そもそもウイルスとは?
ウイルスはとても小さい微生物で、人間の体内に入ると感染症の原因となります。感染症の原因となる微生物には、ウイルス以外にも、細菌や真菌(カビの一種)があり、それぞれ以下のような違いがあります。
ウイルス | 細菌 | 真菌 | |
構造 | タンパク質に遺伝子の殻が入っている | 細胞壁、細胞膜などを持つ細胞 | |
増殖 | ・自分で増えることはできない・人などの宿主の細胞内で増える | 細胞分裂をし、自分で増えることができる | |
例 | ・風しんウイルス・HIV(ヒト免疫不全)ウイルス など | ・大腸菌・肺炎球菌・結核菌 など | ・白癬菌(水虫の原因)・カンジダ など |
なお、大きさはおおむねウイルス<細菌<真菌のようになっています。
ウイルスの構造
ウイルスはその構造の違いから「エンベロープタイプ」と「非エンベロープタイプ」の2種類に分類することができます。
エンベロープタイプ
ウイルスの外側が、脂質でできた膜(エンベロープ)で覆われています。この膜はアルコールや界面活性剤で壊れやすいため、手洗いや消毒用アルコールなどで感染予防が可能です。
エンベロープタイプのウイルスには、コロナウイルスやインフルエンザウイルス、RSウイルスなどがあります。
非エンベロープタイプ
エンベロープタイプのような膜がなく、外側はタンパク質の殻に覆われています。強固なためアルコールや界面活性剤が破壊されにくく、これらによる感染予防が難しいと考えられています。
ウイルスの種類には、ノロウイルスやロタウイルスなどがあります。
ウイルス性の病気の種類
ウイルスによる感染症の種類は多岐にわたります。今回は、以下5つの感染・発症部位ごとに、どのような感染症があるのか解説します。
- 呼吸器感染症
- 消化器感染症
- 発疹性感染症
- 皮膚・粘膜感染症
- 肝感染症
呼吸器感染症
ウイルスは、呼吸器に侵入して感染・発症することが多いです。呼吸器とは、上気道(鼻・のど)、下気道(気管・気管支)、肺の総称で、このうち上気道に起こる感染症の多くは、かぜとして扱われます。
かぜの原因となるウイルスは200種類以上もあるといわれており、通常のかぜであれば、原因となるウイルスを突き止めるようなことはほとんどありません。ここでは、原因によって区別することのあるウイルスを紹介します。
インフルエンザウイルス
インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型、D型の4種類があり、人間に感染する代表的なものがA型とB型です。
日本では11月下旬~12月上旬に患者が増え始め、翌年4~5月にかけて減少していくことが一般的ですが、かならずしも一定ではなく、夏に流行することもあります。季節によって流行しやすいことから、「季節性インフルエンザ」とも呼ばれます。
症状 | 発熱、咳、くしゃみ、頭痛、筋肉痛、倦怠感など |
潜伏期間 | 1~4日 |
好発年齢 | すべての年齢層 |
感染経路 | 飛沫感染、接触感染※ |
検査方法 | 抗原検査、PCR検査※ |
※感染経路や検査方法の詳細は後述します。
アデノウイルス
いわゆるかぜの原因となるウイルスのひとつです。型によって発現する症状が異なり、呼吸器感染症を引き起こすのは主に3型と7型です。
なお、アデノウイルスによる病気としてよく知られているのが、主に3型が原因となる咽頭結膜熱、いわゆる「プール熱」です。感染力が非常に強く、プールの水を介して感染が広がることがよくあります。熱やのどの痛み、頭痛、腹痛、下痢のほか、結膜炎の症状が現れることが特徴です。
最近では塩素濃度の管理が徹底されているため、プールで感染することは少なくなってきましたが、温泉やタオルの共用から感染するケースもみられます。夏に流行しやすい傾向がありますが、冬に流行することもあります。
症状 | ・発熱、咳、のどの痛み、鼻水、鼻づまりなどのかぜ症状・呼吸器感染症以外では、結膜炎、胃腸炎、膀胱炎、発疹などの症状が出ることもある |
潜伏期間 | 5~7日 |
好発年齢 | 乳幼児 |
感染経路 | ・飛沫感染、接触感染・呼吸器感染以外では、タオルの共用や温泉・プールなどで水を介して感染することもある |
検査方法 | 抗原検査 |
コロナウイルス
コロナウイルスにはいくつかの種類があります。現在、人間に感染し、発症するとわかっているのは、2020年頃から感染が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因である「SARS-CoV-2」を含む7種類です。
新型コロナウイルスを除く6種類のコロナウイルスのうち、いわゆるかぜ症状を引き起こすのは4種類で、残りの2種類は重症肺炎を引き起こすウイルスです。
なお、新型コロナウイルス感染症の場合、一度感染すると抗体が作られることはわかっていますが、抗体が作られる時期や抗体の持続期間、免疫の獲得の有無などは現在のところわかっていません。そのため、新型コロナウイルスに感染したことがあっても、再度感染する可能性は否定できないとされています。
症状 | 高熱、咳、のどの痛み、鼻水、頭痛、筋肉痛、関節痛、倦怠感、味覚異常、嗅覚異常、下痢、肺炎など |
潜伏期間 | 5~14日 |
好発年齢 | ・すべての年齢層・子供は重症化しにくい |
感染経路 | 飛沫感染、接触感染 |
検査方法 | 抗原検査、抗体検査、PCR検査 |
RSウイルス
2歳までにはほぼすべての乳児が一度は感染するといわれるウイルスです。初めて感染した幼児の約7割は数日で軽快するとされていますが、残りの約3割は重症化し、細気管支炎や肺炎に進行することもあります。乳幼児の発症が多いため、おもちゃや手すりなどの消毒と手洗いが予防につながるとされています。
なお、2歳以降も感染と発病を何度も繰り返しますが、成人が感染した場合は、かぜのような症状のみで軽快することがほとんどです。
症状 | 発熱、咳、鼻水、喘鳴(呼吸時のゼーゼーヒューヒューという音)、呼吸困難など |
潜伏期間 | 4~6日 |
好発年齢 | 2歳未満 |
感染経路 | 飛沫感染、接触感染 |
検査方法 | 抗原検査 |
ヒトメタニューモウイルス
RSウイルス感染症と症状がよく似た、かぜのような症状を引き起こすウイルスです。子どもがかかりやすく、感染力も強いため、毎年春~夏頃は集団感染が増える傾向があります。
感染しても多くは1~2週間程度で落ち着きますが、免疫を獲得するには複数回の感染が必要とされています。
そのため、年齢が高くなるにしたがって免疫が高まり、感染時の症状も軽くなる傾向があります。ただし、高齢者は重症化しやすいため、注意が必要です。
症状 | 発熱、咳、鼻水、呼吸困難 など |
潜伏期間 | 3~5日 |
好発年齢 | 5歳までの子供 |
感染経路 | 飛沫感染、接触感染 |
検査方法 | 抗原検査、PCR検査 |
EBウイルス
EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)は、ヘルペスウイルス(口唇ヘルペスや、水ぼうそうの原因となるようなウイルス)の一種です。悪性リンパ腫や上咽頭がんと関わりがあることもわかっています。
日本では乳幼児期に感染するのが一般的ですが、ほとんど症状が出ないため、感染に気づかないケースも珍しくありません。
一方、思春期以降に初めて感染した場合は、伝染性単核球症を発症します。伝染性単核球症は、唾液や血液を介して感染することが多く、キスでうつることから「キス病」と呼ばれることもあります。感染すると、血液中に単核球(白血球の一種)が増えるのが特徴です。なお、症状が出ても多くは自然治癒するとされています。
症状 | ・乳幼児期の感染時:症状はほとんどない・思春期以降の初感染時:発熱、のどの痛み、発疹、リンパ節の腫れなど |
潜伏期間 | 4〜6週間 |
好発年齢 | ・乳幼児期(感染しても発症しない)・伝染性単核球症は思春期から若年青年層に多い |
感染経路 | 飛沫感染、接触感染 |
検査方法 | 抗体検査 |
消化器感染症(ウイルス性胃腸炎)
ウイルスによる消化器感染症は、ウイルス性胃腸炎とも呼ばれます。感染者のウイルスを含む糞便が手指に付着し、そこから経口感染したり、汚染された水や食べ物を口にすることで感染したりすることがわかっています。
ウイルスにはさまざまな種類がありますが、感染した場合、高頻度で嘔吐や下痢が生じるため、水分補給が非常に大切です。
原因となる主なウイルスはロタウイルスやノロウイルスですが、このほか、アデノウイルスの一種や、コロナウイルスが胃腸炎を引き起こすこともあります。
ロタウイルス
車輪(ラテン語でロタ)のような形をしていることから、ロタウイルスと呼ばれています。感染力が強く、わずかなウイルスが侵入しただけでも発症するため、5歳までにはほとんどの子どもが感染を経験するとされています。
乳幼児は重篤な脱水症状から生命の危険に及ぶこともありますが、成人までに何度も感染を経験することが一般的なため、大人は感染してもほとんど症状が出ません。
症状 | 激しい嘔吐・下痢、腹痛、発熱など |
潜伏期間 | 約2~4日 |
好発年齢 | 0~6歳 |
感染経路 | 経口感染 |
主な感染原因 | ・感染者の糞便・汚染された水・食べ物・唾液、嘔吐物、ドアノブ、手すりなどが感染源となるケースもある |
検査方法 | 抗原検査、抗体検査 |
ノロウイルス
いわゆる食中毒を引き起こすウイルスで、汚染された貝などの食べ物や水から感染することが多いです。一年を通して感染することがありますが、12~1月はとくに患者数が増加する傾向があります。
感染拡大を防ぐには、アルコール消毒はあまり効果は期待できないとされており、次亜塩素酸ナトリウムが配合された塩素系漂白剤や加熱処理が効果的です。食器や調理器具などは85℃以上の熱湯で1分以上加熱することがよいとされています。
症状 | 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、軽度の発熱など |
潜伏期間 | 24~48時間 |
好発年齢 | すべての年齢層 |
感染経路 | 経口感染 |
主な感染原因 | 汚染された貝などの食べ物や水 |
検査方法 | 抗原検査 |
発疹性感染症
ウイルスによっては、全身に発疹を引き起こすものもあります。ここでは、麻しん(はしか)と水ぼうそうについて解説します。
麻しんウイルス
麻しん(いわゆる「はしか」)の原因となるウイルスです。感染力はウイルスの中でもきわめて強いとされており、免疫を持っていない人がウイルスに感染するとほぼ100%発症するとされています。
同じ部屋にいるだけでも感染が拡大することから、学校や病院などの人が集まる場所での感染報告も多数あります。
なお、空気感染するため、手洗いやマスクでは感染予防はできません。予防には、ワクチンが効果的です。感染者に接触した場合に、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることでも、発症予防効果が期待できます。
症状 | 高熱、咳、のどの痛み、鼻水、目の充血、全身の発疹、口の中の1mm程度の小さな発疹など |
潜伏期間 | 10~12日 |
好発年齢 | すべての年齢層 |
感染経路 | 空気感染、飛沫感染、接触感染 |
検査方法 | 抗体検査 |
水痘帯状疱疹ウイルス
水痘(いわゆる「みずぼうそう」)を引き起こすウイルスです。
発症するとまず発熱し、次に赤い発疹があらわれます。発疹はやがて水ぶくれになり、かさぶたに変化します。発疹がかさぶたになるまでは周囲に感染を広げてしまう恐れがあるため、注意が必要です。
子どもが発症した場合は軽症ですむことが多いですが、成人が発症した場合、重症化することも珍しくありません。また、一度感染するとウイルスはずっと体内に潜伏し、高齢になったり、免疫力が大きく低下したりしたときに、帯状疱疹として再発することがあります。
症状 | 発熱、発疹、倦怠感など |
潜伏期間 | 10~21日 |
好発年齢 | 9歳以下 |
感染経路 | 空気感染、飛沫感染、接触感染 |
検査方法 | 抗体検査 |
皮膚・粘膜感染症
皮膚や粘膜に感染・発症するウイルスもあります。ここでは、ヒトパピローマウイルス(HPV)と単純ヘルペスウイルスについて解説します。
ヒトパピローマウイルス(HPV)
主に性行為によって感染するウイルスで、子宮頸がんの原因としても知られています。
性交経験のある女性の半数以上は一生のうち一度は感染するといわれており、感染したからといって必ずがん化するわけではなく、多くは自然にウイルスが排除されます。しかし、一部で感染したまま長期間経過することがあり、その場合に子宮頸がんを発症することがあると考えられています。
多くの遺伝子型が存在しており、子宮頸がんのほか、膣がんや肛門がん、尖圭コンジローマなどの原因となることもあります。
症状 | 感染部位のイボ |
潜伏期間 | 3週間~8ヶ月 |
好発年齢(陽性率が高い年代) | 10~20代 |
感染経路 | 接触感染 |
主な感染原因 | 性行為 |
検査方法 | 細胞診検査※ |
※細胞診検査:子宮頸がんなどのがんの検査で行うことがある。病変の細胞を採取し、癌細胞かどうかを調べる。
単純ヘルペスウイルス
単純ヘルペスウイルスは、水ぶくれなどの症状を引き起こすウイルスです。体のどこにでも感染することがあり、口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどがよく知られています。
単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、1型は口から口への接触で感染する傾向があり、世界的にも感染者が多く、ほとんどは小児期に感染するとされています。一方、2型は性交渉で伝播することがほとんどで、まれに出産前後に母親から赤ちゃんに感染するケースもみられます。
また、感染しても症状が出ないこともあり、無自覚に周囲に感染を拡大させることもあります。
なお、一度感染すると生涯ウイルスを保有し続け、免疫力が低下したタイミングなどに再発することがあります。
症状 | 感染部位周辺の痛みを伴う水ぶくれ、潰瘍など |
潜伏期間 | 3~7日 |
好発年齢(感染することが多い年齢) | ・1型:6歳頃まで・2型:20~30代 |
感染経路 | 接触感染、母子感染 |
検査方法 | 抗原検査 |
肝感染症
肝炎ウイルスによって肝臓に病気を引き起こすこともあります。肝炎の原因となるウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型などの種類がありますが、なかでもB型とC型は慢性の肝臓病の原因となるウイルスのため、注意が必要です。
また、肝炎ウイルス以外にも、単純ヘルペスウイルスや、麻しんウイルス、風しんウイルス、水痘帯状疱疹ウイルスなどが、まれに肝臓に悪影響を及ぼすこともあります。
ここでは、B型とC型について詳しく解説します。
B型肝炎ウイルス
血液や精液・膣分泌液などの体液によって感染するウイルスです。性行為やウイルスが付着した医療器具などから感染することが一般的ですが、出生時にウイルスを保有する母親から新生児が感染するケースもみられます。
一方で、食べ物や水、日常的な接触などから感染することはないとされており、学校や職場などで感染が広がる可能性はほとんど考えられません。
感染後90~150日は症状が出ませんが、やがて倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸、色の濃い尿などの症状が出ます。
その後は、体内からウイルスが排除されて免疫ができるか、肝臓にB型肝炎ウイルスが住みついてキャリアとなるかに別れます。キャリアとなった場合、一生症状が出ない人も多くいる一方で、一部は肝炎や肝硬変、肝臓がんなどを発症します。
予防にはB型肝炎ワクチンが有効とされており、WHOでは、すべての幼児にB型肝炎ワクチンの接種を勧めています。
症状 | 倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、発疹、関節痛、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)、色の濃い尿など |
潜伏期間 | 1~6ヶ月 |
好発年齢(感染者数のピーク) | 男性25~29歳、女性20~24歳 |
感染経路 | 接触感染、母子感染 |
主な感染原因 | 体液、血液 |
検査方法 | 抗原検査 |
C型肝炎ウイルス
主に、ウイルスを含む血液によって感染するウイルスです。汚染された医療器具や、ピアス、鍼灸治療などでも感染するリスクがあり、まれに分娩時に母子感染することもあります。こちらもB型肝炎と同様、水や食べ物、日常的な接触では感染しないとされています。
また、C型肝炎ウイルスに感染しても、ほとんどは自覚症状がありません。しかしそのうち60~80%はウイルスが体内に残り続けてキャリアとなり、そのまま症状が出ない人もいれば、慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんを発症する人もいます。
C型肝炎はB型肝炎よりキャリア化する可能性が高いとされていますが、C型肝炎は、近年では治療によって完全に治癒することも期待できるようになりました。
なお、C型肝炎ウイルスを防ぐワクチンは現在のところ存在しません。そのため、普段から感染リスクのある血液などに触れないことが重要です。
症状 | 倦怠感、疲れやすさ、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、関節痛、黄疸、色の濃い尿、灰白色便、発熱など |
潜伏期間 | 2週間~6ヶ月 |
好発年齢 | 60歳以上 |
感染経路 | 接触感染、母子感染 |
主な感染原因 | 血液 |
検査方法 | 抗体検査 |
ウイルスの検査方法
ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査方法にはさまざまなものがありますが、主に抗原検査、PCR検査、抗体検査の3つが挙げられます。
抗原検査
それぞれのウイルスが持っている特徴的なたんぱく質(抗原)を調べる検査です。抗原検査には、抗原の量を調べる「抗原定量検査」と、抗原の有無を調べる「抗原定性検査」があります。
定性検査
ウイルスが持っている特徴的なたんぱく質の有無を調べる検査です。鼻の奥をぬぐって検査を行います。医療機関で行うほか、薬局などで市販されている簡易的な検査キットでも調べられますが、一定以上のウイルス量がないと検出されないため、感染して間もないタイミングでは陰性と判定されることもあります。
定量検査
ウイルスが持っている特徴的なたんぱく質の量を調べる検査です。鼻の奥をぬぐったものや、唾液を使って検査します。ウイルス量が少なくても検出できるため、定性検査より高い精度が期待できる検査です。ただし、専用の測定機器が要るため、市販されている検査キットはありません。検査機関で調べる必要があります。
PCR検査
検体に含まれるウイルスの遺伝子を増やして検出する検査です。鼻の中や奥をぬぐったものや、唾液を使って検査します。新型コロナウイルス感染症の検査として有名になりましたが、性感染症や肝炎のウイルスを調べたり、遺伝子診断や親子鑑定にも利用されている検査です。
抗体検査
感染したときに作られる抗体を調べて、過去にそのウイルスに感染していたことがあるかどうかを探る検査です。血液を採取して調べます。
ただ、いったん抗体ができても時間とともに消失してしまったり、逆に過去に感染した経験があると、今感染していなくても陽性になってしまったりと、リアルタイムの感染状況を知ることが難しいという側面があります。
ウイルスの感染経路・予防法
ウイルスにはさまざまな感染経路がありますが、ここでは代表的な5種類を解説します。
感染経路ごとの予防法の例も紹介するので、参考にしてください。
感染経路 | 感染を媒介するもの | 感染方法 | ウイルスの例 | 予防法の例 |
空気感染 | ・空気 | ・呼吸などで吸入 | ・麻しんウイルス・水痘帯状疱疹ウイルスなど | ・換気・人ごみを避ける・マスク |
飛沫感染 | ・唾液・咳・くしゃみなど | ・空気中に飛び散ったウイルスを吸入 | ・インフルエンザウイルス・アデノウイルス・コロナウイルス・RSウイルス・ヒトメタニューモウイルス・EBウイルス・その他の多くの呼吸器感染症の原因ウイルス・麻しんウイルス・水痘帯状疱疹ウイルスなど | ・マスク・うがい |
接触感染 | ・皮膚・粘膜・血液・体液・水・おもちゃ、タオル、手すりなどの物など | ・直接触れ合う・性行為・汚染されたものを触る など | ・インフルエンザウイルス・アデノウイルス・コロナウイルス・RSウイルス・ヒトメタニューモウイルス・EBウイルス・麻しんウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス・ヒトパピローマウイルス・単純ヘルペスウイルス・肝炎ウイルスなど | ・手洗い・消毒液・感染者との性行為を避ける・コンドームを使う・刃物、注射など、血液が付着したものを共用しない |
経口感染 | ・汚染された食品、水・感染者の糞便など | ・汚染されたものを飲食する・汚染された手を介して食事するなど | ・ロタウイルス・ノロウイルスなど | ・手洗い・消毒液・食べ物の加熱・感染者の排泄物、吐しゃ物の処理に注意する |
母子感染 | ・胎内・産道・母乳など | ・胎内で感染・出産時に産道で感染・母乳を飲んで感染など | ・単純ヘルペスウイルス・肝炎ウイルスなど | ・母親の早期治療・帝王切開・母乳育児を避ける |
なお、ワクチンで予防できるものもあるため、しっかり予防したい場合は予防接種を検討するとよいでしょう。
ウイルス感染症の治療法
ウイルス感染症の治療には、抗ウイルス薬を使うことが一般的です。ただ、抗ウイルス薬が存在しないウイルスもたくさんあります。たとえば麻しんや風しんには抗ウイルス薬はありませんし、通常の風邪にも抗ウイルス薬は使いません。
抗ウイルス薬が存在しない場合は、必要に応じて、解熱剤や、症状を緩和するお薬を使う対症療法を行うことになります。
感染症の治療はクリニックフォアのオンライン保険診療へ
クリニックフォアでは、さまざまなお悩みに対応するオンライン診療を行っています。感染症の診療は、保険診療の内科などで対応が可能です。
ウイルスによる感染症は、他者に感染させることもあり、学校や職場に行くのを避ける必要があるケースもあります。病気によっては慢性化して命にかかわるものもあるため、早期に診断、適切な治療を受けることが大事です。気になる症状があったり、感染したかもしれないと思ったりしたら、受診をご検討ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。