単純ヘルペスとは?症状・原因・感染経路・治療法などを詳しく解説!

単純ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスが感染することで生じる単純疱疹のことを指します。単にヘルペスと言う場合は、単純疱疹だけでなく、水痘・帯状疱疹ウイルスによって生じる帯状疱疹を指すこともあります。

今回は単純疱疹の症状や原因、感染経路、治し方やお薬などについて詳しく解説します。

単純ヘルペスとは

単純ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスが感染することで生じる単純疱疹のことです。症状は、小さな水ぶくれやただれで、口や顔のほか、性器などに現れることが多いです。

なお、ヘルペスはもともとは、小さい水ぶくれが生じる皮膚疾患全般のことを指していましたが、近年はヘルペスと言えば単純疱疹か帯状疱疹を指すことが一般的です。

単純ヘルペスの症状

単純ヘルペスの症状は、感染部位の水ぶくれ、ただれ、痛みなどです。

水ぶくれができる前に、違和感やかゆみ、チクチクやピリピリ感、ムズムズ感などが生じることもあります。このような前兆があった場合は、その後、数日程度で水ぶくれができることが一般的です。

治療をしなくても自然と治ることも多く、数日から数週間程度でかさぶたになって治癒します。

発症部位

単純ヘルペスウイルスは、体のさまざまな部位に感染し、発症することがあります。代表的な部位と名称は以下の通りです。

  • 唇周辺:口唇ヘルペス
  • 口内や歯肉:ヘルペス性歯肉口内炎
  • 顔:顔面ヘルペス
  • 角膜:角膜ヘルペス
  • 手指:ヘルペス性ひょう疸(ひょうそ)
  • 性器:性器ヘルペス
  • おしり:殿部ヘルペス
  • 脳:ヘルペス性脳炎
  • 頭部
  • 胴体
  • 上肢
  • 下肢など

発症タイミングによる症状の違い

単純ヘルペスウイルスは、一度感染するとずっと体内に潜伏するため、再発することも多い病気です。最初の発症なのか、再発なのかなど、発症のタイミングによって症状がやや異なります。たとえば初感染時の発症は症状が強い傾向があり、高熱が出ることもあります。

タイミングごとの症状の特徴は以下の通りです。

分類詳細症状の特徴
初発初めての発症・初感染で初発のときは症状が強い傾向がある
・病巣の範囲が広く、高熱などを伴うことがある
非初感染初発初感染時は無症状で、その後ウイルスが活性化したことによる発症・初感染時の初発よりも症状は軽いことが多い
・治癒までの期間が短いことが多い
・免疫不全の方や、高齢の方は症状が強いケースもある
再発(回帰発症)2回目以降の発症・軽症であることが多い
・発熱などの全身症状を伴うことはあまりない
・治癒までの期間が短いことが多い

なお、初感染時は無症状のことが多いとされています。

特殊な単純ヘルペス

ここまでに紹介した単純ヘルペスとは、症状などが少し異なるものもあります。ここでは、新生児ヘルペスとカポジ水痘様発疹症をご紹介します。

新生児ヘルペス

新生児ヘルペス(先天性ヘルペスウイルス感染症・新生児単純ヘルペスウイルス感染症)とは、単純ヘルペスに感染した母親から、赤ちゃんに感染して生じるものです。

多くが産道感染ですが、お腹の中で感染することもあれば、母親から家族や医療従事者を介して感染することもあります。

症状は水ぶくれだけでなく、発熱や哺乳力の低下、黄疸、呼吸障害など多岐にわたり、死に至ることや、後遺症が残ることもめずらしくありません。目に見える症状は、生後1週間から10日以内に現れることが多いです。

なお、新生児ヘルペスの母親の約6~7割は、無症状だとされています。

カポジ水痘様発疹症

顔や首、胴体などに、小さな水ぶくれがたくさんできるタイプの単純ヘルペスです。高熱も伴うことが一般的です。

単純ヘルペスの直接的な原因は2種類のウイルス

単純ヘルペスの原因となるウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)ですが、これは1型と2型に分類することができます。

以前は顔や唇に感染するものが1型、性器に感染するものが2型とされていましたが、最近ではこの限りではありません。口に感染した1型のウイルスが、オーラルセックスで性器に感染するケースもあるためです。

単純ヘルペスはうつる!感染経路は?

単純ヘルペスウイルスは感染力がとても強いウイルスで、触れることで感染する接触感染が主な感染経路となります。ただ、2型は主に性行為で感染するなど、ウイルスのタイプによって感染経路が若干異なります。

1型は接触感染・飛沫感染

1型は、水ぶくれやただれが生じた部分や、ウイルスを含む唾液に触れたり、くしゃみ、せき、唾が飛ぶことによる飛沫感染で感染することがあります。患部などに直接触れなくても、ウイルスがついた手や物を介して感染することもあります。

以前は幼少期の口移しの経験などで、家族から子どもに感染することが多く、思春期までに感染している人が多かったのですが、最近では初感染の年齢が高くなってきています。

なお、口に感染した1型のウイルスが、オーラルセックスで性器に感染することもあります。

2型は性行為で感染

2型は主に性行為で感染するとされています。粘膜や性器からの分泌物を介して感染します。

なお、すでに1型に感染している場合でも、さらに2型に感染することがあります。ただ、その場合は症状が出ないことが多いです。

また、初感染後1年以内は、無症状でも性器からウイルスを排泄しているケースが珍しくありません。

単純ヘルペスの再発の原因

単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると、症状がなくなっても神経細胞の中に潜伏し、免疫力が低下すると再発することがあります。

再発のきっかけとなる事柄には以下のようなものがあります。

  • 発熱
  • 紫外線
  • 性行為
  • 歯科治療などの刺激
  • 疲れ・ストレス
  • 生理
  • 風邪
  • がんなど

なお、1型よりも2型のほうが再発頻度が高いとされており、中には月に数回再発するような方もいます。たとえば性器ヘルペスの症状が現れた場合、その6~7割程度は再発だとされています。

(参考)
https://jssti.jp/pdf/guideline-2016.pdf

単純ヘルペスの検査・診断方法

症状を観察するだけで診断が下ることが多いです。ただ、別の病気が疑われる場合などは、確実な診断のために、患部の細胞を採取し、単純ヘルペスウイルスが存在するか検査することがあります。これを抗原検査と言います。

また、血液中の抗体の有無や量を調べる抗体検査を行うことがあります。ただ、再発時は抗体の量が変化しないこともあるため、抗体検査からわかることは、初感染かどうかといったことが主となります。

単純ヘルペスの治療法

単純ヘルペスの治療では、抗ウイルス薬の飲み薬か点滴を使います。また、必要に応じて痛み止めや塗り薬などを使うこともあります。

単純ヘルペスは、お薬を使わなくても自然治癒することが多いですが、お薬を使ったほうが治りが早いとされています。

なお、お薬で治療したとしても、一度感染してしまったウイルスを体内から排除することはできません。今後も何らかのきっかけで再発することがあるため注意しましょう。

単純ヘルペスの予防法

単純ヘルペスの再発を予防するために、抑制療法を行う選択肢があります。これは、抗ウイルス薬を毎日飲み続け、再発を防ぐという治療法です、まずは1年程度飲み続け、再発するかどうか確認しながらさらにお薬を続けたり、減らしたりしていきます。

また、発症前に前兆があることが多い方は、あらかじめ抗ウイルス薬を処方してもらっておき、前兆が出たときにお薬を飲む方法もあります。一般に、単純ヘルペスは、治療が早ければ早いほどウイルスの増殖が抑えられ、症状が出にくくなるとされているため、すぐにお薬を飲むことで軽い症状で済むことがあります。

単純ヘルペスの対処法

単純ヘルペスを発症したときは、ちょっとした心がけで症状を緩和したり、他者への感染を防いだりすることができます。そのため、以下のような対応を心がけましょう。

患部を清潔にする

水ぶくれなどの症状が現れたときは、石鹸を使って優しく患部を洗いましょう。それだけで比較的早く症状がおさまることもあります。

患部をむやみにいじったり、水ぶくれをつぶしたりすると、症状が悪化したり、ウイルスが外に出て他者に感染させるリスクが高まったりするため、避けましょう。

安静にする

単純ヘルペスは免疫力が低下したときに再発しやすいため、症状が出たときは安静にしましょう。

日ごろの生活習慣にも気を配る

免疫力の低下による再発を予防するため、規則正しい生活、十分な睡眠、栄養バランスのよい食事、ストレスをためないといったことも心がけましょう。

また、強い紫外線が発症のきっかけとなることもあるため、紫外線対策をすることもおすすめします。

患部を触ったら手を洗う

水ぶくれの中にはウイルスが入っているため、破れたものを触ると手にウイルスがつくことがあります。そのままの手で体や物を触ったりすると、別の場所や人に感染が広がることがあるため、患部に触ったら必ず石鹸で手を洗いましょう。

単純ヘルペスは何科に行けばよい?

単純ヘルペスのような症状が現れた場合は、まずは皮膚科か内科を受診しましょう。

また、性器に症状がある場合は性病科、性感染症科、婦人科(女性の場合)、泌尿器科(男性の場合)などを受診するのがよいでしょう。

単純ヘルペスは保険適用で診療できる?

単純ヘルペスは保険適用で診療が受けられることが一般的ですが、自由診療で対応している医療機関もあります。診療は、保険適用の保険診療と、保険適用外の自由診療に分けることができ、基本的に、水ぶくれなどの皮膚の症状があり、治療の必要性があり、決められた範囲内の治療法を実施する場合は保険適用となります。しかし、事情によって保険診療が受けられない場合などは、自由診療での処方も可能です。

保険診療自由診療(保険外診療)
概要公的な健康保険が適用される診療保険が適用にならない診療
主な状況病気の症状があり、治療の必要性がある状況美容目的や、予防目的の場合
診察・治療内容国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査、治療医療保険各法等の給付対象とならない検査、治療
費用同じ診療内容なら、どの医療機関でも同じ同じ診療内容でも、医療機関によって異なる
原則1~3割負担全額自己負担

単純ヘルペスの治療はクリニックフォアのオンライン保険診療へ

クリニックフォアでは、さまざまなお悩みに対応するオンライン診療を行っています。再発を繰り返す単純ヘルペスの診療は、保険診療の皮膚科で対応が可能です。

また、性器に症状がある場合は、自由診療となりますが、性感染症のオンライン診療もご用意しています。再発を繰り返す方向けのお薬の処方も行っているため、受診をご検討下さい。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

 

 

注意 オンラインでお薬の処方ができない場合があります

以下に当てはまる場合はオンラインで処方ができません。

  • 依存性の高い向精神薬(不眠症のお薬を含みます)に分類されるお薬や麻薬は処方できません。
  • 触診・検査などが必要な場合(爪水虫など)、オンラインでは病状を把握するために必要な情報が十分に得られないと医師が判断した場合には、対面での診療をお願いする場合がございます。

参考文献

  1. ヘルペスと帯状疱疹|日本皮膚科学会
  2. 日本性感染症学会誌|日本性感染症学会
  3. 単純ヘルペス、性器ヘルペス(ファクトシート)|厚生労働省 検疫所 FORTH