インフルエンザの予防接種で起こる副反応の多くは2〜3日でおさまる
予防接種を受けたあとに体調の変化があらわれると、これが想定内の反応なのか、それとも受診が必要な状態なのかの判断に迷ってしまいます。
起こりやすい症状とその頻度を先に知っておけば、慌てずに経過を見守れるでしょう。
接種した部位の赤みや腫れ、痛みは10〜20%に起こる
腕に赤みや腫れ、痛みが出ている場合、その多くは接種を受けた方の10〜20%にみられる反応であり、通常は2〜3日で消えます[1]。
ワクチンに含まれる成分に対して体が免疫をつくるとき、その場所で一時的な炎症が起こり、赤みや腫れという形であらわれます。
免疫の反応そのものが背景にあるため、症状が出たからといって接種がうまくいかなかったわけではありません。
腕を上げたときにじんわり痛む、押すと鈍い痛みを感じる、500円玉ほどの範囲が赤くなる程度で落ち着く方が多いです。
日を追うごとに軽くなる実感があれば、そのまま自然におさまるのを待って差し支えないでしょう。
発熱や頭痛などの全身の症状は5〜10%に起こる
接種の翌日に37度台の熱やだるさが出た場合も、5〜10%の方にみられる全身の反応であり、多くは2〜3日でおさまります[1]。
発熱や頭痛、悪寒、倦怠感といった症状は、体の中で免疫がつくられる過程で起こります。
注射タイプのワクチンにはウイルスが感染する力が残されていないため、接種によってインフルエンザにかかることはありません。
熱やだるさが出ても数日で回復に向かうことがほとんどです。
副反応と副作用は意味が異なる
予防接種のあとに起こる体の変化は「副作用」ではなく「副反応」と呼ばれ、両者の意味は異なります。
免疫をつけるためにワクチンを接種したとき、免疫がつく以外の反応がみられることすべてが副反応です。
お薬では目的以外の働きを副作用と呼びますが、ワクチンは体の免疫を働かせること自体が仕組みであるため、言葉が区別されています。
腕が腫れる反応は免疫が働いている過程で生じるものであり、反対にまったく症状が出ない方も多くいますが、症状の有無によって効果が決まるわけではありません。
言葉の意味を押さえておくと、接種の前後に受け取る情報を落ち着いて理解できるようになるでしょう。
副反応があらわれる時期と続く期間の目安
症状の種類によってあらわれる時期には傾向があります。
想定される期間を知っておけば、そこを超えたときに相談するという線引きを自分で持てるでしょう。
腕の症状は接種当日から翌日にあらわれることが多い
腕の赤みや腫れ、痛みは接種した当日から翌日にかけてあらわれ、2日目から3日目にかけて少しずつやわらぐ経過をたどります。
接種された成分に対する反応がその場で起こるため、時間をかけずに症状が出やすい性質があります。
痛みのピークは接種の翌朝という方が多く、腕を動かしにくいと感じる時間帯もこのころに集中する傾向です。
当日の夜に重だるさを覚え、翌朝の着替えで腕を上げると痛みが強く、3日目には気にならなくなるという流れが一つの典型例です。
日ごとに軽くなっているかどうかを一つの物差しにすると、受診のタイミングを見極めやすくなるでしょう。
発熱や倦怠感は接種後1〜2日以内にあらわれる
発熱や倦怠感といった全身の症状は、接種から1〜2日以内にあらわれます[1]。
全身の反応は免疫がつくられていく過程で生じるため、腕に出る症状よりもやや遅れて出てくる傾向です。
接種から4日以上たってから高い熱が出た場合には、ワクチンとは別の感染症が原因の可能性も考えられます。
接種した翌日に37度台の熱と頭痛が出て、その次の日には平熱に戻ったという経過であれば、想定の範囲内と考えてよい例です。
熱が出た日と接種した日の間隔を覚えておくと、医療機関に相談する際にも状況を正確に伝えられます。
接種後1週間ほどは体調の変化に注意する
注射タイプのワクチンを接種したあとは、1週間ほど体調の変化に注意して過ごしておくと安心です。
多くの副反応は2〜3日で落ち着くものの、まれに遅れてあらわれる症状も報告されているためです。
接種した週に旅行や大きな行事を控えている場合は、日程を少し早めに受けておくと、体調に変化があっても余裕をもって対応できます。
13歳未満のお子さんは2回の接種が必要なので、1回目と2回目のそれぞれについて同じ期間を意識しましょう[2]。
副反応が出たときの過ごし方と対処法
腕の症状と発熱では対処の仕方が異なり、当日の入浴や運動についても目安があります。
基本的な過ごし方を知っておくと、接種後の数日を落ち着いた気持ちで過ごせるでしょう。
ここでは、症状ごとの対処法と、当日の生活で気をつけたい点について詳しく解説します。
腕の腫れや痛みは冷やして様子を見る
腕の腫れや痛みが気になるときは、その部分を冷やしながら経過を見る方法が基本です。
冷やすことで熱を持った感じや腫れによる不快感がやわらぎ、痛みを感じにくくなることが期待できます。
かゆみが出る場合もありますが、かきむしると皮膚を傷つけてしまうため、冷やして落ち着かせましょう。
保冷剤をタオルで包んで数分あてる、冷たいタオルを軽く置くといった方法で十分であり、強くもんだり温めたりする必要はありません。
腕を動かしてはいけないということもなく、普段どおりの動作で日常生活を送って構いません。
発熱したときは水分をとって安静に過ごす
接種後に熱が出たときは、水分をこまめにとりながら安静に過ごすことが基本の対応です。
解熱剤の服用については、普段から使い慣れているものであっても、判断に迷う場合は医師や薬剤師に確認しておくと安心です。
水やお茶、経口補水液などを少しずつ飲み、無理に食事をとろうとせずに消化のよいものを選ぶ形で問題ありません。
お子さんの場合は、水分がとれているか、眠れているか、機嫌が戻ってきているかを目安に観察するとよいでしょう。
入浴は差し支えないが当日の激しい運動は避ける
接種した当日でも、発熱などがなければ入浴して差し支えありません[3]。
接種した部位を強くこすらないよう気をつければ、湯船につかっても問題は起こりにくいです。
一方で、水泳やサッカー、マラソンといった激しい運動は、当日は避けましょう。
散歩や軽いストレッチ程度であれば普段どおり行って構いませんし、飲酒についても体調をみながら控えめにする程度で問題ありません。
まれに起こる重い副反応と医療機関へ相談する目安
頻度は極めて低いものの、重い副反応が起こる可能性がまったくないわけではありません。
ここでは、まれに報告される重い副反応と、受診の目安、救済制度について詳しく解説します。
アナフィラキシーは接種後30分以内に起こることが多い
重いアレルギー反応であるアナフィラキシーは、30分以内に起こることが多いです[3]。
そのため、接種のあと30分程度は院内で様子を見るよう案内している医療機関もあります[3]。
すぐに医療機関へ相談したい症状
呼吸のしづらさや全身に広がるじんましん、意識がはっきりしない状態がみられたときは、すぐに医療機関へ連絡してください。
これらはアナフィラキシーをはじめとする重い反応の可能性があり、早い段階での対応が求められます。
腫れが肘を越えて広がる、4日以上たっても改善しない、39度以上の熱が続くといった場合も、相談すべき目安です。
手足に力が入らない、けいれんを起こした、繰り返し嘔吐しているときも、様子見を続けずに受診が必要です。
受診の際には、接種した日と症状が出た日、そこまでの経過を伝えられるようにしておくと、診察がスムーズに進みます。
健康被害が生じた場合は救済制度を利用できる
予防接種によって健康被害が生じた場合には、公的な救済制度を利用できます[4]。
極めてまれではあるものの健康被害をなくすことはできないという前提のもとで、制度が設けられているためです。
65歳以上の方などが受ける定期接種は予防接種健康被害救済制度の対象となり、申請の窓口は住んでいる市区町村になります[4]。
定期接種に該当しない任意接種の場合は、医薬品医療機器総合機構が窓口となる医薬品副作用被害救済制度の対象になることがあります[5]。
どちらの制度が当てはまるかは健康被害の内容や接種の区分によって変わるため、まずは接種を受けた医療機関か市区町村へ相談しましょう。
副反応が心配な場合に接種前に確認しておきたいこと
当日の体調や過去のアレルギーの経験は、接種を受けられるかどうかを判断するうえで欠かせない情報です。
ここでは、接種前に確認しておきたい体調とアレルギーの伝え方について詳しく解説します。
体調が優れないときは接種を見送る
当日に37.5度以上の発熱がある場合、接種を受けられません。
体調が万全でない状態で接種すると、そのあとに起きた変化が副反応によるものか、もともとの体調によるものかを見分けにくくなるためです。
強い倦怠感がある、下痢が続いている、せきが止まらないときも、日を改める判断が向いています。
流行が始まる前であれば数日ずらしても大きな影響はなく、体調が戻ってから受けたほうが結果として落ち着いて過ごせます。
アレルギーや過去の副反応は事前に医師へ伝える
過去にワクチンで強いアレルギー症状を起こしたことがある方は、必ず事前に医師へ伝えてください。
同じ成分に再び反応する可能性があり、接種の可否を判断するうえで欠かせない情報だからです。
卵アレルギーがあると接種できないと思われがちですが、程度によっては受けられる場合もあり、自分の判断で諦める必要はありません。
前回の接種で腕が大きく腫れた、当日にじんましんが出たという経験も、具体的に伝えると判断の材料になります。
問診票に記入するだけでなく、診察のときに口頭でも伝えておけば、伝え漏れを防げます。
インフルエンザの予防接種の副反応についてよくある質問
Q:副反応はいつまで続きますか?
A:接種した部位の赤みや腫れ、痛みも、発熱や倦怠感といった全身の症状も、通常は2〜3日で消失します[1]。
Q:子どもが接種後に発熱したらどうすればよいですか?
A:水分をこまめにとらせ、安静に過ごさせる対応が基本です。
まとめ
インフルエンザの予防接種で起こる副反応の多くは、2〜3日でおさまる一時的なものです[1]。
腕の症状は接種当日から翌日、全身の症状は1〜2日以内にあらわれる傾向があります。
腕の症状は冷やして様子を見て、熱が出たときは水分をとりながら安静に過ごす対応が基本です。
呼吸のしづらさや全身のじんましん、4日以上続く腫れなどがみられるときは、ためらわずに医療機関へ相談してください。
気になる点があれば接種の前に医師へ伝えたうえで、納得できる形で今シーズンの備えを進めてみてください。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※予防接種に関しては医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断により接種できない場合があります。

