漢方薬は保険適用される?適用条件を詳しく解説

漢方薬とは、植物や鉱物といった生薬を使ったお薬のことです。医療機関で処方されているものもあれば、市販されているものもありますが、漢方薬に健康保険は適用されるのでしょうか?

今回は、漢方薬の保険適用の条件や値段、処方の流れなどについて詳しく解説します。

漢方薬は保険適用される?

2024年8月現在、148の漢方薬(医療用エキス製剤)が保険適用可能となっています。ただ、該当の漢方薬を処方してもらうとしても、必ずしも保険適用となるわけではなく、状況によっては保険適用外となることもあります。

そこでまずは、保険適用の条件などについて詳しく見ていきましょう。

治療目的であれば保険適用となる

漢方薬に限らず、お薬の処方は、そのお薬が保険適用可能なものであり、かつ治療目的であれば保険適用となることが一般的です。

ただし、保険を適用する場合は、お薬ごとに適用可能な病気・症状や条件が決まっています。そのため、ある漢方薬を、全く関係ない症状に対して保険適用で処方してもらうことはできません。また、保険適用の場合は用法用量にも守るべきルールがあります。

予防・美容目的は保険適用外

漢方薬に限らず、予防や美容目的でお薬を処方してもらう場合は、保険適用外となることが一般的です。たとえば肥満症治療目的で漢方薬を使いたいような場合は、通常は保険適用外となります。

医療機関の方針で保険適用外としているところもある

医療機関によっては、どのような治療に対しても自由診療(保険適用外の全額自己負担)としているところもあります。

このような医療機関では、たとえ保険適用が可能なお薬を治療目的で処方するとしても、全額自己負担となります。

市販薬には保険適用の概念はない

漢方薬は市販されているものも多いです。ただ、市販薬には保険適用の概念はなく、厚生労働省が決めている薬価(お薬の公定価格)も存在しません。そのため、同じお薬でも、お店によって値段が異なることがあります。

なお、市販されている漢方薬は、病院で処方される漢方薬と比べて、有効成分量や既定の服用量が異なる場合があります。

薬局製剤にも保険適用の概念はない

薬局製剤(薬局製造販売医薬品)とは、許可・承認を受けた薬局が製造・販売するお薬のことです。医師の処方箋なしに、症状などに合った漢方薬を処方してもらうことが可能で、

「漢方専門薬局」といった薬局も存在します。

このような薬局で販売される漢方薬は、普段よく見る、パッケージされた漢方薬とは違い、生薬を調合した煎じ薬(麦茶のように煮だして飲むお薬)なども多いです。

ただ、こちらも厚生労働省が定める薬価はないので、薬局によって値段は異なります。

保険適用となる漢方薬の種類

保険適用となる漢方薬は、148種類の医療用エキス製剤と、187種類(2021年時点)の生薬です。それぞれの特徴は以下の通りです。

医療用エキス製剤

漢方薬と言っても、人によってそのイメージはさまざまでしょう。エキス製剤は、袋に入った漢方薬をイメージしていただければわかりやすいと思います

エキス製剤とは、生薬からエキスを抽出し、粉薬や錠剤に製剤したものを指します。

近年流通している漢方薬の多くはこのようなタイプです。

どの医療機関で処方されても、同じお薬であれば、有効成分量や品質などが一定であるのが特徴です。

生薬(煎じ薬)

煎じ薬とは、症状に合わせて生薬を自由に配合し、それを麦茶のように煮だして飲む漢方薬のことです。エキス製剤のように量産されているものではなく、生薬の量などを調整することができるので、一人一人の体質や症状に合わせて調合が可能です。

ただ、煎じ薬を処方する場合は保険適用外の自由診療(全額自己負担)となる医療機関もあるようです。

医療機関では保険適用上のさまざまなルールがあるため、煎じ薬がほしい場合は漢方専門薬局に行くのも一つの方法です。

漢方薬の値段

医療機関で処方されるお薬には、厚生労働省が決めている薬価(お薬の公定価格)があり、保険適用の場合は薬価の1~3割が自己負担額となります。

一方、市販薬・薬局製剤・自由診療による処方は、お店やクリニックによって値段が異なります。詳しく見ていきましょう。

保険適用の場合は1~3割負担

保険適用の場合は、年齢や所得によって自己負担割合が異なり、その負担割合は基本的に1~3割となります。

なお、19歳以上70歳未満の場合は基本的に3割負担となることが多いです。

近年の薬価は低下傾向

医療用医薬品(病院で処方されるお薬)の価格は、厚生労働省が決めています。この価格を薬価と言います。

2年に1回価格改定があり、改定のたびに薬価は下がる傾向があります。

市販薬・薬局製剤・自由診療による処方は場所によって値段が異なる

前述のとおり、市販薬や薬局製剤には薬価がないので、お店によって値段が異なります。また、保険適用外の自由診療でお薬が処方される場合も、クリニックによって値段が異なります

保険適用外や市販の漢方薬の値段は上昇傾向

漢方薬の原料となる生薬の多くは中国から輸入されています。そのため、中国における原材料価格の高騰など、中国の社会情勢に値段が左右されることがあります。

最近では、中国での原材料価格の高騰や、漢方薬の需要が高まっていることから、漢方薬自体の値段が上昇しています。

そのため、保険適用外(自由診療)での漢方薬や、市販されている一般用医薬品の漢方薬の値段は上昇傾向にあります。

一般的な漢方薬処方の流れ

漢方薬を処方してもらうときも、一般的な西洋薬を処方してもらうときと違いはありません。

保険証持参で医療機関を受診し、診断された症状・病気に対して保険適用が可能な漢方薬が処方されるという流れになります。

なお、医療機関で直接処方されることもあれば、処方箋をもらい、薬局で処方してもらうケースもあります。

漢方薬に関するQ&A

最後に、漢方薬に関する質問にお答えします。

希望の漢方薬を処方してもらうことはできる?

診療全般において、「この漢方薬を処方してください」と患者側が希望しても、希望通りに処方してもらえないと思われることもあるかと思います。

大前提、診察により患者の症状等、医師の判断によって処方する・しないが決まります。

また、お薬ごとに保険適用可能な病気・症状や条件が決まっているので、症状と全く関係ない漢方薬が処方されることはないためです。

煎じ薬がほしい場合はどうすればよい?

煎じ薬を扱っている医療機関もあるので、近隣にある場合は受診してみましょう。

ただ、どのような医療機関でも煎じ薬を扱っているわけではないため、漢方専門の薬局に行き、薬局製剤の煎じ薬を調合してもらい購入するのも選択肢の一つです。許可・承認を受けた薬局のみ製造できる、薬局医薬品で、症状などを伝えることで、適した漢方薬を薬局内で調合してもらえます。

なお、薬局内でお薬を製造し、提供するためには、製造販売・製造業許可や、製造販売承認などが必要となり、公的に認められた薬局でしか薬局製剤を行うことはできません。

どの病院でも漢方薬は処方してもらえる?

病気や症状に対して保険適用で処方できる漢方薬が存在する場合は、どの病院でも漢方薬を処方してもらえる可能性が高いです。ただ、より適した西洋薬がある場合は、まずそちらが選択されるケースもあるでしょう。

そもそも漢方薬に詳しくない医師もいるため、漢方薬の処方が可能かどうか事前に確認すると確実です。

また、医療機関によっては漢方内科などの専門の診療科を設けているところもあります。漢方専門の診療科であれば、より専門的な知識を持った医師に診察、処方してもらえる可能性が高いと言えます。

漢方薬処方時の診察はどんな感じ?

一般的な医療機関であれば、処方するお薬が漢方薬だとしても、診察の仕方に大きな違いはありません。

古典的な漢方医学に則るのであれば、四診が原則となります。

  • 見て診察する「視診」
  • 呼吸や腸の音を聴く「聞診」
  • 症状などを聞き取る「問診」
  • 脈やお腹を触る「切診」

西洋医学の診察と大差はないことがおわかりいただけるでしょう。ただ、医師によっては、脈や舌の状態を詳しく確認することもあります。

どのような病気でも漢方薬で対応できる?

症状・病気によっては、漢方薬では、西洋薬ほどのはっきりとした効果が得られないことも多いです。漢方薬はあくまで体質を改善しながらじっくり症状緩和を目指すようなお薬なので、症状・病気によって向き不向きがあります。

たとえばがんや心筋梗塞といった重大な病気や、手術が第一選択となるような病気、緊急性の高い病気などは、通常は漢方薬では対応しません。

漢方薬に即効性はない?

お薬の種類によっては即効性が期待できるものもあります。

ただ、漢方薬の性質上、根本から体質を変え、症状の予防や改善を目指すものが多いので、継続することで効果が実感できるものが多いです。

漢方薬は安全?

漢方薬には、過度に心配しなければならないような危険性はありません。ただ、漢方薬であっても副作用のリスクはあります。その中には重大なものもあり、間質性肺炎や肝機能障害の原因になることもあります。

そのため、副作用のリスクをいたずらに上げないためにも、用法用量を守り、飲み合わせにも注意しましょう。自己判断で漢方薬を複数飲むことなどはせず、医師や薬剤師に相談の上で服用するのがおすすめです。

漢方薬の飲み方は?

エキス製剤は、錠剤、カプセル、顆粒などさまざまな剤形がありますが、いずれも西洋薬と

同じように飲むことができます。水やぬるま湯で飲み、決められた用法用量を守りましょう。なお、基本的に食前に飲むように指示されることが多いです。

一方、煎じ薬の場合は自分で煎じる必要があるので、処方してくれた医師や薬局に確認しておきましょう。

漢方薬は子供でも飲める?

漢方薬は子供でも飲めることが一般的です。ただ、大人とは用量が異なることもあるので、しっかり確認しましょう。

また、独特の香りや苦みが気になる場合は、服薬ゼリーを使ったり、アイスやヨーグルトといった食べ物に混ぜて服用することもできます。どのような食べ物がよいかは医師や薬剤師にご相談ください。

漢方薬の処方はクリニックフォアのオンライン診療へ

クリニックフォアでは、さまざまなお悩みに対応するオンライン診療を行っています。保険診療の内科・皮膚科・アレルギー科では、必要に応じて漢方薬を処方することもあります。

また、自由診療ですが、漢方のオンライン診療も行っています。

診療可能時間は幅広く、スマホやパソコンを使って自宅などから診療を受けていただくことができるので、忙しい方でも受診しやすくなっています。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

 

 

注意 オンラインでお薬の処方ができない場合があります

以下に当てはまる場合はオンラインで処方ができません。

  • 依存性の高い向精神薬(不眠症のお薬を含みます)に分類されるお薬や麻薬は処方できません。
  • 触診・検査などが必要な場合(爪水虫など)、オンラインでは病状を把握するために必要な情報が十分に得られないと医師が判断した場合には、対面での診療をお願いする場合がございます。

参考文献

  1. 一般社団法人 日本東洋医学会 -漢方148処方(+製品名)と病名マスターVer5.08-
  2. 一般社団法人 日本東洋医学会 -漢方の疑問点「Q&A」-
  3. 公共財団法人 日本薬剤師会 -薬局製剤を活用してみませんか?-
  4. 製薬協 -くすりの情報Q&A-
  5. 厚生労働省 -医療費の一部負担(自己負担)割合について-
  6. 厚生労働省 -こどもにとってより良い医療の在り方等-