月経を遅らせる方法とは?月経移動の仕組みと服用スケジュール
大切なイベントや旅行と月経が重なりそうなとき、医療機関でピルを処方してもらうことで、月経のタイミングを一時的に遅らせられます。この方法は「月経移動」と呼ばれ、婦人科では広くおこなわれている一般的な対応です。
月経移動の特徴は、月経予定日の5〜7日前から準備を始めれば間に合うケースが多く、急に予定が入った場合でも検討しやすい点にあります。
ここでは、月経を遅らせる基本的な仕組みと、代表的なスケジュールのイメージを解説します。
ピルを服用して月経を遅らせる仕組み
月経を遅らせる場合には、中用量ピルを用いることが一般的です。低用量ピルでも月経移動は可能ですが、確実性の面では中用量ピルが優れています。副作用が心配な方は、医師に低用量ピルの使用についても相談してみましょう。
中用量ピルには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)が含まれており、服用している間はこれらのホルモンが外から補われることで子宮内膜が維持されます[1]。
通常、月経は黄体退縮によって体内の黄体ホルモンおよび卵胞ホルモンの分泌が低下し、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちることで起こります。ピルを飲んでいるあいだはホルモン濃度が保たれるため、子宮内膜が剥がれにくくなり、その間は月経が起こりません。
服用を終了してホルモンの供給が途絶えると、数日後に子宮内膜が剥がれ落ち、「消退出血」として出血が始まります[1]。
実際の診療では、中用量ピルの代表であるプラノバール配合錠が月経移動に処方されることが多く、比較的短期間の服用を想定しています。
月経を遅らせる具体的なスケジュール
月経を遅らせたい場合、月経周期が順調であれば次回の月経予定日の5〜7日前から中用量ピルの服用を開始するのが一般的な目安です]。ピルを服用しているあいだは月経がこないため、月経を避けたい期間(イベントが終わる日)まで毎日1錠ずつ飲み続けます。
たとえば「月経予定日が3月15日で、3月20日にイベントがある」という場合には、以下のようなスケジュールとなります。
| 日付 | 状態・行動 |
| 3月8日〜10日 | 月経予定日の5〜7日前、ピル服用開始 |
| 3月15日 | 本来の月経予定日・ピル服用継続 |
| 3月20日 | イベント日・この日まで服用 |
| 3月21〜23日頃 | 服用終了2〜3日後に月経(消退出血)開始想定 |
服用中は毎日ほぼ同じ時間に飲むことで、ホルモン濃度が安定しやすくなり、月経移動の成功率が高まると考えられています。
服用終了後に月経が始まるタイミング
中用量ピルの服用を終えると、2〜5日ほどで出血が確認されるケースが一般的であり、服用をやめる日から数日分はスケジュールに余裕を持っておくと安心です。
イベントが終わった日を最終服用日に設定し、その2〜3日後から月経が始まる想定で予定を組んでおくと、仕事や学校などのスケジュールも立てやすいでしょう。
受診タイミングと月経を遅らせられる期間の目安
月経移動の成功率を高めるには、「いつ受診して服用を始めるか」「どの程度の期間までなら遅らせやすいか」を事前に把握しておくことが重要です。スケジュールを組むための基礎知識として、しっかり理解しておきましょう。
月経予定日の5〜7日前までに受診
月経を遅らせたいときは、少なくとも月経予定日の5日前までには医療機関を受診しておくことが望ましいです。中用量ピルは、遅らせたい月経予定日の5〜7日前から服用することで効果を発揮するためです。
オンライン診療を利用する場合は、診察後にお薬が配送されるまで1〜2日程度かかることもあるため、「月経予定日の1週間前」には受診を済ませておくと余裕が持てるでしょう。
月経予定日の3日前を切った時点での服用開始では、月経を十分に遅らせられない場合があるため、早めの受診・相談を推奨します。
遅らせられる期間は7〜10日が目安
月経を遅らせられる期間は、7〜10日程度が一般的な目安です。1週間の海外旅行や数日間のイベント期間であれば、十分に対応可能でしょう。
長期間にわたって遅らせようとすると不正出血のリスクが高まります。これは、ピルを長期服用すると子宮内膜を安定して維持しにくくなり、予期しないタイミングで出血が生じやすくなるためです。
遅らせたい期間が長くなるほど副作用のリスクも高まる傾向があるため、必要最小限の期間に抑えることが重要です。どのくらいの期間遅らせたいのかを医師に伝え、自分に合った方法を相談しましょう。
長期間遅らせたい場合の対処法
イベント期間が2週間以上など、7〜10日を超える長期間にわたって月経を避けたい場合は、「月経を遅らせる」よりも「月経を早める」方法のほうが適していることがあります。
月経を早める方法は、1回前の月経期間中からピルを服用し、イベント前に消退出血を起こすことで、イベント当日には月経が終わっている状態を目指すものです。
この方法であれば、イベント本番の期間中にピルを飲み続ける必要がないため、副作用の影響を受けにくいというメリットがあります。
ただし、準備期間が1周期分必要になるため、「旅行や大会の日程が決まったら早めに婦人科へ相談する」ことが欠かせません。
すでに低用量ピルを服用している方の場合は、シートを連続服用することで、より長期間にわたって月経をコントロールできる場合もあります。
どの方法が自分に合うかは、持病や年齢、リスク因子によっても異なるため、医師とよく相談してください。
月経を遅らせるときに起こりうる副作用と対策
月経を遅らせるために中用量ピルを服用すると、いくつかの副作用があらわれることがあります。副作用を事前に理解し、対策を準備しておくことで、イベント中の不安を軽減できるでしょう。
吐き気・胸の張り・むくみ
中用量ピルは低用量ピルと比べてエストロゲンの含有量が多く、その影響で吐き気や胃のムカつきなどの消化器症状があらわれることがあります。また、ホルモンバランスの変化により、乳房の張り、むくみ、体重増加感などを自覚するケースもあります[2]。
これらの症状は服用開始直後に出やすく、数日で改善することも多いとされていますが、症状の出方や強さには個人差があります。
不正出血
予定していないタイミングで少量の出血がみられる「不正出血」も、中用量ピルの副作用としてよくみられます[2]。
服用期間が長くなるほど子宮内膜を安定して保ちにくくなり、その一部が剥がれ落ちることで出血が起こりやすくなると考えられています。
不正出血の程度は個人差があり、下着につく程度のごく少量から、月経に近い量までさまざまです。
副作用を軽減するための工夫
副作用が心配な方は、事前にできる対策を知っておくと安心です。
吐き気に対しては、就寝前の服用や、必要に応じた制吐薬の併用が選択肢になります。クリニックフォアでも、吐き気の副作用に備えて吐き気止めのお薬を処方しています。
むくみや頭痛に対しては、十分な水分と休息、適度な運動や市販の鎮痛薬の準備などが役立つかもしれません。
服用後すぐに激しい嘔吐があった場合には、お薬の成分が十分に吸収されていない可能性もあります。自己判断で追加服用をするのではなく、かならず医師または処方元の医療機関に連絡のうえ、指示に従ってください。
月経を遅らせる方法のメリットとデメリット
月経を遅らせる中用量ピルにも、メリットとデメリットの両方があります。月経を早める方法との違いも踏まえて、自分に合った方法を選ぶ参考にしてください。
メリット:直前でも対応しやすい
月経を遅らせる方法は、月経予定日の5〜7日前から中用量ピルを服用すれば良いケースが多く、比較的直前に予定が決まっても対応しやすいのが利点です。
月経を早める方法と比べると、「1回前の月経の時点から準備する」必要がなく、急な旅行や試験、大会などにも間に合わせやすい方法です。
ピルを服用しているあいだは子宮内膜が維持されるため、正しく服用できれば希望する期間のあいだ月経を避けられる可能性が高くなります。
デメリット:イベント期間中も服用が必要で副作用が出る場合がある
月経を遅らせる場合は、「月経を避けたい期間中」中用量ピルを飲み続ける必要があり、旅行中やイベント当日も服用し続けなければなりません。毎日ほぼ同じ時刻に飲む必要があるため、長時間移動や時差のある海外旅行では、服用時間の調整や飲み忘れが起きやすい点に注意が必要です。
また、中用量ピルは、吐き気や頭痛、乳房の張り、むくみ、不正出血などの副作用が出ることがあります。体質によっては「月経は避けられたものの、ピルの副作用でイベントを十分楽しめなかった」という状況になる可能性もゼロではありません。
月経を長期間遅らせようとすると、不正出血が増えたり、予定外のタイミングで出血が起こるリスクも高まります。そのため、多くの医療機関では「月経を遅らせるのは7〜10日程度まで」を目安にするよう案内しています。
低用量ピル服用中の方が月経を遅らせる方法
すでに低用量ピルを服用している場合は、中用量ピルを新たに服用しなくても、服用スケジュールを調整することで月経を遅らせることが可能です。
一般的な低用量ピルでは、21日間実薬を服用したあと、7日間の休薬または偽薬期間を設け、その間に消退出血が起こります。
月経を遅らせたい場合は、この「7日間の休薬(偽薬)期間」を設けずに、21錠を飲み終えたらすぐ次のシートの実薬を続けて服用することで、休薬期間中に起こるはずだった出血を先送りにする方法があります[1]。新しいシートの実薬に入ったら、月経を避けたい期間が終わるタイミングで休薬(または偽薬)をとる形が一例です。
なお、休薬期間を何日設けるかは低用量ピルの種類によって異なります[1]。また、ピルによっては休薬期間がないタイプもあるため、かならず医師に相談して服用スケジュールを組みましょう。
月経を遅らせたときの次回周期への影響
一時的に月経を遅らせた場合、「その後の月経周期が大きく乱れてしまわないか」「次回の月経はいつ頃来るのか」が気になる方も多いでしょう。
一般的に、1回限りの月経移動であれば、その後の周期に大きな影響が出ることは少ないとされています。中用量ピルの服用を終えたあとに起こる消退出血を「新しいスタート」として、そこから普段の周期に近い間隔で次の月経が来るケースが多く、多くの場合で翌月以降は徐々に元の周期リズムに戻ります。
また、月経移動のあと最初の月経では、経血量や出血期間が「いつもより多い/少ない」「短い/長い」といった変化がみられる場合も少なくありません。これはホルモンの影響で一時的に子宮内膜の厚さや状態が通常と異なっているために起こる現象です。
多くの場合は一過性の変化にとどまり、2〜3周期で普段のパターンに戻るとされています。
月経を遅らせたい方はクリニックフォアのオンライン診療へ
月経を遅らせる方法について相談したい方は、オンライン診療の活用も選択肢のひとつです。クリニックフォアでは、月経移動に関するオンライン診療に対応しています。スマートフォンやパソコンから医師の診察を受けられ、処方されたお薬はご自宅へ配送されるため、薬局に行く必要もありません。
忙しくて医療機関に足を運ぶ時間がない方や、近くに婦人科がない方、婦人科受診に抵抗のある方にとって便利な受診方法のひとつです。
ただし、オンライン診療を利用する場合は配送にかかる時間を考慮し、オンライン診療を利用する場合は配送にかかる時間(1〜2日程度)を考慮し、月経予定日の7〜10日前までには予約を入れておくと安心です。
初めてピルを服用する方や持病がある方は、対面での診察をおすすめする場合もあります。イベントの日程が決まったら、できるだけ早くご相談ください。なお、月経移動で処方されるお薬は自由診療となります。
| 項目 | 料金(税込) |
| 診察料 | 1,650円 |
| お薬代 | 中用量ピル(プラノバール):5,478円 低用量ピル(マーベロン):6,556円 |
| 配送料 | 550円/回 |
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
月経を遅らせる方法に関するよくある質問
月経を遅らせたい方が疑問に思いやすいポイントをまとめました。初めての月経移動に関する不安を軽減するのにご活用ください。
Q.月経移動ピルを飲んでいても、避妊効果はありますか?
月経移動を目的として中用量ピルを短期間服用する場合、避妊効果は期待できません。妊娠を避けたい場合は、コンドームなど別の避妊法をかならず併用してください。
Q.月経を遅らせようとしたのに出血してしまいました。どうしたらいいですか?
月経移動中に少量の出血がみられることは珍しくなく、多くは不正出血と考えられるため、一般的にはそのまま服用を継続します。ただし、出血が起きたという事実だけで、それが本当に不正出血なのかの自己判断は困難です。服用を続けるべきかも含めて、一度医療機関に相談してみましょう。
Q.もともと月経周期が不規則でも、月経を遅らせられますか?
月経周期が不規則な方でも、月経を遅らせること自体は可能です。ただし、次の月経予定日を正確に予測しにくいため、希望どおりに調整できない場合もあります。周期が大きく乱れている場合は、月経を遅らせるより「早める方法」のほうが調整しやすいこともあるため、普段の月経記録(アプリなど)を持参のうえで医師に相談してください。
Q.月経を遅らせる方法と早める方法は、どちらを選べばいいですか?
「急に予定が決まった」「準備期間が短い」といった場合は、多くのケースで月経を遅らせる方法(今回の月経予定日の5〜7日前からの服用)が選ばれます。一方、結婚式や試験のようにかなり前から日程が決まっており、当日はできるだけお薬のことを気にしたくない場合には、ひとつ前の月経から準備する「月経を早める方法」が向いていることもあります。どちらが適しているかは周期の安定性や体質によっても異なるため、具体的な日程が決まったら早めに医師へ相談しましょう。
月経移動で遅らせることを検討するなら早めに準備しよう
月経を遅らせたいときは、「次の月経予定日」と「月経を避けたい日程」を早めに確認し、月経予定日の5〜7日前までに医療機関へ相談しましょう。
一般的には、中用量ピルを予定日の5〜7日前から月経を避けたい期間の終わりまで毎日服用し、服用終了2〜3日後に消退出血が来るスケジュールを組みます。
遅らせられる期間は7〜10日程度が目安で、それ以上延長しようとすると不正出血などのトラブルが増えやすくなるため、必要な日数にとどめることが大切です。
すでに低用量ピルを飲んでいる方は、休薬(偽薬)期間を省いて次シートの実薬を続ける方法で月経を遅らせられる場合もありますが、服用方法を変える前にはかならず医師に確認しましょう。


