ビタミンAの効果とは?摂取量の目安や取り入れ方を詳しく解説!

ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種です。体内では、皮膚、粘膜、目の健康を維持する重要な存在であり、美容成分としても人気が高いです。

この記事では、ビタミンAの効果や摂取量、取り入れ方などについて詳しく解説します。

ビタミンAとは?

ビタミンAは、油に溶ける性質を持つ脂溶性ビタミンの一種です。レチノール、レチナール、レチノイン酸(トレチノイン)、レチニルエステルなどの総称でもあります。

なお、β-カロテン(ベータカロテン)という栄養素の名前を聞いた事がある方は多いと思いますが、こちらもビタミンAの仲間。βカロテンはプロビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれ、小腸でビタミンAに変換されるものです。

ビタミンAの効果とは?

ビタミンAの主要な成分はレチノールであり、皮膚、粘膜、目の健康を維持するのに役立っています。また、抗酸化作用があり、美肌などにも良い成分です。詳しく見ていきましょう。

基本的な効果

ビタミンAの基本的な効果としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 皮膚や目の粘膜を健やかに維持する
  • 抵抗力を高める
  • 暗いところでの視力を保つ
  • 発がん物質の働きを軽減する

美容効果

ビタミンAは、美容効果が期待できる成分としても注目されています。詳しくは以下の通りです。

肌のターンオーバーを促進する

ビタミンAは肌のターンオーバーを促進します。古くなった角質がどんどん生まれ変わるので、シミ、くすみ、皮膚のごわつき、小じわ、毛穴の詰まり、黒ずみ、ニキビ跡などの改善が期待できます。

ヒアルロン酸・コラーゲンの合成を促進

ヒアルロン酸やコラーゲンの合成を促進することで、肌のうるおいやハリ、弾力の効果が期待できます。しわやたるみに悩んでいる方は、ビタミンAによって改善できるかもしれません。

プロビタミンA「β-カロテン」の効果の強さは?

プロビタミンAであるカロテンには、α-カロテン(アルファカロテン)、γ-カロテン(ガンマカロテン)、クリプトキサンチンなどがあります。

中でも効率よくビタミンA(レチノール)に変換され、ビタミンAとしての効果が高いのはβ-カロテンです。

ただ、吸収効率や、ビタミンAへの変換率をふまえると、β-カロテンの効果はレチノールの6分の1程だと考えられています。

ビタミンAの1日の摂取量

ビタミンAに関する数値を出すときは、ビタミンA(レチノール)だけでなく、プロビタミンAも全て合わせて算出する「レチノール活性当量(RAE)」を用います。

レチノール活性当量(μgRAE)=レチノール(μg)+β-カロテン(μg)×1/12+α-カロテン(μg)×1/24+β-クリプトキサンチン(μg)×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)×1/24

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ビタミンAの1日の摂取推奨量と耐容上限量は、以下のようになっています。

男性女性
推奨量(μgRAE)耐容上限量(μgRAE)推奨量(μgRAE)耐容上限量(μgRAE)
18~29歳85027006502700
30~49歳900700
50~64歳900700
65~74歳850700
75歳以上800650

なお、妊娠後期の推奨量は、上記に加えて+80μgRAE、授乳中の推奨量は+450μgRAEとされています。

(参考)

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

ビタミンAを摂りすぎるとどうなる?

ビタミンAを摂りすぎると、以下のような症状が生じることがあります。

  • 頭痛
  • めまい
  • 悪心
  • 頭蓋内圧亢進症(頭蓋骨内部の圧力が上がり、頭痛などの症状が出る)
  • 皮膚がはがれ落ちる
  • 口唇炎
  • 脱毛症
  • 食欲不振
  • 筋肉痛など

また、一時的に過剰になった時は、脳脊髄液圧(脳と脊髄と、これらを包む硬膜の間にある液体の圧)が上昇することがあります。

ただ、普通に食事をとっている分には、ビタミンAが過剰になることはありません。ビタミンAが過剰になるケースとしては、レバーの食べすぎや、サプリメントの摂取が挙げられます。サプリメントは用法用量をしっかり守りましょう。

プロビタミンAの摂りすぎは気にしなくてよい

β-カロテンなどのプロビタミンAの摂りすぎは気にしなくてよいとされています。プロビタミンAは必要に応じてビタミンAに変換されるため、摂りすぎてもビタミンAが過剰になることはないのです。

ただし、β-カロテンなどのカロテノイドを摂りすぎると、柑皮症になります。これは指などが黄色くなるといった症状が出るもので、食べる量が減ればすぐに治ります。

ビタミンAが不足するとどうなる?

ビタミンAが不足すると、以下のような症状や病気が生じることがあります。

  • 暗順応障害、夜盲症(薄暗いところでものが見づらくなる)
  • 光がまぶしく感じる
  • 目の角膜などが乾燥し、角質化する
  • 目が乾く
  • 皮膚や粘膜の乾燥、肥厚、角質化
  • 爪が弱くなる
  • 脱毛しやすくなる
  • 胃腸が弱くなる
  • 下痢
  • 肝硬変
  • 風邪、感染症にかかりやすくなる
  • 骨折しやすくなる
  • 成長障害(子供)

ビタミンAの取り入れ方

ビタミンAは、食べ物やサプリメント、スキンケアアイテムなどから取り入れる方法があります。

食べ物から取り入れる

ビタミンAは動物性食品(レバーなどのお肉、乳製品、魚など)に多く、プロビタミンAは緑黄色野菜などに多く含まれています。

食品100gあたりの含有量(レチノール活性当量)
あん肝(生)8300μgRAE
干しのり3600μgRAE
ほたるいか(ゆで)1900μgRAE
うなぎ(かば焼き)1500μgRAE
にんじん(冷凍の油炒め)1100μgRAE
まぐろ(焼き)1100μgRAE
フォアグラ(ゆで)1000μgRAE
あなご(蒸し)890μgRAE
青汁(ケール)860μgRAE
もろへいや(生)840μgRAE

(参考)

https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html

サプリメントを利用する

十分な量のビタミンAを食べ物だけからとるのはなかなか大変ですよね。忙しい方や、栄養不足を感じている方は、サプリメントを使うのも一つの方法です。

スキンケアアイテムを使う

レチノールやトレチノインといった成分を配合したスキンケアアイテムもあります。ただし、トレチノインは市販されておらず、医師に処方してもらう必要があります。美容皮膚科などの受診を検討しましょう。

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※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。

参考文献

  1. 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)
  2. 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年