ピルで胸が張るのはなぜ?原因や種類別の頻度・対処法

「ピルを飲み始めてから胸の張りや痛みが気になる…」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
ピルによる胸の張りは、お薬に含まれるホルモンが乳腺を刺激することで生じる副作用のひとつです。
飲み始めの時期に起こりやすく、多くの場合は服用を続けることで自然と落ち着いていきます。
ただし、症状が長く続く場合はピルの種類変更が有効なこともあるほか、まれに早めの受診が必要なケースもあるため、正しい知識をもっておくことが大切です。
この記事では、ピルで胸が張る原因、ピルの種類別の発生頻度、日常でできる対処法、受診が必要なケースまで詳しく解説します。
ピルを服用中で胸の張りが気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。

ピルの服用で胸が張る原因

ピルの服用中に胸の張りや痛みを感じるのは、お薬に含まれるホルモンの影響によるものです。

生理前に胸が張るのと似た仕組みで、多くの場合は一時的な症状にとどまります。

ここでは、ピルの服用によって胸の張りが起こる仕組みと症状が出やすい時期について解説します。

エストロゲン・プロゲステロンが乳腺を刺激する

ピルで胸が張る主な原因は、お薬に含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が乳腺に作用するためです。

乳腺とは、胸の内部にある組織で、母乳を産生する腺や、それを運ぶ乳管などから構成されています。

エストロゲンには乳腺の発達を促す作用があり、プロゲステロンには乳腺組織に水分を蓄える作用があるとされています。

ピルを服用すると、これらのホルモンが体内に取り込まれることで乳腺が刺激され、胸の張りや痛みとしてあらわれる場合があるのです。

生理前に胸が張るのも同様の仕組みであり、ピルによる胸の張りは体がホルモンの変化に反応している正常な過程といえるでしょう。

飲み始めに起こりやすく続けるうちに改善することが多い

ピルによる胸の張りは、服用し始めて1〜2か月ほどの時期にとくに起こりやすい傾向があります。

外部からホルモンが補充されることで体内のホルモン環境が大きく変わり、この変化に体が慣れていないためです。

たとえば、ラベルフィーユの国内臨床試験では、副作用全体の発現頻度は1周期目で38.7%あったものが6周期目には12.7%、12周期目には8.7%と、服用を続けるにつれて低下することが確認されています[1]

体がお薬に慣れてホルモン環境が安定するにつれ、胸の張りや痛みは服用を続けるうちに自然とやわらいでいくことが多いと考えられます。

飲み始めたばかりの時期に種類を変更すると、新しいピルでも同様の症状が出る可能性があるため、まずは経過をみてみましょう。

ただし、日常生活に支障をきたすほど症状がつらい場合や、3か月以上経っても改善がみられない場合は、医師に相談してください。

ピルの種類別|胸の張り・痛みの頻度

ピルによる胸の張りや痛みの発生頻度は、服用するお薬の種類によって異なります[1][2]

クリニックフォアで取り扱いのあるラベルフィーユとマーベロンを例とした場合、添付文書には以下のように記載されています。

ピルの種類乳房緊満感(胸の張り)乳房痛
ラベルフィーユ5%以上1%未満
マーベロン0.1〜5%未満5%以上

ご自身が服用しているピルの傾向を知っておくと、症状が出た際に落ち着いて対処しやすくなります。

ラベルフィーユの場合|張り5%以上・痛み1%未満

ラベルフィーユ(レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール配合剤)の添付文書によると、乳房緊満感(胸の張り)が5%以上・乳房痛が1%未満の頻度で報告されています[1]

マーベロンでは「痛み」の頻度が高いのに対し、ラベルフィーユでは「張り」の頻度が高い点が特徴的です。

ラベルフィーユは第二世代の三相性ピルであり、配合されている黄体ホルモンの種類がマーベロンとは異なります。

こうした黄体ホルモンの種類の違いが、胸の張りと痛みの出方の差に影響している可能性が考えられます。

どちらのピルが合うかは体質によって異なるため、自己判断で変更せず医師に確認してください。

マーベロンの場合|張り0.1〜5%未満・痛み5%以上

マーベロン(デソゲストレル・エチニルエストラジオール配合剤)の添付文書では、乳房に関する副作用として乳房痛が5%以上・乳房緊満(胸の張り)が0.1〜5%未満の頻度で報告されています[2]

国内臨床試験のデータでは、1,011例中85例(8.4%)に乳房痛が報告されており、悪心(11.8%)に次いで多い副作用です[2]

マーベロンは第三世代の一相性ピルです。

乳房痛の発生頻度はラベルフィーユと比較すると高い傾向にあるため、胸の痛みが気になる場合は医師に相談する選択肢があります。

ピルによる胸の張り・痛みの対処法

ピルの服用中に胸の張りや痛みがあらわれた場合、いくつかの方法で症状の緩和が期待できます。

対処法は段階的に取り組むのが効果的で、まずは様子をみることから始めてみてください。

日常生活で実践できる工夫もあるため、無理なく続けられる方法を試してみましょう。

体を温めて血行を改善する

ピルの服用中に胸の張りや痛みが気になる場合は、体を冷やさないようにして血行を整えることも対処法のひとつです。

胸の張りや痛みは乳腺のむくみや血流の変化が関係していることがあり、体が冷えて血流が悪くなると不快感が強く感じられる場合があります。

日常生活では、以下のような工夫を試してみてください。

  • 薄着を避け、体を冷やさないよう意識する
  • 入浴時は湯船につかって体をしっかり温める
  • 軽いストレッチや肩まわりをほぐす運動で症状がやわらぐ場合がある
  • コーヒーやエナジードリンクなど、カフェインの摂取量を控えると症状がやわらぐ場合があるという報告もある

痛みが強い場合や症状が長く続く場合には、自己判断で対処を続けるのではなく医師に相談するようにしてください。

締め付けの少ない下着に変更する

胸の張りや痛みが気になる期間は、身に着ける下着を見直すことで症状がやわらぐ場合があります。

状況対処法
ワイヤー入りブラジャーが痛いワイヤーなしブラジャー
・ブラトップ
・スポーツブラに変更する
胸のサイズが一時的に大きくなった感じがするカップサイズを一つ上げることを検討する

下着の工夫は、気軽に試せる対処法のひとつです。

3か月以上経っても改善しない場合はピルの種類変更を検討する

ピルの種類によって胸の張りや痛みの出方は異なります。

3シート(約3か月)服用しても胸の張りや痛みが改善しない場合や、症状が強くてつらい場合は、種類の異なる黄体ホルモンが配合されているピルに変更することで症状が改善する可能性があります。

ただし、ピルの種類変更は自己判断ではおこなわず、かならず医師に相談してください。

医師が症状の程度や体質・服用目的を総合的に判断したうえで、個々の状態に応じたお薬を提案します。

同じ低用量ピルのなかで種類を変更するほか、エストロゲンを含まない「ミニピル」への切り替えという選択肢もあります。

ミニピルは黄体ホルモンのみが配合されているお薬で、エストロゲンによる乳腺への影響が異なる可能性があります。

ひとつのお薬が合わなくても別の選択肢が見つかる可能性は十分にあります。諦めずにまずは相談してみましょう。

ピルによる胸の張りで受診が必要なケース

ピルによる胸の張りの多くは一時的なマイナートラブルですが、なかには早めの受診が必要な症状が隠れている場合もあります。

たとえば、以下のようなケースです。

  • 強い胸の痛みや息苦しさがある
  • しこりや乳房の変形がある

受診が必要な理由を詳しく解説します。

強い胸の痛みや息苦しさがある

ピル服用中に突然の強い胸の痛みや息苦しさを感じた場合は、血栓症(特に肺塞栓)の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください[1][2]

血栓症とは、血管の中に血のかたまり(血栓)ができて血管が詰まる疾患で、ピルの重大な副作用のひとつとして添付文書にも記載されています[1][2]

血栓症の発症頻度は高くないとされていますが、症状を知っておくことが大切です。

添付文書によると、緊急対応を要する血栓症の主な症状は以下のとおりです[1][2]

  • 突然の息切れや胸痛
  • 激しい頭痛
  • 下肢の急激な痛みや腫れ
  • 四肢の脱力や麻痺
  • 構語障害
  • 急性の視力障害

通常のマイナートラブルとしての胸の張りは徐々にあらわれるのに対し、血栓症による胸の痛みは急激に発症する傾向があるとされています。

少しでも異変を感じたら、自己判断で様子をみるのではなく医師の診察を受けてください。

しこりや乳房の変形に気づいた場合

ピル服用中に胸のしこりや乳房の変形に気づいた場合は、乳がんの可能性を含めて医師の診察を受けましょう。

ピルの添付文書では、乳がんの家族歴や乳房結節のある方には定期的な乳房検診をおこなうことが推奨されています[1][2]

胸の張りや痛みは乳がんの直接的な症状ではない場合が多いものの、しこりや皮膚のひきつれ・乳頭からの分泌物など通常の張りとは異なる変化がみられる場合は注意が必要です[3]

すでに乳がんと診断されている方は、腫瘍が悪化するおそれがあるためピルの服用は禁忌とされています[1][2]

胸の張りだけでなく、乳房に違和感を覚えた場合は、ピルの副作用だと決めつけず、乳腺外科や婦人科で検査を受けることをおすすめします。

アフターピルでも胸の張りは起こる?

アフターピル(緊急避妊薬)を服用した場合にも、胸の張りが一時的に生じることがあります。

アフターピルは通常のピルよりも高い用量のホルモンが含まれているため、服用後にホルモンバランスが急激に変化します。

この急激な変化により、胸の張りや痛みのほか、悪心・頭痛・不正出血などの症状があらわれる場合があるのです。

アフターピルによる胸の張りは、多くの場合で服用後数日から数週間程度で自然におさまります。

低用量ピルの飲み始めに起こる胸の張りが数か月続くことがあるのに対し、アフターピルは1回の服用で完結するお薬のため、体内のホルモンバランスが短期間で元に戻り、比較的早く改善する傾向にあります。

一時的な症状であれば過度に心配する必要はありませんが、数週間以上経っても症状が続く場合や強い痛みがある場合は医師に相談してください。

ピルの胸の張りが気になるならクリニックフォアのオンライン診療へ

ピルの服用中に胸の張りや痛みが気になった場合、クリニックフォアのオンライン診療を活用すると自宅から手軽に医師へ相談できます。

通院の手間や待ち時間を省きたい方にとって、オンライン診療は選択肢のひとつです。

クリニックフォアでは、スマートフォンやパソコンからビデオ通話で医師の診察を受けられるため、忙しい方でも受診しやすい環境です。

胸の張りや痛みが気になる場合も、現在服用しているピルの種類や症状の程度を医師に直接相談できます。

症状に応じてピルの種類変更を検討してもらえるほか、服用を続けるべきかどうかの判断も医師から受けられます。

【オンライン診療を受ける前にご確認ください】

突然の強い胸の痛みや息苦しさ・しこりなど緊急性のある症状がみられる場合は、オンライン診療ではなく対面での受診が必要です。

また、乳房のしこりや変形が気になる場合の精密検査(マンモグラフィ・超音波等)はオンライン診療では実施できないため、乳腺外科や婦人科の対面受診をご検討ください。

ピルの胸の張りに不安を感じている方は、まずはクリニックフォアのオンライン診療で医師にご相談ください。

クリニックフォアのオンライン診療はこちら

※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。

※対面診療をご案内する場合もございます。

※低用量ピルは原則として自由診療となります。月経困難症等の治療目的の場合は保険適用となるケースもあります。

ピルの服用による胸の張りについてよくある質問

Q1:ピルで胸が大きくなるのは本当ですか?

ピルの服用により、一時的に胸が大きくなったと感じることはあります。

ホルモンの影響で乳腺が刺激され、一時的に乳腺が発達することで胸のサイズが変化する場合があります。

ただし、この変化はお薬の服用中に限られることが多く、服用を中止すると元に戻る場合が多いとされています。ピルは豊胸を目的としたお薬ではないことをご理解ください。

Q2:胸の張りがあってもピルを飲み続けて大丈夫ですか?

軽度の胸の張りであれば、多くの場合で数か月程度で症状が軽減するため、服用を続けても問題ない場合があります。

ただし、日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合や、血栓症の症状が疑われる場合は速やかに医療機関を受診してください。

Q3:ピルの種類を変えたら胸の張りは治りますか?

ピルの種類を変更することで、胸の張りが改善する可能性はあります。

お薬に含まれる黄体ホルモンの種類が異なると、副作用の出方も変わるためです。

ただし、効果には個人差があるため、医師と相談のうえで判断しましょう。

Q4:胸の張りと乳がんは関係がありますか?

ピルによる胸の張りは乳腺へのホルモン刺激による副作用であり、ピル服用中の胸の張りそのものが乳がんの症状である可能性は低いと考えられています。

しこりや乳房の変形など通常の張りとは異なる変化がみられる場合は、念のため医師の診察を受けることをおすすめします。

なお、ピルの添付文書によると、乳がんの家族歴がある方は定期的な乳房検診を受けることが推奨されています[1][2]

まとめ

ピルで胸が張るのは、お薬に含まれるエストロゲンとプロゲステロンが乳腺を刺激することが主な原因です。

マーベロンでは乳房痛が5%以上・ラベルフィーユでは乳房緊満感が5%以上と、ピルの種類によって症状の出方は異なります[1][2]

飲み始めのホルモンバランスが変動する時期に起こりやすく、多くの場合は数か月で改善する傾向にあります。

対処法として、体を温めて血行を改善することと締め付けの少ない下着への変更などがあげられますが、改善しない場合はピルの種類変更を医師に相談してみましょう。

また、突然の強い胸の痛みや息苦しさ・しこりなどの変化がみられた場合は、血栓症や乳がんなどの可能性もあります。迷わず速やかに医療機関を受診してください。

緊急受診の目安にあてはまらず、ピルの胸の張りに不安を感じたら、クリニックフォアのオンライン診療で早めに医師にご相談ください。

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

※お薬の服用に関しては医師にご相談ください。

※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合がございます。

参考文献

  1. ラベルフィーユ21錠/ラベルフィーユ28錠 添付文書 富士製薬工業株式会社
  2. マーベロン21/マーベロン28 添付文書 オルガノン株式会社
  3. Q4 乳房の症状、病気にはどのようなものがありますか 患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版|日本乳癌学会
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