血圧の下が高いってどういうこと?女性に多い?原因やメカニズムを解説!

高血圧とは、繰り返しの血圧測定で、正常よりも血圧が高い状態のことです。血圧の数値には上下がありますが、それぞれに高血圧となる基準値があります。人によっては血圧の下だけが高い場合があるのですが、それは一体どういうことなのでしょうか。

血圧の下が低い場合に考えられる原因や危険性、対策などについて詳しく解説します。

「血圧の下が高い」とはどういう状態?

「血圧の下が高い」とは、心臓が広がったときに、心臓から出た血液が血管を押す圧力が正常よりも高いということです。

そもそも血圧とは、心臓から送り出される血液が、血管を押す圧力のことを指します。血圧の上は、最高血圧や収縮期血圧、下は最低血圧や拡張期血圧とも言います。

  • 拡張期血圧(下):心臓が拡張したときに、心臓から送り出される血液が、血管を押す圧力
  • 収縮期血圧(上):心臓が収縮したときに、心臓から送り出される血液が、血管を押す圧力

下だけ高くても高血圧である

高血圧は、繰り返し測定し、収縮期血圧(最高血圧・上)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧・下)が90mmHg以上と定義されています。

つまり、下だけが高くても、高血圧と診断されるのです。

血圧の下だけ高くなる原因は?

血圧の下だけが高い場合は、血液や血管に問題があり、血液が流れづらくなっている可能性が高いです。

一方で、血液を押し出すポンプ機能(心臓)には問題がないと考えられます。詳しく見ていきましょう。

末梢血管が硬くなっている

血圧の下だけが高い場合、心臓付近の大きな血管には問題がないものの、末梢血管(手足などに張り巡らされた血管)が硬い可能性があります。

そもそも、心臓が拡張した状態でも、血液はゆるやかに押し出されています。通常、末梢血管に異常がなければ血流や血圧にも異常は生じませんが、末梢血管が硬くなると血流が悪くなって血圧が上がるのです。

血液がドロドロになっている

血管に問題がなくても、血液がドロドロになると血流が悪くなって血圧が上がることがあります。

血圧の下が高い人によくある特徴

  • 若い人
  • 更年期の女性
  • 肥満
  • 運動不足
  • 喫煙している
  • アルコールを過剰摂取している

血圧の下が高いということは、大きな血管にはまだ問題が生じていない可能性が高いです。このような状況は、若い人によくみられ、原因としては生活習慣の乱れが挙げられます。

なお、50代男性の約50%、60代女性の約50%は高血圧だというデータがあり、年齢とともに高血圧は増加する傾向にあります。しかし、若くても、上記のような生活習慣の乱れによって血圧の下が高くなることがあるのです。

(参考)

https://www.mhlw.go.jp/content/001066903.pdf

更年期の女性は血圧の下が高くなる傾向

更年期の女性も、血圧の下が高くなる傾向があります。大きな血管にはまだ問題が生じていないものの、女性ホルモンの分泌が少なくなり、自律神経が乱れることで血圧のコントロールがしづらくなるためと考えられます。

なお、更年期とは閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間を指します。日本人の平均閉経年齢は50歳頃なので、おおむね45~55歳頃のことを言います。

血圧の下が高いとこれからどうなる?

今は血圧の下だけが高くても、今後は収縮期血圧(上)も高くなることが考えられます。年齢が上がると全身の動脈硬化(血管が硬くなること)が進み、末梢血管だけでなく、大きな血管の動脈硬化も進むためです。

一方、大きな血管の動脈硬化が進むことで末梢血管に送り出される血液が減るため、下の血圧は下がることがあります。

血圧の下が高いことによる危険性

上下にかかわらず、血圧が高いと動脈硬化が進行しやすいです。動脈硬化になると、以下のような心臓や脳の病気のリスクが高まり、命にかかわることもあります。

  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 心不全
  • 大動脈瘤
  • 大動脈解離
  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 認知症
  • 末梢動脈疾患

など

なお、上の血圧から下の血圧の数値を引いたものを「脈圧」といいます。正常値は30~50ですが、60以上の場合は動脈硬化が進行している可能性が考えられます。

血圧の下が高いときの対策・治療法

血圧の下が高い場合、末梢血管に原因がある可能性があるので、病院では、末梢血管を広げるお薬(カルシウム拮抗薬、α1遮断薬など)が処方されることがあります。

ただし、下が高いときも、上が高い時も、どちらも高い時も、対処法は基本的に同じで、まずは生活習慣の見直しから始めます。具体的なポイントは以下の通りです。

  • 減塩する
  • カロリー、糖分、脂肪分を摂りすぎない
  • バランスよく食べる
  • お酒を飲みすぎない
  • 肥満の場合は減量する
  • 休息と睡眠を十分にとり、疲れやストレスを解消する
  • 禁煙する

生活習慣を見直しても血圧が十分に下がらなければ、お薬による治療が検討されます。

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参考文献

  1. 高血圧治療ガイドライン2019
  2. 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター