ビオチンの効果とは?
ビオチンは、糖質、脂質、アミノ酸などの代謝や、タンパク質をつくるサポートなどをしている存在ですが、それ以外にも疲労回復、肥満予防などさまざまな効果が期待できます。詳しくは以下の通りです。
エネルギーをつくるサポート
ビオチンは、体内では糖質や脂質、アミノ酸などの代謝に関わっており、エネルギーを作るサポートをしています。
糖の代謝にかかわるので、不足すると糖尿病のリスクが高まるとも言われています。
皮膚や粘膜を健やかに保つ
ビオチンはアミノ酸代謝作用によって、タンパク質を合成するサポートをしています。皮膚や粘膜はタンパク質からつくられているので、健やかな皮膚や粘膜を維持するには、ビオチンが不可欠なのです。コラーゲンもタンパク質からつくられているんですよ。
また、タンパク質は臓器や神経伝達物質といった、生命維持に重要な部分にも必要な存在です。つまり、タンパク質が不足すると、生命維持においてはそこまで重要ではない皮膚にまわされるタンパク質が減ってしまうのです。
そのほか、かゆみの原因となるヒスタミンの産生を抑える働きがあり、かゆみの改善にも効果が期待できます。
髪を健やかに保つ
髪のもととなるケラチンもタンパク質なので、健やかな髪を維持するためには、ケラチンの生成に関わるビオチンが不可欠です。
皮膚同様、タンパク質が不足すると、生命維持においてはそこまで重要ではない髪にまわされるタンパク質が減ってしまうので、ビオチンをしっかり摂っておきたいものです。
炎症防止
前述したかゆみの原因となるヒスタミンは、炎症の原因にもなります。
ビオチンは、ヒスタミンの産生を抑えたり、抗炎症物質を生成したりして、炎症防止にも役立つとされています。
疲労回復
ビオチンには乳酸を分解するはたらきがあるとされています。乳酸は血液中に存在する疲労物質なので、ビオチンによって疲労回復効果も期待できます。
肥満予防
ビオチンには、視床下部に影響を及ぼし、食欲を抑える効果が期待できます。さらに、内臓脂肪の分解を促進する効果も期待されています。
これらのことから、ビオチンは肥満予防に効果が期待できると言うことができます。
ビタミン剤としての効果
ビオチンは、ビタミン剤として病院で処方されることもあるものです。医療用医薬品の場合は以下のような病気、症状に使われます。
- 湿疹
- かぶれ
- 脂漏性皮膚炎
- ニキビ
など
ビオチンの摂取目安量
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、ビオチンの摂取目安量は、12歳以上なら男女ともに1日50µgとなっています。
ビオチンは食品から摂取できます。たとえば卵黄なら1個で65µgのビオチンが含まれており、食事から手軽にとれるので、不足することはほぼありません。
(参考)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
摂りすぎによるリスク・副作用はほぼない
ビオチンは摂取してもすぐに排泄されるので、大量に摂取しても副作用や過剰症は起こらないとされています。
逆に言えば、たくさん摂取しても体内に留まることなく、水分に溶けて体外へ排出されるため、日常的に摂取し続ける必要があるのです。
ただし、哺乳動物が妊娠中にビオチンを過剰に摂ると、胎盤や卵巣の萎縮が起こるという報告があるため、気になる方は担当医に相談してみてください。
不足することもあまりない
ビオチンは含まれている食べ物が多く、しかも腸内細菌からも産生されているため、普通の食事をとっていれば不足することはほとんどありません。
ただし、以下のような体質や持病、服薬状況などによっては不足することがあります。
- 極端な偏食
- 生の卵白の大量摂取
- 胃腸障害、慢性下痢症などの消化器の病気
- 先天性代謝異常症
- 抗菌薬、サルファ剤の服用
- 抗てんかん剤(フェニトイン、プリミドン、カルバマゼピン)の長期服用
- 長期間の血液透析
- 長期間静脈から栄養を取り入れている
不足すると生じる症状
ビオチンが不足すると、糖の代謝に必要なオキサロ酢酸がつくられなくなり、乳酸アシドーシス(血中の乳酸が過剰になり、血液が酸性になる)になることがあります。
また、以下のような症状が現れることもあります。
- 皮膚炎(皮膚が乾いた鱗状になる)
- 萎縮性舌炎(舌の表面の突起が萎縮し、舌の上皮が薄くなり、暗赤色になる)
- 顔面蒼白
- 食欲不振
- むかつき
- 吐き気
- 胸の痛み
- 憂うつ感
- 性感の異常
など
以下のような病気のリスクも高まると言われています。
- リウマチ
- シェーグレン症候群(涙腺や唾液腺といった全身の外分泌腺が慢性的に炎症し、乾燥症状が生じる病気)
- クローン病(口から肛門までの消化管に炎症や潰瘍が生じるようになる病気)
- その他の免疫不全症
- 糖尿病
など
ビオチンが多く含まれる食べ物は?
ビオチンは、レバー、卵黄、キノコ類、ナッツ類、豆類、穀類などに多く含まれますが、野菜や果物のビオチン含量は少なめな傾向があります。
なお、加熱しても分解されないので、調理方法を問わないという点がメリットです。
ビオチンを多く含む食材は以下の通りです。
分類 | 食品 | 100gあたりのビオチン含有量 |
肉 | 鶏レバー(生) | 230μg |
豚レバー(生) | 80μg | |
牛レバー(生) | 76μg | |
卵 | 卵黄(生) | 65μg |
全卵(焼き) | 27μg | |
きのこ類 | 乾燥しいたけ | 41μg |
まいたけ(ゆで) | 22μg | |
マッシュルーム(ゆで) | 12μg | |
豆類・ナッツ | 落花生(炒り) | 110μg |
ヘーゼルナッツ(フライ・味付け) | 82μg | |
大豆(炒り) | 27μg | |
納豆 | 18μg | |
海藻類 | 焼きのり | 47μg |
刻み昆布 | 12μg | |
野菜 | ドライトマト | 43μg |
ブロッコリー(焼き) | 23μg | |
むらさきいも(蒸し) | 6μg | |
魚介類 | まがれい(焼) | 27μg |
アンチョビ | 22μg | |
穀類 | キヌア | 23μg |
オートミール | 22μg | |
果物 | アサイー | 14μg |
ドリアン | 5.9μg |
(参考)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ビオチンの上手な摂り方
ビオチンを多く含む食べ物を積極的に食べるだけでなく、以下のようなポイントを抑えることで、より効率よく効果が得られるでしょう。
バランスの良い食事を心がける
野菜中心の食生活は健康に良いと思われがちですが、ビオチンが不足しやすくなります。そのため、肉や魚、卵、穀類、きのこなど、幅広い種類の食材を取り入れることがポイントです。
ビタミンB群も同時に摂る
ビタミンB群はそれぞれが助け合いながら働いているため、一緒に摂ることで相乗効果が期待できます。
以下のような食材も積極的に摂りましょう。
栄養素 | 食品 |
ビタミンB1 | 豚肉、うなぎなど |
ビタミンB2 | レバー、うなぎ、納豆など |
ビタミンB6 | まぐろ、豚肉、かつお、鶏むね肉、バナナなど |
ビタミンB12 | しじみ、あさり、のり、レバー、いくらなど |
パントテン酸 | レバー、納豆など |
葉酸 | レバー、のりなど |
ナイアシン | たらこ、まぐろ、落花生など |
腸内環境を整える
ビオチンは腸内の善玉菌によっても生成されるため、腸内環境を整えることも大事です。以下のようなことを心がけましょう。
- 規則正しい生活リズムを心がける
- 善玉菌として働く乳酸菌(ヨーグルトや発酵食品)を毎日摂る
- 食物繊維(野菜、海藻など)を毎日摂る
サプリメントもひとつの方法
忙しかったりして、どうしても食事に時間がかけられないような場合は、サプリメントを使うのも一つの方法です。
ただし、サプリメントは過剰摂取のリスクもあるため、用法用法を守りましょう。
喫煙は控える
喫煙によってビタミンB群などの栄養素が分解されると言われています。ビオチンも分解されてしまうので、喫煙は控えるのがおすすめです。
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※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
※自由診療