漢方の胃薬とは?西洋薬との違い
胃の不調を感じたとき、多くの方が薬局で胃薬を購入した経験があるのではないでしょうか。
胃薬には大きく分けて「西洋薬」と「漢方薬」の2種類があり、それぞれ作用の仕方や得意とする症状が異なります。
漢方の胃薬は、胃の不快な症状を和らげるだけでなく、体質や胃腸の働きのバランスに着目して改善を図るのが特徴です。
ここでは、漢方の胃薬が胃腸の不調に用いられる仕組みと、西洋薬との違いについて解説します。
漢方が胃腸の不調に用いられる仕組み
漢方医学では、胃腸の働きを「脾(ひ)」という概念で捉えています。
脾は食べ物を消化・吸収してエネルギーに変える働きを担っており、この機能が低下すると胃もたれや食欲不振が起こると考えられています。
漢方の胃薬は、複数の生薬を組み合わせることで、胃腸の働きを多角的にサポートすると考えられています。
たとえば六君子湯には、人参や白朮、茯苓、半夏などの生薬が配合されており、それぞれが消化機能のサポートや吐き気の軽減などに用いられます[2]。
これらの生薬の組み合わせにより、胃腸全体のバランスを整えることが期待されます。
漢方薬は症状の緩和だけでなく、体質や体のバランスに着目して治療が行われるといった特徴があります。
西洋薬の胃薬との違いと使い分け
西洋薬の胃薬には、次のような種類があります。
- 胃酸の分泌を抑える薬
- 胃酸を中和する薬
- 胃粘膜を保護する薬
- 消化を助ける消化酵素剤
西洋薬と漢方薬の主な違いは、次のとおりです。
| 項目 | 西洋薬の胃薬 | 漢方の胃薬 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 症状の緩和 | 体質や胃腸の働きのバランスに着目した改善 |
| 効果の現れ方 | 特定の症状に対して速やかに作用するものが多い | 効果の現れ方に個人差がある |
| 主に用いられる場面 | 急な胃痛や胸やけの症状緩和 | 検査で異常がないのに続く胃の不調など |
症状の経過や体質に応じて、これらを使い分けたり、併用されたりすることもあります。
検査で異常がないのに胃の不調が続く機能性ディスペプシアのような症状には、漢方薬が治療の選択肢の一つとして用いられることがあります[1]。
症状や体質に合わせて、西洋薬と漢方薬を上手に使い分けることが大切です。
漢方の「気血水」で考える胃腸トラブルの原因
漢方医学では、体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素で成り立っていると考えます。
- 気:体を動かすエネルギー
- 血:栄養を運ぶもの
- 水:体内の水分
胃腸のトラブルは、この「気」の不足や滞りが関与すると考えられています。
気が不足すると胃腸を動かす力が弱くなり、食欲不振や胃もたれ、疲れやすさなどの症状が現れるとされています。
気の流れが滞ると、胃のあたりがつかえる感じや膨満感、げっぷなどの症状が出やすくなります。
漢方の胃薬は、この気の不足を補ったり、気の滞りの改善を図ったりすることで、胃腸の働きを整えることを目的として用いられます。
【症状別】胃腸の不調に用いられる代表的な漢方薬7選
胃腸の不調といっても、胃もたれ・胃痛・食欲不振・胸やけなど、症状は人によってさまざまです。
漢方薬は症状と体質に合わせて選ぶことが重要とされています。
ここでは、胃腸の不調に用いられる代表的な漢方薬を7種類紹介します。
それぞれの特徴と適した症状を確認して、自分に合う漢方薬選びの参考にし、必要に応じて医療機関や薬剤師に相談しましょう。
六君子湯|食欲不振・胃もたれなどに用いられる漢方薬
六君子湯(りっくんしとう)は、胃腸虚弱による食欲不振や胃もたれなどに用いられる代表的な漢方薬です。
添付文書によると、「胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいもの」に適応があります[2]。
人参・白朮・茯苓・甘草・半夏・陳皮・大棗・生姜の8種類の生薬から構成されています。
効能効果として、胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐などが認められています。
機能性ディスペプシアの治療ガイドラインでも、六君子湯は治療の選択肢の一つとして位置づけられています[1]。
「食べる気がしない」「少し食べるとすぐお腹がいっぱいになる」といった症状がある方に用いられることがあります。
安中散|胃痛・胸やけなどに用いられる漢方薬
安中散(あんちゅうさん)は、胃痛や胸やけ、胃酸過多などの症状に用いられる漢方薬です。
添付文書によると、「やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、食欲不振、はきけなどを伴うもの」に適応があります[3]。
桂皮・延胡索・牡蛎・茴香・甘草・縮砂・良姜の7種類の生薬から構成されています。
効能効果として、神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱が認められています。
市販の漢方胃腸薬の中には、この安中散をベースにした処方もあります。
「空腹時に胃が痛む」「胸やけがする」「ストレスで胃の調子が悪くなる」といった症状の方に用いられることがあります。
半夏瀉心湯|胃腸の不調に用いられる漢方薬
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)は、胃腸の不調に用いられる漢方薬で、ストレスに関連した症状にも使用されることがあります。
添付文書によると、「みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるもの」に適応があります[4]。
半夏・黄芩・乾姜・人参・甘草・大棗・黄連の7種類の生薬から構成されています。
効能効果として、急・慢性胃腸カタル、発酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症が認められています。
お腹がゴロゴロ鳴る、げっぷが多い、下痢と便秘を繰り返すといった症状に用いられることがあります。
「緊張するとお腹の調子が悪くなる」「ストレスで胃の不調を感じる」という方に選択されることがあります。
人参湯|冷えに伴う胃腸の不調に用いられる漢方薬
人参湯(にんじんとう)は、体が冷えて胃腸の働きが低下している状態に用いられる漢方薬です。
添付文書によると、「体質虚弱の人、或いは虚弱により体力低下した人」に適応があります[5]。
人参・甘草・白朮・乾姜の4種類の生薬から構成されています。
効能効果として、急性胃腸カタル・慢性胃腸カタル、胃アトニー症、胃拡張、悪阻(つわり)、萎縮腎が認められています。
体を温める働きを持つとされ、胃腸の働きの低下がみられる場合に用いられます。
高齢者や体力が低下している方に使用されることがあります。
「冷たいものを食べるとお腹を壊しやすい」「手足が冷えやすく胃腸の不調を感じやすい」といった方に用いられることがあります。
四逆散|ストレス関連の症状・胃腸の不調に用いられる漢方薬
四逆散(しぎゃくさん)は、胃腸の不調に用いられる漢方薬で、ストレスや精神的な緊張に関連した症状にも使用されることがあります。
添付文書によると、「比較的体力のある人の胸腹部に膨満感のあるもの」に適応があります[6]。
柴胡・枳実・芍薬・甘草の4種類の生薬から構成されています。
効能効果として、胆嚢炎、胆石症、胃炎、胃酸過多、胃潰瘍などが認められています。
イライラや不安を感じやすく、それに伴って胃の不調を感じる場合に用いられることがあります。
比較的体力がある方に用いられることが多く、「気持ちが張り詰めると胃の不調を感じる」といった場合に選択されることがあります。
平胃散|食べ過ぎや消化不良に用いられる漢方薬
平胃散(へいいさん)は、食べ過ぎや消化不良による胃の不快感に用いられる漢方薬です。
添付文書によると、「胃がもたれて消化が悪く、ときにはきけ、食後に腹が鳴って下痢の傾向のあるもの」に適応があります[7]。
蒼朮・厚朴・陳皮・大棗・甘草・生姜の6種類の生薬から構成されています。
効能効果として、急・慢性胃カタル、胃アトニー、消化不良、食欲不振が認められています。
胃の中に食べ物が停滞しているような重苦しさや、お腹の張りといった症状に用いられることがあります。
「つい食べ過ぎてしまう」「脂っこいものを食べると胃がもたれる」という方に選択されることがあります。
茯苓飲|胃もたれや吐き気に用いられる漢方薬
茯苓飲(ぶくりょういん)は、胃内に水分が停滞していると考えられる状態に伴う胃もたれや吐き気などに用いられる漢方薬です。
添付文書によると、「吐いて食物が下らず、胸いっぱいにつかえて苦しいもの」に適応があります[8]。
茯苓・白朮・人参・生姜・橘皮・枳実の6種類の生薬から構成されています。
効能効果として、胃炎、胃アトニー、溜飲が認められています。
胃がポチャポチャする感じや、水を飲むと胃が重くなるといった「胃内停水(胃に水分が停滞していると考えられる状態)」の症状に用いられることがあります。
「胃に水がたまっているように感じる」「食後に胃が重く吐き気がする」といった症状がある場合に選択されることがあります。
漢方胃薬の比較表|症状・体質別の選び方
漢方の胃薬は種類が多く、どれを選べばいいか迷う方も多いのではないでしょうか。
同じ胃の不調でも、症状や体質によって選択される漢方薬は異なります。
ここで紹介した7種類の漢方薬を一覧にまとめると、次のとおりです。
| 漢方薬 | 用いられる主な症状 | 体質(証) | 甘草 |
|---|---|---|---|
| 六君子湯 | 食欲不振、胃もたれ、少し食べるとすぐお腹がいっぱいになる | 虚証 | 含む |
| 安中散 | 胃痛、胸やけ、胃酸過多 | 中間証 | 含む |
| 半夏瀉心湯 | みぞおちのつかえ、腹鳴、下痢傾向、ストレスに関連した胃腸の不調 | 中間証 | 含む |
| 人参湯 | 冷えに伴う胃腸の不調 | 虚証 | 含む |
| 四逆散 | 胸腹部の膨満感、緊張やイライラに伴う胃の不調 | 実証 | 含む |
| 平胃散 | 食べ過ぎ、消化不良、胃の重苦しさ | 中間証 | 含む |
| 茯苓飲 | 胃内停水による胃もたれ、吐き気 | 虚証 | 含まない |
ここでは、よく比較される漢方薬の違いと、体質による選び方を解説します。
六君子湯と安中散の違い
六君子湯と安中散は、どちらも胃の不調に用いられる漢方薬ですが、用いられる症状の傾向が異なります。
六君子湯は、胃腸の働きの低下がみられる場合に用いられ、食欲不振や胃もたれといった症状に使用されることがあります。
一方、安中散は、胃痛や胸やけなどの症状に用いられる漢方薬で、胃の不快感がある場合に使用されることがあります。
「食欲がない」「少し食べるとすぐお腹がいっぱいになる」といった場合は六君子湯が選択されることがあり、「空腹時に胃が痛い」「胸やけがする」といった場合には安中散が用いられることがあります。
両方の症状がある場合は、症状の程度に応じて選択されることがありますが、医師や薬剤師に相談することも検討しましょう。
半夏瀉心湯と人参湯の違い
半夏瀉心湯と人参湯は、どちらも胃腸症状に用いられますが、適した体質が異なります。
| 項目 | 半夏瀉心湯 | 人参湯 |
|---|---|---|
| 適した体質 | 体力が中程度の方 | 体力が低下している方 |
| 用いられる症状 | みぞおちのつかえ感、腹鳴、下痢傾向 | 冷えに関連した胃腸症状 |
| 特徴的な生薬 | 黄連・黄芩(胃に熱がこもっていると考えられる状態に) | 乾姜(体を温める働きを持つとされる) |
「お腹が冷えると調子が悪くなる」といった場合には人参湯が、「ストレスや緊張に関連して胃腸の不調がみられる」といった場合には半夏瀉心湯が選択されることがあります。
判断に迷う場合は、医師や薬剤師に相談することも大切です。
体質(証)による漢方薬の選び方
漢方薬を選ぶ際は、症状だけでなく体質(証)を考慮することが重要です。
体力が充実している状態を「実証」、体力が低下している状態を「虚証」と呼びます。
| 体質(証) | 状態 | 用いられることが多い漢方薬 |
|---|---|---|
| 実証 | 体力がある方 | 四逆散 |
| 中間証 | 体力が中程度の方 | 安中散、半夏瀉心湯、平胃散 |
| 虚証 | 体力が低下している方 | 六君子湯、人参湯、茯苓飲 |
体質に合わない漢方薬を服用すると効果が得られなかったり、副作用が出やすくなったりすることがあります。
自分の体質がわからない場合は、医師や薬剤師に相談することも検討しましょう。
市販の漢方胃薬3選
漢方の胃薬は、医療機関で処方してもらう方法と、ドラッグストアで市販薬を購入する方法があります。
市販の漢方胃薬は手軽に入手でき、軽い胃の不調に対して使用されることがあります。
ここでは、ドラッグストアで購入できる代表的な漢方胃薬を3つ紹介します。
| 商品名 | 含まれる処方 | 剤形・飲み方 | 用いられることがある方 |
|---|---|---|---|
| 大正漢方胃腸薬 | 安中散+芍薬甘草湯 | 微粒タイプ/食前または食間 | ふだんから胃腸が弱い方、不規則な食生活で胃の調子が悪くなりやすい方 |
| 太田漢方胃腸薬Ⅱ | 安中散加茯苓 | ー | 不安や緊張などに関連して胃の不調を感じやすい方 |
| ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒 | 六君子湯(医療用と同じ処方) | 顆粒/1日2回、食前または食間に白湯か水 | 体力が低下している方、少食で胃腸の不調を感じやすい方 |
大正漢方胃腸薬(安中散+芍薬甘草湯)
大正漢方胃腸薬は、安中散と芍薬甘草湯を組み合わせた市販の漢方胃腸薬です。
安中散や芍薬甘草湯といった処方が含まれており、胃の不調に用いられます。
胃もたれ、胃痛、食欲不振、胸やけ、吐き気などの症状に用いられることがあります。
ふだんから胃腸が弱い方や、不規則な食生活で胃の調子が悪くなりやすい方に使用されることがあります。
微粒タイプで飲みやすく、食前または食間に服用します。
胃痛がある場合や、ストレスに関連して胃の不調を感じる場合に用いられることがあります。
使用にあたっては、症状に応じて医師や薬剤師に相談することも大切です。
太田漢方胃腸薬Ⅱ(安中散加茯苓)
太田漢方胃腸薬Ⅱは、安中散に茯苓を加えた「安中散加茯苓」という処方の市販薬です。
茯苓は、精神的な不調に対しても用いられることがある生薬の一つです。
不安や緊張などに関連して起こる胃の不調に対しても用いられることがある漢方胃腸薬です。
胃の不調や腹部の違和感などに対して用いられる処方が含まれています。
仕事や人間関係などの影響で胃の不調を感じやすい場合に使用されることがあります。
「食べ過ぎや飲み過ぎ以外の要因で胃の不調を感じる」といった場合に用いられることがあります。
ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒
ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒は、医療用と同じ処方の六君子湯を市販薬として販売しているものです。
食欲不振、胃もたれ、胃痛、嘔吐など、胃腸虚弱に伴う症状に用いられることがあります。
1日2回の服用で、食前または食間に白湯か水で飲みます。
体力が低下している方や、少食で胃腸の不調を感じやすい方に用いられることがあります。
機能性ディスペプシアのように、検査で異常が見つからないにもかかわらず胃の不調が続く場合に用いられることがあります。
「なんとなく食欲がわかない」「胃がすっきりしない」といった症状がみられる場合に選択されることがあります。
市販薬と処方薬の違いと選び方
市販の漢方薬と医療機関で処方される漢方薬には、次のような違いがあります。
| 項目 | 市販の漢方薬 | 医療機関で処方される漢方薬 |
|---|---|---|
| 含まれる生薬 | 同じ | 同じ |
| 成分量 | 安全性を考慮して医療用より抑えられている場合がある | ー |
| 費用 | ー | 保険適用で費用を抑えられる |
| 体質に合わせた選択 | ー | 医師の診察を受けて体質に合った漢方薬を選んでもらえる |
| 用いられる場面 | 軽い症状 | 症状が強い場合や長期間続く場合 |
市販薬を一定期間使用しても症状の改善がみられない場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
胃の不調が長引く場合は、胃潰瘍や胃がんなどの病気が隠れている可能性もあるため、必要に応じて医療機関での検査も検討しましょう。
漢方胃薬の効果的な飲み方と注意点
漢方薬を適切に使用するためには、正しい飲み方を知っておくことが大切です。
服用のタイミングや期間、注意すべき副作用などを理解しておきましょう。
漢方薬は体質や全身のバランスに着目して用いられる薬で、西洋薬とは異なる特徴があります。
ここでは、漢方胃薬の飲み方と服用時の注意点について解説します。
効果を実感するまでの期間の目安
漢方の胃薬は、効果を実感するまでの期間が症状によって異なります。
| 症状 | 期間の目安 |
|---|---|
| 急性の胃痛や胸やけ | 比較的早い段階で症状の変化がみられることもある |
| 慢性的な胃腸虚弱や食欲不振 | 2週間〜1か月程度の継続服用が目安とされることがある |
六君子湯のように、胃腸の機能に着目して用いられる漢方薬は、一定期間継続して使用されることがあります。
一般用漢方製剤の添付文書では、1か月位服用しても症状が良くならない場合は服用を中止し、医師等に相談するよう記載されています[9]。
一定期間使用しても改善がみられない場合は、漢方薬が体質に合っていない可能性があるため、医師や薬剤師に相談し見直しを検討しましょう。
服用のタイミングと飲み方のコツ
漢方薬は基本的に、食前(食事の30分前)または食間(食後2〜3時間)に服用します。
空腹時に服用することで、生薬の成分が吸収されやすいとされています。
胃薬の場合は、空腹時に服用することが推奨されています。
飲みにくい場合は、次のような方法もあります。
- 顆粒タイプは白湯に溶かして温かい状態で飲む(飲みやすく感じる場合があります)
- 少量の水で練ってから飲む
- オブラートに包む
食後に服用しても大きな支障はないとされているため、飲み忘れた場合は食後に服用することも可能です。
副作用と服用時の注意点
漢方薬は天然の生薬から作られていますが、副作用がないわけではありません。
胃腸系の漢方薬で注意が必要なのは、甘草(カンゾウ)という生薬による副作用です。
甘草を含む漢方薬を長期間服用すると、偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇、低カリウム血症)を起こす可能性があります。
六君子湯・安中散・半夏瀉心湯・人参湯・四逆散・平胃散はいずれも甘草を含んでいます。
複数の漢方薬を併用する場合は、甘草が重複して副作用のリスクが高まるため注意が必要です。
服用後に体調の変化を感じた場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
また、次に当てはまる方は、事前に医師や薬剤師に相談することが大切です。
- 持病がある方
- 他の薬を服用している方
- 妊娠中・授乳中の方
漢方の胃薬に関するよくある質問
Q:漢方の胃薬で即効性があるのはどれですか?
A:胃痛や胸やけに対しては、安中散が用いられることがあり、比較的早い段階で変化を感じる場合もあります。
安中散に含まれる生薬は、胃の不調に対して用いられるもので、比較的早い段階で症状の変化がみられることがあります。
ただし、食欲不振や慢性的な胃もたれの改善には時間がかかるため、症状に応じた期待を持つことが大切です。
Q:漢方胃薬は毎日飲んでも大丈夫ですか?
A:体質に合った漢方薬は、継続して使用されることもあります。
ただし、甘草を含む漢方薬は長期服用で副作用のリスクがあるため、定期的に医師や薬剤師に相談しながら使用することが大切です。
症状の変化に応じて、服用頻度を調整することがあります。
Q:漢方と西洋薬の胃薬は併用できますか?
A:漢方薬と西洋薬の胃薬は、併用されることもあります。
ただし、制酸剤と一緒に服用すると漢方薬の吸収に影響が出る場合があるため、服用時間をずらすことが推奨されます。
複数の薬を併用する場合は、医師や薬剤師に確認してから服用するようにしてください。
Q:漢方胃薬を飲んでも効かない場合は?
A:1か月程度使用しても改善がみられない場合は、体質に合っていない可能性があります。
別の漢方薬への変更を検討したり、医師に相談したりすることが大切です。
また、胃の不調が長引く場合は胃潰瘍や胃がんなどの病気が隠れている可能性もあるため、内視鏡検査を受けることも検討してください。
まとめ
漢方の胃薬は、胃腸の機能や全身のバランスに着目して用いられるのが特徴です。
症状によって用いられる漢方薬は異なります。
- 食欲不振・胃もたれ:六君子湯
- 胃痛・胸やけ:安中散
- ストレスに関連する胃腸症状:半夏瀉心湯
- 冷えが関係する胃腸症状:人参湯
- 食べ過ぎ・消化不良:平胃散
など、状態に応じた選び方が重要とされています。
市販の漢方胃薬では、大正漢方胃腸薬や太田漢方胃腸薬Ⅱ、ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒などが手軽に購入できます。
漢方薬は空腹時に服用することが一般的で、白湯に溶かして飲む方法もあります。
甘草を含む漢方薬の長期服用には副作用のリスクがあるため、定期的に体調を確認しながら服用しましょう。
1か月服用しても改善がない場合や、症状が強い場合は医療機関の受診を検討しましょう。
自分の症状や体質に合った漢方胃薬を選び、適切に対処していくことが大切です。
