夏風邪とは?まず知っておきたい基本
夏風邪とは、夏に流行しやすいウイルスによって起こる感染症をまとめた呼び方です。
まずは、夏風邪がどのような風邪で、何が原因なのか、冬の風邪とどう違うのかという基本を押さえておきましょう。
夏風邪とはどのような風邪か
夏風邪は、夏に流行するウイルス感染症をまとめて呼んだもので、特定の一つの病気を指す言葉ではありません。
子どもを中心に流行することが多いものの、大人がかかることもあります。
原因となる主なウイルス
夏風邪の原因となるのは、高温多湿の環境を好むウイルスです。
代表的なものに、ヘルパンギーナや手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)などがあり、発熱や口・のどの症状をともなうことが多いとされています[1][2][3]。
これらのウイルスは種類が多く、一度かかっても別の種類に再びかかることがあります。
冬の風邪との違い
夏風邪と冬の風邪は、原因となるウイルスや感染の広がり方に違いがあります。
冬の風邪は、インフルエンザウイルスやライノウイルスなどの呼吸器ウイルスが主な原因で、低温・乾燥した環境では感染が広がりやすくなります。主に飛沫やエアロゾル、接触によって感染します。
一方の夏風邪は、エンテロウイルスやアデノウイルスなど、夏に流行しやすいウイルスによる感染症の総称です。飛沫や接触感染に加えて、ウイルスによっては糞口感染も重要です。
夏風邪の代表的な種類
夏風邪には、いくつかの代表的な種類があります。
| 種類 | ヘルパンギーナ | 手足口病 | 咽頭結膜熱(プール熱) |
| 主な症状 | 急な発熱、のどの痛み、口内の水疱 | 手・足・口の発疹や水疱、発熱は軽いことが多い | 発熱、のどの痛み、目の充血 |
| 原因ウイルス | コクサッキー等エンテロウイルス属 | コクサッキー等エンテロウイルス属 | アデノウイルス |
| 登園・出席停止 | 法律で出席停止期間が定められた感染症ではない。発熱がなく、普段どおりの食事ができるようになれば登園・登校が可能とされる[1] | 法律で出席停止期間が定められた感染症ではない。発熱がなく、普段どおりの食事ができるようになれば登園・登校が可能とされる[1] | 出席停止の対象。症状消失後一定期間は不可[3] |
ここでは、ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)という代表的な3つの夏風邪を見ていきましょう。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、乳幼児を中心に夏に流行する感染症で、口やのどの粘膜に小さな水疱ができるのが特徴です[1]。
原因はコクサッキーウイルスを含むエンテロウイルス属のウイルスで、急な発熱とのどの痛みをともなうことが多いとされています。
のどの水疱が痛むため、食事や水分がとりにくくなり、脱水に注意が必要です。
手足口病
手足口病は、その名のとおり、手のひらや足の裏、口の中などに発疹や水疱ができる感染症です[2]。
夏に子どもを中心に流行し、口の中の発疹が痛むことで食事がとりにくくなることがあります。
発熱はあっても軽いことが多いとされますが、症状の出方には個人差があります。
咽頭結膜熱(プール熱)
咽頭結膜熱は、プールでの集団感染がみられることから「プール熱」とも呼ばれる感染症です[3]。
主にアデノウイルスが原因で、発熱、のどの痛み、目の充血といった症状が出るのが特徴です。
学校保健の決まりで出席停止の対象となっており、登園・登校には一定の条件があるため、かかりつけ医に相談することがすすめられます。
夏風邪の主な症状
夏風邪の症状は、のどの痛みや発熱に加えて、お腹の不調が出やすいのが特徴です。
ここでは、夏風邪の主な症状と、大人と子どもで気をつけたい点を見ていきましょう。
のどの痛み・発熱
夏風邪の代表的な症状が、のどの痛みと発熱です。
ヘルパンギーナやプール熱では、のどに強い痛みが出ることがあり、食事や水分がとりにくくなることがあります[1][3]。
発熱は、急に高い熱が出ることもあれば、軽い熱にとどまることもあり、種類によって異なります。
のどの痛みで水分がとりにくいと脱水につながることがあるため、こまめな水分補給が大切です。
お腹の不調(下痢・腹痛)
夏風邪は、下痢や腹痛といったお腹の不調が出やすいのも特徴です。
原因となるウイルスが腸で増えることがあり、これによって下痢や腹痛、吐き気などが起こることがあります。
夏風邪による下痢は、腸の中のウイルスを便といっしょに体の外へ出そうとして起こる反応でもあります。
下痢止めは、自己判断での服用は避け、医師に相談してください。
大人と子どもで気をつけたい点
夏風邪は子どもを中心に流行しますが、大人がかかることもあり、それぞれ気をつけたい点があります。
子どもは、のどの痛みや発疹で食事や水分がとりにくくなり、脱水を起こしやすいため、水分補給や食事の工夫が大切です。
大人は、冷房や夏バテで体調を崩していると、子どもからうつってかかることがあり、こじらせると長引くことがあります。
夏風邪が長引くのはなぜ?
夏風邪は「長引きやすい」といわれることがあり、その背景にはいくつかの理由があります。
ここでは、夏風邪が長引く理由と、通常の経過の目安を見ていきましょう。
冷房・夏バテによる体調の崩れ
夏風邪が長引く理由の一つが、冷房や夏バテによる体調の崩れです。
冷房の効いた室内と暑い屋外との温度差が大きいと、自律神経が乱れ、体調を崩しやすくなることがあるといわれています。
休養不足・自己判断による悪化
休養が十分にとれないことや、自己判断での対応も、夏風邪が長引く理由のひとつです。
夏は予定が多く、無理をして休まずに過ごすと、体力が回復せず症状が長引くことがあります。
また、下痢止めを自己判断で服用してウイルスの排出を妨げたり、受診せずに様子を見続けたりすることも、回復を遅らせることがあります。
通常はどのくらいで治る?
夏風邪は、多くの場合、1週間程度で症状が落ち着くとされています。
ヘルパンギーナや手足口病、咽頭結膜熱なども、多くは数日から1週間ほどで改善していくことが一般的です[1][2][3]。
ただし、回復までの経過には個人差があり、冬の風邪に比べてやや長引くことがあります。
夏風邪の治し方(早く治すための対処)
夏風邪は特効薬がないため、安静・水分補給・対症療法を組み合わせて、自然に治るのを助けることが基本です。
ここでは、夏風邪を早く治すための対処を見ていきましょう。
安静と水分補給が基本
夏風邪の対処で最も大切なのが、安静と水分補給です。
発熱や下痢があると体の水分が失われやすいため、こまめに水分をとり、脱水を防ぐことが大切です。
のどが痛くて飲みにくいときは、ゼリーや冷たいスープなど、のどごしのよいもので水分や栄養を補う工夫が役立ちます。
症状に合わせた対症療法
夏風邪では、つらい症状を和らげる対症療法が行われます。
高い熱がつらいときには解熱鎮痛薬、せきやのどの痛みがつらいときにはそれぞれの症状に合わせたお薬が、医師の判断で用いられることがあります。
市販薬を服用する場合も、症状や体質に合うか不安なときは、薬剤師に相談するとよいでしょう。
抗生物質は効かない・下痢止めの注意
夏風邪はウイルス感染のため、細菌をやっつける抗生物質(抗菌薬)は効きません。
抗生物質はウイルスには効果がないため、夏風邪に対して自己判断で服用することは適切ではなく、医師の判断にゆだねることが大切です。
また、夏風邪による下痢は、ウイルスを体の外へ出そうとする反応でもあるため、下痢止めは自己判断で服用せず医師に相談してください。
下痢が長く続く場合や体力の消耗が激しい場合などは、自己判断せず、医師に相談して対応を決めることが大切です。
夏風邪の予防方法
夏風邪は、日頃の対策によってかかりにくくすることが期待できます。
ここでは、夏風邪の予防方法を見ていきましょう。
手洗いと感染対策
夏風邪の予防で基本となるのが、手洗いです。
夏風邪の原因となるウイルスは、便や水疱に触れた手を介した経口・接触感染が多いため、こまめな手洗いが予防に役立ちます。
とくに、トイレの後・食事の前・外出から帰った後などは、石けんを使って、指の間や爪の間まで丁寧に洗うことが大切です。
アルコール消毒は手軽ですが、効きにくい種類もあるため、できるだけ流水と石けんによる手洗いを優先しましょう。
また、感染者と同じタオルや食器を共有しないことも、家庭内での感染拡大を防ぐうえで重要です。
冷房の使い方(室温・湿度の目安)
冷房の使い方を工夫することも、夏風邪の予防に役立ちます。
冷房が効きすぎて室内外の温度差が大きくなると、体が寒暖差に対応しようとして自律神経が乱れ、体調を崩しやすくなることがあるといわれています。
目安として、室温は25〜28℃程度、湿度は50〜60%程度に保ち、冷房を使う際は、外気温との差が大きくなりすぎないように調整することも大切です[4]。
冷房の風が直接体に当たり続けると、体が局所的に冷えて血行が悪くなることがあるため、風向きを調整したり、上着や膝掛けを活用して体を冷やしすぎないよう工夫しましょう。
密閉された空間ではウイルスが滞留しやすくなるため、定期的に換気をすることが、感染リスクの低減にもつながります。
睡眠・食事で免疫を保つ
睡眠と食事を整えて、体の抵抗力を保つことも、夏風邪の予防につながります。
寝不足や疲労が重なると、ウイルスへの抵抗力が落ちやすくなるため、毎日できるだけ同じ時間に就寝・起床するリズムを整え、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
暑さで食欲が落ちやすい時期ですが、栄養バランスのとれた食事を心がけることで、体調を保ちやすくなります。
とくに、免疫機能の維持に関わるビタミンC(キウイ・ピーマン・トマトなど)やビタミンB群(豚肉・卵・納豆など)を意識して取り入れることが大切です。
さらに、腸内環境を整える食物繊維や発酵食品(ヨーグルト・みそ・ぬか漬けなど)も合わせることで、体の防御力をサポートしやすくなります。
また、夏は発汗による水分・塩分の喪失が多くなるため、こまめな水分補給も忘れずに行いましょう。
脱水が進むと粘膜が乾燥してウイルスへの防御力が弱まるため、水分をしっかり補うことが感染予防にもつながります。
夏風邪で医療機関を受診する目安
夏風邪は多くが自然に改善しますが、症状によっては医療機関の受診が必要です。
ここでは、受診を考えたいサインや、子ども・高齢の方で注意したい点を見ていきましょう。
受診を考えたいサイン
次のような場合は、医療機関の受診を考えるとよいとされています。
高い熱が数日続く、水分がとれず脱水が心配、ぐったりして元気がない、下痢や嘔吐が続く、症状がどんどん悪化している、といった場合です。
また、「いつもと様子が違う」「治りが遅い」と感じる場合も、早めに医師に相談することがすすめられます。
呼吸が苦しそう、意識がはっきりしないなどの場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
子ども・高齢者で注意したい点
子どもや高齢の方は、夏風邪でもとくに注意が必要です。
子どもは、のどの痛みや発熱で水分がとれず、脱水を起こしやすいため、水分がとれているか、おしっこが出ているかなどに気を配りましょう。
高齢の方や持病のある方は、夏風邪から肺炎などを併発することがあるため、念のため早めに受診するのが安心です。
登園・登校の目安
子どもの夏風邪では、登園・登校の目安を知っておくことも大切です。
手足口病やヘルパンギーナは、発熱がなく、普段どおりの食事ができるようになれば登園・登校が可能とされることが一般的です。
一方、咽頭結膜熱(プール熱)は出席停止の対象となっており、症状が消えてから一定期間が経つまでは登園・登校が許可されないことがあります[3]。
登園・登校の可否は、かかりつけ医に相談し、必要に応じて許可書をもらうことがすすめられます。
つらい症状が続くとき、まずはクリニックフォアのオンライン診療で相談することが可能です。
クリニックフォアのオンライン診療では、医師が症状をうかがい、必要に応じて対症療法のお薬を処方します。
ただし、ぐったりしている、水分がとれない、呼吸が苦しい、意識がはっきりしないなどのアラームサインがある場合や、脱水が疑われる場合は、オンライン診療では対応できないため、速やかに対面の医療機関を受診してください。
※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※診療費は診察内容によって異なります。保険診療の自己負担割合(原則3割)に応じた金額となります。
夏風邪に関するよくある質問
Q:夏風邪と冬風邪は何が違う?
A:原因となるウイルスと感染の広がり方が異なります。
冬の風邪は、低温・乾燥した環境で広がりやすい呼吸器ウイルスによるものが多いのに対し、夏風邪は、夏に流行しやすいウイルスによる感染症の総称です。夏風邪では、のどの痛みに加えて、下痢などの消化器症状を伴うこともあります。
Q:夏風邪は大人にもうつる?
A:はい、夏風邪は大人にもうつります。
子どもから大人へうつることが多いほか、共用の物に触れることなどで、子どもとの接触が少ない大人にも感染することがあります。
冷房や夏バテで体調を崩していると、かかりやすく長引きやすいため、手洗いなどの対策が大切です。
Q:夏風邪は何日で治る?
A:多くの場合、1週間程度で症状が落ち着くとされています[1][2][3]。
ただし、経過には個人差があり、冬の風邪に比べてやや長引くことがあります。
症状が落ち着いてからも便などにウイルスが残ることがあるため、手洗いを続けることが大切です。
Q:抗生物質は効く?
A:夏風邪はウイルス感染のため、細菌に対する抗生物質(抗菌薬)は効きません。
治療は安静・水分補給・対症療法が基本で、抗生物質を自己判断で服用することは適切ではありません。
症状が強い場合や長引く場合は、医師に相談して対応を決めましょう。
まとめ
夏風邪は、高温多湿を好むウイルスによる感染症の総称で、ヘルパンギーナ・手足口病・咽頭結膜熱(プール熱)などが代表的です。
冬の風邪が乾燥・低温を好むウイルスの飛沫感染が中心なのに対し、夏風邪は経口・接触感染が多く、のどや消化器の症状が出やすいのが特徴です。
原因の多くはウイルスで、抗生物質は効かず特効薬もないため、安静・水分補給・対症療法が基本になります。
冷房や夏バテによる体調の崩れ、休養不足や自己判断は、夏風邪が長引く要因になります。
下痢はウイルスを出そうとする反応でもあるため、下痢止めは自己判断を避け、医師に相談することが大切です。
予防には、こまめな手洗い、冷房の適切な使い方、睡眠と食事で免疫を保つことが役立ちます。
高い熱が続く、脱水が心配、ぐったりしているなどの場合や、子ども・高齢者・持病のある方は、早めに医療機関を受診しましょう。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
症状がつらい場合や長引く場合は、医療機関にご相談ください。
※症状の現れ方や経過には個人差がございます。
※気になる症状がある場合は、自己判断せず医師にご相談ください。
