デュタステリドと風邪薬や頭痛薬などの「市販薬」との飲み合わせ
デュタステリドの添付文書には、一般的な市販薬との飲み合わせで禁止されているものは記載されていません[1]。ただし、飲んでいるお薬を医師に伝えておくことは、安心な治療の基本です。
総合感冒薬やロキソニン(鎮痛剤)は基本的に一緒に飲める
風邪薬(総合感冒薬)やロキソニンなどの痛み止め(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)とデュタステリドの間に、添付文書上、一緒に飲んではいけないとされる相互作用は記載されていません[1]。デュタステリドは主に「CYP3A4」という肝臓の酵素で分解されるのに対し[1]、これらの市販薬は異なる経路で分解されるため、お互いに影響しにくいと考えられています。
ただし、体質によっては体調の変化が生じる可能性はあります。一緒に飲んでいるときに胃痛やめまいなどの症状が出た場合は、早めに医師に相談してください。
胃腸薬やアレルギー薬も基本的に問題ない
胃腸薬やアレルギーのお薬についても、デュタステリドとの飲み合わせで明確に禁止されているものは添付文書に記載されていません[1]。ただし、治療中にほかのお薬を飲む場合は、念のため担当の医師に「デュタステリドを飲んでいること」を伝えるのが望ましいでしょう。これは、万が一副作用が出たときに原因をスムーズに特定し、適切に対処するための予防的な対応です。
デュタステリドとサプリメント(亜鉛・ノコギリヤシ)やアルコールとの相性
育毛を目的にサプリメントを一緒に飲んでいる方もいますが、成分によっては注意が必要です。また、アルコールは肝臓で分解されるため、デュタステリドとの関係を理解しておきましょう。
「ノコギリヤシ」は働きが重なる可能性があり注意が必要
ノコギリヤシ(ソーパルメット)は、デュタステリドと同じように脱毛の原因物質DHTを作る酵素「5α還元酵素」を抑える作用を持つとされています[2]。
両方を一緒に飲むと、体の中で5α還元酵素を抑える働きが重なる可能性があります。AGA治療中は、自分の判断でノコギリヤシを一緒に飲むのではなく、医師に相談のうえ判断してください。
なお、ノコギリヤシがPSA値(前立腺がんの検査で使われる血液中の指標)を低下させるかどうかについては、現時点のエビデンスでは低下させないとの報告が多く、デュタステリドのようなPSAへの明確な影響は確認されていません。PSA検査を受ける際は、服用中のすべてのサプリメントを担当医に伝えることが大切です。
アルコールは「肝臓」への負担を考えて適量を守る
デュタステリドは主に肝臓の「CYP3A4」という酵素で分解されます[1]。アルコール(エタノール)は主にアルコール脱水素酵素(ADH)という別の経路で代謝されるため、少量の飲酒でデュタステリドと直接競合するわけではありません。ただし、慢性的な大量飲酒はCYP3A4を含む肝臓の酵素系全体に影響を及ぼし、デュタステリドの薬物動態に影響する可能性があります。
また、添付文書には重大な副作用として肝機能障害(AST、ALT、ビリルビンの上昇等)が記載されています[1]。大量の飲酒が続くと肝臓に負担がかかり、こうした肝機能障害のリスクを高める可能性があるため、休肝日を設け、適量を心がけることが望ましいでしょう。なお、デュタステリドとアルコールの直接的な相互作用は添付文書に記載されていませんが、肝臓への配慮として節度ある飲酒をおすすめします。
デュタステリドを服用時に医師に伝えるべき「注意が必要なお薬」
デュタステリドの添付文書には一緒に飲んではいけないお薬の記載はありませんが、体の中のお薬の量に影響を与えるお薬や、検査時の注意点があります[1]。
お薬の分解を遅らせる「CYP3A4阻害薬」に注意
デュタステリドは主に肝臓の「CYP3A4」という酵素で分解されます[1]。この酵素の働きを抑えるお薬と一緒に飲むと、デュタステリドが体の中に長くとどまり、通常よりも濃度が高くなる可能性があります。添付文書では、リトナビルはCYP3A4を強力に阻害するため、デュタステリドの代謝を阻害し、デュタステリドの曝露量(AUC)が増加することが報告されています[1]。
代表的なCYP3A4阻害薬には以下のようなものがあります。
- 抗ウイルス薬:リトナビル等[1]
- 抗真菌薬(水虫などのカビに対するお薬):イトラコナゾール、ケトコナゾール等[1]
これらのお薬を処方された際は、担当の医師や薬剤師に「デュタステリドを飲んでいること」を伝えてください[1]。体の中のお薬の濃度が上がることで、副作用のリスクが高まる可能性があります。
健康診断やPSA検査の際は飲んでいることを伝える
デュタステリドにはPSA値(前立腺がんの検査で使われる血液中の指標)を約50%下げる作用があります[1]。PSA値は前立腺がんを早期に見つけるための重要な数値であり、デュタステリドを飲んでいることを伝えずに検査を受けると、前立腺がんの発見が遅れるおそれがあります[1]。添付文書には「本剤を6ヵ月以上投与している患者のPSA値を評価する際には、測定値を2倍した値を目安として基準値と比較すること」と記載されています[1]。健康診断や人間ドックを受ける際は、「デュタステリドを飲んでいること」を検査担当の医師に伝えましょう。
デュタステリドとおすすめの飲み合わせ:ミノキシジルとの併用
デュタステリドと併用が検討される代表的な治療薬がミノキシジルです。
「攻め」と「守り」の併用で相乗効果が期待できる
デュタステリドは脱毛の原因物質DHT(ジヒドロテストステロン)が作られるのを抑え、抜け毛を防ぐ「守り」の治療薬です[1]。一方、ミノキシジルは血流を改善して毛根に栄養を届けやすくし、発毛を促す「攻め」の治療薬です[3]。
2つのお薬は働きかける仕組みが異なるため、併用することでAGA治療の効果を高められる可能性があります。日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)でも、ミノキシジル外用(5%)とデュタステリド内服はいずれも推奨度A(行うよう強く勧める)に位置づけられています[3]。
なお、飲むタイプのミノキシジルについては、AGA治療薬としては国内未承認であり、ガイドラインでもミノキシジル内服は推奨度D(行うべきではない)とされています[3]。飲むタイプのミノキシジルの併用を検討する場合は、医師と十分に相談してください。
デュタステリドの飲み合わせに関するよくある質問
Q. グレープフルーツジュースと一緒に飲んでもいいですか?
グレープフルーツにはCYP3A4の働きを抑える成分(フラノクマリン類)が含まれており、デュタステリドが体の中に長くとどまって濃度が上がる可能性が理論上考えられます。添付文書に明確な禁止としては記載されていませんが、念のためデュタステリドを飲むときはグレープフルーツジュースを避け、水またはぬるま湯で飲むのが望ましいでしょう。
Q. 亜鉛サプリと一緒に飲んでも大丈夫ですか?
亜鉛はケラチン(髪の主成分であるタンパク質)を作るのに関わる栄養素であり、デュタステリドとの間に問題のある飲み合わせは一般的に報告されていません。ただし、サプリメントの飲みすぎは避け、パッケージに記載された推奨量を守って飲んでください。気になる点がある場合は、医師や薬剤師にご相談ください。
まとめ
デュタステリドの添付文書には一緒に飲んではいけないお薬の記載がなく、一般的な市販薬との間に重い副作用を引き起こす飲み合わせは報告されていません[1]。日常生活で大きな制限を受けることは多くないでしょう。ただし、自分だけの判断は禁物です。
特に「ノコギリヤシ」は5α還元酵素を抑える働きが重なる可能性があるため併用に注意し、「アルコール」は肝臓への負担を考えて適量を守ることが大切です。また、CYP3A4阻害薬を処方された際や健康診断でPSA検査を受ける際は、「デュタステリドを飲んでいること」を担当の医師に伝えましょう[1]。
一方で、ミノキシジル外用との併用は「攻め」と「守り」の相乗効果が期待でき、AGA治療の効果を高める可能性があります[3]。わからないことや心配なことがあれば、遠慮なく担当の医師に相談してください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

