片頭痛とは?症状・原因・治療法・予防法・対処法を詳しく解説!

頭に、脈を打つようなズキズキとした痛みを感じる場合は、片頭痛の可能性があります。

片頭痛であれば命にかかわるようなことはありませんが、痛みで生活に支障をきたしたり、むやみな服薬でよけいに悪化させたりすることがあるため、必要に応じて受診を検討するとよいでしょう。

今回は、片頭痛の症状や原因、治療法、対処法などについて詳しく解説します。

片頭痛とは

片頭痛とは、脈を打つようなズキズキとした痛みを感じる頭痛のことです。頭の片側が痛むことから「片頭痛」という名前がつきましたが、実は患者さんの4割は両側に痛みを感じたことがあるとされています。

年間の推定有病率は8.4%とされており、緊張型頭痛、群発頭痛と並んで「三大慢性頭痛」と呼ばれる代表的な頭痛です。男性よりも女性に多いという特徴があり、特に20~40代の女性に多いとされています。

なお、「偏頭痛」と書くこともありますが、医学的には「片頭痛」が正式な名前です。

(参考)
https://www.jhsnet.net/GUIDELINE/2/AF/2-1-3_af.htm

一次性頭痛の一種

頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に分けることができ、片頭痛は一次性頭痛に分類されます。

  • 一次性頭痛:背景になる病気は特になく、頭痛自体が病気であるもの
  • 二次性頭痛:何らかの病気によって頭痛が生じているもの

二次性頭痛の原因には、くも膜下出血や脳動脈解離といった重大な病気もあり、命にかかわることもあります。

片頭痛の症状

片頭痛は慢性的なものであることが多く、時折発作的な痛みが生じます。痛みは脈を打つようなズキズキとしたもの(拍動性)かつ、片側に生じることが多いです。また、持続時間は4~72時間程度とされています。

痛みは中等度~高度で、寝込んだり、仕事がはかどらなくなったりと、日常生活に支障が出ることも多いです。階段の昇り降りといった動きで痛みが強くなることも特徴です。

その他の症状

痛み以外に以下のような症状を伴うこともあります。

  • 吐き気、嘔吐
  • 感覚過敏(光、音、においなどを不快に感じる)

前兆があるケースもある

頭痛が起きる前に前兆が起きることもあります。よくあるのは、閃輝暗点(せんきあんてん)と言って、視野の中にキラキラやギザギザとした光のようなものが見えるものです。おおむね1時間以内に前兆がなくなり、前兆が現れてから1時間以内に頭痛が生じることが一般的です。

前兆として現れる症状には、他にも以下のようなものがあります。

  • 感覚症状(感覚が鈍くなる、チクチク感など)
  • 言語症状(言葉が出にくくなる)
  • 体の片側の脱力感
  • めまいなど

前兆を感じる方のほうが少なく、前兆を感じることがある方でも、毎回前兆があるとは限りません。

なお、頭痛の前にあくびや眠気、集中力の低下、イライラ、倦怠感、疲労感、首のこりといったなんらかの違和感を感じる方もいますが、医学的にはこれは「予兆」と呼び、前兆と区別しています。

前庭性片頭痛について

片頭痛の一つに、前庭性片頭痛というものがあります。これは、めまいを繰り返しており、半分以上の頻度で片頭痛などの症状を伴う状態のことを言います。

片頭痛の原因

片頭痛の原因はまだはっきりわかっておらず、いくつかの説が存在します。その中のひとつとして、音や光などのさまざまな刺激がきっかけで特定の神経伝達物質が分泌されることで、脳の表面の神経や血管の周辺に炎症が生じ、血管が広がって痛みを感じるというメカニズムが考えられています。

なお、女性ホルモンや病気、遺伝が原因となったり、日常生活のさまざまな出来事や食べ物がきっかけとなったりすることもあります。詳細は以下の通りです。

女性ホルモン

女性ホルモンのエストロゲンは、片頭痛の発症にかかわりがあるとされています。具体的には、エストロゲン濃度の上昇や変化がきっかけになると考えられています。片頭痛が女性に多いのも、これが理由の可能性があります。

そのため、エストロゲン濃度が上昇する思春期や、逆に低下する産後、閉経期などは、片頭痛が生じやすくなります。生理前後や生理中に片頭痛が起きやすくなる方もいます。

病気

顎関節の病気や、頭部のケガ、首の痛みなどが片頭痛の発症や悪化の原因となることがあります。

遺伝

いわゆる一般の片頭痛に関する確実なものは見つかっていませんが、家族性片頭痛の一部や部分症状は遺伝的な要因がかかわっている可能性が高いと考えられています。また、遺伝子異常による片頭痛もあります。家族性片麻痺性片頭痛と言って、体の片側の筋力低下を伴います。

その他の誘発因子・悪化因子

直接の原因とは限りませんが、以下のようなできごとや状況が頭痛を誘発したり、悪化の原因となったりすることがあります。

  • 睡眠不足
  • 睡眠過多
  • ストレス・緊張・疲れ
  • ストレスからの解放
  • 目の疲れ
  • 首や肩のこり
  • 運動
  • 生理
  • 性的活動
  • 空腹
  • 脱水
  • 特定の食品
  • アルコール
  • 天候(主に気圧)の変化
  • 温度差
  • 強い光や音、匂いといった刺激など

片頭痛のきっかけとなるかもしれない食べ物

個人によって大きく異なりますが、食べ物が片頭痛のきっかけになると言われることもあります。たとえば、以下のような成分や食べ物が挙げられます。

アルコール赤ワインなど
チラミン・大豆製品
・ソラマメ
・一部のナッツ
・サラミ
・熟成チーズ
・魚の燻製
・魚の干物など
硝酸ソーセージ※など
グルタミン酸ナトリウム・うま味調味料
・香辛料など
カフェイン・コーヒー
・チョコレートなど
※現在の日本では、ソーセージに含まれる硝酸はごくわずかとなっている

片頭痛の治療法

片頭痛には根本的な治療法はありません。ただ、お薬で痛みの軽減や、発作の頻度を減らすことは可能です。そのために使うお薬としては、以下のようなものがあります。

分類どのようなお薬か成分・お薬の例使用する状況や特徴
鎮痛薬痛みを緩和するお薬アセトアミノフェン頭痛が比較的軽い
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)・イブプロフェン
・ロキソプロフェンナトリウム
・アセチルサリチル酸
・ジクロフェナクナトリウム
頭痛が軽度~中等度
トリプタンセロトニン(神経伝達物質)によって血管を収縮させるお薬・スマトリプタンコハク酸塩
・ゾルミトリプタン
・エレトリプタン臭化水素酸塩
・リザトリプタン安息香酸塩
・ナラトリプタン塩酸塩
・頭痛が中等~重度
・頭痛が軽~中等度だが過去にNSAIDsの効果が得られなかった経験がある
エルゴタミン系製剤血管を収縮させ、炎症を抑えるお薬酒石酸エルゴタミン
制吐薬嘔吐を抑えるお薬・メトクロプラミド
・ドンペリドン
嘔吐がひどい
漢方薬・植物などの生薬を配合したお薬
・体質を改善しながら症状改善を目指す
呉茱萸湯(ゴシュユトウ)・慢性頭痛
・前兆を伴う片頭痛・他の鎮痛薬と併用できる
桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)・胃腸が弱い方の慢性頭痛
・定期的に飲む
釣藤散(チョウトウサン)・動脈硬化や胃が弱い傾向にある方の慢性頭痛
・定期的に飲む
五苓散(ゴレイサン)・頭痛全般に使える
・定期的に飲む
・低気圧がきっかけとなる頭痛の場合は頓服でもよい

片頭痛の予防薬

頭痛の症状がなくても日常的にお薬を飲むことで、片頭痛の予防ができることがあります。頭痛が起こった場合でも、症状が軽く済む効果が期待できます。使用するお薬には、以下のようなものがあります。

分類作用成分例
抗CGRP抗体片頭痛の原因の一つとされる、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)の働きを抑えるガルカネズマブ・フレマネズマブ
抗CGRP受容体抗体エレヌマブ
抗てんかん薬脳内の神経伝達物質にはたらきかけるバルプロ酸ナトリウム
β遮断薬交感神経のβ受容体にはたらきかけるプロプラノロール塩酸塩
カルシウム拮抗薬セロトニン(神経伝達物質)によって血管を収縮させるロメリジン塩酸塩

片頭痛の対処・対策方法

片頭痛に悩んだときは以下のような対処法を講じましょう。毎日の生活の中でできることもあるので、可能なものから取り入れていきましょう。

市販薬で様子を見る

症状が軽い場合は、まずは市販薬で様子を見てもよいでしょう。ただし、頭痛が起こっているときは、命にかかわる病気が背景にあるケースもあります。そのため、片頭痛と診断されており、お薬の使用法も理解している場合にのみ、市販薬を使うことをおすすめします。まずは医療機関で診断を受けたほうがよいでしょう。

また、お薬を飲みすぎると、頭痛の悪化や慢性化につながることがあります。これを薬物乱用頭痛と言います。

医療機関を受診する

頭痛の原因や正しい対処法を把握するためにも、まずは医療機関を受診するのがよいでしょう。症状がひどい場合や、日常生活に支障をきたしている場合、お薬を飲んでばかりいるような場合は、特に早めの受診をおすすめします。

なお、お薬の効果が感じられなかったり、月に10日以上頭痛があったりする場合は、薬物乱用性頭痛になっている恐れがあるため、早めに受診してください。

また、嘔吐がひどく、脱水をきたしている場合や、お薬の使い過ぎによる頭痛(薬物乱用頭痛)をきたし、慢性片頭痛になっているような場合は、入院が必要となることもあります。

規則正しい生活を送る

寝不足や寝すぎが片頭痛のきっかけとなることがあります。適度な睡眠をとり、規則正しい生活を心がけましょう。

ストレスをためない

疲れやストレスは片頭痛のきっかけとなることがあります。疲れやストレスはできるだけためないようにし、ときどきリラックスをしたりしてストレス解消に努めましょう。

適度に運動する

適度な運動が、片頭痛予防につながることもあります。たとえばヨガは、運動をしながらリラックスもできるためおすすめです。

ただし、運動によって片頭痛が誘発される方は、無理に運動するのはやめましょう。

片頭痛予防によい栄養を摂る

以下のような栄養素や食べ物は、片頭痛予防によいとされています。必要に応じてサプリメントなども取り入れてみてはいかがでしょうか。

栄養素多く含まれる食べ物
マグネシウム・豆腐
・そば
・ホタテ
・キンメダイ
・カツオ
・マグロなど
ビタミンB2・レバー
・うなぎ
・豚ヒレ肉
・牛乳
・ブリ
・納豆
・アーモンドなど
コエンザイムQ10・青魚(イワシなど)
・ハマチ
・肉類
・ブロッコリーなど
ナツシロギク

症状の記録をつける

頭痛が起きたときに記録をつけることで、受診時や日常生活で役立つことがあります。記録には以下のような事柄を記載しておきましょう。

  • 症状が起きた日時
  • 症状の強さ、内容
  • 症状が起きたときの状況・特徴的な出来事
  • 服薬状況や効果など

症状が起きたときの状況や、特徴的な出来事の部分は、気になることをなんでも書いておきましょう。これによって、「睡眠不足のときに頭痛が起きやすい」「目が疲れると頭痛が起きやすい」といった傾向を把握する手がかりとなります。頭痛が起きる状況がわかれば、その状況を回避しやすくなるでしょう。

片頭痛は保険適用で診療できる?

片頭痛は保険適用で診療が受けられることが一般的です。診療は、保険適用の保険診療と、保険適用外の自由診療に分けることができ、基本的に、頭痛などの症状があり、治療の必要性があり、決められた範囲内の治療法を実施する場合は保険適用となります。

保険診療自由診療(保険外診療)
概要公的な健康保険が適用される診療保険が適用にならない診療
主な状況病気の症状があり、治療の必要性がある状況美容目的や、予防目的の場合
診察・治療内容国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査、治療医療保険各法等の給付対象とならない検査、治療
費用同じ診療内容なら、どの医療機関でも同じ同じ診療内容でも、医療機関によって異なる
原則1~3割負担全額自己負担

片頭痛の治療はクリニックフォアのオンライン保険診療へ

クリニックフォアでは、さまざまなお悩みに対応するオンライン診療を行っています。片頭痛をはじめとする頭痛の診療は、保険診療の内科で対応が可能です。

「頭痛くらいなら市販薬で様子を見よう」と思うかもしれませんが、漫然と市販薬を使い続けていると、薬物乱用性頭痛になってしまうこともあります。頭痛の原因や正しい対処法を把握するためにも、まずは受診をご検討ください。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

注意 オンラインでお薬の処方ができない場合があります

以下に当てはまる場合はオンラインで処方ができません。

  • 依存性の高い向精神薬(不眠症のお薬を含みます)に分類されるお薬や麻薬は処方できません。
  • 触診・検査などが必要な場合(爪水虫など)、オンラインでは病状を把握するために必要な情報が十分に得られないと医師が判断した場合には、対面での診療をお願いする場合がございます。

参考文献

  1. 片頭痛|日本神経学会
  2. 頭痛の診療 ガイドライン|日本神経学会 日本頭痛学会 日本神経治療学会
  3. 片頭痛/片頭痛の治療|日本頭痛学会
  4. 一次性頭痛|日本頭痛学会
  5. 本邦における片頭痛の有病率はどの程度か|日本頭痛学会
  6. 前庭性片頭痛(Vestibular Migraine)の診断基準|日本めまい平衡医学会