抗酸化力って何?エイジングケアに重要な抗酸化作用のための習慣や栄養素について、医師が解説します。

エイジングケアや老化に重要であるとして着目されている「抗酸化」ということばを聞いたことがありますでしょうか。抗酸化について知り、日々の生活に取り入れていくことができれば、老化を予防し、若々しく生活をしていくこともできます。

今回は抗酸化に着目し、老いに負けず若々しく生き続けるための秘訣をご紹介します。

サプリメントを含む食品は医薬品とは異なり、身体への構造や機能への影響を表示することは原則認められていません(疾患に対する診断・治療・予防・軽減の表現は一切認められていません)。しかし、現実的には、世の中にまるで効果があるように謳われている成分が多く存在することは事実です。また、一部の成分は、たしかに海外では効能を謳うことを認めらる成分であったり、古くから民間療法で使用されており、間接的な効果が否定できないということも事実ではあります。

医師から見て、各成分がどのように見えているのかを共有することは、一定程度の意味があると考え、記事を作成致します。

抗酸化って何?エイジングケア・老化に効果的なの?

抗酸化とは何かを具体的に知るためには、まず活性酸素についておさえておく必要があります。活性酸素とは、身体に取り込んだ酸素の一部が他の物質と結びつき、高い酸化力を持つ物質に変化することを言います。この活性酸素が正常な細胞に結びつくと過酸化脂質を発生させるため、細胞の老化を早めるだけでなく、がん細胞の増加や動脈硬化を引き起こすなどさまざまな病気の原因になることが知られています

実際とある研究によると、活性酸素は細胞の老化とがん化に対して同じ経路で関与しているということが分かっています。細胞レベルの老化と聞くとあまりピンとこないかもしれませんが、例えば皮膚のシミやシワ等も活性酸素によって起こっていることが考えられています。この活性酸素を作らせない、あるいは無毒化する、活性酸素によって傷つけられた細胞を修復する働きを持つのが「抗酸化」です。

活性酸素が増える原因はさまざまありますが、最も活性酸素が増える理由は加齢であると考えられています。人の抗酸化作用は20歳代がピークであり、そこから徐々に低下していきます。他にもストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、多量飲酒、紫外線なども活性酸素が増える原因と言われています。抗酸化はこの活性酸素に対して効果を発揮しますが、活性酸素を打ち消すことでどのような恩恵を私たちにもたらしてくれるのでしょうか。

私たちの身体を抗酸化することによって、老化を予防することに加えてエイジングケアの効果が期待できます。エイジングケアと聞くと女性の美をイメージするかもしれませんが、それだけではありません。現在の日本は平均寿命が延伸し、超高齢化社会となっています。その中で課題となっているのが健康寿命の延伸です。つまり、何の病気にもならずに元気に生活できる期間を伸ばし、平均寿命と健康寿命の差をなくしていくことが今日の日本では求められています。

健康な期間を伸ばして若々しく生活していくことを目的とするエイジングケアは、まさに長寿国となった今の日本に求められている医療ともいえるのです。

これに加えてエイジングケアによってシミやしわを改善することで、見た目にも美しさを保って生きていけることが考えらえています。実際に、シミやしわの治療にエイジングケアを活用している医療機関もあります。

そもそも、なぜ人は老化するの?

抗酸化についてご説明したところで気になるのが、なぜ人は老化するのかという点ではないでしょうか。そもそも一般的に老化とは、ただ年を重ねたというわけではなく、成熟期以降に起こる生理機能の衰退を意味しています。例えば同じ年の生まれの高齢者であっても、見た目も行動も若々しい人もいれば、見た目が老け込み、できることが少なくなっているという人もいます。つまり老化は個人差が大きく、老化を阻止するということは可能であるということが分かっているのです。

この老化を左右するのが活性酸素です。老化のスピードは40歳代から加速するといわれているのですが、その理由は、40歳代より活性酸素を取り除く抗酸化物質の働きが急激に低下するからと考えられています。

また、「人の寿命は活性酸素の発生量とそれに対する防御機構の能力とのバランスにより決定されている可能性がある」というような見解もあり、活性酸素と老化は密接に結び付きがあることが分かっています。ですので老化を予防するには活性酸素を除去する抗酸化力を保ち続けていくことがカギと考えられます。

老化予防に効果的な日々の習慣、食事やサプリで摂るべき栄養素は?

老化を予防するためには小さな積み重ね、すなわち普段の生活習慣の中で取り入れていくことが必要と考えられます。

まずは、活性酸素を増やす生活習慣を断ち切ることが必要です。例えば、喫煙者は本数を減らす、あるいは禁煙をするということが必要ですし、飲酒量が多い方はアルコール摂取量を減らすことが必要です。ストレスをため込みやすいという方は、積極的にストレスが解消できるようなケアを取り入れることが必要となります。また、皮膚の抗酸化、エイジングケアに力を入れたいという方には過度の紫外線を浴びないように気をつけることが必要です。

活性酸素を生み出さない生活習慣をすることに加えてもう一つ大切なのが、身体を酸化させないようにするために必要となる抗酸化物質の生成です。特に高齢者は若年者と比較して抗酸化物質が減少しているので、意識的に作り出していくことが望ましいです。抗酸化物質には、体内で合成されるものと食品などから摂取できる物質があります。

ビタミンA・ビタミンC・ビタミンE

ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEは抗酸化ビタミンとも言い、活性酸素の働きを抑える作用があります。抗酸化作用によって体内の細胞膜の酸化による「老化」や「動脈硬化」などを予防する効果が期待できる栄養素です。

亜鉛

亜鉛は、ビタミンAと共に働くことで抗酸化作用や免疫力を発揮し、アミノ酸と共に働くことで髪や肌の健康を維持する効果が期待できます。また、亜鉛は精子の形成に必要であるため「男性機能」にも重要であり、「感情のコントロール」や「記憶力」を保つのに必要な神経伝達物質を作るのに必要なのも亜鉛です。

抗酸化物質を効率よく作り出す最も手軽な方法は、食品からの摂取。つまり、食生活を意識的に見直していくことが必要なのです。

特に抗酸化物質を含んでいる食品が、野菜や果物。サラダ、100%ジュースといった生野菜を中心に、スープ、煮物、炒め物など野菜や果物を使った料理を毎食1~2皿取り入れていくことが大切です。特に緑黄色野菜には抗酸化物質が豊富に含まれているため、積極的に活用していくとよいでしょう。

野菜だけでなく、魚や肉、大豆食品などにも抗酸化物質は含まれています。食生活を整えることは健康に直結していくため、バランスよく食事をとるように心がけましょう。

他にも食品から摂取できる抗酸化物質にはポリフェノール、カロテノイドなどがあります。ポリフェノールには、アントシアニン、イソフラボン、サポニン、セサミノール、ルチン、カテキンタンニンなどの種類があります。アントシアニンはブルーベリーなどに含まれ、イソフラボンやサポニンは大豆や豆腐に多く含まれます。セサミノールはゴマの成分が変化したものです。ルチンはそばに豊富に含まれ、カテキンは緑茶に含まれます。タンニンはテアフラビンの総称で、紅茶・ウーロン茶などの発酵茶や柿に含まれます。

一方、カロテノイドは、緑黄色野菜や果物など多くの食品に含まれるβ-カロテンやリコピン、えびやかになど甲殻類や、さけ・ますなど魚類がもつアスタキサンチンなどが知られています。

これらの食べ物をバランスよく摂ることが難しい方、外食が多くて日常生活の中で野菜を多くに取り入れることが難しいという方はサプリメントを活用するのも効果的です。ビタミンA・C・Eや亜鉛を含むサプリメントは抗酸化に効果があると考えられています。また、サプリメントとして販売されているムクナも抗酸化作用があるとされています。

ムクナ

ムクナには、Lドーパという成分が含まれています。L-ドーパは、腸から吸収されて脳へ移動し、神経細胞に取り込まれてドーパミンとなる物質で、「抗酸化作用(老化に対する作用)」、「テストステロン増加による男性機能向上」、「ストレスやうつの軽減」、などが研究の結果として報告されており、パーキンソン病の薬としても使用されている物質です。米国では、精力サプリや筋肉増強サプリとして有名で、体重、筋肉細胞増加、皮膚、シワ、髪、視力、記憶力、睡眠などの多くの「加齢」に立ち向かう研究結果が報告されています

いずれにしても、サプリメントは、あくまで健康の補助として、特定の病気に対する診断・治療・予防・軽減を期待せずに摂取することをおすすめいたします。