むくみに用いられる漢方薬の考え方|「水毒」と「利水」
むくみの改善を目的として、なぜ漢方薬が用いられることがあるのでしょうか。
ここでは、東洋医学の視点からむくみの原因と漢方薬の考え方について解説します。
東洋医学におけるむくみは「水毒」の状態と考えられます
東洋医学では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素で成り立っていると考えられています[1]。
- 気:生命エネルギー
- 血:血液とその働き
- 水:血液以外の体液
この3つがバランスよく体内を巡っている状態が健康とされ、どれかが滞ったり不足したりすると不調が現れると考えられています。
むくみは、「水」が体内で停滞している状態であり、東洋医学では「水毒(すいどく)」または「水滞(すいたい)」と呼ばれます。
余分な水分が顔や手足、下半身などにたまることで、むくみやだるさ、頭痛、めまいなどの症状がみられると考えられています。
漢方薬の「利水作用」とは?利尿剤との違い
漢方薬には、体内の水分バランスの調整に用いられる「利水作用」をもつとされるものがあります。
西洋薬の利尿剤との主な違いは、次のとおりです。
| 項目 | 西洋薬の利尿剤 | 漢方薬の利水作用 |
|---|---|---|
| 作用の仕方 | 腎臓の働きに作用して尿量を増やし、水分の排出を促す | 体内の水分状態に応じて排泄をうながすなど、水分バランスの調整に関わるとされる |
| 効果の現れ方 | 即効性が期待できる | 比較的穏やかに働くとされる |
| 注意点 | 脱水や電解質(ミネラル)バランスの乱れなどの副作用が生じることがある | 水分状態に応じた調整を目的とするため、比較的体への負担が少ないとされる場合もある |
漢方薬がむくみに用いられる理由
漢方薬は、むくみという症状だけでなく、体質や全身のバランスを考慮して用いられる点が特徴とされています。
むくみの背景には、冷えや血行不良、胃腸機能の低下、ホルモンバランスの変化など、さまざまな要因が関与すると考えられています。
漢方薬は、これらの要因を踏まえて処方され、結果としてむくみの軽減が期待される場合があります。
「一時的にむくみを改善したい」という場合だけでなく、「繰り返すむくみに悩んでいる」という場合にも、漢方薬が選択肢となることがあります。
ドラッグストアなどで市販品として購入できるため、比較的入手しやすい点も特徴です。
【体質別】むくみに用いられる漢方薬の選び方チェックリスト
漢方薬は体質に合ったものを選ぶことで、効果が期待される場合があります。
体質の傾向と、用いられることがある漢方薬をまとめると、次のとおりです。
| タイプ | 主な特徴 | 用いられることがある漢方薬 |
|---|---|---|
| 水太りタイプ | 汗をかきやすい、下半身がむくみやすい、筋肉に締まりがない | 防已黄耆湯 |
| 冷えタイプ | 手足が冷えやすい、貧血気味、月経不順がある | 当帰芍薬散 |
| 便秘タイプ | 便秘がち、腹部の脂肪が気になる、のぼせやすい | 防風通聖散 |
| 一時的なむくみタイプ | 二日酔い、気圧の変化で不調が出る、のどが渇きやすい | 五苓散 |
以下のチェックリストは、体質の傾向を把握するための目安として活用できます。
水太りタイプ(汗をかきやすい、下半身がむくみやすい傾向)
以下に当てはまる場合、水太りタイプの傾向があると考えられます。
- 汗をかきやすい
- 疲れやすく、体がだるい
- 下半身(足・ふくらはぎ)がむくみやすい
- 筋肉に締まりがなく、ぽっちゃりしている
- 関節が痛むことがある
このタイプには、体内の水分バランスの調整に用いられる「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」が選択されることがあります[2]。
体力が中程度以下で、比較的筋肉が柔らかい体質の方に用いられることが多い漢方薬です。
冷えタイプ(手足の冷えや月経不順などがみられる傾向)
以下に当てはまる場合、冷えタイプの傾向があると考えられます。
- 手足が冷えやすい
- 顔色が青白い、貧血気味
- 生理不順や生理痛がある
- 疲れやすく、めまいがすることがある
- 肩こりや頭痛がある
このタイプには、血行や水分バランスへの作用が期待される「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」が用いられることがあります[3]。
冷えや貧血傾向のある方に処方されることがある漢方薬です。
便秘タイプ(便秘傾向があり、腹部の張りや脂肪が気になる傾向)
以下に当てはまる方は「便秘タイプ」の可能性があります。
- 便秘がちである
- お腹周りに脂肪がつきやすい
- 体力があり、がっちりした体型
- のぼせやすい、肩こりがある
- 高血圧気味である
このタイプには、便通の改善や代謝への作用が期待される「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」が用いられることがあります[4]。
便秘の改善に用いられ、結果としてむくみの軽減が期待される場合もあります。
二日酔いや一時的なむくみがみられるタイプ
以下に当てはまる方は「一時的なむくみタイプ」の可能性があります。
- お酒を飲んだ翌朝にむくむ
- 水分を取りすぎた後にむくみやすい
- 天気や気圧の変化でむくみや頭痛が出る
- のどが渇きやすい
- 尿の量が少ないと感じる
このタイプには、水分バランスへの作用が期待される「五苓散(ごれいさん)」が用いられることがあります[5]。
二日酔いや一時的なむくみに対して用いられることがある漢方薬です。
むくみに用いられる漢方薬7選|特徴と使い分けを解説
むくみに対して用いられる代表的な漢方薬を7種類ご紹介します。
それぞれの特徴や体質との相性の目安を参考に、適切な選択につなげましょう。
五苓散(ごれいさん)|水分バランスの調整に用いられる代表的な漢方薬
五苓散は、体内の水分バランスの調整に用いられる代表的な漢方薬です[5]。
沢瀉(たくしゃ)、猪苓(ちょれい)、茯苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)、桂皮(けいひ)の5種類の生薬から構成されています。
添付文書では「口渇、尿量減少するものの次の諸症(浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病)」に用いられると記載されています[5]。
比較的体力に関係なく用いられることがあり、むくみに対して使用されることの多い漢方薬の一つです。
一時的なむくみに対して用いられることもあります。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)|水太りや下半身のむくみに用いられる漢方薬
防已黄耆湯は、水太り傾向のある方に用いられることがある漢方薬です[2]。
防已(ぼうい)、黄耆(おうぎ)、蒼朮、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)の6種類の生薬で構成されています。
添付文書では、「色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗が多く、小便不利で下肢に浮腫をきたし、膝関節の腫痛するものの次の諸症(腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順など)」に用いられると記載されています[2]。
体力が中程度以下で、疲れやすく汗をかきやすい傾向があり、比較的筋肉が柔らかい体質の方に用いられることがあります。
夕方に下肢のむくみが目立つ場合や、靴下の跡が残りやすい場合などに用いられることがあります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)|冷えや貧血傾向のある方に用いられる漢方薬
当帰芍薬散は、「婦人科三大処方」の一つとして知られ、女性に用いられることの多い漢方薬です[3]。
当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、茯苓、蒼朮、沢瀉の6種類の生薬で構成されています。
添付文書では、「筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいものの次の諸症(貧血、倦怠感、更年期障害、月経不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症)」に用いられると記載されています[3]。
市販されている一般用漢方製剤では、効能・効果に「月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り」などが挙げられており、むくみが明記されています[11]。
冷えや貧血傾向があり、顔色が青白い傾向の方に用いられることがあります。
手足や顔のむくみがみられる場合に用いられることがある漢方薬です。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)|便秘傾向があり腹部の脂肪が気になる場合に用いられる漢方薬
防風通聖散は、18種類の生薬を配合した漢方薬です[4]。
便通の改善や代謝への作用が期待され、結果として体内の水分バランスの調整に用いられることがあります。
添付文書では、「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症(高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘)」に用いられると記載されています[4]。
比較的体力が充実している方に用いられることがあり、胃腸が弱い方では下痢などの副作用がみられることがあるため注意が必要です[4]。
体重管理を目的として使用されることもありますが、適応については医師や薬剤師に相談することが推奨されます。
猪苓湯(ちょれいとう)|排尿症状を伴う場合に用いられる漢方薬
猪苓湯は、排尿に関する症状に対して用いられることがある漢方薬です[6]。
猪苓、茯苓、沢瀉、滑石(かっせき)、阿膠(あきょう)の5種類の生薬で構成されています。
添付文書では、「尿量減少、小便難、口渇を訴えるものの次の諸症(尿道炎、腎臓炎、腎石症、淋炎、排尿痛、血尿、腰以下の浮腫、残尿感、下痢)」に用いられると記載されています[6]。
むくみに加えて、頻尿や排尿時痛、残尿感などの症状がみられる場合に用いられることがあります。
比較的体力に関係なく用いられることがありますが、冷えが強い場合には適さないこともあります。
八味地黄丸(はちみじおうがん)|加齢に伴う下半身のむくみなどに用いられる漢方薬
八味地黄丸は、加齢に伴う諸症状に対して用いられることがある漢方薬です[7]。
地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉、茯苓、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂皮、附子(ぶし)の8種類の生薬で構成されています。
添付文書では、「疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症(腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧)」に用いられると記載されています[7]。
市販されている一般用漢方製剤では、効能・効果に「下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、軽い尿漏れ」などが挙げられており、むくみが明記されています[12]。
疲れやすく、手足の冷えがみられる中高年の方に用いられることがあります。
夜間頻尿や腰痛、下肢のしびれなどの症状がみられる場合にも用いられることがあります。
柴苓湯(さいれいとう)|炎症を伴う症状やむくみに用いられる漢方薬
柴苓湯は、五苓散と小柴胡湯(しょうさいことう)を組み合わせた構成をもつ漢方薬です[8]。
水分バランスや炎症に関連する症状への作用が期待され、これらの症状に対して用いられることがあります。
添付文書では、「吐き気、食欲不振、のどのかわき、排尿が少ないなどの次の諸症(水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ)」に用いられると記載されています[8]。
急性胃腸炎や暑気あたりに伴うむくみに対して用いられることがあります。
体力が中程度の方に用いられることがある漢方薬です。
むくみに用いられる漢方薬の一覧
むくみに対して用いられる主な漢方薬を一覧表でまとめます。
体質や症状に応じた漢方薬の選択の目安として参考にしてください。
| 漢方薬名 | 用いられることがあるタイプ(目安) | 主な作用・適応の目安 | 体力の目安 | 市販 |
|---|---|---|---|---|
| 五苓散 | 二日酔いや一時的なむくみがみられる場合 | 水分バランスの調整に関連する症状、頭痛・めまいなどに用いられることがある | 比較的体力に関係なく用いられることがある | ○ |
| 防已黄耆湯 | 水太り傾向や下半身のむくみがみられる場合 | 水分バランスの調整や関節症状に対して用いられることがある | 体力が中等度以下の方に用いられることがある | ○ |
| 当帰芍薬散 | 冷えや貧血傾向がみられる場合 | 血流や冷え、月経不順などの症状に対して用いられることがある | 虚弱〜中等度の方に用いられることがある | ○ |
| 防風通聖散 | 便秘傾向や肥満傾向がみられる場合 | 便通の改善や代謝に関連する症状に用いられることがある | 体力が充実している方に用いられることがある | ○ |
| 猪苓湯 | 排尿に関する症状がみられる場合 | 排尿に関する症状(頻尿、排尿時痛など)に用いられることがある | 比較的体力に関係なく用いられることがある | ○ |
| 八味地黄丸 | 加齢に伴う下半身のむくみなどがみられる場合 | 冷えや頻尿などの症状に対して用いられることがある | 体力が中等度以下の方に用いられることがある | ○ |
| 柴苓湯 | 炎症を伴う症状やむくみがみられる場合 | 水分バランスや炎症に関連する症状に用いられることがある | 体力が中等度の方に用いられることがある | ○ |
【部位別】顔・足・全身のむくみに用いられる漢方薬
むくみがみられる部位や症状によって、用いられる漢方薬は異なります。
| 部位 | みられやすい症状 | 用いられることがある漢方薬 |
|---|---|---|
| 顔 | 起床時のむくみ、まぶたの腫れぼったさ | 五苓散、当帰芍薬散 |
| 足・下半身 | 夕方に強くなる、靴がきつく感じられる | 防已黄耆湯、八味地黄丸 |
| 全身 | 倦怠感を伴う | 五苓散、当帰芍薬散 |
ここでは部位別に用いられる漢方薬をご紹介します。
顔のむくみに用いられることがある漢方薬
朝起きた際に顔のむくみやまぶたの腫れぼったさがみられる場合、以下の漢方薬が用いられることがあります。
五苓散は、水分バランスの調整に関連する作用が期待され、飲酒後などの一時的なむくみに対して用いられることがあります。
当帰芍薬散は、冷えや血流に関連する症状を伴うむくみに対して用いられることがあり、特に女性に処方されることの多い漢方薬です[3]。
顔のむくみが続く場合は、生活習慣の見直しや水分管理なども重要です。
足・下半身のむくみに用いられることがある漢方薬
夕方に下肢のむくみが強くなり、靴がきつく感じられる場合には、以下の漢方薬が用いられることがあります。
防已黄耆湯は、下半身のむくみがみられる場合に用いられることがあり、水太り傾向のある方に選択されることがあります。
八味地黄丸は、加齢に伴う下半身のむくみや冷えなどの症状に対して用いられることがあります[7]。
デスクワークや立ち仕事でむくみが生じやすい場合は、適度に足を動かすなどの対策も有用とされています。
全身のむくみに用いられることがある漢方薬
全身のむくみや倦怠感がみられる場合には、以下の漢方薬が用いられることがあります。
五苓散は、水分バランスの調整に関連する作用が期待され、部位を問わず用いられることがある漢方薬です。
当帰芍薬散は、冷えや貧血を伴う全身のむくみに対して用いられることがあります[3]。
全身のむくみが急に出現した場合や、息切れ、体重増加などを伴う場合は、心臓や腎臓などの疾患が関与している可能性もあるため、医療機関の受診が重要です。
市販で購入できるむくみに用いられる漢方薬
むくみに対して用いられる漢方薬の一部は、ドラッグストアやオンラインショップで購入可能です。
ここでは市販品の選び方と代表的な製品例をご紹介します。
ドラッグストアで購入できる漢方薬の選び方
市販の漢方薬を選ぶ際は、以下の点を確認することが重要です。
- 体質に合っているか確認する
パッケージに記載された「体力」や「症状」を確認し、適応に合ったものを選択します。 - 剤形を選ぶ
顆粒剤、錠剤、エキス剤などがあり、服用しやすい剤形を選択します。 - 含有量を確認する
同じ漢方薬でもメーカーによって生薬の含有量が異なることがあります。
不明な点がある場合は、薬剤師や登録販売者に相談することが推奨されます。
主な市販品の例
むくみに用いられる漢方薬のうち、市販されている主な製品は次のとおりです。
| 処方 | 主な市販品 | 剤形 |
|---|---|---|
| 五苓散 | ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒A クラシエ漢方五苓散料エキス顆粒 小林製薬 テイラック(五苓散配合) | 顆粒・錠剤 |
| 防已黄耆湯 | ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒 クラシエ コッコアポL錠(防已黄耆湯配合) 防已黄耆湯エキス錠Fクラシエ | 顆粒・錠剤 |
| 当帰芍薬散 | ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒 クラシエ当帰芍薬散錠 ルビーナ(当帰芍薬散加人参配合) | 顆粒・錠剤 |
錠剤タイプもあり、漢方薬の味やにおいが気になる方でも選択しやすい剤形があります。
五苓散は二日酔いや頭痛などの症状に対して用いられることがあり、必要に応じて備えておくという選択もあります。
当帰芍薬散は冷えやむくみなどの症状に対して用いられることがあり、婦人科領域で処方されることもある漢方薬です。
漢方薬の飲み方と効果が現れるまでの期間
漢方薬を適切に使用するためには、基本的な服用方法を理解しておくことが重要です。
漢方薬の基本的な服用方法
漢方薬は、一般的に食前または食間に服用することが多いとされています。
| タイミング | 意味 |
|---|---|
| 食前 | 食事の30分〜1時間前 |
| 食間 | 食後2〜3時間後 |
空腹時に服用することで、生薬成分の吸収がよくなるとされています。
顆粒タイプは、お湯に溶かして飲むと吸収が良くなるとされています。
ただし、胃腸が弱い方は食後に服用した方が胃への負担が少ない場合もあります。
効果が現れるまでの目安期間
漢方薬の効果が出るまでの期間は、症状や体質によって異なります。
五苓散のように比較的早期に作用が現れるとされる漢方薬では、服用後数時間以内に変化を感じる場合があります[5]。
一方、比較的長期間の服用が必要とされる漢方薬では、1〜3か月程度継続して使用することで変化がみられる場合があります。
市販薬の場合、1ヶ月程度服用しても症状の改善がみられない場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談することが推奨されます。
漢方薬を使用しても変化がみられない場合の対応
漢方薬を飲んでも効果を感じにくい場合は、以下の要因が考えられます。
- 体質に合っていない可能性
漢方薬は体質によって選択される処方が異なるため、医師や薬剤師に相談のうえ見直しが検討されます。 - 服用期間が短い
一定期間の継続が必要とされる場合があるため、経過をみながら判断することが重要です。 - むくみの原因に基礎疾患がある場合
心臓や腎臓などの疾患が関与している場合、漢方薬のみでは十分な対応ができないことがあります。
効果を感じられない場合は、自己判断での使用を続けず、医療機関を受診することが重要です。
漢方薬の副作用と注意点|医療機関の受診が必要なケース
漢方薬は自然由来の成分でできていますが、医薬品である以上、副作用のリスクはゼロではありません。
漢方薬の副作用について
漢方薬で報告されている主な副作用は、次のとおりです。
- 消化器症状
胃もたれや吐き気などが報告されています[9]。 - 皮膚症状
湿疹やかゆみなどがみられることもあります。 - 偽アルドステロン症
甘草(かんぞう)を含む漢方薬を長期間服用した場合に生じることがあると報告されています[10]。
消化器症状や皮膚症状は比較的軽度であることが多く、服用を中止することで改善がみられる場合があります。
血圧上昇、むくみ、低カリウム血症などの症状が現れた場合は、速やかに服用を中止し、医師に相談することが重要です。
このようなむくみは医療機関へ|受診が必要なサイン
以下のような症状がみられる場合は、セルフケアに頼らず、医療機関の受診が推奨されます。
- むくみが数日以上続いて治らない
- 全身に強いむくみがみられる
- 息切れや動悸を伴う
- 急激な体重増加がみられる
- 尿量が著しく減っている
- 高血圧があるにもかかわらず未治療である
これらの症状は、心臓、腎臓、肝臓などの疾患が関与している可能性があります。
むくみは体からのサインの一つであるため、異常が疑われる場合は早めの受診が重要です。
妊娠中・授乳中の漢方薬の服用について
妊娠中や授乳中の漢方薬の使用については、必ず医師や薬剤師に相談することが重要です。
当帰芍薬散は妊娠中に用いられることもありますが、自己判断での服用は避け、医師の指導のもとで使用する必要があります。
防風通聖散に含まれる大黄(だいおう)は、子宮収縮作用があるため、妊娠中の服用は推奨されていません[4]。
授乳中は成分が母乳へ移行する可能性があるため、服用前に専門家へ相談することが推奨されます。
むくみに関するよくある質問
むくみと漢方薬について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q. 比較的早く作用が現れるとされる漢方薬はありますか?
五苓散は、むくみに対して用いられる漢方薬の中でも、比較的早期に変化がみられる場合があるとされています。
二日酔いや水分摂取後の一時的なむくみでは、服用後数時間以内に変化を感じる場合があります。
ただし、慢性的なむくみでは、一定期間の継続使用が必要とされる場合があります。
Q. 漢方薬と利尿剤は併用できますか?
漢方薬と利尿剤の併用については、医師や薬剤師への相談が必要です。
特に甘草を含む漢方薬と利尿剤を併用すると、低カリウム血症のリスクが高まることがあります[10]。
自己判断での併用は避け、現在服用中の薬剤については医療従事者に伝えることが重要です。
Q. むくみ用の漢方薬は保険適用になりますか?
医療機関で処方される漢方薬は、適応に応じて保険適用となる場合があります。
むくみの原因を評価したうえで、症状や体質に応じた漢方薬が処方されます。
市販の漢方薬は保険適用外ですが、ドラッグストアなどで購入可能です。
Q. 漢方薬を継続して使用することで体調に変化はみられますか?
体質に合った漢方薬を継続して使用することで、むくみの出方に変化がみられる可能性があります。
漢方医学では「水毒」と呼ばれる状態への対応を目的として用いられることがあり、症状の背景に着目した治療が行われます。
ただし、生活習慣の見直し(塩分の摂りすぎを控える、適度な運動をするなど)も併せて行うことが大切です。
Q. むくみに用いられる漢方薬は男性でも使用できますか?
むくみに対して用いられる漢方薬は、男性でも使用されることがあります。
当帰芍薬散は女性に用いられることが多い処方ですが、冷えやむくみなどの症状に対して男性に使用される場合もあります。
五苓散、防已黄耆湯、八味地黄丸などは、性別を問わず使用されています。
まとめ
むくみに対して用いられる漢方薬には、五苓散、防已黄耆湯、当帰芍薬散、防風通聖散、猪苓湯、八味地黄丸、柴苓湯などがあります。
漢方薬は体内の水分バランスに関与する「利水作用」をもち、西洋薬の利尿剤とは異なる観点からむくみに対して用いられます。
適切な使用のためには、体質やむくみの原因に応じた漢方薬を選択することが重要です。
水太り傾向、冷え、便秘傾向、一時的なむくみなど、それぞれの症状に応じて処方が選択されます。
市販の漢方薬はドラッグストアなどで購入可能ですが、1ヶ月程度使用しても症状の改善がみられない場合は、医師や薬剤師への相談が推奨されます。
むくみが数日以上持続する場合や、息切れ・体重増加を伴う場合は、疾患が関与している可能性もあるため、早めの受診が必要です。
漢方薬の使用と生活習慣の見直しを組み合わせて、体調管理を行うことが重要です。
※漢方薬は医薬品です。服用前に添付文書を確認し、用法・用量を守って使用してください。
