頭痛は病院に行くべき?タイミングや診療科、治療方法を解説

頭痛は多くの方が経験する症状ですが、なかにはくも膜下出血などの早急な治療を必要とする重大なケースもみられます。

そこで本記事では、病院に行くべき頭痛の特徴や、頭痛の種類、頭痛が症状として現れる病気、治療方法などについて詳しく解説します。

頭痛で病院に行くべきタイミング

頭痛があるときは市販の鎮痛薬で対処している、という方もいるかもしれませんが、中にはくも膜下出血や髄膜炎などの重大な病気が生じている恐れもあります。以下のような痛みが生じている場合は、早めに医療機関を受診したほうがいいでしょう。

  • 我慢できないほど痛みが強い
  • ひんぱんに頭痛がする
  • いつもとは違う感じの頭痛がする
  • 突然、バットで殴られたように激しく痛む
  • 事故などで頭にけがをした後で頭痛が生じた

 など

また、頭痛とともに以下のような症状がある場合も、受診を検討してください。

  • 吐き気や手のしびれがある
  • 高熱がある
  • 意識がもうろうとしている
  • ろれつが回らない
  • 目がかすむ

 など

このほか、日常生活に支障があるような場合は我慢する必要はありません。無理せず、医療機関を受診してください。持病があったり治療中だったりする場合は、主治医に相談することも大切です。

頭痛は何科を受診すればよい?

頭痛の診療に対応している科は複数ありますが、最初は内科やかかりつけ医を受診するとよいでしょう。より専門的な診療科に行きたい場合は、「脳神経内科」「脳神経外科」などの「頭痛外来」を受診するのも選択肢の一つです。

また、症状によっては、精神科、皮膚科、婦人科、ペインクリニック内科などで治療できることもあります。

頭痛を専門とした診療科の種類

ここでは、頭痛の診療において、より専門的な科である「脳神経内科」「脳神経外科」を紹介します。

脳神経内科

脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診る内科です。頭痛のほか、体が思うように動かなかったり、しびれやめまいを感じたり、うまく話せなかったりするときにも受診する科です。全身を診る科なので、頭部以外の頭痛の原因を見極めることも可能なケースがあります。

脳神経外科

脳や脊髄、神経のけがや病気を診る科です。脳腫瘍、頭部外傷、くも膜下出血などの診療も行います。体が思うように動かなかったり、しびれを感じたりしたときに受診するという点では脳神経内科と似ていますが、脳神経内科との大きな違いは、手術が治療の選択肢に入る点です。脳神経内科を受診しても、手術が必要な場合は脳神経外科を紹介されることがあります。

頭痛の種類と原因

頭痛は、一次性頭痛と二次性頭痛に分類されます。病院を受診した場合、一次性頭痛なのか二次性頭痛なのかを見きわめることが治療の第一歩となります。

それぞれにどのような違いがあるのか、種類や原因とともに詳しく見ていきましょう。

一次性頭痛(原発性頭痛)

一次性頭痛とは、なんらかの病気が関係しているのではなく、頭痛そのものが主訴となるもので、基本的に、生命に危険が及ぶものではありません。

片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などが代表的です。

片頭痛

日本では成人の約8.4%が片頭痛にかかっているとされており、頭痛の中でも頻度が高いものです。片側が痛むことから「片頭痛」と呼ばれていますが、両側に痛みを感じる人も多いです。また、月に15日以上頭痛があり、そのうち8日以上に片頭痛症状がみられる場合は、慢性片頭痛と呼ばれます。

片頭痛による頭痛は、おおよそ4~72時間続きます。代表的な症状は、ズキズキと脈を打つような痛みのほか、光・音・臭いに敏感になる、吐き気、嘔吐などです。

また、片頭痛には、前兆となる症状があるケースがあります。その場合は、キラキラとした光やギザギザの光が見えたり(閃輝暗点)、言葉を発しにくくなったりするなどの症状があり、このような症状が50~60分続いた後に頭痛が起こり始めるのが一般的です。

また、頭痛が始まりそうな予感がするほか、眠気や疲労感、首まわりのこりなどの“予兆”を感じる人もいます。

現在のところ、片頭痛を根本的に治す治療法はわかっていません。そのため、痛みを鎮めたり、頭痛発作が起こりにくくしたりするための投薬治療が中心となります。

緊張型頭痛

緊張型頭痛も、一次性頭痛のなかで多くみられる頭痛です。ストレスや筋肉の緊張が原因とされており、症状があらわれる日数によって「反復性」と「慢性」に分類されています。反復性は月に15日未満、慢性は平均して1ヶ月に15日以上の症状が3ヶ月超続くものをいいます。

緊張型頭痛の痛みの感じ方は、よく「圧迫されるような痛み」「締め付けられるような痛み」と表現され、激しい痛みではなく、鈍く重いのが特徴です。また、左右どちらかに偏るのではなく、両側に痛みを感じるのが一般的です。痛みの持続期間は、30分程度で治まることもあれば、7日ほど続くこともあり、さまざまです。緊張型頭痛は片頭痛と似ている点もありますが、片頭痛によくみられる吐き気や嘔吐は緊張型頭痛ではほとんどありません。また、光・音・臭いに過敏になることもまれです。

なお、寝込むほど痛みが強いことはまれなため、日常生活に支障がなければ治療は必要ないとされています。ただ、生活に困難を生じるようであれば、お薬の投与やストレスの解消、筋肉をやわらげるマッサージなどで軽減を図ります。

群発頭痛

頭痛発作が群発する(短い間に何回も起こる)ものです。主に目のまわりから前頭部や側頭部に激しい痛みを伴うもので、数週間~数ヶ月という比較的短い期間に集中的に頭痛が起こります。1年以上頭痛発作を繰り返す場合は慢性群発頭痛と呼ばれます。

夜間や睡眠中に頭痛発作が起こりやすく、頭痛とともに目の充血や涙が出る、鼻づまり、鼻水、瞳孔の縮小、まぶたが垂れ下がるなどの症状を伴うことが多いです。また、頭痛が起こったときに興奮状態になりやすいのも群発頭痛に多い特徴です。

通常の痛み止めはあまり効果が期待できないため、痛みがあるときには皮下注射や酸素吸入による治療を行い、予防目的として薬剤投与も併用することが一般的です。

なお、かつては若い男性に多い病気でしたが、現在では女性の群発頭痛も珍しくありません。

二次性頭痛

二次性頭痛とは、なんらかの病気が原因となって起こる頭痛です。「症候性頭痛」「続発性頭痛」などとも呼ばれており、命に危険が及ぶケースもあるため、注意が必要です。

原因となる病気としては、くも膜下出血、脳腫瘍、感染症などが代表的です。それぞれの詳細を見ていきましょう。

くも膜下出血

「くも膜」とは、脳の表面を覆っているクモの巣のような膜のことです。くも膜の下には動脈が走っており、この動脈から出血が起こるとくも膜下出血になります。血管が破裂すると、痛みを感じる硬膜を刺激することから、頭痛を引き起こします。

痛みは非常に強く、「バットで殴られたような痛み」「今まで感じたことのない痛み」などと表現されます。痛みを感じる場所は、額のあたりや後頭部、首筋など、血管が破れた場所によってまちまちです。頭痛に伴い、嘔吐することもあります。

なお、くも膜下出血は命にかかわる重篤なものです。麻痺が残ることも珍しくないため、早急な受診が必要です。

治療は、入院したうえで鎮静剤や鎮痛剤、血圧を下げるお薬などの投与による再出血予防から始まるのが一般的です。その後、脳の血の流れを改善して合併症を防いだり、破裂した血管のコブ(動脈瘤)の部分を塞いだりする治療が行われます。

脳腫瘍

脳に腫瘍ができ、頭の中の圧が高くなることから頭痛が生じることがあります。寝ている姿勢から起き上がったときに頭痛を感じやすい傾向があります。体を横にしていると重力の影響で頭の中の圧が高くなるためです。起き上がってしばらくすると頭痛が薄れていくようなら、脳腫瘍の可能性も疑ったほうがいいでしょう。

脳腫瘍ができた場合、頭痛以外にも、手足を動かしにくい、言葉がうまく出てこない、ものを忘れやすい、目が見えにくい、けいれんするなど、さまざまな症状があらわれることが多いです。

脳腫瘍の治療は、症状に応じてさまざまな方法があり、腫瘍摘出手術、放射線療法、化学療法、頭蓋内圧を下げるお薬などを組み合わせて行います。

感染症

頭の中の感染症や、全身の感染症によって頭痛が起こることがあります。原因となる感染症は多岐にわたり、頭の中の感染症では、細菌性髄膜炎やウイルス性脳炎など、全身の感染症では、インフルエンザなどの感染症、マダニに刺されて発症するライム病などがあります。

いずれも頭痛のほかに発熱があることが多く、さらに、頭の中の感染症の場合は、首の後ろ側の硬直、意識障害などが生じることがあります。全身の感染症が原因の場合は、全身の倦怠感などを感じることも多いです。

緊急を要する感染症もあるため、早急に病院を受診する必要があります。

薬物乱用頭痛

片頭痛や緊張型頭痛で鎮痛薬などを常用していると、だんだん頭痛の頻度が高くなることがあります。3ヶ月を超えて、おおむね月に10~15日以上の頻度(お薬の種類によって異なる)で鎮痛薬や頭痛の治療薬を使用しており、頭痛が月に15日以上生じる場合は、薬物乱用頭痛と診断されることが一般的です。

薬物乱用頭痛になると、頭痛がこわいからと痛みがないうちにお薬を飲んだりするようになり、しだいに鎮痛効果が得られなくなって、さらに服用量が増えてしまうという悪循環に陥ってしまうこともあります。

治療は、常用している鎮痛剤の服用を中止することが基本です。お薬の服用をやめれば7割が治るとされています。また、かわりに別の鎮痛剤と頭痛予防薬を処方することもあります。

なお、薬物乱用頭痛を防ぐには、毎日のようにお薬を飲んだり、効果が薄くなったからと自己判断で薬の量を増やしたりしないことが重要です。市販薬に頼ることが増えているようなときは、早めに頭痛専門医を受診しましょう。

病院での頭痛の治療法は?

病院で頭痛の治療を受ける場合は、まず問診が行われます。いつからどのように痛むのか、どこが痛いのか、どのぐらい痛みが続くのか、頭痛以外に症状はあるのか、などの情報が頭痛の原因をつかむ手がかりにもなるため、日頃から日記などをつけておくとよいでしょう。

必要に応じて、頭痛の原因を詳しく調べるために、血液検査やCT・MRIなどの画像検査を行うこともあります。

原因がわかれば、原因に応じて主にお薬で治療を行います、一次性頭痛の場合は、頭痛があらわれたときに使うお薬を使う急性期治療と、頭痛の頻度や症状を抑えるためのお薬を使う予防治療が主です。

一方、二次性頭痛の場合は、原因となっている病気を治療することで頭痛の予防・緩和をめざします。

主に一次性頭痛で病院で処方されるお薬には次のようなものがあります。

治療の種類お薬の種類お薬の特徴・効果代表的な成分
急性期治療解熱鎮痛剤非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)・痛みや炎症の原因物質を抑える・胃粘膜障害などの副作用の懸念がある・ロキソプロフェンナトリウム水和物・イブプロフェン・インドメタシン ファルネシル・ジクロフェナクナトリウム・アスピリン・ナプロキセン・セレコキシブ・エトドラクなど
アセトアミノフェン・脳に直接作用して痛みを緩和する・副作用の心配が少ない・アセトアミノフェン
トリプタン製剤・過度に拡張した血管を収縮させることで、頭痛を緩和する・副作用として、首、胸、のど、肩の締め付け感や圧迫感、息苦しさなどの不快感があらわれることがある・スマトリプタンコハク酸塩・ゾルミトリプタン・リザトリプタン安息香酸塩・エレトリプタン臭化水素酸塩・ナラトリプタン塩酸塩
予防治療カルシウム拮抗薬・脳の血管の収縮を抑えることで頭痛を起こりにくくする・ロメリジン塩酸塩・ベラパミル塩酸塩
抗てんかん薬脳の興奮状態を抑えて頭痛を起こりにくくする・バルプロ酸ナトリウム・トピラマート・レベチラセタム・ガバペンチン
β遮断薬心臓に交感神経の興奮を伝えるβ受容体を遮断し、血圧を降下させて、頭痛を起こりにくくする・プロプラノロール塩酸塩
抗うつ薬抑うつ状態にも頭痛にも効果が期待できる・アミトリプチリン塩酸塩
漢方薬東洋医学で頭痛の原因として考えられている「気」や「血(けつ)」の乱れを整え、頭痛の改善を目指す・呉茱萸湯(ゴシュユトウ)・釣藤散(チョウトウサン)・五苓散(ゴレイサン) など
CGRP関連抗体薬・注射薬・片頭痛患者の血中において濃度が高いとされるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)の活性を阻害して頭痛をおこりにくくする・ガルカネズマブ・フレマネズマブ・エレヌマブ

頭痛の対処法・予防法

頭痛は病院で治療が可能ですが、自分でできる対処法や予防法もあります。頭痛が気になる方は、以下のようなことも心がけてください。

規則正しい生活を心がける

規則正しい生活は体のリズムを整えます。寝不足や寝すぎは頭痛の原因となるので、毎日同じ時間に起床し、同じ時間に入眠するなど、規則正しい生活を心がけましょう。

また、血糖値が変動すると頭痛の原因となるため、食事は毎日同じ時間に1日3回摂るのが理想です。さまざまな食品をバランスよく食べ、好きなものだけに偏ることのないように気を付けましょう。

ただし、次の食べ物は頭痛を誘因するといわれています。食べた後に頭痛がするようなら、食べるのを控えたほうがよいかもしれません。

  • チョコレート
  • チーズ
  • アルコール類
  • サラミやベーコン
  • オレンジやレモンなどの柑橘類
  • グルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)

なお、空腹による血糖値の低下は頭痛の原因となるとされています。ダイエット中の方はとくに気を付けたほうがよいでしょう。

適度な休息

ストレスや疲労も頭痛を招きます。とくに緊張型頭痛の方は、同じ姿勢を長時間続けることが頭痛につながると考えられています。長時間集中しすぎないように気を付け、適度にリラックスする時間を作りましょう。

ストレッチやマッサージを行う

ストレッチやマッサージは、筋肉をほぐし、血流を促す効果が期待できます。仕事の合間などに、短時間で手軽にできるものを取り入れてみましょう。運動が苦手な方でも簡単にできる、ヨガやウォーキングなどもストレス解消や血流改善に効果的です。

パソコンやスマホの使い過ぎを避ける

パソコンやスマホを使っていると、姿勢が前かがみになりがちです。長時間無理な姿勢を続けていると、首や肩の凝りから頭痛を引き起こすこともあります。また、画面を見続けることで、目の疲れから頭痛につながることもあるため、適度に休憩を挟みましょう。

市販薬を服用する

頭痛が起こってしまった場合は、まずは市販の鎮痛薬で様子を見てもよいでしょう。ただし、鎮痛薬にはさまざまな種類があり、症状や体質に合ったものを選ぶ必要があります。お薬でアレルギーやぜんそくが起きたことがある方や、ほかのお薬を服用中の方、妊娠中の方などは特に慎重に選ばなければなりません。購入する際は、自己判断で選ぶのではなく、薬剤師または登録販売者に相談するとよいでしょう。

また、市販の鎮痛薬はあくまで一時的に痛みをやわらげるものです。頭痛の起こる頻度を減らしたり、根本的に頭痛を治したりすることはできません。

自己判断で市販の鎮痛薬を飲み続けていると、頭痛の頻度が増したりする「薬物乱用頭痛」になってしまうことがあります。そのため、痛みが続くようであれば、早めに医療機関を受診してください。

頭痛は保険適用で診療できる?

頭痛は保険適用で診療が受けられることが一般的です。診療は、保険適用の保険診療と、保険適用外の自由診療に分けることができ、基本的に、頭痛などの症状があり、治療の必要性があり、決められた範囲内の治療法を実施する場合は保険適用となります。

保険診療自由診療(保険外診療)
概要公的な健康保険が適用される診療保険が適用にならない診療
主な状況病気の症状があり、治療の必要性がある状況美容目的や、予防目的の場合
診察・治療内容国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査・治療医療保険各法等の給付対象とならない検査・治療
費用同じ診療内容なら、どの医療機関でも同じ同じ診療内容でも、医療機関によって異なる
原則1~3割負担全額自己負担

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※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

 

 

注意 オンラインでお薬の処方ができない場合があります

以下に当てはまる場合はオンラインで処方ができません。

  • 依存性の高い向精神薬(不眠症のお薬を含みます)に分類されるお薬や麻薬は処方できません。
  • 触診・検査などが必要な場合(爪水虫など)、オンラインでは病状を把握するために必要な情報が十分に得られないと医師が判断した場合には、対面での診療をお願いする場合がございます。

参考文献

  1. 頭痛の診療ガイドライン2021‐日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会
  2. 市民・患者さんへ‐日本頭痛学会