ピル服用中にお酒を飲んでも大丈夫?|基本的な考え方
適量の飲酒であれば避妊効果に影響は少ないとされていますが、飲み方やタイミングによっては注意が必要な場合もあります[1]。
ここでは、ピルと飲酒の基本的な関係を確認していきます。
適量の飲酒であればピルの避妊効果に影響はないと考えられている
低用量ピルの服用中にお酒を飲んでも、適量であればお薬の避妊効果や治療効果に直接的な影響はないと考えられています。
アルコールがピルの有効成分と直接的に相互作用して効果を弱めたり強めたりするという明確な報告はされていません。ピルの添付文書においても、飲酒に関する禁止事項は記載されていないことから、適度な量であれば飲酒は可能と考えられます[2][3][4]。
飲酒量の目安として、厚生労働省の飲酒ガイドラインに記載のある「純アルコール約20g」が参考になるでしょう[5]。
純アルコール約20gの目安は以下のとおりです。
- ビール中瓶1本(500mL):20g
- 日本酒1合(180mL):22g
- ワイングラス約1.5杯(180mL):18g
ただし、過度な飲酒はピルの効果に直接影響しなくても、嘔吐や下痢を引き起こし、間接的にお薬の吸収を妨げる可能性があります。
飲酒する日もピルの服用時間を守ることが大切なので、飲み忘れを防ぐ工夫をしたうえでお酒を楽しみましょう。
ピルは水またはぬるま湯で服用し飲酒とは時間をあける
ピルをお酒と一緒に服用することは避けてください。
アルコールとピルはどちらも肝臓で代謝されます。同時に摂取することでお薬の代謝に影響がおよぶ可能性は否定できないため、ピルはお酒ではなく水またはぬるま湯で服用してください。
ピルは水またはぬるま湯で服用し、服用後はお薬の成分が体内に吸収されるまでの2〜3時間程度は飲酒を控えるのが望ましいでしょう。
飲酒の予定がある日は、ピルの服用を済ませてからお酒を飲むようにしてください。
夜にお酒を飲む機会が多い方は、朝や昼の時間帯にピルを服用するなど、ライフスタイルに合わせた工夫が効果的です。
ただし、服用時間を変更する場合は毎日同じ時間帯を守ることが重要であるため、変更を検討する際は医師に相談することをおすすめします。
過度な飲酒はピルの効果を間接的に低下させるリスクがある
適量の飲酒であればピルの効果に直接的な影響はないものの、飲みすぎた場合は間接的にお薬の効果が低下するリスクがあります。
たとえば過度な飲酒で嘔吐した場合、ピルの服用後2時間以内であればお薬の成分が十分に吸収されていない可能性があります。
また、激しい下痢が続いた場合も同様に、腸管でのお薬の吸収が妨げられることがあるでしょう。
さらに、酔いが回って服用時間を忘れてしまう飲み忘れのリスクも、過度な飲酒がもたらす大きな問題のひとつです。
低用量ピルは毎日決まった時間に服用することで効果を発揮するため、飲み忘れは避妊効果の低下や不正出血の原因になります[1]。
ピル服用中の飲酒は「嘔吐しない程度」「ピルを飲み忘れない程度」を意識し、適量にとどめることが大切です。
ピル服用中の飲酒と血栓症リスクの関係
ピルを服用していない方と比べて、ピル服用中は血栓症(血管内に血液の塊<血栓>が形成され血流が障害される疾患)のリスクが上昇することが知られています[1][2][3][4]。
血栓症は、マーベロン・ラベルフィーユ・ファボワールなどの添付文書でも重大な副作用として記載されています[2][3][4]。
このリスクがある状態で過度な飲酒が重なると、さらに注意が必要です。詳しく解説します。
アルコールの利尿作用による脱水が血栓症リスクを助長する可能性がある
お酒を飲むと、アルコールの利尿作用によって体内の水分が通常より多く排出されます[1]。
アルコールの分解にも水分が消費されるため、飲酒中は思った以上に体内の水分が失われやすい状態です。
脱水が進むと血液が濃縮されてどろどろになり、血栓ができやすい環境が生まれます。
ピルで高まっているリスクに飲酒による脱水が加わることで、リスクはさらに上昇する可能性があります[1]。
飲酒中はこまめに水分を補給し、お酒と同量程度の水を意識して飲むようにしてください。
長時間の移動中の飲酒はとくに注意が必要
飛行機や新幹線などで長時間同じ姿勢を続けると、脚の血流が滞りやすくなります。
いわゆる「エコノミークラス症候群」は、これが原因の血栓症の一種です。機内や車内は湿度が低く脱水も進みやすいため、ピルを服用中に飲酒した状態で長距離移動することは避けることが大切です[1]。
移動中は水分をこまめに補給し、足首を回すなど軽い運動を取り入れてください。不安な場合は移動前に医師へ相談しておくと安心です。
飲酒による嘔吐・下痢でピルの効果が低下する可能性と対処法
ピル服用中の飲酒で気をつけたいのが、嘔吐や下痢によるお薬の吸収不良です。
お酒を飲みすぎると胃腸が刺激され、嘔吐や下痢を起こすことがあります。ピルの服用後まもないタイミングでこうした症状が出ると、お薬の成分が十分に体内へ吸収されない可能性があるでしょう。
ここでは、嘔吐・下痢が起きた場合の具体的な対処法を確認していきます。
服用後2時間以内の嘔吐・下痢は追加で1錠の服用を検討する
お酒を飲みすぎて嘔吐や下痢が起きた場合、ピルの服用からどれくらい時間が経過しているかによって対応が変わります。
詳しい状況と対応方法は、以下のとおりです[1]。
| 状況 | 対処法 |
| 服用後2時間以内に嘔吐 | できるだけ早く追加で1錠服用する |
| 服用後2時間以上経過後の嘔吐 | お薬はすでに吸収済みのため追加不要 |
| 嘔吐や激しい下痢が24時間以上続く場合(2日分の吸収不良が懸念される) | 症状がおさまったら服用を再開したうえで、7日間はコンドームなどほかの避妊法を併用する |
| 嘔吐や激しい下痢が3日以上続いた場合 | 現在のシートを終了し、自然に次の生理が来てから新しいシートで服用を再開する。判断に迷う場合は医師に相談する |
嘔吐が1回でおさまり追加の1錠を問題なく服用できた場合は、翌日からはいつもどおりのスケジュールでお薬を続けて問題ありません。
軟便程度の下痢であれば吸収への影響は少ないとされていますが、水様便のような激しい下痢の場合は吸収が不完全である可能性があります。
判断に迷う場合は自己判断せず、ピルの処方を受けた医師に確認しましょう。
嘔吐・下痢が続く場合は7日間ほかの避妊法を併用する
嘔吐や下痢が24時間以上続く場合は、ピルの吸収が不十分な状態が続いている可能性があります。
このような場合はピルの飲み忘れと同じ扱いとなり、症状がおさまったら服用を再開し、その後7日間はコンドームなどほかの避妊法を併用してください[1]。
なお、嘔吐や下痢が3日以上続いた場合は、現在のシートを終了し、自然に次の生理が来てから新しいシートで服用を再開する対応が必要になることがあります。判断に迷う際は自己判断せず、医師に相談しましょう。
飲酒量が多いと嘔吐や下痢が起こりやすくなるため、ピル服用中の飲みすぎには十分注意しましょう。
酔ってピルを飲み忘れた場合の対処法
飲酒時にとくに注意したいのが、お酒に酔ったことによるピルの飲み忘れです。
酔いが回って服用を忘れてしまうと、避妊効果が低下するだけでなく、不正出血の原因にもなります[1]。
| 状況 | 対処法 |
| 1日(1錠)の飲み忘れ | 気づいた時点で1錠服用し、その後は予定どおり継続 |
| 2日連続(2錠)の飲み忘れ | 気づいた時点で2錠まとめて服用し、その後は予定どおり継続。本来の避妊効果を得るには7日間の連続服用が必要なため、7日間はコンドームなどほかの避妊法を併用する |
| 3日以上の飲み忘れ | 現在のシートを終了し、自然に次の生理が来てから新しいシートで服用を再開する。飲み忘れていた期間に避妊が不十分な性交渉があった場合は、アフターピルの服用も検討する |
飲み忘れを防ぐには、飲酒の予定がある日は外出前にピルを服用しておく方法が推奨されます。
スマートフォンのアラームを活用して毎日同じ時間に通知が届くように設定しておくのも、飲み忘れ対策としておすすめです。
アフターピル・中用量ピルと飲酒の注意点
低用量ピルだけでなく、アフターピルや中用量ピルを服用するときにも飲酒には注意が必要です。
これらのお薬は低用量ピルよりもホルモンの含有量が多く副作用が出やすいため、飲酒によって吐き気が増強されたり嘔吐したりすると、お薬が十分に吸収されないリスクがあります。
それぞれ注意すべきポイントが異なるため、確認しておきましょう。
アフターピル服用後は飲酒を控えることが望ましい
アフターピルは避妊に失敗した際に緊急で服用するお薬で、性交後できるだけ早い服用が必要です。
おもな副作用として吐き気があげられ、飲酒はこの吐き気をさらに悪化させる可能性があります。
服用後2時間以内に嘔吐してしまうと、お薬の成分が十分に吸収されず避妊効果が得られない可能性があるため、アフターピルを服用した後はお薬の成分が吸収されるまで飲酒を控えることが望ましいです。
飲酒した状態でアフターピルが必要になった場合は、医師に飲酒の状況を正直に伝えたうえで服用のタイミングについてアドバイスを受けてください。
中用量ピルは副作用が出やすいため飲酒にとくに注意する
中用量ピルは低用量ピルよりもエストロゲンの含有量が多いため、吐き気や頭痛などの副作用が出やすいとされています。
飲酒をすると肝臓でのお薬の分解に影響がおよび、副作用がさらに強くあらわれる可能性があります。
とくに注意したいのが副作用の吐き気とアルコールによる嘔吐が重なるケースで、お薬の成分が十分に吸収されず期待する効果が得られないかもしれません。
中用量ピルを服用中は低用量ピル以上に飲酒量を控え、服用の前後は飲酒を避けることが推奨されます。
ピルの処方や飲酒の不安があるならオンライン診療で相談できる
クリニックフォアのオンライン診療では、ピルの処方や副作用に関する相談が初診から可能です。
予約から診察・処方までスマートフォンひとつで完結し、処方されたお薬は自宅まで届くため、医療機関に足を運ぶ必要がありません。
「ピル服用中のお酒との付き合い方を相談したい」「別の種類のピルに変えたい」といった具体的な悩みも、画面越しに医師へ直接相談できます。
ただし、血栓症を疑う症状がある場合はオンライン診療ではなく、対面で医療機関を受診してください。
ピル服用中の飲酒や副作用について不安がある方は、まずオンライン診療で医師に相談することを推奨します。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
ピル服用中の飲酒に関するよくある質問
ピル服用中の飲酒についてよく寄せられる疑問をまとめました。
不安点を解消し、正しく服用しましょう。
Q1:ピルを飲んでいてもビールやワインを1〜2杯飲んで大丈夫ですか?
低用量ピルの服用中でも、1〜2杯程度の適量であればお薬の効果に直接的な影響はないと考えられています。
ただし、ピルをお酒で服用することは避け、服用後2〜3時間程度は飲酒を控えるようにしましょう。
飲みすぎによる嘔吐や飲み忘れには十分注意してください。
Q2:ピルを飲んだ後にお酒を飲んで吐いてしまったらどうすればいいですか?
服用後2時間以内に嘔吐した場合は、お薬の成分が十分に吸収されていない可能性があるため、症状がおさまったらできるだけ早くもう1錠を追加で服用してください[1]。
2時間以上経過していた場合はすでに吸収済みと考えられるため、追加の服用は不要です。
Q3:ピル服用中にお酒を飲むと血栓症になりやすくなりますか?
低用量ピルの服用中は、血栓症のリスクが通常より高い状態にあります[1]。
過度な飲酒はアルコールの利尿作用により脱水を引き起こし、血流が悪化することで血栓症リスクをさらに高める可能性があります。
飲酒中はこまめに水分を補給し、長時間同じ姿勢でいることを避けてください。
Q4:アフターピルを飲んだあとはいつからお酒を飲めますか?
お薬の成分が吸収される服用後2〜3時間までは、飲酒を控えることが望ましいです。
アフターピルは吐き気の副作用が出やすく、飲酒で症状が悪化したり嘔吐によってお薬が吸収されなかったりするリスクがあるためです。
不安な場合は医師に相談し、服用後の過ごし方についてアドバイスを受けてください。
まとめ
低用量ピルを服用中でも、適量であれば飲酒によるお薬の効果への直接的な影響はないと考えられています。ただし、ピルをお酒で服用することは避け、服用後はお薬の成分が吸収されるまで2〜3時間程度は飲酒を控えることが望ましいでしょう。
過度な飲酒はアルコールの利尿作用による脱水を引き起こし、ピル服用中にとくに注意が必要な血栓症のリスクを高める可能性があります[1]。
飲みすぎによる嘔吐がピルの服用後2時間以内に起きた場合は、お薬の成分が十分に吸収されていない可能性があるため、症状がおさまったら追加で1錠の服用を検討してください[1]。
24時間以上にわたって嘔吐や激しい下痢が続く場合は、飲み忘れと同様の対応が必要です[1]。
アフターピルや中用量ピルは低用量ピルよりも副作用が出やすく飲酒の影響を受けやすいため、服用前後の飲酒は控えることが望ましいです。
飲酒する日は事前にピルを服用しておく、飲酒中はこまめに水分を補給するなどの対策を心がけましょう。
ピルの服用や飲酒について不安がある場合は、自己判断で対処せず、クリニックフォアのオンライン診療で医師に相談することをおすすめします。


