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ゾフルーザとは?1回の服用で治療が完了する抗インフルエンザ薬
ゾフルーザは、2018年3月に発売された比較的新しい抗インフルエンザ薬です。
最大の特徴は、1回の服用で治療が完了する点にあります。
従来のタミフルが1日2回を5日間服用する必要があるのに対し、ゾフルーザは1回飲むだけで済むため、飲み忘れの心配が少なくなります。
ここでは、ゾフルーザの基本情報や作用の仕組みについて詳しく解説します。
ゾフルーザの基本情報と有効成分
ゾフルーザの有効成分は「バロキサビル マルボキシル」です。
塩野義製薬が開発した国産のお薬であり、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたことでも注目を集めました[1]。
剤形は錠剤(10mg錠・20mg錠)と顆粒があり、錠剤が飲み込みにくい方や小児には顆粒が処方されることがあります。
処方箋が必要な医療用医薬品のため、医療機関を受診して処方を受ける必要があります。
従来の抗インフルエンザ薬とは異なる新しい作用の仕組み
ゾフルーザは「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬」という新しい分類に属するお薬です。
従来のタミフルやリレンザなどの「ノイラミニダーゼ阻害薬」とは作用の仕組みが異なります。
ノイラミニダーゼ阻害薬は、細胞内で増殖したウイルスが細胞の外に出ることを阻害するのに対し、ゾフルーザはウイルスが細胞内で増殖すること自体を抑制します[1]。
この新しい作用の仕組みにより、ウイルスの増殖をより早い段階で抑えられることが期待できます。
A型・B型インフルエンザどちらにも効果がある
ゾフルーザは、A型およびB型インフルエンザウイルス感染症の両方に効果があります。
臨床試験では、ゾフルーザを服用することで、インフルエンザの症状が改善するまでの時間が1〜2日程度短縮されることが確認されています[1]。
また、服用後のウイルス排出期間がタミフルと比較して短いことも報告されており、周囲への感染拡大を抑える効果も期待できるでしょう。
ただし、お薬の効果には個人差があるため、服用後も症状が改善しない場合は医師に相談することが大切です。
ゾフルーザとタミフル・イナビルの違いを比較
インフルエンザの治療薬には、ゾフルーザ以外にもタミフルやイナビルなどがあります。
それぞれ特徴が異なるため、患者さんの状態や希望に応じて選択されます。
ここでは、ゾフルーザとタミフル・イナビルの主な違いについて解説します。
主な抗インフルエンザ薬の比較
ゾフルーザとタミフル・イナビルでは、ウイルスに対する作用の仕組みや服用方法が異なります。
以下の表で各薬剤の特徴を比較します。
| 項目 | ゾフルーザ | タミフル | イナビル |
| 剤形 | 内服(錠剤 ・顆粒) | 内服(カプセル ・DS) | 吸入 |
| 服用回数 | 1回 | 1日2回×5日間 | 1回 |
| 作用の仕組み | エンドヌクレアーゼ阻害 | ノイラミニダーゼ阻害 | ノイラミニダーゼ阻害 |
| ウイルス排出期間 | 24時間(中央値) | 72時間(中央値) | ― |
| ジェネリック | なし | あり | なし |
ゾフルーザは1回の服用で治療が完了するため、飲み忘れの心配が少なく利便性に優れています。
また、ウイルスの排出期間が短いため、周囲への感染を広げるリスクを抑えられる可能性があります[1]。
イナビルも1回で治療が完了しますが、吸入薬のため正しく吸入できないと十分な効果が得られない場合があります。
タミフルは5日間の服用が必要ですが、ジェネリック医薬品があるため費用を抑えたい方に選ばれています。
ただし、いずれのお薬を服用しても、症状が改善しても学校や職場への復帰は、発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過してからとなります。
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ゾフルーザの服用方法と用量【年齢・体重別】
ゾフルーザの用量は、年齢や体重によって異なります。
医師から指示された用量を守り、正しく服用することが大切です。
ここでは、年齢・体重別の服用量と、服用タイミングについて解説します。
ゾフルーザは体重に応じて服用量が決まっています。
以下の表を参考にしてください。
| 対象 | 体重 | 1回服用量 |
| 12歳以上 | 80kg以上 | 80mg |
| 12歳以上 | 80kg未満 | 40mg |
| 12歳未満 | 40kg以上 | 40mg |
| 12歳未満 | 20kg以上40kg未満 | 20mg |
| 12歳未満 | 10kg以上20kg未満 | 10mg |
| 12歳未満 | 10kg未満 | 体重1kgあたり1mg(顆粒剤) |
服用は食事に関係なく行えるため、処方されたらできるだけ早く服用することが望ましいでしょう[1]。
用量について不安がある場合は、処方時に医師や薬剤師に確認することをおすすめします。
なお、12歳未満の小児への投与については耐性ウイルスの出現頻度が高いとの報告があるため、医師と相談の上で投与を検討することが重要です。
発症後48時間以内に服用することが重要
ゾフルーザは、インフルエンザの症状が現れてから48時間以内に服用することで効果を発揮します。
これは、ウイルスが増殖している初期段階でお薬を投与することで、効果的にウイルスの増殖を抑えられるためです。
症状発現から48時間を経過した場合、すでにウイルスが十分に増殖しているため、効果が得られにくくなる可能性があります[1]。
インフルエンザが疑われる症状が出たら、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。
ゾフルーザの副作用と注意点
ゾフルーザは比較的安全性の高いお薬ですが、副作用が起こる可能性もあります。
服用後に体調の変化を感じた場合は、医師に相談することが大切です。
ここでは、ゾフルーザの主な副作用と注意点について解説します。
主な副作用(下痢・吐き気など)
ゾフルーザの主な副作用として、下痢や吐き気などの消化器症状が報告されています。
臨床試験では、下痢が約1%の頻度で発現したと報告されています[1]。
これらの症状は多くの場合軽度であり、自然に回復することがほとんどです。
ただし、症状が長引く場合や強い場合は、我慢せずに医師に相談してください。
重篤な副作用(アナフィラキシー・出血)
まれではありますが、ゾフルーザには重篤な副作用が報告されています。
ショック、アナフィラキシー、虚血性大腸炎、出血(血便、鼻出血、血尿など)が重大な副作用として添付文書に記載されています[1]。
服用後に全身のかゆみ、発疹、呼吸困難、出血傾向などの症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
これらの症状は非常にまれですが、異変を感じたらすぐに対応することが重要です。
インフルエンザによる異常行動への注意
インフルエンザに罹患した際、特に小児や未成年者において異常行動が報告されることがあります。
以前はタミフルとの関連が疑われていましたが、現在では抗インフルエンザ薬の服用の有無にかかわらず、インフルエンザ罹患時に起こりうる症状であるとされています[1]。
ゾフルーザを服用した場合も同様に注意が必要であり、発熱から少なくとも2日間は保護者が目を離さないようにしましょう。
特に就学以降の小児や未成年の男性に多くみられるため、一人にしないなどの対策が大切です。
ゾフルーザの耐性ウイルス問題と現在の見解
ゾフルーザは発売当初、1回服用で済む利便性から大きな注目を集めました。
一方で、耐性ウイルスの出現が報告され、一時期は使用を控える動きもありました。
ここでは、ゾフルーザの耐性ウイルス問題と現在の見解について解説します。
2018〜2019年シーズンに報告された耐性ウイルス
ゾフルーザが本格的に使用された2018〜2019年シーズンに、耐性ウイルスの出現が報告されました。
国立感染症研究所のサーベイランスでは、ゾフルーザに対する感受性低下を示す変異を持つウイルスが検出されたことが報告されています。
特に小児において耐性ウイルスの検出頻度が高く、12歳未満の患者では約23%で検出されたとの報告もあります[1]。
この報告を受け、日本感染症学会は2019年にゾフルーザの使用についての提言を発表しました。
日本小児科学会の見解(12歳未満への推奨について)
耐性ウイルスの問題を受け、日本小児科学会は12歳未満の小児への投与について慎重な姿勢を示していました。
2019〜2022年のシーズンでは、「12歳未満の小児に対しては、現時点では積極的な投与を推奨しない」とする見解が示されていました。
低年齢になるほど耐性ウイルスの出現頻度が高くなる傾向があるため、小児への投与については慎重に検討する必要があります[1]。
小児への使用を検討する場合は、最新のガイドラインを踏まえて医師と相談することが大切です。
現在は12歳以上では他の薬と同等の推奨度
その後の調査やデータの蓄積により、ゾフルーザに対する評価は見直されつつあります。
日本小児科学会の2023/24シーズンの見解では、12歳以上の患者に対してはゾフルーザが他の抗インフルエンザ薬と同様に使用を考慮できるとされています。
耐性ウイルスは引き続き検出されていますが、流行の兆候は確認されておらず、過度に心配する必要はないとされています。
医師の指示に従って適切に使用すれば、ゾフルーザは有効な治療選択肢の一つと言えるでしょう。
ゾフルーザを服用できない人・注意が必要な人
ゾフルーザは多くの方に使用できるお薬ですが、服用を避けるべき方や注意が必要な方もいます。
安全に使用するためにも、該当する方は事前に医師に相談することが大切です。
ここでは、ゾフルーザの使用に注意が必要なケースについて解説します。
過敏症の既往歴がある方
ゾフルーザの有効成分(バロキサビル マルボキシル)に対して過敏症の既往歴がある方は、服用することができません。
過去にゾフルーザを服用してアレルギー症状が出た方は、必ず医師にその旨を伝えてください。
アレルギー症状には、発疹、かゆみ、じんましん、呼吸困難などがあります。
このような方には、タミフルなど他の抗インフルエンザ薬が選択されることになります。
妊娠中・授乳中の方
抗インフルエンザ薬はいずれも妊娠中・授乳中にも使用できますが、使用前に必ず医師に相談してください。
併用注意のお薬(ワルファリンなど)
ゾフルーザには、併用に注意が必要なお薬があります。
特に、血液をサラサラにするお薬である「ワルファリン」を服用している方は注意が必要です[1]。
ゾフルーザとワルファリンを併用すると、出血のリスクが高まる可能性があります。
現在服用中のお薬がある方は、必ず医師や薬剤師に伝えた上で処方を受けるようにしましょう。
ゾフルーザは予防投与にも使用できる
ゾフルーザは治療だけでなく、インフルエンザの予防目的でも使用することができます。
2020年11月に予防投与の効能が追加承認されました。
ここでは、ゾフルーザの予防投与について詳しく解説します。
予防投与の対象となる人
ゾフルーザの予防投与は、原則としてインフルエンザ患者の同居家族や共同生活者のうち、重症化リスクが高い方が対象となります。
具体的には、65歳以上の高齢者、慢性呼吸器疾患や慢性心疾患のある方、糖尿病などの代謝性疾患のある方などが該当します[1]。
また、受験や大切な仕事など、どうしてもインフルエンザにかかりたくない事情がある方が予防投与を希望されることもあります。
予防投与を検討している方は、医師に相談してみてください。
予防投与の効果と投与タイミング
ゾフルーザの予防投与は、インフルエンザ患者との接触後48時間以内に行う必要があります。
臨床試験では、インフルエンザ発症者の同居人にゾフルーザを投与した場合、インフルエンザ陽性となった割合は1.9%であったのに対し、投与しなかった場合は13.6%であったと報告されています[1]。
予防効果は服用日から10日間とされており、それ以降の効果は確認されていません。
予防投与を希望する場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。
予防投与は保険適用外のため自費診療となる
ゾフルーザの予防投与は、治療目的の使用と異なり保険適用外となります。
そのため、診察料やお薬代はすべて自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。
予防投与は、ワクチン接種や手洗い・マスクなどの基本的な感染対策に加えて行うものであり、これらの対策に代わるものではありません。
費用や効果を踏まえた上で、医師と相談して予防投与を検討してみてください。
インフルエンザの予防内服薬はクリニックフォアで
インフルエンザの予防内服薬をご希望の方は、クリニックフォアのオンライン診療をご利用ください。
クリニックフォアでは、スマートフォンやパソコンから全国どこからでも診察を受けることができます。
お忙しい方や医療機関への来院が難しい方でも、自宅や職場から気軽に受診可能です。
処方されたお薬は最短当日発送でお届けいたします。
受験や大切なイベントを控えている方、ご家族がインフルエンザにかかった方など、予防内服をご検討の方はぜひご相談ください。
インフルエンザ予防内服薬のオンライン診療について、詳しくはクリニックフォアのホームページをご覧ください。
ゾフルーザに関するよくある質問
ゾフルーザは何歳から服用できますか?
ゾフルーザの錠剤は体重10kg以上の小児から使用可能です。
顆粒剤は体重10kg未満の小児にも使用できます。
ただし、12歳未満の小児では耐性ウイルスの出現頻度が高いとの報告があるため、医師と相談の上で投与を検討することが推奨されています。
ゾフルーザとタミフルはどちらが効きますか?
臨床試験では、症状改善までの時間はゾフルーザとタミフルでほぼ同等とされています。
ただし、ゾフルーザはウイルスの排出時間が短いという特徴があります。
どちらが適しているかは患者さんの状態によって異なるため、医師の判断に従ってください。
ゾフルーザにジェネリック(後発品)はありますか?
2025年12月時点で、ゾフルーザのジェネリック医薬品は発売されていません。
ゾフルーザは2018年に発売された比較的新しいお薬のため、当面はジェネリックの登場は予定されていません。
ゾフルーザは市販で購入できますか?
ゾフルーザは処方箋医薬品のため、ドラッグストアなどで市販購入することはできません。
医療機関を受診し、医師の診察を受けた上で処方してもらう必要があります。
オンライン診療でも処方を受けることが可能です。
まとめ
ゾフルーザは、1回の服用で治療が完了する新しいタイプの抗インフルエンザ薬です。
従来のタミフルやイナビルとは異なる作用の仕組みを持ち、ウイルスの増殖を早い段階で抑える効果が期待できます。
ただし、12歳未満の小児では耐性ウイルスの出現頻度が高いとの報告があるため、医師と相談の上で投与を検討することが大切です。
副作用として下痢や吐き気などの消化器症状がみられることがありますが、多くは軽度です。
妊娠中・授乳中の方やワルファリンを服用中の方は、使用前に医師に相談してください。
インフルエンザの症状が現れたら、48時間以内に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
ご自身の症状や状態に合ったお薬を選択するために、気になることがあれば遠慮なく医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
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