二の腕のブツブツは治る?医師が教える原因と改善法

二の腕にできるブツブツが気になったことはありませんか? これは「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」と呼ばれる皮膚の状態かもしれません。その他の理由で二の腕にザラつきや赤みが出ているケースもありますが、場合によっては適切なケアや治療で改善が期待できます。 この記事では、二の腕がブツブツする原因や症状、治療法、日常生活で気をつけるべきポイントまで詳しく解説します。二の腕のブツブツでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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二の腕のブツブツは「毛孔性苔癬」?

二の腕がブツブツしている場合、可能性が高い病気は毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)です。毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)と呼ばれることもあります。

この病気は毛穴の中の毛包の細胞が変化し、角化(厚く硬くなること)することで、皮膚がブツブツとしてしまうものです。ターンオーバーの乱れによって古くなった角質が毛穴につまることも原因として考えられています。10代の3~4割が発症することがあり、珍しくはありません。

なお、他者に感染させるようなことはないので、心配しないようにしましょう。

症状

毛孔性苔癬の症状は、皮膚に小さく、やや硬いブツブツができるのが特徴です。ブツブツは薄い茶褐色をしており、ブツブツがある部分はざらざらしています。

また、左右対称に症状が出ることが一般的で、通常は赤み、かゆみなどはありません。

年齢とともに改善されることが多い

毛孔性苔癬は幼少期に発症し、思春期頃が症状のピークとなり、その後は年齢とともに改善していくことが多いです。

また、何もしなくても、中年以降には目立たなくなるケースが多いです。

原因

現在までに、毛孔性苔癬の原因はまだ明らかになっていません。しかし、遺伝的要因、ホルモンやビタミン代謝の異常、外的刺激などが関与しているとされており、複数の要因が重なることで発症する可能性が高いと考えられています。それぞれの詳細は以下の通りです。

遺伝的要因

毛孔性苔癬は家族内で発症することが多く、遺伝的な要素が大きいとされています。親や兄弟に症状がある場合、発症リスクが高まる恐れがあります。

ホルモンの影響

小児期から思春期に症状が目立つことが多いことから、ホルモン変化が関与していると考えられています。とくに、皮脂分泌や角質の代謝に影響を与えるホルモンの変動が、毛穴の詰まりを引き起こす要因となる恐れがあります。

ビタミンの代謝異常

ビタミンAなどの代謝異常が関与する可能性も指摘されています。これらのビタミンは皮膚のターンオーバー(新陳代謝)に重要な役割を果たしており、不足すると角質が毛穴に詰まりやすくなると考えられているのです。

外的刺激

摩擦や乾燥などの外的刺激も、肌のバリア機能を低下させ、症状を悪化させる要因となることがあります。衣類やタオルによるこすれや頻繁なシェービング、乾燥した環境などが続くと、角質の蓄積が進みやすくなります。

治療法

毛孔性苔癬は何もしなくても年齢とともに治ることが多いものですが、気になる場合はお薬やケミカルピーリングによる治療で改善が見込めるケースがあります。

お薬による治療

以下のような種類・成分の塗り薬を使うことがあります。

  • 保湿剤(ヘパリン類似物質など)
  • 尿素
  • サリチル酸
  • ビタミンA
  • ビタミンD3

また、漢方薬も選択肢の一つです。代表的な生薬が「ヨクイニン(ハトムギ)」。消炎作用や体内の水分のバランスを整える作用があるとされており、イボや肌荒れに効果が期待できます。その他、老廃物の排出を促進する「ドクダミ」なども効果が期待できるとされています。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、皮膚に専用の薬剤を塗ることで、古い角質を取り除き、新しい肌の再生を促す治療方法です。

毛孔性苔癬では毛穴の詰まりが原因でブツブツができるため、ケミカルピーリングによって古い角質を除去することで、肌のざらつきを改善する効果が期待できるとされています。

ケミカルピーリングの薬剤には、一般的に「グリコール酸」、「サリチル酸」、「トリクロロ酢酸(TCA)」などの成分が使用されます。これらの成分は、古い角質をやわらかくし、自然に剥がれやすくする働きがあります。ケミカルピーリング後は、肌が乾燥しやすくなるため、しっかりと保湿を行うことも大切です。

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他に考えられる原因・病気と治療法

毛孔性苔癬以外にも、二の腕にブツブツが現れる病気はあります。考えられるものや、それぞれの治療法は以下の通りです。

毛嚢炎・毛包炎

毛嚢炎や毛包炎は、毛穴に細菌が感染することで炎症が起こる病気です。摩擦や過度なシェービングなどの刺激などが原因で発生することが多く、赤みを帯びた小さなブツブツができ、場合によっては膿を持つこともあります。

肌を清潔に保つことで自然に治ることが多いですが、症状が悪化したり長引いたりする場合は、抗菌薬の外用薬・内服薬による治療や、膿を排出させる治療などが行われることがあります。

マラセチア毛包炎

マラセチア毛包炎は、カビ(真菌)の一種である「マラセチア」が毛穴で増殖し、炎症を起こす病気です。毛嚢炎と見た目が似ており、赤みを伴うブツブツができますが、細菌ではなく真菌が原因のため、治療法が異なります。

マラセチア毛包炎は、抗真菌薬の外用剤による治療が行われます。症状が重い場合は、抗真菌薬の内服による治療が検討されることもあります。

アミロイド苔癬

アミロイド苔癬(たいせん)は、皮膚の表面に「アミロイド」という異常なタンパク質が蓄積し、ブツブツと強いかゆみが現れる病気です。アミロイド苔癬のくわしい原因は明らかになっていませんが、慢性的な摩擦や刺激が関与していると考えられています。

ステロイドの外用剤や抗ヒスタミン薬の内服薬による治療が行われます。

美容領域の治療法

ここまでにご紹介したような病気ではなく、ターンオーバーの乱れなどの美容的な理由でブツブツが気になる場合は、美容医療の施術を検討するのも一つの方法です。

効果が期待できる施術としては、前述したケミカルピーリングのほかに、以下のようなものがあります。

フラクショナルレーザー

フラクショナルレーザーは、肌の表面に微細なレーザーを照射することで、皮膚の再生を促す治療法です。レーザーによってできた小さな傷を修復する過程で、新しい皮膚が生まれ、ターンオーバーが正常化されます。これにより、角質の詰まりが原因で発生するブツブツの改善が期待できます。

施術後には赤みや腫れ、微小な出血、色素沈着などがみられることがあり、約6ヶ月ほどのダウンタイムが必要とされています。

ヴェルベットスキン

ヴェルベットスキンは、ダーマペンという微細な針を使った施術と、マッサージピール(ピーリング剤)を組み合わせた治療法です。ダーマペンで肌に小さな穴を開け、その後にマッサージピールを塗布することで、有効成分が肌の奥まで浸透しやすくなり、ターンオーバーが促進されます。これにより、古い角質の蓄積によるブツブツの改善が期待できると考えられています。

施術後は一時的な赤みや腫れ、乾燥、色素沈着がみられることがあり、1週間ほどのダウンタイムが必要とされています。

二の腕にブツブツがあるときの注意点

最後に、二の腕にブツブツがあるときの注意点を見ていきましょう。

刺激を与えない

ブツブツが気になっても、つぶしたりするのはやめましょう。跡が残ったり、ばい菌が感染してひどくなったりする恐れがあるためです。

清潔を保つことは大事ですが、硬いボディタオルで強くこすったり、スクラブの入った洗浄剤を使ったりするのは避けてください。体を洗う時は、適度な洗浄力のボディーソープをしっかり泡立て、手でなでるように洗うとよいでしょう。

また、皮膚に刺激になるような素材の服も避けたほうがよいでしょう。吸湿性があって肌にも優しい綿、麻、絹などの天然素材を選ぶのがおすすめです。

ゆっくりお風呂につかる

二の腕がブツブツしている場合は角質が硬く厚くなっているため、角質がやわらかくなるよう、ゆっくりお風呂につかりましょう。

血行をよくして健やかな肌を目指すためにも、入浴は大事です。

しっかり保湿する

お風呂から出たら優しくタオルドライをして、しっかり保湿をすることも大事です。二の腕がブツブツしているときは、肌が乾燥状態であることが多いためです。

また、エアコンの風に直接当たらないようにしたり、部屋が乾燥しているときは加湿器を使ったりと工夫をしましょう。

UVケアを十分に行う

紫外線のダメージによって、肌のターンオーバーが乱れ、毛穴づまりがひどくなることがあります。

その他にも、紫外線は肌にさまざまな悪影響を与えるため、日ごろから紫外線ケアをしっかり行いましょう。

生活習慣にも注意する

二の腕のブツブツを改善するには、生活習慣にも気を配ることが大切です。

肌のターンオーバーを整え、乾燥を防ぐために、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。とくに、ビタミンAやB群、Cを含む食品や、肌の材料となるタンパク質を積極的に摂ることが重要です。

また、睡眠の質を高めることも肌の健康には欠かせません。成長ホルモンが分泌される就寝中に肌の修復が進むため、できるだけ規則正しい生活を送り、十分な睡眠時間を確保することが望ましいです。

さらに、入浴や適度な運動によって血行を促進し、新陳代謝を高めることも有効です。ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで体が温まり、血流が改善されるため、肌のターンオーバーがスムーズに行われやすくなります。運動習慣を取り入れることも代謝アップにつながるため、無理のない範囲で体を動かすことを意識しましょう。

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医師の診察を受けたい、医薬品でお肌の悩みを改善したいという方は、受診をご検討下さい。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

※自由診療

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参考文献

  1. 日本皮膚科学会|日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第 3 版)
  2. 日本皮膚科学会|Q1ケミカルピーリングとは?