湿布を処方してもらう方法
湿布を処方してもらう方法としては、医療機関を直接受診する方法と、オンライン診療を利用する方法が挙げられます。また、市販されている湿布を購入することもできます。詳しく見ていきましょう。
医療機関を受診する
湿布は、内科、整形外科などで処方されることが多いです。ただ、湿布以外に有効な治療法があるケースもあるため、湿布を処方するかどうかは医師が最終的な判断をします。
なお、痛みなどがあり、湿布の処方が妥当と医師が判断した場合は、保険適用となることが一般的です。
オンライン診療で通院時間の短縮も可能
オンライン診療とは、スマホやパソコンなどの電子機器を用いて、ビデオ通話などで医師の診察を受ける診療方法のことです。お薬は配送されたり、自分で近くの薬局まで取りに行ったりする方法があります。
オンライン診療であっても、直接受診する対面診療と大きな違いはなく、医師が必要と判断した場合に湿布を処方します。保険適用に関しても条件は同様です。
ただ、オンライン診療でできるのは、問診や表面上の視診のみです。湿布では対応しきれない骨折などの影響によって痛みが生じている場合でも、レントゲン検査などができません。そのため、オンライン診療では対応できず、直接の受診を指示される可能性もあります。
市販薬を購入することも可能
医療機関で処方されるお薬(医療用医薬品)と同様の成分を含む湿布も市販されています。ただ、有効成分量が一定量を超えると処方箋が必要となるものもあり、医療用医薬品のほうが有効成分の量が多いことが一般的です。
湿布とは?どのような種類がある?
湿布には薬剤が付着されており、患部に貼ることで皮膚から成分が吸収され、症状に対して作用します。
代表的なものに「ロキソニ」と「モーラス」があり、いずれも非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されます。それぞれにジェネリック医薬品もたくさんあります。
この種類のお薬は、痛みの原因となるプロスタグランジという物質を抑えることで、痛み、炎症を緩和し、熱を下げるとされており、湿布においては、痛みや炎症を解消する効果が期待できます。
もっと具体的に説明すると、プラスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素によってつくられています。NSAIDsは、COXを阻害することでプロスタグランジンの生成を抑え、症状改善につながるのです。
ロキソニン
有効成分はロキソプロフェンナトリウムと言って、解熱鎮痛剤としてよく知られている成分です。
分類としては、NSAIDsの中ではプロピオン酸系の成分に当たり、効果は感じやすく、よく使われています。
期待できる効果は以下のような症状における炎症や痛みの改善です。
- 変形性関節症
- 筋肉痛
- 外傷後の腫脹・疼痛
モーラス
有効成分はケトプロフェンで、外用薬に使われる成分です。こちらもプロピオン酸系の成分です。
期待できる効果は、以下のような症状における炎症や痛みの改善です。
- 変形性関節症
- 筋肉痛
- 外傷後の腫脹・疼痛
- 腰痛症
- 肩関節周囲炎
- 腱・腱鞘炎
- 腱周囲炎
- 上腕骨上顆炎(テニス肘など)
- 関節リウマチ
テープとパップの違いは?
一口に湿布と言っても、お薬の正式名称・タイプとしては「〇〇テープ」と「〇〇パップ」があり、それぞれに以下のような特徴があります。
パップ
パップは白くて厚みのあるお薬です。一般に湿布と言えば、この見た目を想像することが多いでしょう。
水分を含んでいるため、ひんやり感を感じることが多いですが、より冷感のある冷湿布や、あたたかい温湿布もあります。
また、粘着部分は肌に優しくかぶれなどの心配が少ない一方で、はがれやすいのが特徴です。
テープ
肌色の薄いものが一般的で、粘着力が強いのが特徴です。ただ、はがれにくいものの、長時間つけすぎるとかぶれの心配もあります。
湿布の上限枚数に注意!
2022年度の診療報酬改定によって、1回に処方できる湿布の枚数が70枚から63枚に変更になりました。複数種類の湿布が処方される場合も、合計で最高でも63枚までとなります。また最終的な処方内容は医師の判断となります。
湿布の上限枚数変更の背景
湿布の上限枚数変更の背景には、医療費の増加があります。日本では医療費の増加が問題となっているため、医療費を少しでも抑えるために、無駄な検査や治療をできるだけ減らせるよう、さまざまな改革が行われています。
湿布の上限枚数変更もその一つです。特に湿布は必要以上に処方されているケースも見られ、2016年の診療報酬改定によって、まずは上限枚数が70枚と定められました。その後、2022年度にさらに上限枚数が63枚に減ったという経緯があります。
湿布の注意点
最後に、湿布で生じうる副作用や、使用時の注意点について解説します。
副作用
どのようなお薬にも、効果が期待できる一方で、副作用のリスクがあります。たとえば、ロキソニンやモーラスパップで生じる副作用には、以下のようなものがあります。
- 湿布を貼った部分の発疹、赤み、腫れ、かゆみ、刺激感、かぶれ、水ぶくれ、ただれ、色素沈着など
- 皮下出血
- 皮膚のはがれ
- じんましん
- 胃の不快感
- 上腹部痛
- 下痢、軟便
- 消化性潰瘍
- むくみ
など
その他、重大な副作用として以下のようなものが生じることもあります。
- ショック、アナフィラキシー(重いアレルギー反応によるじんましん、呼吸困難など)
- 喘息発作の誘発
- 接触皮膚炎(前述した皮膚症状が重篤化することがある)
- 光線過敏症(紫外線に当たることで、皮膚炎症状が重篤化することがある)
気になる症状が出たときは、早めに医師や薬剤師に相談してください。
使用前にテストをする
主に皮膚に関する副作用を防ぐためには、使用前にテストをすることをおすすめします。
湿布を貼る前に、1~2cm角に切った湿布を、腕の内側などの皮膚の弱い部分に半日ほど貼りましょう。特に肌の弱い方はやっておくと安心です。
かぶれなどの皮膚症状がでたときは湿布の使用をやめ、処方医や薬剤師に確認してください。
使用に注意が必要な人
持病や体質によっては湿布が使えない方もいます。たとえばロキソニンやモーラスは、その成分に過敏症の既往歴がある方と、アスピリン喘息やその既往がある方は使用が禁止されています。
また、モーラスについては、日焼け止めや香水に配合される特定の成分に対して過敏症の既往歴がある方や、光線過敏症の既往歴がある方、妊娠後期の女性も使用が禁止されています。
その他、使用に注意が必要な方は以下の通りです。
- 気管支喘息の方
- 皮膚感染症がある方
- 妊娠している方
- 子ども
- 高齢者
上記に当てはまる方は、別のお薬を使うか、適切な使用方法を守るなど、医師の指示に従いましょう。
長時間貼り続けない
長時間貼り続けても効果がたくさん得られるわけではありません。むしろ、かぶれなどの原因になることがあります。用法用量をよく確認し、1日1回貼るタイプであれば、毎日貼り替えましょう。
湿布を貼った部分を日光に当てない
モーラスといったケトプロフェンを使った湿布は、光線過敏症のリスクがあります。貼った部分が日光にあたることで、強いかゆみを伴う湿疹や、腫れ、水ぶくれ、ただれ、刺激感などの重度の皮膚炎症状が生じることがあるのです。
また、色素沈着や脱失、皮膚炎症状が全身に広がって重篤化することなどもあるため、注意が必要です。
なお、このような症状は、数ヶ月経ってから生じることもあります。
湿布の処方はクリニックフォアのオンライン保険診療へ
クリニックフォアでは、さまざまなお悩みに対応するオンライン診療を行っています。保険診療の内科では、症状に応じて湿布を処方するケースもあります。
幅広い時間帯で受診が可能なので、忙しい方でも受診しやすくなっています。痛みが気になる場合は、受診をご検討ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。