎない
  • 肥満の場合は食事や運動に注意し、減量に取り組む
  • 十分な休息と睡眠をとり、ストレスを解消する
  • 禁煙する

治療でも、まずは食事療法、運動療法といった生活習慣の改善によって血圧を下げることを目指します。お薬は、それでも血圧が十分に下がらない場合に処方されることが一般的です。

なお、二次性高血圧の場合は、原因となる病気の治療や、お薬の中止によって改善が見込めるため、まずは早めに受診しましょう。

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通院する手間が省けるため、忙しい方でも受診・治療がしやすくなっています。高血圧が気になる方は、まずご予約ください。

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参考文献

  1. 高血圧治療ガイドライン2019
  2. 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター