多汗症は何科?受診すべき診療科を整理
多汗症で受診を検討している場合は、まず適切な診療科を把握しておくことが大切です。症状・原因と推奨される診療科の対応関係は以下のとおりです。
| 症状・原因 | 推奨される診療科 | 主な対応 |
| 手汗・脇汗・足汗など局所的な多汗 | 皮膚科 | 外用薬・内服薬・(イオントフォレーシス・ボトックス注射:クリニックにより対応できるかどうか異なる) |
| 全身の発汗が異常に多い | 内科 | 基礎疾患の検査・治療(甲状腺機能亢進症・褐色細胞腫など) |
| 強いストレス・緊張・対人不安が原因 | 心療内科・精神科 | 抗不安薬の処方、精神面のケア |
| 重度で外科的治療を検討 | 形成外科・外科 | ETS手術・剪除法・吸引法 |
| 重度でマイクロ波治療を希望 | 美容クリニック(自由診療) | マイクロ波治療 |
迷う場合はまず皮膚科を受診し、症状に応じて他の診療科への紹介を受けましょう。
まず受診すべきは「皮膚科」
多汗症の受診で迷ったら、まず皮膚科を受診しましょう[1]。
皮膚科では問診・視診を中心とした診断のほか、外用薬・内服薬・イオントフォレーシス・ボトックス注射など多彩な治療法に対応している場合が多くあります[1]。
「多汗症外来」「汗外来」を設けている皮膚科や、多汗症治療に特化したクリニックも増えています。皮膚科であっても一箇所ですべての治療法に対応しているわけではないので、まずは受診して治療法を相談した上で、他の医療機関に紹介となる場合もあります。
症状や原因によって他の診療科も選択肢
全身の発汗が異常に多い場合は、副腎腫瘍(褐色細胞腫)や甲状腺機能亢進症などの基礎疾患が存在する可能性もあるため、内科の受診が望ましい場合があります[1]。
精神的なストレスや緊張が強く影響している場合は、心療内科や精神科で抗不安薬の処方を受けることも選択肢のひとつです[1]。
重度の多汗症で外科的治療(ETS手術)を検討する場合は、形成外科・外科への紹介が必要となることがあります。こうした判断も皮膚科で受けられるため、まずは皮膚科の受診が推奨されます。
多汗症の基本情報をおさらい
受診先を選ぶ前に、多汗症の基本的な分類について理解しておくことが大切です。自分の症状がどのタイプに該当するかを知り、受診すべき診療科の目星をつけましょう。
原発性多汗症と続発性多汗症の違い
多汗症は原因の有無によって、原発性多汗症と続発性多汗症の2種類に分類されます[1]。
| 項目 | 原発性多汗症 | 続発性多汗症 |
| 原因 | 明確な原因疾患なし | 基礎疾患やお薬の影響 |
| 発症時期 | 小児期〜思春期が多い | 基礎疾患の発症時期に依存 |
| 主な原因疾患 | ― | 結核などの感染症・副腎腫瘍(褐色細胞腫)・甲状腺機能亢進症など |
| 治療方針 | 多汗症の直接治療 | 基礎疾患の治療を優先 |
| 推奨される診療科 | 皮膚科 | 内科(その後皮膚科へ紹介の場合あり) |
原発性多汗症は明確な原因疾患がなく、汗の量自体が異常に多い状態です[1]。小児期から思春期頃に症状があらわれるケースが多く、若年期にあらわれた症状が、その後も持続することがあります。
続発性多汗症は他の疾患やお薬の影響で発症する多汗症で、基礎疾患の治療が優先されます。そのため、自己判断せず医師の診断を受けることが重要です[1]。
局所性多汗症と全身性多汗症
多汗症は発汗する部位によって、局所性多汗症と全身性多汗症の2種類に分けられます[1]。
| 項目 | 局所性多汗症 | 全身性多汗症 |
| 発汗部位 | 手のひら・足の裏・わきの下・頭部・顔面など特定部位 | 全身 |
| 代表的なタイプ | 手掌多汗症・腋窩多汗症・足底多汗症 | 原発性/続発性 |
| 原因 | 主に原発性 | 原発性/続発性の両方あり |
| 主な受診先 | 皮膚科 | 内科(基礎疾患の検査)・皮膚科 |
局所性多汗症は手のひら・足の裏・わきの下・頭部・顔面など特定の部位だけに異常な発汗が起こるタイプです。全身性多汗症は原発性と続発性に分類され、全身性の発汗が気になる場合は内科での検査が望ましいでしょう[1]。
多汗症と汗っかきの違い
多汗症と汗っかきの大きな違いは、日常生活への支障の有無です[1]。
| 項目 | 汗っかき | 多汗症 |
| きっかけ | 暑さ・運動・緊張など明確な要因あり | リラックスした状態でも大量の汗 |
| 生活への支障 | 少ない | 書類が濡れる・握手を避けるなど明らかな支障 |
| 位置づけ | 体質 | 医学的疾患 |
判断に迷う場合は、皮膚科で相談してみましょう。
多汗症で受診を検討すべき診療科を症状別に解説
多汗症の症状や原因によって、受診を検討すべき診療科が異なります。自分の症状の特徴に合わせた診療科を選ぶことで、的確な診断と治療が受けやすくなります。
手汗・脇汗・足汗が中心なら皮膚科
手汗・脇汗・足汗など局所的な多汗症が中心の場合は、皮膚科の受診が第一選択です[1]。外用薬・内服薬・イオントフォレーシス・ボトックス注射など、症状の段階に応じた多彩な治療法で対応できます[1]。近年は手掌多汗症や腋窩多汗症向けの保険適用外用薬が増えており、選択肢が広がっています。
全身の発汗の異常なら内科
全身からの発汗が異常に多い場合は、内科の受診が望ましいとされています。発汗が全身におよぶのは、副腎腫瘍(褐色細胞腫)や甲状腺機能亢進症などの基礎疾患が原因のケースがあるためです[1]。
多汗症で、まれに基礎疾患が背景にある場合があり、動悸・体重減少・疲労感・頻尿などの症状が同時にある場合は、内科での検査を検討するとよいでしょう。
内科で続発性多汗症ではないと診断された場合は、皮膚科への紹介を受けて多汗症の治療を進める流れが一般的です。
強いストレス・緊張が原因なら心療内科・精神科
強いストレスや緊張、不安が発汗の主な原因となっている場合は、心療内科や精神科の受診も選択肢となります[1]。心療内科では抗不安薬などが処方されることがあり、精神的な要因へのアプローチが発汗の改善につながる場合があります[1]。ただし精神科や心療内科は最初の選択肢ではなく、皮膚科で診断を受けたうえで必要に応じて併用することが一般的です。
各診療科で受けられる多汗症の治療法
多汗症の治療法は、受診する診療科によって対応できる内容が異なります。各診療科の治療法を整理すると以下のとおりです。
| 診療科 | 主な治療法 | 保険適用 | 備考 |
| 皮膚科 | 外用薬・内服薬・イオントフォレーシス・ボトックス注射 | 多くが保険適用 | 第一選択肢 |
| 形成外科・外科 | ETS手術・剪除法・吸引法 | 治療法・重症度による | 重度・他治療で効果不十分な場合 |
| 美容クリニック | マイクロ波治療 | 自由診療 | 切開を伴わない治療、効果が長期間持続することが期待される |
| 内科 | 基礎疾患の治療 | 保険適用 | 続発性多汗症が疑われる場合 |
| 心療内科・精神科 | 抗不安薬・気持ちを落ち着かせるお薬 | 保険適用 | 皮膚科と併用が一般的 |
症状の程度や希望する治療法に応じて、適切な診療科を選ぶことが治療効果を高めるうえで重要です。
皮膚科:外用薬・内服薬・イオントフォレーシス・ボトックス
皮膚科では、症状の段階に応じて以下の順で治療法が選ばれることが一般的です[1]。ただし、これらはあくまで一般的な治療法の段階で、発汗部位などにより治療法の選択は異なるため、まずは医療機関を受診して、医師の判断に従ってください。
- 第一段階:抗コリン外用薬(エクロックゲル・ラピフォートワイプ・アポハイドローションなど)や塩化アルミニウム外用薬(塩化アルミニウム外用薬は保険適用外)
- 第二段階:外用薬で効果不十分な場合→抗コリン薬の内服
- 第三段階:内服薬で効果不十分な場合→イオントフォレーシス・ボトックス注射
- 最終段階:上記で効果不十分な重度の場合→ETS手術などの外科的治療(形成外科・外科へ紹介)
イオントフォレーシスは水道水に手や足を浸して微弱な電流を流す治療法で、A型ボツリヌス毒素ボトックス)注射は重度腋窩多汗症に対しては保険適用であり、一定期間(数か月程度)発汗を抑える治療法とされています[1]。
形成外科・外科:ETS手術・剪除法・吸引法
形成外科や外科では、重度の多汗症に対する手術治療を受けられる場合があります。
たとえばETS手術(胸腔鏡下交感神経遮断術)は、胸部の交感神経を一部切断して手のひらへの発汗指令を遮断する治療法です。重度の手掌多汗症に対する外用薬・内服薬・ボトックス注射などで効果が不十分な場合の選択肢として検討されます。ただし代償性発汗(術後に胸部以下の別の部位で汗が増える症状)などの合併症リスクがあるため、医師と十分に相談したうえで判断することが重要です。
腋窩多汗症・ワキガに対しては、汗腺を直接除去する剪除法や吸引法も選択肢となります。
内科:原因疾患の検査・治療
内科では、続発性多汗症の原因となる基礎疾患の検査と治療を受けられます。副腎腫瘍(褐色細胞腫)や甲状腺機能亢進症などが原因の場合は基礎疾患の治療を優先することが重要であり[1]、基礎疾患が改善することで多汗症の症状も自然と落ち着くことがあります。「全身から汗が出る」「動悸や体重減少も伴う」という場合は、内科への相談を検討しましょう。
受診前の準備と問診の流れ
受診前に以下の情報を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。
- いつから症状が出始めたか・症状の期間
- どのような状況で発汗するか(緊張時・安静時・運動時など)
- 発汗部位(手・脇・足・全身など)・両側か片側か
- 睡眠中の発汗の有無
- 日常生活での具体的な支障
- 服用中のお薬・既往歴・家族歴
医療機関ではまず問診・視診を中心とした診察がおこなわれ、必要に応じてヨウ素デンプン試験(Minor法)で発汗範囲を視覚的に確認することがあります[1]。続発性多汗症が疑われる場合は血液検査やホルモン検査で基礎疾患の有無を調べることもあります[1]。
多汗症はクリニックフォアへご相談を
「自分の多汗症がどのタイプか相談したい」「外用薬の処方を希望したい」と考えている方には、クリニックフォアでの受診が選択肢のひとつです。多汗症の外用薬や内服薬は医療用医薬品のため、医師の問診・処方が必要です。
症状の程度や既往歴によっては、対面での詳しい診察やイオントフォレーシス・ボトックス注射などの対面治療をご案内する場合があります。
その判断も含めて多汗症について相談したい方は、クリニックフォアのオンライン診療をご活用ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合がございます。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※クリニックフォアのオンライン多汗症治療は自由診療です。
多汗症の受診に関するよくある質問
受診先や治療法についてよく寄せられる質問をまとめました。受診前の疑問解消にお役立てください。
Q1. 子どもの多汗症は何科?
子どもの多汗症で迷った場合は、まず小児科または皮膚科で相談することが推奨されます。子どもでも保険適用で治療を受けられるため、勉強やスポーツへの影響が大きい場合は早めの受診を検討しましょう。
Q2. オンライン診療でも多汗症は治療できる?
外用薬や内服薬の処方であれば、オンライン診療で対応可能なケースがあります。ただしイオントフォレーシスやボトックス注射は対面での施術が必要なため、症状に応じて使い分けることが大切です。
Q3. 美容皮膚科でも多汗症の治療はできる?
美容皮膚科でも多汗症の治療を受けられる場合があります。ただし自由診療中心の場合が多く、保険適用の治療を希望する場合は事前に確認することが大切です。
Q4. 受診を迷ったらどこに相談すればいい?
かかりつけ医や近隣の皮膚科で相談してみましょう。「汗の悩みで医療機関に行くのは大げさ」と感じる必要はありません。症状が日常生活に影響している場合は早めに受診することで治療の選択肢が広がります。
まとめ
多汗症で受診する際は、まず皮膚科が第一選択であり、症状や原因によって内科・心療内科・形成外科などが選択肢となります。
手汗・脇汗・足汗など局所的な発汗なら皮膚科、全身の発汗異常や動悸・体重減少を伴う場合は内科、強いストレスが関与している場合は心療内科・精神科という選択が一般的です[1]。
多汗症は適切な治療で症状の改善が期待できる疾患です。一人で悩まず医師に相談しながら快適な日常生活を取り戻しましょう。
