面疔(めんちょう)とは?症状・原因・治療法などをわかりやすく解説

顔にニキビのような赤い腫れがあり、触ると痛い場合は、面疔(めんちょう)の可能性があります。めんちょうは細菌感染が生じているもので、自然に治ることは少ないため、早めに適切な治療を受ける必要があります。 今回は、めんちょうとはどのようなものなのかや、症状、原因、対処法、治療法などについてわかりやすく解説します。

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面疔(めんちょう)とは

面疔(めんちょう)とは、「毛包炎(もうほうえん)」または「毛嚢炎(もうのうえん)」と呼ばれる状態が悪化し、「癤(せつ)」と呼ばれる状態になったものです。毛包炎は、毛包(毛穴の内側の、毛を包み込んでいる部分)の浅い部分に細菌感染が生じたもののことを言います。

毛包炎が悪化して感染が広がり、病変が深い部分にまでおよぶと、しこりができ、炎症が強くなります。これが、せつやようです。1つの毛包に病変が生じているものがせつで、せつが悪化して複数の毛包に炎症が広がった状態をようと言います。

そして、せつの中でも、顔にあるものを特にめんちょうと呼びます。一般に、おできと呼ばれることも多いです。

毛包炎とは【定義・症状】

めんちょうの前段階である毛包炎は、毛包の浅い部分に細菌感染が生じた状態です。

紅斑(赤い斑状の湿疹)を伴う小さな膿疱(膿をもって盛り上がった皮疹)ができ、軽い痛みを伴うことが一般的です。毛包に炎症が起きているため、症状は毛穴に一致した場所に生じます。

通常は数日程度で治り、跡も残りませんが、稀に悪化してめんちょうとなることがあります。

なお、毛包炎の中でも男性の須毛部(口ひげ、あごひげ、頬ひげの生える部分)に生じるものは尋常性毛瘡(じんじょうせいもうそう)と呼ばれ、かさぶたを伴う紅斑が合体して大きくなることもあります。一般に「カミソリ負け」ととらえられることも多いものです。

面疔(めんちょう)の症状

毛包炎がめんちょうなどのせつや、ようになると、毛包炎よりも赤みや痛み、熱感が強くなります。見た目の特徴としては、半球状に盛り上がり、触れると硬いしこりのようなものを感じます。

めんちょうは数日から数週間でしこりがやわらかくなって膿瘍(皮膚の中に膿がたまった状態)になり、自然と膿が出ると症状が急激によくなることがあります。ただ、治っても跡が残ることも多いです。

また、ようになると、半球状に盛り上がった部分の頂点には、膿がたまってぽつぽつと見える部分が複数現れるのが一般的です。強い痛みのほか、発熱や倦怠感などの症状が生じることも多いです。なお、ようは項背部(首の後ろから背中あたりまで)や太ももなどにできることが多いとされています。

面疔(めんちょう)ができやすい場所

前述のとおり、悪化した毛包炎の中でも顔にできたものを面疔(めんちょう)と言います。めんちょうは、特に、鼻先、眉間などのTゾーンや、あごにできやすいとされています。

面疔(めんちょう)の原因

めんちょうの前段階である毛包炎は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌の感染によって、毛包に炎症が生じることで引き起こされるものです。これらの細菌は普段から皮膚に存在しますが、毛穴に傷やつまりがあったり、皮膚をかき壊したりすると、感染しやすくなるとされています。

感染しやすくなる具体的な原因は以下の通りです。

ムダ毛処理

皮膚や毛穴の傷の原因としては、ムダ毛処理などが挙げられます。かみそりなどを使った自己処理の回数が多い方は注意しましょう。

角栓を押し出すなどの刺激

皮膚や毛穴の傷の原因として、角栓を押し出したりするようなケアなども挙げられます。毛穴が目立つのが気になって、爪先で角栓を押し出してしまう方もいるかもしれませんが、このような行為は皮膚に傷をつけるだけでなく、さらなる毛穴目立ちにつながることもあるため避けましょう。

また、何度も洗顔したり、強くこすったりすると皮膚が傷ついたり乾燥したりして負担となり、感染しやすくなることもあります。

ステロイド外用薬

感染の原因として、ステロイド外用薬の使用も挙げられます。ステロイドは炎症を抑えるお薬ですが、同時に免疫を抑える作用を持っています。ステロイドによって皮膚の免疫が抑制されることで、感染しやすくなることがあります。

その他

そのほかに、過剰な皮脂分泌や毛穴づまりなどがあると、皮膚のバリア機能低下や細菌の繁殖につながり、細菌感染が起こりやすくなることがあります。過剰な皮脂分泌や毛穴づまりの原因としては、ストレス、食生活などの乱れ、乾燥といったものが挙げられます。

なお、せつが複数できたり、長期間にわたって繰り返しできたりする場合は癤腫症(せっしゅしょう)と呼ばれます。癤腫症の背景には、糖尿病、内臓悪性腫瘍、AIDSなどが存在するケースがあります。

面疔(めんちょう)とニキビは別物?

めんちょうとニキビは症状が似ていることもあり、混同してしまう方もいるでしょう。ニキビも毛包炎の一種とされることもありますが、別物という考え方もあるのです。詳しく見ていきましょう。

メカニズム・原因菌が違う

ニキビができるメカニズムは、皮脂の過剰分泌と毛穴のつまりが存在し、そこにアクネ菌などが繁殖することで生じるというものです。

一方、毛包炎は、皮膚の傷などから黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌といった細菌が感染して生じるもので、毛穴のつまりや皮脂の過剰分泌がなくてもできることがあります。

見た目が違うことがあり、痛みの強さも異なる

めんちょうができることはまれで、多発することはほとんどありません。見た目の違いとして、ニキビは小さいものもありますが、めんちょうは大きめという傾向があります。さらに、ニキビは白や赤色、膿をもって黄色く見えるものなど色も多彩ですが、めんちょうは赤っぽいことが一般的です。

また、めんちょうのほうが痛みが強い傾向があります。

面疔(めんちょう)と粉瘤は別物?

粉瘤(ふんりゅう)はアテロームやアテローマとも呼ばれるもので、めんちょうとは別物です。皮膚の内側が袋状になり、その中に角質や皮脂がたまってどんどん大きくなるのが特徴です。その部位に細菌が感染すると赤くはれて化膿することもあります。

粉瘤の中心には黒い点があり、強く押すとにおいと粘度の強い物質が出るのも特徴です。

また、粉瘤は、顔のほかに、首や背中、耳のうしろなどにできることが多いです。

面疔(めんちょう)を放置するとどうなる?

めんちょうを放置すると、悪化して複数の毛包に炎症が広がり、ようになることがあります。

また、細菌が脳に移行し、髄膜炎などの重大な感染症につながることが恐れられていた時代もありました。ただ、現在は抗菌薬によって適切に治療ができるようになったため、過度に心配する必要はありません。とはいえ、ひどくなる前に適切な対応や治療を受けることが大事です。

面疔(めんちょう)ができたときの対処法・注意点

めんちょうができたときは、清潔を心がけ、むやみに触ったりするのはやめましょう。市販薬が有効なケースもありますが、適切に治すためにも医療機関を受診を検討するのがよいでしょう。詳しくは以下の通りです。

肌を清潔に保つ

めんちょうができた場合は、優しく洗顔をし、清潔に保つことを心がけましょう。

スキンケアは普段通りで構いませんが、刺激を感じるような場合は使うアイテムを変えたり、患部を避けたりするなど、工夫してください。

めんちょうを触ったりつぶしたりしない

めんちょうを触ったりつぶしたり、中の膿を出そうとしたりするのはやめましょう。症状が悪化し、あとが残りやすくなるためです。

紫外線対策を十分に行う

めんちょうができた状態で紫外線を過度に浴びてしまうと、炎症が悪化したり、あとになりやすくなったりします。いつも以上に紫外線対策を十分に行いましょう。

また、めんちょうを抗菌薬で治療している場合は、稀に、お薬を塗った部分に日光が当たってアレルギー反応が引き起こされることがあるため注意してください。

市販薬を使う

抗菌成分や抗炎症成分の入った市販薬を使うのも一つの方法です。

ただし、皮膚にできるできものは、めんちょうや毛包炎以外にも、ニキビなどさまざまなものがあり、自己判断で見分けることは難しいです。市販薬では治らなかったり、適切な成分を選ぶことができずかえって悪化してしまったりすることも考えられるため、注意しましょう。

医療機関で治療を受ける

めんちょうは自然に治ることもありますが、あとが残ることも多いです。そのため、できるだけ早く、きれいに治るように、医療機関で適切な治療を受けるとよいでしょう。

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面疔(めんちょう)の治療法

めんちょうは皮膚科で治療を受けられることが一般的です。まずは抗菌薬の内服を行うケースが多いでしょう。抗菌薬にもさまざまな種類がありますが、めんちょうの場合はセフェム系の抗菌薬を使うことが多いです。セフェム系の抗菌薬は、細菌が生きるのに欠かせない細胞壁という部分の合成を阻害し、細菌を殺すお薬です。重症の場合は点滴を行うこともあります。

また、膿瘍ができている場合は麻酔をかけて切開し、膿を排出する必要があるケースもあります。

毛包炎の治療法

めんちょうにいたっていない毛包炎の場合は、清潔にしたり、アダパレン外用薬(毛穴のつまりを改善するお薬)を使ったりすることで治療が可能です。ただし、数が多い場合は抗菌薬の外用や内服が必要になることもあります。

いずれにしても、早めに治療を受けることで、めんちょうを予防することにつながるでしょう。

面疔(めんちょう)の予防法

めんちょうを予防するためには、入浴や洗顔を毎日行い、皮膚の清潔を保つことが大事です。また、ムダ毛処理やひげそりをするときは手や道具を清潔にし、クリームなどで皮膚を保護しながら行いましょう。自己処理の回数はできるだけ減らすのが望ましいです。

なお、めんちょうの原因となる黄色ブドウ球菌は鼻の周りに特に多いので、鼻を触る癖がある方は改めるとよいでしょう。

皮膚のお悩みはクリニックフォアの美容皮膚オンライン診療へ

めんちょうができることは稀なので、顔のできものが気になる場合はまずニキビが疑われるでしょう。

クリニックフォアでは、医学的効果のある外用薬や内服薬を使って肌悩みにアプローチする美容皮膚オンライン診療を行っています。

ニキビ、肌荒れのほか、乾燥、シミ、くすみ、色素沈着、シワ、たるみなど、さまざまなお悩みに適したお薬を用意しています。お肌のお悩みをお薬で改善したい方は、まず受診をご検討ください。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

※自由診療

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参考文献

  1. あたらしい皮膚科学:第3版
  2. あたらしい皮膚科学:第3版