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治療面でやってはいけないこと
喘息の悪化で最もよくある原因のひとつが、治療に関する自己判断です。
「症状がよくなったから」「副作用が心配だから」という理由で治療を中断した結果、深刻な発作につながるケースが報告されています[2]。
治療面での「やってはいけないこと」を3つ確認しておきましょう。
症状がよくなっても吸入薬を自己中断しない
「せきが止まったし、もう吸入しなくてもいいかな」という判断は、喘息管理において最も危険な行動のひとつです[2]。
喘息のある方の気道は、症状がない時期でも慢性的な炎症が続いています。吸入ステロイドは、その炎症を抑え続けるために毎日使用するお薬です[2]。
吸入薬を自己中断すると気道の炎症が再燃し、ある日突然発作が起きやすい状態に戻ります。さらに炎症を繰り返すことで気管支の壁が厚く硬くなる「気道リモデリング」が進み、お薬が効きにくくなるリスクが高まります[2]。
「症状がないのは長期管理薬のおかげ」という認識を持ち、自己判断で中止せず医師の指示通りに続けることが大切です[2]。
お薬の量を減らしたいと感じたときは、受診時に医師に相談することで段階的な調整を安心して進められるでしょう。
発作治療薬だけに頼り続けない
「つらいときだけ発作治療薬(リリーバー)を使えばいい」という考え方は、喘息を悪化させる大きな落とし穴です[2]。
発作治療薬は気道を一時的に広げて呼吸を楽にするだけで、気道の炎症そのものを抑える作用はありません[2]。
発作治療薬だけに頼り続けると、気道の慢性炎症が進んだまま発作が繰り返されるため、気道リモデリングのリスクが高まります[2]。
「発作のたびに吸入薬を使えば大丈夫」という状態が続いているなら、長期管理薬が不十分である可能性があります。
発作治療薬を使う頻度が週に数回である場合は、治療の見直しのサインとして早めに医師に相談することが大切です。
「発作治療薬は緊急用・長期管理薬は毎日の土台」という使い分けを正しく理解しておきましょう。
症状が安定しても通院を途中でやめない
「もう発作も出ないし医療機関に行かなくていいかな」という自己判断も、喘息管理では避けなければなりません。
喘息は長期的な管理が必要な慢性疾患であり、症状が安定している時期でも定期的に通院をして気道の炎症を抑えておくことが重要です[2]。
通院を中断すると自分では気づかないうちに気道の線維化が進んで硬くなり、突然の重篤な発作につながるリスクがあります[2]。
「お薬をもらうだけでも面倒」と感じる方もいるかもしれませんが、定期受診でピークフロー値の変化や症状の推移を確認することで、発作を未然に防ぎやすくなります[3]。
「忙しくて通院が続かない」という場合は、受診間隔について医師に相談することで生活スタイルに合わせた通院頻度を調整してもらえるでしょう。
喘息治療のゴールは「発作のない日常生活を送ること」であり、そのためには継続的な通院が欠かせません。
環境面でやってはいけないこと
喘息の方の気道は炎症によって過敏になっているため、日常生活に潜む刺激が発作の引き金になることがあります[2]。
「とくに悪いことをした覚えはないのに発作が出た」という場合、生活環境に原因が潜んでいることも多いです。
日常の環境でとくに注意が必要な3つのポイントを確認しましょう。
喫煙・受動喫煙を避けない
タバコの煙は喘息の方にとって最も強力な悪化要因のひとつです[4]。
タバコには数千種類以上の化学物質が含まれています。これらが気管支を直接刺激して炎症を長引かせるだけでなく、吸入ステロイド薬の効きを悪くすることも確認されています[4]。
「自分は吸っていないから大丈夫」とは言えません。他人のタバコの煙を吸い込む受動喫煙も、本人が喫煙するのと同様に喘息を悪化させます[4]。
「同居家族が喫煙している」「職場に喫煙者がいる」という環境にある方は、換気・分煙・禁煙をお願いするなど、できる範囲で受動喫煙を減らす工夫をすることが大切です。
タバコの煙に加えて、蚊取り線香・花火の煙・化粧品の香り・強い香料・殺虫剤・接着剤などの刺激臭も、発作の誘因となることがあります[4]。
喫煙中の方は、禁煙外来やニコチンガム・ニコチンパッチなどを活用することで、サポートを受けながら禁煙しやすくなるでしょう[4]。
アレルゲンを放置したままにしない
ダニ・ハウスダスト・カビ・ペットの毛・花粉などのアレルゲン対策を怠ることは、喘息を悪化させる大きなリスクです[5]。
アレルゲンを特定してできる限り曝露を減らすことが発作の予防につながります[5]。
「布団を干さずに使い続けている」「掃除機をあまりかけない」といった習慣は、ダニの温床を作り、気道への刺激を積み重ねてしまいます[5]。
具体的な対策として、以下が挙げられます。
- ダニ対策:シーツ・カバーのこまめな洗濯、布団の定期的な天日干し、寝具への掃除機がけ[5]
- カビ対策:浴室・洗面所の換気と水気の除去[5]
- 花粉対策:外出時のマスク着用、布団や洗濯ものを外に干さない[4][5]
- ペット対策:寝室への立ち入りを制限し、定期的なシャンプーでフケを減らす
「どのアレルゲンに自分が反応するかわからない」という方は、アレルギー検査を受けることでアレルゲンの特定がしやすくなり、的を絞った対策が取れるでしょう。
急激な温度変化・冷たい空気を無防備に吸い込む
急激な温度差や冷たい空気は、過敏になった気道を直接刺激して発作を引き起こしやすくします[3]。
「暖かい室内から寒い屋外に出たときにゼーゼーしはじめた」「冷房の効いた部屋に入ったら息苦しくなった」という経験は、温度変化が誘因になっているサインです。
エアコンの冷風が直接体や顔に当たる状態も気道を刺激するため、風向きを調整するかカバーを活用することをおすすめします。
冬の外出時はマスクを着用して冷たい空気を直接吸い込まないようにする工夫が、発作の予防に役立ちます。
台風の前後や気圧が大きく変化する日・雨の日が続く時期も喘息が悪化しやすいため、天気の変化を把握しておくことが大切です[3]。
「季節の変わり目になると発作が出る」という方は、その時期に合わせてあらかじめ医師に相談し、お薬の量を調整してもらうことで症状が出にくくなるでしょう。
お薬・食事・生活習慣でやってはいけないこと
喘息の方は、日常的に服用する市販薬や食習慣・生活リズムにも注意が必要です。
「まさかこれが発作の原因になるとは思わなかった」という落とし穴が日常生活に潜んでいることを知っておきましょう。
ここでは、お薬・飲酒・ストレス・食事という4つの視点から注意点を解説します。
解熱鎮痛薬(アスピリン・NSAIDs)を確認せずに服用する
頭痛や発熱のときに市販の解熱鎮痛薬を何気なく服用することは、喘息の方にとって危険な行動になる可能性があります[4]。
成人喘息患者の約5〜10%に、アスピリン・ロキソプロフェン・イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が重篤な喘息発作を引き起こすケースが確認されており、「アスピリン喘息」と呼ばれています[6]。
飲み薬だけでなく、NSAIDs成分を含む湿布・塗り薬・目薬・坐薬でも同様の発作が起きることがあるため、外用薬にも注意が必要です[6]。
「以前は問題なかった」という方でも、成人後に喘息を発症した場合はリスクが高まるため、解熱鎮痛薬を服用する前に医師や薬剤師に相談することが大切です[6]。
発熱や痛みへの対処として比較的安心とされるアセトアミノフェン(カロナールなど)についても、事前にかかりつけ医に確認しておくとよいでしょう[6]。
「喘息があります」と薬局や処置を受ける医療機関で伝える習慣をつけておくことが、お薬による発作を防ぐうえで重要です。
過剰な飲酒をする
「付き合いでお酒を飲んだらその夜に発作が出た」という経験がある方は、アルコールが誘因になっている可能性があります[4]。
飲酒するとアルコールが体内でアセトアルデヒドという物質に分解され、このアセトアルデヒドが気管支の粘膜をむくませるため、喘息の症状が悪化することがあります[4]。
日本人はアセトアルデヒドを分解する酵素が欠損・不完全な方が多いとされており、少量の飲酒でも症状が出やすい体質の方がいます[4]。
赤ワインなどに含まれる防腐剤(亜硫酸塩)が気管支を収縮させるケースも報告されています[4]。
「飲酒後にせきがひどくなる」「飲酒後に息苦しくなる」という方は、アルコールが誘因である可能性があるため、医師に相談することをおすすめします。
無理な飲酒は控え、飲酒の機会がある場合には量を抑えることが喘息の悪化防止につながるでしょう。
過労・睡眠不足・強いストレスを放置する
「仕事が忙しくなると決まって喘息が悪化する」という経験をお持ちの方も多いでしょう[1]。
重い喘息発作は風邪・過労・ストレスなどが原因となるといわれており、心身の疲れが気道の状態を悪化させることが確認されています[7]。
ストレスを感じることで体内のマスト細胞などから炎症物質が出されるため、喘息が悪化すると考えられています[4]。
また睡眠不足や過労による免疫力の低下が風邪やインフルエンザへの感染リスクを高め、感染症が喘息の大きな悪化要因になることも報告されています[7]。
「毎日睡眠時間を十分に確保する」「ストレスが高まる状況が事前にわかる場合は医師に相談してお薬の量を一時的に増やしてもらう」という対策が有効です。
「ストレスと喘息がこんなにつながっているとは思わなかった」という方は、医師との定期的な相談の中でストレス管理についても話し合っておくと安心でしょう。
メタボリックシンドローム・肥満を放置する
喘息の悪化因子の一つに、メタボリックシンドローム・肥満が報告されています[4]。
とくに内臓脂肪型の肥満では脂肪細胞が炎症を悪化させる物質を産生するため、喘息が重症化しやすいことが確認されています[4]。
BMI(体重kg÷身長(m)の2乗)が25以上の肥満状態では、喘息の重症化が起きやすいとされており、適正体重の維持が症状管理に直結します[4]。
また、筋肉をつけることで喘息などのアレルギーを防げる可能性が報告されています[4]。そのため、体重管理と筋肉量の維持・増加のためにも、適度な運動をおすすめします。
適切な食事制限や適度な運動により、BMI25未満を目指すことで喘息の症状の軽減が期待できるでしょう[4]。
「食事制限が厳しい」と感じる方も、まずは腹八分目を心がけることから始めてみてください。
発作が起きたときにやってはいけないこと
発作が起きたときに対処を間違えると、症状がさらに悪化する可能性があります。
「息苦しくなったらどうすればよいか」を事前に知っておくことが、いざというときの落ち着いた行動につながるでしょう。
ここでは、発作時に避けるべき行動や正しい姿勢、救急を呼ぶ目安について解説します。
発作を「我慢すれば治る」と判断して放置する
発作が起きたときに「しばらくすれば落ち着くだろう」と放置することは、喘息においてとても危険な判断です。
発作治療薬(短時間作用性気管支拡張薬)を吸入して20分様子を見ても改善しない場合、または悪化する場合はすぐに医療機関を受診することが必要です[8]。
以下の症状は重篤な発作のサインであり、ためらわずに救急車を呼ぶことが命を守るために重要な判断です[8]。
- 唇や爪が紫色になる(チアノーゼ)
- 呼びかけに反応しない
- 苦しくて横になれない
- 言葉が出ない
これまで自然に治まっていた発作でも、突然重症化することがあります。そのため、発作時の対応手順(発作治療薬の使い方・受診の目安・救急車を呼ぶ基準)は、あらかじめ医師と確認しておくことが大切です。
横になったまま苦しさに耐える
呼吸が苦しいときに仰向けで横になることは、横隔膜への圧迫が増して気道がさらに狭くなりやすくなるため、症状を悪化させることがあります。
発作時は以下の手順で対処しましょう。
- 椅子に腰をかけて机や膝に手をついて前傾姿勢をとるか、壁に寄りかかって上体を起こした姿勢をとる
- ゆっくり息を吐き出すことを意識する
- 前傾座位の姿勢で発作治療薬を吸入する
- 室温を適切に保ち、冷たい空気が直接当たらない環境で安静にする
「苦しくなったらとにかく横になろう」という認識は持たず、上体を起こした姿勢で対処することが大切です。
「家族や周囲の人にも発作時の正しい対処法を共有しておく」ことで、一人でない状況でもスムーズに対応してもらえます。
繰り返す発作は気道リモデリングを進める大きな要因になるため、発作を減らすための長期管理薬の継続が最善の対策といえます[2]。
発作後の受診を後回しにする
発作が治まったからといって、受診を後回しにすることも避けるべき行動のひとつです。
「今回は自力で乗り越えられた」という発作でも、気道の炎症状態を医師に確認してもらい、治療内容の見直しをおこなうことが再発防止につながります。
とくに、今まで経験したことのない強さの発作・夜間に繰り返す発作・発作治療薬の服用回数が増えてきた場合は、現在の治療が不十分なサインである可能性があります[1]。
「発作が出たこと自体が、長期管理薬を見直す機会」という認識を持っておくことが大切です。
発作後は必ず次回の定期受診時に発作の状況を医師に伝え、治療計画の調整を相談することをおすすめします[1]。
喘息の治療が続けにくいと感じたらオンライン診療も選択肢のひとつ
「忙しくて通院が続かない」「吸入薬の継続処方を受けたいが医療機関に行く時間が取れない」という方には、オンライン診療が選択肢のひとつとなりえます。
クリニックフォアのオンライン診療では、スマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら医師に症状を相談できます。また、吸入薬の継続処方や喘息のコントロール状態の確認なども可能です。
ただし、初回の確定診断・呼吸機能検査・アレルゲン検査などは対面での診察が必要な場合があります。
吸入薬を使用しても症状が改善しない場合や、呼吸のたびにゼーゼー・ヒューヒューが続く場合は、オンライン診療ではなく速やかに対面の医療機関を受診してください。
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※触診・検査が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※診療費は診察内容によって異なります。保険診療の自己負担割合(原則3割)に応じた金額となります。
喘息の治療に関するよくある質問
喘息の治療を続けていると、「症状がなくなったら吸入薬をやめてよいのか」「運動や飲酒はできるのか」と迷う方も多いでしょう。
ここでは、喘息のある方からよくいただく質問をもとに、判断に迷いやすいポイントについてわかりやすく解説します。
Q1:症状がなくなったら吸入薬をやめてもいいですか?
症状がない時期でも気道の炎症は続いているため、吸入薬の自己中断は避けることが大切です[2]。
症状が落ち着いているのは、長期管理薬によって気道の炎症が抑えられているためです。自己判断で中止すると、炎症が再燃し発作が起こりやすくなります[2]。
お薬を減らしたいと感じたら、自己判断せず受診時に医師に相談することで適切な量に調整してもらえるでしょう。
Q2:喘息の人は運動してはいけませんか?
喘息があっても、医師と相談しながら適切な運動を続けることは推奨されています[4]。
ただし、運動の際に乾燥した空気を吸い込むことで発作を誘発してしまうことがあるため、空気が冷たい時期の運動では注意が必要です[4]。
内臓脂肪を減らし筋肉量を増やすことが喘息の改善につながるという報告もあり、無理のない範囲での継続的な運動は喘息管理に役立てられます[4]。
Q3:喘息の人はお酒を一切飲んではいけませんか?
飲酒で症状が悪化しやすい方は量を控えることが望ましいですが、すべての方が一切飲んではいけないというわけではありません[4]。
「飲酒後にせきや息苦しさが出る」「翌日症状が悪化する」という経験がある場合は、アルコールが誘因になっている可能性があるため医師に相談することをおすすめします[4]。
無理な飲酒は避け、飲酒の機会があるときは事前に医師に相談しておくことが大切です[4]。
Q4:喘息の人が注意すべき食べ物はありますか?
喘息の方に共通した避けるべき食べ物はありませんが、食物アレルギーがある方は特定の食品が発作の誘因になることがあります。
メタボリックシンドロームや肥満が発作を誘発することがあるため、腹八分目を心がけBMI25未満を維持することが重要です[4]。
「特定の食品を食べた後に症状が出やすい」という経験がある方は、受診時に医師に伝えることで原因の特定につながる可能性があります。
まとめ
喘息でやってはいけないことの中で最も重要なのは「症状がよくなっても吸入薬を自己判断で中止しないこと」であり、継続的な治療は、気道リモデリングを防ぐ基本です[2]。
環境面では喫煙・受動喫煙・アレルゲン放置・急激な温度差への無防備な曝露が発作の誘因となるため、日常生活の中でできる限り取り除く工夫が大切です[1]。
解熱鎮痛薬(アスピリン・NSAIDs)は成人喘息患者の一部に重篤な発作を引き起こすリスクがあるため、服用前に医師や薬剤師に相談することが必要です[6]。
過労・睡眠不足・ストレスは免疫力を低下させて感染症リスクを高め、喘息の大きな悪化要因になるため、休養を確保する生活習慣が重要です[1]。
発作時は放置せず、発作治療薬を吸入して20分以上改善しない場合は速やかに医療機関を受診し、重篤なサインがある場合はためらわずに救急車を呼んでください[8]。
自分の喘息を悪化させる具体的な誘因を医師と一緒に把握し、それぞれに合った対策をとることが症状の安定につながります。
喘息は適切な治療と日常生活の管理を続けることで、発作のない生活を送ることが期待できる病気です。
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