更年期とはいつからいつまでの時期か
「更年期」という言葉はよく耳にするものの、具体的に何歳から何歳までを指すのか、正確に知っている方は少ないかもしれません。
更年期の定義は、「閉経の前後5年ずつ、合計約10年間」とされています[1]。
「まだ早いかな」と思っていても、40代半ばを過ぎたら更年期に関する知識を持っておくと、いざ症状が出たときに慌てずに対処できるでしょう。
更年期の定義と年齢の目安
更年期とは、卵巣の機能が徐々に低下し、月経が永久に止まる「閉経」をはさんだ前後5年ずつの期間を指します[1]。
日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後であることから、更年期はおおよそ45歳〜55歳ごろが目安とされています[1]。
ただし、閉経の時期には個人差があり、40代前半で閉経する方もいれば、50代後半まで月経が続く方もいます。
45歳から56歳の間に約80%の女性が閉経を迎えるとされており、更年期は広くみると40歳〜60歳程度の幅を持つ期間と考えられています[2]。
閉経後もすぐに体が安定するわけではなく、ホルモン変化の影響は数年間続くことがあります。そのため「更年期が終わった」と感じるタイミングにも個人差があります。
更年期の年齢に個人差が生じる理由
更年期が始まる年齢に個人差が生じるのは、閉経の時期が人によって大きく異なるためです。
「友人は45歳で症状が出たのに自分はまだ何も感じない」「50代に入ってからいきなり症状が出てきた」といったケースもあるでしょう。
閉経の時期は、遺伝的な要因・喫煙習慣・体型・生活習慣などさまざまな要因が影響するとされており、同じ年齢でも体の変化には大きな違いがあります。
とくに喫煙は閉経年齢を早めることが知られており、現在喫煙している女性では、非喫煙者と比べて平均0.8〜1.7年程度早く閉経を迎えることが報告されています。また、喫煙本数が多いほど閉経が早まる傾向も示されています[2]。
更年期が始まるサインと初期症状
「これって更年期のサインなの?」と感じながらも、確信が持てずに不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
更年期が始まる際には、まず月経周期の乱れがみられることが多く、その後、体の不調や精神的な変化など、さまざまな症状があらわれるようになります。
以下の表は、更年期にあらわれやすい症状を身体面と精神面に分けてまとめたものです。
| 分類 | 主な症状 |
| 月経の変化 | 月経周期の短縮→延長、経血量の増減、不正出血[3] |
| 身体的な症状 | ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・急な発汗)・動悸・息切れ・めまい・頭痛・肩こり・腰痛・関節痛・手足のしびれ・疲れやすさ・冷え[1] |
| 精神的な症状 | イライラ・気分の落ち込み・不安感・情緒不安定・意欲の低下・睡眠の質の低下[1] |
40歳を過ぎて月経周期が不規則になってきた場合、更年期の始まりのサインである可能性があります。
ただし月経の乱れは、更年期以外にも子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因となることがあります。
出血量の異常や強い痛みがある場合は、婦人科での確認が必要です[3]。
更年期の身体的な症状:ホットフラッシュ
更年期の代表的な症状として、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗)があります[1]。
暑くないのに急に顔が熱くなる、汗が噴き出す、夜間に発汗で目が覚めるといった症状が、数分〜数十分続くことがあるのです。
このほかにも、動悸・息切れ・めまい・頭痛・肩こり・腰痛・関節痛・手足のしびれ・疲れやすさ・冷えなどがみられることがあります[1]。
更年期の精神的な症状
更年期には、身体的な症状だけでなく、精神的な症状があらわれることも少なくありません[1]。
イライラ・気分の落ち込み・不安感・情緒不安定・意欲の低下・睡眠の質の低下などが代表的な精神症状として挙げられます。
これらの症状は、女性ホルモンの低下が脳の神経伝達物質に影響を与えることや、睡眠不足・ストレス・生活環境の変化などが複合的に絡み合って起こると考えられています[1]。
「以前はこんなにイライラしなかったのに」「何をしても楽しいと思えない」「急に涙が出てくる」といった変化が続く場合は、更年期による精神症状として医師に相談することで、適切なサポートを受けることができます。
精神症状はうつ病と症状が似ているため、自己判断が難しいケースもあります。
症状が日常生活に支障をきたすほどつらい場合は、婦人科だけでなく心療内科への相談も選択肢のひとつとして考えてみるとよいでしょう。
プレ更年期とはどのような時期か
「まだ40代前半なのに体調が優れない」「生理周期が乱れてきた気がする」といった変化を感じる方の中には、いわゆる”プレ更年期”と呼ばれる状態を意識する方もいます。
ただし、プレ更年期は医学的に定義された正式な用語ではなく、メディアなどで使われ始めた言葉です[4]。
医学的には、更年期かどうかは「卵巣機能が低下しているかどうか」で判断され、生理周期が安定している段階では更年期とは言えないと考えられています[4]。
プレ更年期と呼ばれる状態の不調は、ストレスや自律神経の乱れが原因となっていることが多いとされています[4]。
更年期と似た症状がみられることもありますが、必ずしもすべてがホルモン変化によるものとは限りません[4]。
自分の体調の変化を過度に不安視せず、冷静に受け止めることが大切です。
プレ更年期が始まる年齢と体の変化
いわゆるプレ更年期と呼ばれる時期は、一般的に30代後半から40代前半にかけて意識されることが多く、この頃から卵巣機能の変化が徐々に進んでいきます。
女性ホルモンであるエストロゲンは加齢とともに緩やかに変動し、やがて閉経に向かって低下していきます。
また、卵巣内の卵胞数は加齢とともに減少していくことが知られており、こうした変化がホルモンバランスのゆらぎにつながる一因とされています。
この時期には、月経周期の変動や軽い疲労感、睡眠の質の変化、気分のゆらぎなどを感じることがありますが、これらは仕事や家庭環境などのストレスとも重なりやすく、原因を一つに特定することは難しい場合も少なくありません。
体調の変化を「年齢のせい」と決めつけるのではなく、生活全体を見直すきっかけとして捉えることが重要です。
プレ更年期と更年期の違い
一般的に「プレ更年期」と呼ばれる時期と更年期との違いは、閉経との関係性にあります。
以下の表で、プレ更年期と更年期の主な違いを比較します。
| 比較項目 | プレ更年期 | 更年期 |
| 年齢の目安 | 30代後半〜40代前半[4] | 45歳〜55歳ごろ[1] |
| 医学的な定義 | 正式な医学用語ではない[4] | 閉経の前後5年ずつ、約10年間[1] |
| 月経の状態 | 継続しているが周期に変動が出始める | 月経不順が進み、やがて閉経する |
| ホルモンの変化 | 卵巣機能はまだ保たれている | 卵巣機能の低下によりエストロゲン分泌が減少する |
| 主な症状 | 軽い疲労感・月経周期の変動・気分のゆらぎ | ホットフラッシュ・発汗・動悸・不眠など[1] |
更年期は閉経をはさんだ前後約10年間を指す医学的な概念ですが、プレ更年期はその前段階として捉えられることが多い言葉です。
一般的に「プレ更年期」と呼ばれる状態は、卵巣機能はまだ保たれており、不調の原因はストレスや生活習慣の乱れによる自律神経の乱れであることが多いとされています[4]。
一方、医学的な「更年期」は卵巣機能が低下し、生理周期が不規則になる段階を指します。
ただし、これらの症状のあらわれ方や程度には大きな個人差があり、年齢だけで一律に判断できるものではありません。
体調の変化を感じた場合は、自分の状態を客観的に把握することが大切です。
プレ更年期から始めるセルフケアのポイント
更年期に向けた体の変化は自然なものであり、完全に防ぐことはできませんが、日々の生活習慣を整えることで体調の安定につながる可能性があります。
十分な睡眠の確保、バランスのよい食事、適度な運動、ストレスのコントロールといった基本的な生活習慣は、心身の健康を維持するうえで重要です[4]。
こうした要素は、ホルモンバランスの変化に伴う不調の感じ方にも影響することが示唆されています。
更年期障害とはどのような状態か
「更年期」と「更年期障害」は同じ意味として使われることがありますが、実際には異なります。
更年期は年齢的な時期を指す言葉であり、更年期障害はその時期に起こる症状が日常生活に支障をきたすほど重くなった状態のことを指します[1]。
更年期を迎えたすべての女性が更年期障害になるわけではなく、症状が軽く済む方もいれば、日常生活に大きな影響が出るほど重症化する方もいます[1]。
自分の状態が更年期症状なのか更年期障害なのかを知ることが、適切な対処につながる第一歩になります。
更年期症状と更年期障害の違い
更年期にあらわれるほてり・発汗・イライラ・不眠などの不調を総称して「更年期症状」と呼び、これらの症状が日常生活に支障をきたすほど強くなった状態を「更年期障害」と呼びます。
以下の表で、更年期症状と更年期障害の違いを比較します。
| 比較項目 | 更年期症状 | 更年期障害 |
| 定義 | 更年期にあらわれる不調の総称[1] | 症状が日常生活に支障をきたすほど重くなった状態[1] |
| 症状の程度 | 症状はあるが日常生活は送れる | 仕事・家事・睡眠に支障をきたす |
| 治療の必要性 | 軽度の場合はセルフケアで改善することもある | 医療機関での治療が推奨される[1] |
| 受診の目安 | 軽い症状でも気になる場合は相談 | 「朝起きられない」「仕事に集中できない」「家事が手につかない」など |
「これくらいは我慢するべき」と思い込まず、つらさが続く場合は婦人科で相談することで、症状を緩和できる可能性があります。
更年期障害の症状に影響しやすい要因
更年期障害の症状の強さには、女性ホルモンの変化に加えて心理的・社会的要因も影響するとされています[1]。
ストレスを抱えやすい傾向のある方や、責任感が強く頑張りすぎてしまう方では、症状が強く感じられることがあります。
また、子どもの独立・親の介護・職場での役割の変化など、更年期と重なりやすいライフイベントによるストレスが症状に影響することもあります。
「生理痛が強い方」や「月経前症候群(PMS)の症状が強い方」では、更年期症状も比較的強く感じられることがあるとされています。
自分にこうした傾向があると感じる場合でも、早い段階で医師に相談することで、症状に応じた対応が可能となり、負担を軽減しやすくなります。
更年期障害が疑われる場合の受診のポイント
更年期障害が疑われる場合は、婦人科を受診することが基本となります[1]。
婦人科では問診のほか、必要に応じて血液検査(ホルモン値の測定)や超音波検査などをおこない、症状の原因を確認します。
ホットフラッシュ・不眠・気分の落ち込みなどが複数重なり、日常生活に影響が出ている場合は、早めに受診しましょう。
受診時には以下を整理しておくと相談がスムーズです。
- いつから症状が出始めたか
- 月経の状況(最終月経日・周期の変化・出血量の変化)
- 症状の種類と頻度
- 日常生活への影響の度合い
更年期の症状がつらいときの対処法
「更年期の症状がつらいけれど、どこに相談すればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
更年期の症状は、適切な治療やセルフケアによって緩和できる可能性があります[1]。
「年齢的なものだから仕方ない」「閉経すれば自然に治まる」と我慢し続ける必要はありません。
症状の程度や状況に応じた対処法を選ぶことで、更年期をより楽に乗り越えることができます。
婦人科への受診の目安
症状が日常生活・仕事・家事に支障をきたすようになってきたタイミングが、婦人科への受診を検討する目安のひとつです。
「ホットフラッシュがひどくて眠れない」「気分の落ち込みが続いてやる気が出ない」「動悸や息切れが頻繁に起こる」といった症状が続く、または日常生活に影響が出ている場合は早めの受診が望まれます。
受診先は婦人科が基本ですが、精神症状が強い場合は心療内科・内科へ、関節痛が強い場合は整形外科へと、症状に応じて相談先を選ぶことも有効です[1]。
受診の際は、症状の種類・出始めた時期・月経の状況などをメモしておくと、医師への説明がスムーズになります。
「大げさかな」と感じる必要はなく、気になる症状があれば気軽に相談してみましょう。
主な治療の選択肢
更年期障害の治療にはいくつかの選択肢があり、症状や体質に合わせて組み合わせていくのが一般的です。
以下の表で、主な治療法の特徴を比較しています。
| 治療法 | 特徴 | 対象・注意点 |
| ホルモン補充療法(HRT) | 低下したエストロゲンとプロゲステロンを補充し、ホットフラッシュ・発汗・腟の乾燥・性交痛などを緩和する。日本女性医学学会のガイドラインでは、ホットフラッシュや骨粗しょう症の予防・治療に対して有用性が高いとされている[4] | 年齢や乳がん・血栓症などの既往歴によって適応が異なる |
| 漢方薬(加味逍遙散 ・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸など) | 体質に合わせて処方され、ホルモン剤に抵抗がある方の選択肢[1] | HRTとの併用も可能 |
| 睡眠薬・抗不安薬 | 不眠や不安・抑うつなどの症状に応じて補助的に用いられる | 症状に応じて併用されることがある |
治療は一種類に限らず、複数の方法を組み合わせていくのが一般的であり、「どの治療が自分に合っているか」は医師と相談しながら決めることが大切です。
日常生活で取り入れたいセルフケア
更年期の症状は、日常生活のセルフケアによって緩和できる場合があります。
規則正しい生活習慣は、自律神経のバランスを整えることにつながると考えられています。
具体的には、以下のようなセルフケアがあります。
- 1日数十分程度のウォーキングなどの有酸素運動と軽い筋力トレーニング
- 大豆イソフラボンやカルシウムを意識した食事
- 毎日同じ時間に就寝・起床する睡眠リズムの確立
なお、更年期症状に似た甲状腺疾患や貧血など別の病気が隠れている場合もあるため、セルフケアだけで対処しようとせず、気になる症状が続く場合は医療機関を受診して原因を確認することが大切です[1]。
クリニックフォアで更年期・更年期障害の相談ができます
「更年期かもしれないけれど、婦人科に行くのはハードルが高い」「仕事が忙しくてなかなか受診できない」という方には、クリニックフォアのオンライン診療が便利です。
クリニックフォアでは、更年期障害に関する相談をオンラインで医師に気軽におこなうことができます。
ただし、不正出血が多い場合や、対面での超音波検査・ホルモン値の血液検査が必要と判断される場合は、近くの婦人科・医療機関への受診が必要になることがあります。
「まず話を聞いてもらいたい」という段階からの相談も可能です。
※触診・検査が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
よくある質問
Q1: 更年期は何歳から始まりますか?
更年期は一般的に45歳ごろから始まるとされており、閉経をはさんだ前後5年ずつの約10年間が更年期にあたります[1]。
日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後であるため、45歳〜55歳ごろが更年期の目安となりますが、個人差があるため40代前半から症状が出始める方もいます[1]。
Q2: プレ更年期と更年期の違いは何ですか?
「プレ更年期」は医学的に定義された用語ではなく、メディアで使われ始めた言葉とされています[4]。
卵巣機能が保たれているのに更年期に似た症状を感じる状態を指すことが多く、その原因はストレスや自律神経の乱れであることが多いとされています[4]。
一方、医学的な「更年期」は閉経の前後5年の期間を指し、卵巣機能の低下によりホットフラッシュや月経不順などの症状が現れる時期です[1]。
プレ更年期の段階から体の変化を把握しておくことで、更年期への移行をスムーズに乗り越えやすくなります。
Q3: 更年期はいつ終わりますか?
更年期が終わる目安は、閉経後5年を経過した55歳前後とされています[1]。
この時期になると多くの方でホルモンの変動が落ち着き、心身ともに安定を取り戻していきますが、症状が続く期間には個人差があります。
症状がつらい場合は「自然に終わるのを待つ」だけでなく、婦人科に相談して治療を受けることで、症状を和らげることが期待できます。
Q4: 更年期の症状は医療機関に行くほどではないと思っていますが、受診は必要ですか?
「これくらいなら我慢できる」と感じていても、日常生活・仕事・睡眠に影響が出ている場合は受診を検討することをおすすめします。
更年期の症状は適切な治療やケアによって緩和できる可能性があり、我慢し続けることで症状が悪化するリスクもあります。
また、更年期症状に似た甲状腺疾患や貧血などの別の病気が隠れている場合もあるため、一度婦人科で検査を受けて原因を確認することが大切です[1]。
まとめ
更年期は閉経をはさんだ約10年間にあたる時期で、40代後半から50代前半にかけて多くの方が経験します。
症状の出方や時期には個人差があり、月経周期の変化や体調のゆらぎがサインとなることがあります。
また、更年期症状が日常生活に支障をきたすほど強くなった場合は「更年期障害」として治療の対象となります。
症状がつらい場合は我慢せず、婦人科で相談することで、ホルモン補充療法や漢方薬などの選択肢から自分に合った対処法を選ぶことが可能です。
更年期は自然な変化であり、適切に向き合うことで負担を軽減することができます。
気になる症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。
※触診・検査が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

