血圧を下げる飲み物はある?
結論から言うと、飲むとすぐに血圧が下がるような、お薬のように即効性が期待できる飲み物はありません。
しかし、高血圧の原因となる飲み物や、飲み続けることで高血圧の改善につながる飲み物はあります。そのため、高血圧の原因となりえる飲み物を避け、できるだけ体にいい飲み物を飲むとよいでしょう。
なお、飲み物だけで高血圧の改善をすることはやはり難しいです。高血圧の治療の基本は食事療法や運動療法なので、食事内容にも気をつける必要があります。【避けよう!】血圧を上げる飲み物
高血圧の予防・改善のために、まずは高血圧につながる飲み物を避けることから始めましょう。気をつけたい飲み物は以下の通り。
- 塩分の多い飲み物
- 糖分の多いジュース・スポーツ飲料
- アルコール
詳しく見ていきましょう。
塩分の多い飲み物
塩分の過剰摂取は高血圧の大きな原因となるため、塩分の少ないものを飲みましょう。市販のドリンクには塩分が多いものもあるので注意が必要です。
また、汁物(味噌汁やスープなど)に含まれる塩分は、おわん1杯で1.5~2g程度(食塩換算)の塩分が含まれることがあるので、できるだけ控えましょう。目安は1日に1/2杯以下です。
糖分の多いジュース・スポーツ飲料
糖分の多いジュースやスポーツ飲料を日常的に飲むことは避けましょう。糖分を摂りすぎると肥満や糖尿病につながり、結果的に高血圧になることがあるためです。
スポーツ飲料は、糖分だけでなく塩分も多いので特に注意しましょう。
アルコール
過度の飲酒は血圧を高めます。さらに、過度の飲酒を長期にわたって続けると、血管の柔軟性がなくなる動脈硬化になり、さらに高血圧につながります。また、お酒のつまみには塩分がたくさん含まれているので、これにも注意が必要です。
1日の限度となるお酒の量は以下の通りです。
- 日本酒:1合
- ビール:中瓶1本
- 焼酎: 半合弱
- ウイスキー・ブランデー:ダブル1杯
- ワイン:2杯弱
女性はこの半分程度が目安とされています。なお、性別や年齢にかかわらず、お酒が体に及ぼす影響には個人差がある点に注意しましょう。
血圧を下げる飲み物の選び方
血圧を下げたいときは、以下のような飲み物を選ぶとよいでしょう。
- 塩分の少ない飲み物
- 高血圧予防・改善によい栄養素が含まれている飲み物
- 機能性表示食品やトクホ
詳しく見ていきましょう。
塩分の少ない飲み物を選ぶ
塩分の過剰摂取は高血圧の大きな原因となるため、塩分の少ない飲み物を選びましょう。たとえば、体にいいイメージのある野菜ジュースには、意外と塩分が多いため注意が必要です。野菜・果物ジュースであれば、塩分を0.2gくらいまで(食塩換算)に抑えましょう。
高血圧治療では、1日の食塩摂取は6g未満が推奨されています。飲み物で塩分を多くとってしまうと、食事での塩分制限がさらに大変になるため注意しましょう。
なお、栄養成分表示に「ナトリウム」と書かれている場合は、以下のように食塩の量が計算できます。
ナトリウム(g) × 2.54=食塩量(g)
※mg表記の場合はさらに1000で割る
高血圧予防・改善によい栄養素が含まれている飲み物を選ぶ
高血圧予防・改善によい栄養素には、以下のようなものがあります。飲み物選びに迷ったときは、以下のような成分が多いものを選んでみましょう。
- カリウム:ナトリウム(塩分)を体外に出す
- 食物繊維:ナトリウムを体外に出す、動脈硬化予防
- マグネシウム、カルシウム:血管の収縮防止
- GABA:血管の収縮防止、睡眠を促す
- ポリフェノール:血管の老化予防
- イソフラボン:血圧やコレステロールを低い状態で維持する
機能性表示食品やトクホを選ぶ
機能性表示食品や、特定保健用食品(トクホ)の飲み物の中には、「血圧を下げる」効果が期待できるものがあります。
なお、トクホは国(消費者庁)の審査が必要なもので、機能性表示食品は、審査はないものの、事業者(製造者など)が食品の機能の科学的根拠を示す必要があるものです。
どちらがいい悪い、効果が高い低い、というわけではないので、自分に合った飲み物を探してみましょう。
血圧を下げる飲み物9選
ここからは、血圧を下げる効果が期待できる飲み物とその特徴などについて詳しく解説します。
水
何を飲むか迷ったときは、カロリー0で余計な塩分や糖分も含まれない水を選ぶとよいでしょう。塩分や糖分などの過剰摂取を避けることができます。
しっかり高血圧対策をしたい場合は、2時間おきに200ml程度の水を飲むとよいとされています。水分をたくさんとることで、血流がよくなったり、体内の塩分が排出されやすくなったりする効果が期待できます。
なお、硬水のほうがミネラルが豊富で、塩分が排出しやすくなるといわれています。
お茶
緑茶
お茶には、血管の老化を防ぎ、血流悪化を防ぐポリフェノール(カテキン)が豊富に含まれています。カテキンは特に緑茶に多く、中でも煎茶、抹茶に多いです。ただし、緑茶にはカフェインも含まれます。カフェインの摂りすぎは、かえって高血圧につながることがあるため、飲みすぎに注意してください。
ポリフェノールやカフェインの量をふまえて、お好みのお茶を選びましょう。
ポリフェノール | カフェイン | |
煎茶 | 13.0g | 2.3g |
煎茶(浸出液:茶葉10gに対してお湯430mlで抽出した場合) | 0.07g | 0.02g |
抹茶 | 10.0g | 3.2g |
ほうじ茶(浸出液:茶葉15gに対してお湯650mlで抽出した場合) | 0.04g | 0.02g |
紅茶 | 11.0g | 2.9g |
紅茶(浸出液:茶葉5gに対して熱湯360mlで抽出した場合) | 0.10g | 0.03g |
※浸出液以外の数値は可食部100gあたり
(参考)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html(日本食品標準成分表2020年版)
その他のお茶
緑茶よりもポリフェノールは少ないものの、カフェインレスや、嬉しい成分が含まれているお茶もいろいろあります。
- 麦茶:カフェインレス
- ルイボスティー:カフェインレス
- ドクダミ茶:カリウムや、血流をよくする成分、血圧降下作用が期待できる成分が含まれる
- そば茶:血圧降下作用が期待できる成分が含まれる
コーヒー
コーヒーは、ポリフェノール、カリウムがともに多く含まれています。カリウムは、体内のナトリウム(塩分)を体外に排出する際に必要となります。
ただし、できれば無糖で飲むこと、1日3杯以下を心がけることが大事です。糖分やカフェインの摂りすぎは、かえって高血圧につながることがあるためです。
ココア
ココアには、以下のようなさまざまな栄養素が含まれています。
- カリウム:ナトリウムを体外に出す
- 食物繊維:ナトリウムを体外に出す、動脈硬化予防
- マグネシウム、カルシウム:血管の収縮防止
- GABA:血管の収縮防止、睡眠を促す
- ポリフェノール:血管の老化予防
糖尿病や肥満予防のためにも、糖分無添加のピュアココアを選ぶとよいでしょう。
牛乳
牛乳はカルシウムとカリウムが豊富なので、1日400mlを目安に、毎日飲むとよいでしょう。紅茶やココア、コーヒーなどと合わせて使うのもおすすめです。
カルシウム不足になると骨のカルシウムが溶けて血管の壁が硬くなり、血流悪化につながるため、高血圧予防・対策のためにはカルシウムも嬉しい成分となります。
豆乳
豆乳には、以下のようなさまざまな栄養素が含まれています。
- カリウム:ナトリウムを体外に出す
- 食物繊維:ナトリウムを体外に出す、動脈硬化予防
- マグネシウム、カルシウム:血管の収縮防止・イソフラボン:血圧やコレステロールを低い状態で維持する
塩分や糖分が添加されていない「無調整豆乳」を選びましょう。
野菜ジュース・果物ジュース
野菜ジュースや果物ジュースにはカリウムが豊富です。さらに、野菜や果物に含まれる食物繊維は、コレステロールの吸収を抑え、高血圧予防にもつながるとされています。
ただし、市販の野菜ジュースでは食物繊維はジュースの搾りかすとして除去されていることが多いです。食物繊維をしっかり摂りたい場合は、手作りスムージーを飲むのがおすすめです。
また、市販品には塩分が多いものもあるので、食塩相当量が0.2g以下のものを選ぶとよいでしょう。
トマトジュース
トマトジュースにはGABAが含まれています。GABAは、血管を収縮させる、ノルアドレナリンという物質の分泌を抑えるとされています。すると血管の収縮が解消され、血圧が下がるというメカニズムです。
オレンジジュース
アメリカでは、果汁100%のオレンジジュースを1日2杯飲み続けたところ、血圧が下がり、飲むのをやめたらまた血圧が上がったという試験結果があります。オレンジジュースというと糖分も気になりますが、この試験では、血糖値や体重は上がらなかったそうです。
(参考)
ぶどうジュース
ぶどうジュースはポリフェノールが豊富で、カリウムも含まれるため、高血圧予防・改善によいでしょう。
また、赤ワインにも同様の効果が期待できますが、アルコールの摂りすぎには注意してください。男性なら1日2杯、女性なら1日1杯が目安です。
乳酸菌飲料
アメリカで発表された研究によると、乳酸菌飲料を8週間以上飲むと、血圧が下がる効果があると認められたそうです。継続して飲むことが大事です。
(参考)
https://www.heart.org/en/news/2018/05/01/eating-probiotics-regularly-may-improve-your-blood-pressure
酢
1日大さじ1杯強の酢を摂取するとよいでしょう。そのまま飲んでも、他の飲み物に混ぜてもOKです。
酢に含まれる酢酸には、以下のようにさまざまな効果が期待できます。
- 血管が広がる
- 血圧を高める酵素の産生が阻害される
- 血液を増やすホルモンの分泌が阻害される
など
特に黒酢には、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどが豊富です。なお、市販の食酢飲料(リンゴ酢)などには糖分が含まれていることがあるので、できるだけ糖分の少ないものを選びましょう。
高血圧の対策・治療法
高血圧の予防・改善のためには、食事の見直しや、運動への取り組みが必要です。飲み物だけでは高血圧の改善はむずかしいので、飲み物はあくまでも補助的なもの・食事療法の延長にあるものとして考えましょう。
高血圧の予防・改善のための基本的なポイントは以下の通りです。
- 塩分摂取制限をする
- カロリー・糖分・脂肪分を摂りすぎない
- さまざまな栄養をバランスよくとる
- お酒を飲みすぎない
- 肥満の人は減量に努める
- ウォーキングなどの運動をする
- 休息と睡眠をしっかりとり、ストレスを解消する
- 禁煙する
医療機関での治療でも、まずは食事療法と運動療法を行うことが多いです。それでも血圧が下がらない場合は、お薬を使うことがあります。
高血圧治療はクリニックフォアのオンライン診療で
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また、高血圧治療では、お薬を継続して飲むことが多いですが、その場合は定期的なフォローアップの上、お薬の処方、配送が可能です。
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