ニキビの原因とは? メカニズムや原因となる生活環境を詳しく解説!

一つでもできると憂うつになってしまうニキビ。できてしまったらできるだけ早く治したいものですが、そもそもニキビの原因はなんなのでしょうか。ここでは、ニキビができるメカニズムや、日常生活の中にひそむ原因などについて詳しく解説します。

ニキビの詳細バナー

ニキビの原因とは?【メカニズム編】

ニキビの原因としくみ

ニキビができる主な原因は、皮脂分泌が増えること、毛穴が詰まること、アクネ菌が増えることの3つだとされています。皮脂が増えると同時に毛穴の出口も詰まっていると、皮脂が外に出られなくなって溜まってしまいます。この状態は医学的にはコメドもしくは面皰(めんぽう)といい、俗にいう白ニキビや黒ニキビもこの状態のことです。

コメドの中はアクネ菌が増えるためにうってつけの状態になっており、増えたアクネ菌に対処するために免疫が働くと、炎症を起こしてニキビが赤く腫れあがります。この状態が俗にいう赤ニキビです。

ここからは、ニキビができる3つの原因について詳しく解説します。

皮脂分泌の増加

皮脂分泌の増加には、ホルモンが関係するとされています。特に、男性ホルモンの1つである「アンドロゲン」には、皮脂の分泌を活発にする働きがあると考えられています。そのため、思春期に男性ホルモンの分泌が活発になったり、ストレスなどで男性ホルモンが過剰に分泌されたりすると、皮脂分泌が増えることがあるのです。

女性は生理周期によって日々ホルモンバランスがゆらいでいます。特に、月経前に黄体ホルモンの分泌が増えることで男性ホルモン作用が高まり、皮脂分泌増加につながることがあります。

毛穴の詰まり

肌は28日程度の周期で角質が剥がれ落ち、新しい皮膚に生まれ変わっています。これを「ターンオーバー」といいます。

しかし、ターンオーバーの周期が乱れると、毛穴の出口の細胞もなかなか剥がれることができずに留まってしまい、角質が厚くなります。すると毛穴の出口がふさがれ、毛穴が詰まってしまうのです。

毛穴の詰まりの原因としては、生活習慣の悪化や肌のバリア機能の低下などが挙げられます。詳しく見ていきましょう。

生活習慣の悪化によるターンオーバーの乱れ

睡眠不足や過度なストレス、食生活の乱れなどによってターンオーバーが乱れることがあります。具体的には、ターンオーバーに必要な栄養が摂れなかったり、ターンオーバーが活発になる時間に睡眠が取れなかったりすることが、ターンオーバーの乱れにつながるとされています。

乾燥や刺激によるバリア機能の低下

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: BbrpuL6T-Sln4Wc0LH_bHkGucLYMc6ARiIk8lWOlkkMnar1koxajSkkRT1o4nYdV6jjiLPvgrGUQJclyHD1F1NDEfT_Rm15FC6Sd5euElLTWg_85_X_qfCkZpKnaEl78Y59l6Am1QCd2kS86VkOM1WM

健康な肌の場合は、角層がうるおいで満たされることでバリア機能が働いています。しかし、乾燥や強い紫外線、洗顔などによる過度な摩擦といった刺激が加わると、バリア機能が低下してしまいます。すると、肌が自らを守ろうとして角層が過剰に作られます。さらに、バリア機能の低下によってターンオーバーも乱れてしまうため、未熟な角層がたまってしまい、毛穴が詰まってニキビにつながるとされています。

アクネ菌の増殖

アクネ菌は、常在菌といって、ニキビがない人の肌にも存在しているものです。アクネ菌の栄養源は皮脂なので、毛穴が詰まって皮脂が溜まるとアクネ菌が増えてしまい、炎症を起こして赤ニキビにつながるとされています。

ニキビの原因とは?【生活環境編】

皮脂分泌の増加、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖には、さまざまな生活習慣も関係しています。詳しく見ていきましょう。

不適切なスキンケア

洗顔、スキンケア、メイク、ひげ剃りなどのやり方を間違えると、ニキビの原因となることがあります。

<洗顔>

1日に何度も洗顔すると、肌に必要なうるおいまで取り除いてしまい、かえって皮脂分泌が過剰になる場合があります。日本皮膚科学会のガイドラインによると、適切な洗顔回数は1日に2回とされています。

<メイク・ひげ剃り>

油分の多い化粧品は毛穴が詰まる原因となります。さらに、クレンジングが十分でないとメイクが毛穴に残ってしまい、毛穴詰まりによるニキビの原因になります。メイク用のブラシやパフは雑菌が付きやすいので、しっかり洗浄したり、定期的に交換したりすることも大切です。

男性は、ひげ剃りの際にも注意が必要です。清潔な道具を使い、シェービング剤などで刺激を和らげる工夫をしましょう。

ほかにも、洗顔、メイク、スキンケアなどの際に、強くこすったり刺激を与えてしまわないように注意しましょう。ニキビを触ったり潰したりすると、余計に炎症を起こしたり、ニキビ跡の原因になったりするため、スキンケアの時に不用意に触らないように注意してください。

乾燥

前述の通り、乾燥するとバリア機能が低下し、ターンオーバーも乱れてニキビにつながることがあります。さらに、乾燥すると、乾燥を改善するために皮脂が過剰に分泌され、ニキビの原因となりえます。そのため、保湿を十分に行うことが大事です。

紫外線

こちらも前述した通り、紫外線によるダメージはバリア機能の低下につながり、ターンオーバーも乱れてニキビの原因となります。また、紫外線を浴びると皮脂がコメドになりやすくなるというデメリットもあります。

さらに、紫外線はすでにあるニキビの悪化の原因になることもあります。具体的には、アクネ菌が分泌するポルフィリンという物質に紫外線が当たると、活性酸素が発生して、ニキビのさらなる炎症につながったり、紫外線によってニキビがしみになりやすくなったりします。そのため、日焼け止めなどによる十分な紫外線対策が重要です。

空気中の汚れや花粉

春や秋などの季節の変わり目にニキビができやすい場合は、花粉の刺激が原因の可能性があります。また、大気汚染も原因になることがあります。具体的には、空気中の汚れや化学物質などが皮脂と結びつくと、炎症を起こしてニキビにつながるのです。

予防のためには、日頃から体調管理や保湿を心がけ、バリア機能の整った刺激に負けない肌作りを行うことが大事です。

食生活

糖分や脂肪分の摂りすぎ、栄養不足などがニキビの原因となることもあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

糖分・脂肪分の摂りすぎ

脂っこい食事や甘いもの、インスタント食品などを食べすぎると、皮脂も過剰に分泌されてニキビの原因となることがあります。

脂肪分や糖分を代謝するときに、体の中ではビタミンB群が使われています。ビタミンB群は健やかな肌を保つには大切な栄養素ですが、脂肪分や糖分を摂りすぎるとビタミンB群がたくさん使われて不足してしまいます。すると皮脂のコントロール機能が乱れ、ニキビの原因となることも考えられます。

栄養不足

無理なダイエットなどで栄養が不足すると、肌に栄養が行き渡らずニキビの原因になることがあります。ニキビの予防や改善のためにも、バランスのよい食事を心がけましょう。

睡眠不足

皮膚のダメージの修復や、新しい皮膚の産生は寝ている間に行われているとされています。そのため、睡眠不足が続くと修復がしっかりできず、ターンオーバーの乱れにつながる可能性があります。不規則な睡眠も、成長ホルモンの分泌低下によって健康な肌を保つことができなくなることにつながります。

ニキビ予防や改善のためには、規則正しい睡眠、ターンオーバーが活発になる22時〜2時の間は睡眠を取るようにしましょう。

ストレス

ストレスは、ホルモンバランスやターンオーバーの乱れにつながるとされています。また、ストレスがたまると、それに対抗するために炎症を鎮める成分をたくさん消費してしまうため、肌の炎症を鎮める分が足りなくなり、ニキビにつながることがあります。

さらに、ストレスは活性酸素発生の原因にもなります。活性酸素が発生すると、細胞が傷ついて免疫力が低下しニキビができやすくなります。また、コラーゲンなどの健康な肌に必要な成分を攻撃することで肌の再生が難しくなり、ニキビが治りにくくなることもあります。場合によってはニキビ跡になってしまう可能性があるため注意しましょう。そのほか、ストレスは、次項で解説する血行不良にもつながるため、ストレスをためない、ストレスを解消するといった心がけがとても大事です。

血行不良

血行が悪いと代謝が低下したり、肌に栄養が行き渡らなくなったりしてニキビにつながることがあります。特に、冷えに悩んでいる方は血行不良になっている可能性があるので注意が必要です。冷えが続くと乾燥やホルモンバランスの乱れにもつながり、ニキビの原因となります。

そのため、強すぎる冷房や薄着、血行不良につながるタバコは控えましょう。ほかにも、衣服などで物理的に体を温めたり、体を温めやすい香辛料やしょうがなどの食材を取り入れるのもよいでしょう。

ニキビの詳細バナー

ニキビの原因に遺伝は関係ある?

「ニキビは遺伝する」と思っている方もいるかもしれませんが、実は科学的には「ニキビの発生に遺伝が関わっている」ということは証明されていません。

ただし、皮脂を分泌する皮脂腺の大きさ、活動の程度などは遺伝するため、遺伝の影響が全くないとは言えません。しかし、ニキビの原因の大部分は生活環境などの後天的な要因とされています。そのため、ニキビの原因を理解し、ケアを行うことが大事です。

思春期ニキビと大人ニキビの原因は異なる

ニキビは、できる年代によって思春期ニキビと大人ニキビに大きく分けることができます。10代頃のニキビは思春期ニキビと呼ばれ、性ホルモンによる皮脂の過剰分泌が主な原因とされています。おでこや鼻にできやすいという特徴もあります。

思春期ニキビは、ホルモンバランスが安定してくる20代前後になると自然に治ることもありますが、それ以降でもニキビができることはあり、これを大人ニキビと呼んでいます。

大人ニキビは頬やあご、口周りなどにできやすく、原因は不規則な食生活、睡眠不足、ストレス、不適切なスキンケア、ホルモンバランスの乱れなど、さまざまな要素が重なってできるとされています。治りにくく、同じところに繰り返しできやすいのも特徴です。

このように、思春期ニキビと大人ニキビでは原因が異なるため、それぞれの特徴や原因、対処法をしっかり理解することが必要です。

場所によってもニキビの原因は異なる!

ニキビは、頬やおでこだけでなく、鼻、あご、眉間、こめかみ、頭皮など、さまざまな場所にできます。そして、できる場所によって、以下のように原因は異なります。

ニキビのできる場所考えられる原因
乾燥、雑菌 など
おでこ、眉間過剰な皮脂分泌、髪の毛の刺激やシャンプーのすすぎ残し など
過剰な皮脂分泌、メイク汚れ など
あご過剰な皮脂分泌、ホルモンバランスの乱れ など
こめかみ皮脂や汚れによる毛穴づまり、シャンプーのすすぎ残し など
頭皮むれやすく雑菌が繁殖しやすい環境、シャンプーのすすぎ残し など

場所ごとのニキビの特徴や原因、対処法などは以下の記事で詳しく紹介しています。

原因を理解してニキビ対策に取り組もう!

ニキビの主な原因は皮脂分泌の増加、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖の3つです。これらには、ホルモンバランスやターンオーバーの乱れ、肌のバリア機能の低下などが関係するとされています。そしてその原因としては、不適切なスキンケアや乾燥、紫外線、食生活、睡眠不足、ストレスなどさまざまなものが挙げられます。ニキビの原因をしっかり理解し、日々の心がけでニキビを予防しましょう。

クリニックフォアでは、オンライン診療によるニキビ治療を行っています。生活習慣やスキンケアを見直しても改善が見られない、仕事や学校が多忙で生活サイクルをコントロールするのが難しい、という方は医療の力に頼るのも選択肢の一つ。ぜひ検討してみてください。

ニキビの詳細バナー

参考文献

  1. 公益社団法人 日本皮膚科学会, 2017,「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」,日本皮膚科学会雑誌 127 (6):1261-1302