顔ダニは誰の顔にもいる?皮膚に与える影響や対策を詳しく解説

なかなか治らないニキビ、もしかすると「顔ダニ」のせいかもしれません。顔ダニは私たちの皮膚によく存在するものですが、増えすぎると肌トラブルを引き起こすことがあるのです。この記事では、顔ダニによる症状や対策、治療法などを詳しく解説します。

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顔ダニって何?

顔ダニとは、その名の通り人間の顔に存在するダニのことです。「Demodex folliculorum(和名:ニキビダニ)」と「Demodex brevis(和名:コニキビダニ)」の2種類が生息しているとされています。ごく小さいうえに、ほぼ透明なため肉眼では見えません。

また、顔ダニはほぼ全ての成人に常に存在するとされています。文献によって、成人半数や、100%と数字は異なるものの、多くの人が保有しているという結果が出ているほどです。また、乳幼児は数が少ないか、存在しないとされていますが、成人からの頬ずりなどの皮膚接触によって感染する恐れがあります。

顔ダニが引き起こす主な症状

顔ダニは通常、皮膚に悪影響を及ぼすことはありません。主に顔の毛穴に生息し、皮脂や古くなった角質などをエサとしており、むしろ余分な皮脂や雑菌を食べることで、肌のコンディションを整える役割も果たしています。しかし、何らかの理由で顔ダニが異常に増殖すると、肌トラブルの原因になるのです。

たとえば、顔ダニが増えすぎると、ニキビに似た症状などが現れることがあります。まずは顔ダニによる症状について知っておきましょう。

顔ダニの異常増殖による「毛包虫性ざ瘡」

顔ダニが過剰に増えることで生じる代表的な症状が「毛包虫性ざ瘡」です。

ニキビ(尋常性ざ瘡)に似た赤いブツブツのほか、かゆみ、ひりつきが生じたり、さらには「酒さ(しゅさ)」と呼ばれる赤ら顔の状態になったりすることもあります。

顔ダニとニキビの違いは?

顔ダニ由来の肌トラブルの場合、主な症状として小さく赤い湿疹が挙げられます。かゆみを伴うことが多く、湿疹ができる範囲は限定的です。

一方、一般的なニキビでは、毛穴のつまり(コメド)や炎症、膿など、症状の進行度によってさまざまな症状が現れます。皮脂分泌が活発なTゾーンや頬のほか、体にも広がることがあるのも特徴です。

ただし、見た目だけで両者を区別するのは難しいでしょう。顔ダニの特徴とされるかゆみも、ニキビの炎症によって現れることがあるためです。

ただ、毛包虫性ざ瘡は多くの場合、通常のニキビ治療では改善しません。治療が長引く傾向があるだけでなく、口囲皮膚炎(口の周りや顎の赤い発疹)、眼瞼炎(まぶたの縁の炎症)など、他の皮膚炎を引き起こすこともあります。

そのため、市販のニキビ薬や皮膚科でのニキビ治療で症状が改善しない場合は、顔ダニの異常増殖を疑う必要があります。

顔ダニが増える原因は?

顔ダニが異常に増える背景には、過剰な皮脂分泌が大きく関わっています。皮脂は顔ダニのエサになるため、皮脂が増えれば増えるほど、顔ダニも増殖しやすくなるといえるのです。では、なぜ皮脂分泌が過剰になるのか、主な原因を見ていきましょう。

誤ったスキンケア

メイクの落とし残しは顔ダニのエサの一つです。特にクレンジング剤の洗浄力が弱すぎたり、流し残しがあったりすると、顔に汚れが残り、顔ダニの増殖を招く恐れがあります。

ただし、クレンジング剤の洗浄力が強ければいいというわけではありません。メイクや皮脂の汚れと一緒に、皮膚に必要な皮脂までとれてしまいかねないためです。皮膚は皮脂不足による乾燥から守ろうと、皮脂分泌を活性化させます。その結果、かえって顔ダニが増える原因になるのです。同様に、熱いお湯での洗顔も、皮脂のとれすぎによる乾燥につながるため避けましょう。

自分の肌タイプに合わないスキンケア用品にも注意が必要です。たとえば脂性肌の方が乾燥肌用のアイテムを使うと、油分が過剰になる恐れがあります。スキンケア用品を選ぶ際は、自分の肌質を知ることも大切です。

マスクによる蒸れ

マスク内は呼気によって高温多湿になるうえ、皮脂分泌が過剰になるため、顔ダニが増えるのに適した環境といえるでしょう。

また、マスクを外すと角質層の水分が一緒に蒸発してしまいます。皮膚が乾燥状態になると乾燥を防ぐために、皮脂分泌が促進されます。その結果、顔ダニが増えやすくなるという悪循環に陥る恐れがあるのです。

生活習慣の乱れ

睡眠不足や偏った食事、ストレスなどは、交感神経を優位にしたり、自律神経のバランスを崩したりする原因となります。交感神経はストレスや緊急事態の際に体を整える働きがありますが、その影響で皮脂分泌も活性化されるのです。さらに、睡眠不足が続くと、肌の修復も追いつかず皮脂のバランスが崩れやすくなります。

また、脂っこいものや甘いものを過剰に摂ると、消化しきれなかった成分が皮脂として分泌されることがあります。偏った食生活は、肌の調子を整えるビタミンB群を消費させるため、皮脂バランスの乱れに拍車をかけることになるのです。

顔ダニかも?と思ったときの対処法

顔ダニの有無を自分で判断するのはとても難しいものです。かゆみやニキビのような症状がある場合、市販薬で対症療法を試みる選択肢もありますが、根本的な改善を目指すなら医療機関の受診を検討したほうがよいでしょう。

市販薬を使う

かゆみやニキビのような症状を抑える市販薬には、以下のようなお薬(成分)があります。

・クロタミトン(かゆみを抑える)

・硫黄・dl-カンフル(ニキビのような症状を緩和する)

・ビタミンB2・B6(皮脂分泌を調整する)

 など

ただし、これらはあくまで症状を和らげるものです。顔ダニによる症状を改善できるわけではないことを知っておきましょう。

購入の際は、薬剤師や医薬品登録販売者のいるドラッグストアなどで相談するとよいでしょう。使用方法や使用頻度を守って、正しく使うことも大事です。しばらく使っても改善しない場合は、皮膚科の受診を検討しましょう

皮膚科を受診する

気になる症状の原因が顔ダニなのかや、顔ダニがどのくらいいるのかなどは、自分ではまず分かりません。そのため、顔ダニの有無やどのくらいいるかを確認するには、皮膚科の受診が必要となります。

皮膚科で行う主な検査は以下の通りです。

・顕微鏡検査:赤いブツブツの部分をつまんだりこすったりして、顕微鏡で調べる

・ダーモスコピー:ダーモスコープ(ライトのついた拡大鏡のような器具)を使って患部を観察する

症状が顔ダニによるもの(毛包虫性ざ瘡)かどうか診断がつけば、飲み薬や塗り薬などのお薬の処方をしてもらえるでしょう。

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皮膚科で処方される顔ダニの治療薬

顔ダニの治療には、主に飲み薬や塗り薬が用いられます。一般的に処方されるものを、効果と併せて見ていきましょう。

イベルメクチンクリーム

顔ダニの神経や筋細胞に作用する、塗る抗寄生虫薬です。顔ダニの増殖を防ぎ、かゆみや炎症を改善します。

日本では承認されていませんが、米国のFDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)からは、酒さの治療薬として承認されており、日本でも処方を受けられるケースがあります。

メトロニダゾール

抗原虫作用や抗菌作用を持ち、酒さの治療に使われる塗り薬です。顔ダニ専用の治療薬ではありませんが、顔ダニを減らし、ニキビのような症状を緩和する効果が期待できます。

1日1~2回程度、清潔にした患部に適量を塗布します。通常、使用は12週間までとされており、それ以上は医師の判断が必要です。

イソトレチノイン

皮脂分泌を抑え毛穴つまりを防ぐ効果が期待できる飲み薬です。日本では未承認ですが、アメリカでは中程度から重度のニキビ治療に用いられ、酒さや毛穴の開き、黒ずみの改善にも効果が期待できるとされています。

こちらも日本の医療機関で処方を受けられるケースはありますが、個人輸入などで入手して、自己判断で使用するのは厳禁です。胎児の催奇形性といったリスクもあるためです。とくに、妊娠中の女性は使用できないため注意しましょう。

イオウカンフルローション

ニキビのような症状の改善に効果が期待できるローションで、前述のとおり、市販品もあります。角質を軟らかくする作用や、殺菌・殺虫作用のあるイオウと、皮膚に軽い炎症を起こして血管を広げ、患部の治癒を促すカンフル(dl-カンフル)が配合されています。

1日2回塗りますが、朝は上澄み液を、夜は振って混濁させたものを塗るという使い方をします。

ミノマイシン

ニキビなどの炎症の治療に用いられる抗菌剤の一種です。顔ダニのニキビのような症状にも改善効果が期待できますが、根治はできません。あくまで対症療法として使われるお薬です。

顔ダニの予防とセルフケア

セルフケアで顔ダニを取り除くことは困難ですが、予防につながることもあります。最後に、顔ダニを増やさないためのポイントを知っておきましょう。

皮膚の清潔を保つ

汗はこまめに拭き取りましょう。体内の熱を逃がすため、汗をかくと皮脂分泌が活発になり、顔ダニも増えやすくなるためで。清潔なタオルやハンカチで押さえるのがポイントです。

また、パフやブラシなどのメイク用品は定期的に洗うか、使い捨てにして清潔に保ちます。汗や皮脂で汚れたまま使い続けると、顔ダニだけでなく、ほかの皮膚トラブルの原因にもなります。

さらに、メイクをしたまま寝るのは厳禁です。皮脂やホコリ、酸化した油分が顔ダニやアクネ菌のエサになってしまいます。

クレンジング&洗顔方法を見直す

クレンジング剤は肌質やメイクの濃さに合ったものを選びましょう。オイルタイプは洗い流す前に乳化させるのがポイントです。手に残ったオイルに少量の水を加え白っぽくなってから顔全体に広げ、くるくると優しくマッサージします。顔全体が白くなったらぬるま湯で洗い流しましょう。

また、洗顔料はしっかり泡立てて泡で優しく洗います。こすると炎症などにつながることがあるため、こすらないことが大切です。泡立て不要で、汚れを吸着してくれるクレイタイプなどもあるため、肌タイプや好みに応じて使い分けましょう。

クレンジングや洗顔に使うのは、人肌よりややぬるい程度のぬるま湯がよいとされています。熱すぎると必要な皮脂までとれてしまいますし、冷たすぎると毛穴が閉じて汚れが落ちにくくなります。洗い流したあとは清潔なタオルで押さえるように水分を取り、こすらないよう注意しましょう。

生活習慣を改善する

皮脂バランスを整えるためには、生活習慣の見直しも重要です。睡眠不足や偏った食事、飲酒、喫煙は控えましょう。

ストレスも皮脂分泌を過剰にする原因の一つです。ストレスを完全になくすのは難しいかもしれませんが、自分に合ったストレス解消法を見つけておくことで軽減はできるでしょう。

規則正しい生活は皮膚のターンオーバー(新陳代謝)を整えることにもつながるため、美肌効果も期待できます。

顔の産毛を処理する

シェービングで顔の産毛を取り除くと、顔ダニのエサになる古い角質や皮脂汚れも一緒にオフできることがあります。また、ワックスで処理すれば皮膚表面の顔ダニも除去が可能です。ただし過度な処理は皮膚への刺激となるため注意が必要です。

医療レーザー脱毛は、美容皮膚科などの医療機関で受けられます。数回の施術が必要ですが、効果は半永久的です。医療機関を選ぶ際は、施術数や医師の経験も確認しましょう。

もしかして顔ダニ?肌荒れのお悩みはクリニックフォアの美容皮膚オンライン診療へ

クリニックフォアでは、医学的効果のある外用薬や内服薬を使って肌悩みにアプローチする美容皮膚オンライン診療を行っています。

ニキビ、肌荒れのほか、乾燥、シミ、くすみ、シワ、たるみなど、さまざまなお悩みに適したお薬を用意しています。お肌のお悩みをお薬で改善したい方は、まず受診をご検討ください。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

※自由診療

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参考文献

  1. Dermatol Reports |Demodex: The worst enemies are the ones that used to be friends
  2. マルホ株式会社 |ロゼックスゲル0.75%
  3. 厚生労働省|アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について
  4. 日新製薬株式会社 |オイラックスクリーム 10%
  5. 東豊薬品株式会社 |イオウ・カンフルローション「東豊」
  6. ファイザー株式会社 |ミノマイシン錠 50mg