首のニキビの原因・予防・対処法とは? 部位別に詳しく解説!

大人ニキビの代表格とも言われる「首ニキビ」。頬や顎などに次いで、ニキビができやすい箇所でもあります。しかし一概に首ニキビと言っても、実は位置によってできる原因なども様々。そこで、本記事では首ニキビの原因と予防法、対処法などをタイプ別に医師が解説します。ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

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首のニキビの特徴

首のニキビも顔のニキビと同じく、毛穴が詰まって皮脂が溜まり、アクネ菌などの細菌が増殖して発生します。首は顔よりも皮脂線は少ないものの、毛穴も皮脂腺も存在するので、ニキビができることがあるのです。

また、首のニキビは夏も冬もできることがあります。夏は汗をたくさんかき、首のしわの部分にたまった皮脂や汚れによって毛穴が詰まりやすくなります。一方で冬は、乾燥して肌のバリア機能が低下し、毛穴が詰まりやすくなるためにニキビにつながります。

【場所別】首のニキビの原因

首の位置によってもニキビの原因は異なります。首ニキビができる位置は主に以下の3パターン。

  • アゴの裏~喉仏より上の位置(フェイスライン)
  • 喉仏よりも下の位置
  • うなじ周辺など首の後ろの位置

各位置ごとにニキビの原因を詳しく説明していきます。

アゴの裏~喉仏より上の位置:ホルモンバランスの乱れ、マスクなど

アゴの裏~喉仏より上の位置、いわゆるフェイスライン(Uゾーン)やその周辺にできるニキビは頬や顎等にできるニキビと同じ原因であると考えられています。

ニキビができるメカニズムは、 ホルモンバランスの乱れやストレスによる皮脂の過剰分泌、ターンオーバーの乱れによって毛穴が皮脂で詰まり、そこでアクネ菌が繁殖し炎症が起こります。フェイスラインにできるニキビの原因も、これらと同様です。

また、最近ではマスクの着用が増えたことで皮脂分泌量や水分量の変化、皮膚との摩擦増などが起き、フェイスラインにニキビができる肌トラブルも増えています。

マスクとニキビの関係はこちらで詳しく解説しています。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れは皮脂の過剰分泌につながり、ニキビの原因となります。ホルモンバランスの乱れの原因として、不規則な生活、睡眠不足、ストレスなどが挙げられます。

また、女性は生理周期も大きくかかわっています。生理前は黄体ホルモンの分泌が多くなり、この黄体ホルモンは男性ホルモンと同じような働きをするために皮脂分泌が多くなります。

喉仏よりも下の位置:紫外線や血行不良など

喉仏よりも下のデコルテ周辺の位置にできるニキビは、主に紫外線や血行不良によって引き起こされるターンオーバーの乱れが原因とされています。

紫外線

まず一つ目の原因は紫外線。

肌は紫外線を過剰に浴びてしまうと、紫外線からのダメージを守ろうとターンオーバーのサイクルを速めます。

その際、未成熟な角質層が重層化してしまい、古い角質もきちんと剥がれずに毛穴の詰まりを引き起こしやすくなります。

血行不良

次に挙げられるのは血行不良によるもの。

デコルテは首を支えているため、筋肉疲労によって血行不良を引き起こしやすい箇所です。血行不良を引き起こすと、肌の細胞に栄養が行き届かず、ターンオーバーを乱してしまいます。

ターンオーバーの乱れの結果、先の紫外線と同様に古い角質がきちんと剥がれず、毛穴が詰まりやすくなりニキビができてしまうのです。

うなじ周辺など首の後ろの位置:洗い忘れ、洗浄料のすすぎ残し

うなじ周辺など首の後ろにニキビができている場合の原因は、洗い忘れや、シャンプーなどのすすぎ残しなどのケースが多く見られます。

元々うなじ周辺は皮脂の分泌量が多いため、ニキビができやすい箇所です。その上、洗いづらい位置でもあります。

そのため、汚れや流しきれていないシャンプー・コンディショナー・ボディーソープなどによって毛穴が詰まり、ニキビができると考えられます。

首ニキビのその他の原因

他にも、首ならではのニキビの原因がいくつかあるので詳しく見ていきましょう。

お湯やドライヤーの熱風

顔や体を洗うときに熱いお湯を使っていたり、ドライヤーの熱風が当たったりすると、皮膚の刺激や乾燥につながり、肌のバリア機能が低下します。肌のバリア機能が低下すると角質が厚くなって毛穴が詰まり、ニキビにつながることがあります。

物理的な刺激

かいたり、ニキビをいじったりつぶしたりするとニキビの発生や悪化の原因となります。また、髪の毛や衣服が首にあたって刺激になることも、ニキビにつながります。

ニキビ全般の原因はこちらで解説しています。

【場所別】首のニキビの予防・対処法

ここからは先に紹介した3タイプ別に、すぐに実践できる首ニキビの改善方法を説明していきます。

アゴの裏~喉仏より上の位置にできるニキビの場合

フェイスライン周辺にできるニキビの改善方法は、主に以下の4点。

  • 肌が突っ張るまで強く洗わない
  • 保湿をしっかり行う
  • ビタミンC誘導体が含まれる化粧品を使う
  • 生活習慣を整える

喉仏よりも下の位置にできるニキビの場合

喉仏よりも下の位置にできるニキビの場合の改善方法は以下の2つ。

  • 日焼け止め等でUVケアをする
  • デコルテのリンパマッサージをする

先の通り、主な原因は紫外線と血行不良によるターンオーバーの乱れですから、それらを解消できるようにしましょう。

うなじ周辺など首の後ろの位置にできるニキビの場合

うなじ周辺にできるニキビの原因の多くは、洗い忘れやシャンプー等のすすぎ忘れによる毛穴の詰まりがあげられます。どうしても意識が回りづらいポイントですから、意識的にしっかりと洗い流すようにしましょう。

また、洗うだけでなく、その後の保湿ケアも忘れずにしましょう。

もっと詳しく!首のニキビの予防・対処法

前項で紹介した予防・対処法の詳細や、その他の気をつけるべきポイントについて解説します

肌が突っ張るまで強く洗わない

ニキビができているときは、肌全体の皮脂が気になる方もいらっしゃいますが、洗い過ぎはかえってよくありません。肌が突っ張っている状態というのは、必要な皮脂も取り除かれてしまい肌が乾燥している状態です。肌が乾燥してしまうと、皮脂の過剰分泌を招くだけでなく、ターンオーバーの乱れなどにも繋がってきます。

そのため、洗顔や体を洗う際には肌への摩擦を最小限に抑えるよう、泡立てネットや泡タイプの洗浄料を使って、優しく洗うようにしましょう。

すすぎ方にも注意する

洗浄成分が肌に残っていると、刺激となったり毛穴詰まりの原因となったりするため、十分にすすぐことが大切です。ただし、熱いお湯は皮脂をとりすぎてしまって刺激になるため、30~37℃程度のぬるま湯を使うとよいでしょう。

また、シャンプーやリンスのすすぎ残しを防ぐため、顔や体は後で洗うのがおすすめです。

保湿をしっかり行う

先の通り、肌の乾燥状態が続くと皮脂の過剰分泌やターンオーバーの乱れを引き起こします。そのため保湿はしっかりと行いましょう。

これは脂性肌の方であっても同様です。脂性肌の方の場合、「肌がベタつくから保湿は控えめにしておこう」という方が多くいらっしゃいますが、これは逆効果です。

肌は乾燥状態でいると、バリア機能を維持するために皮脂を分泌します。脂性肌の方は、皮脂分泌が多く出てしまう傾向にありますが、洗顔後にしっかりと保湿をすることで、皮脂の過剰分泌を防ぐことが大切です。

ただし、首は顔に比べて皮膚が薄く敏感なので、保湿剤を塗りすぎるとかぶれることがあるため注意しましょう。

ビタミンC誘導体が含まれる化粧水を使う

ビタミンC誘導体が含まれる化粧品を使うのも効果的です。ビタミンCには皮脂の過剰分泌を抑える効果やターンオーバーを正常化させる効果があります。

食事やサプリメント等で身体の内側から摂取するのも大事ですが、ビタミンCは体の様々な部位に使われてしまう為、直接化粧品などで肌から吸収させることも有効です。

髪の毛や衣服の刺激を避ける

髪が首に触れてしまう場合は束ねましょう。マフラーなども首への刺激となるためできるだけ避けてください。

また、濡れたままの髪を放置すると雑菌が繁殖しやすくなるので、しっかりかわかす事も大事です。ただし、ドライヤーの熱風は肌の刺激となるため、近い場所で長時間当てないように注意しましょう。

日焼け止め等でUVケアをする

首にも忘れずに日焼け止めを塗り、UVケアを行ってください。紫外線吸収剤不使用といった低刺激のものを選ぶとよいでしょう。また、日傘などを使うのも方法の一つです。

デコルテのリンパマッサージをする

首やデコルテ周辺のリンパ節には、顔から首へ流れる顎下リンパ節、鎖骨にある鎖骨リンパ節があります。そのあたりを、ボディクリームなどを手につけて上から下、内から外に流すようにマッサージしましょう。

生活習慣を整える

特に睡眠と食事の2点がニキビには大きく影響すると考えられるため、以下の2つは実践するようにしましょう。

  • 睡眠をしっかりとる
  • 栄養バランスの良い食事を摂る

睡眠をしっかりとる

睡眠不足になると、交感神経によって男性ホルモンが活性化され皮脂の過剰分泌を招く可能性があります。一概に適切な睡眠時間というものはありませんが、厚生労働省では6時間~8時間が目安としています。

栄養バランスの良い食事を摂る

食事の点では栄養バランスの良い食事はもちろんのこと、低GI食品を取り入れて血糖値の急激な上昇を防ぐようにしましょう。

さらに、皮膚を構成するタンパク質(肉、魚、大豆製品など)、コラーゲンを生成するビタミンC(野菜や柑橘類)、皮脂分泌をコントロールするビタミンB群(レバー、アーモンド、のりなど)などをバランスよくとる事も大事です。

また、ニキビができやすい特定の食べ物は、現在明確に分かっていません。スキムミルク等、一部の乳製品などで関連性が示されているものもありますが、これにも様々な見解があります。

しかし、血糖値を急激に挙げる恐れがある炭水化物類には要注意。血糖値が急激にあがると「IGF-1(インスリン様成長因子)」という成分が分泌されます。このIGF-1の作用によって、皮脂の分泌が促され、毛穴の詰まりを招く可能性があるのです。

ニキビができやすい方は、炭水化物類を「低GI食品」に置き換えてみると良いでしょう。低GI食品は玄米や全粒粉パン等が挙げられ、摂取後の血糖値の上昇が緩やかな食品のことを指します。

加えて、脂質を制限することは皮脂の分泌を減らすために、もちろん有効です。

ストレスをためない

リラックスしたり趣味に没頭したりする時間をとる、適度に運動する、睡眠をしっかりとることなどによってストレスを発散するとよいでしょう。自分なりの方法でストレス解消に取り組んでみてください。

ニキビをむやみにいじらない

自分でニキビを潰すのは絶対にやめましょう。悪化させる恐れがあるだけでなく、かえってニキビ跡を作ってしまう恐れがあります。

どうしても膿を取り出したいと言う場合には、皮膚科で面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)という治療を行ってもらいましょう。

皮膚科での首のニキビの治療法

ニキビをなるべく早く、そして確実に治したいのであれば、美容皮膚科や皮膚科などの医療機関による治療が効果的です。

当院ではニキビ治療の際、主に以下2つの処方薬を用いて治療を行います。症状がひどい場合は、これらに加えて抗生剤が使われることもあります。

  • アダパレン(ディフェリン後発品)
  • ヘパリン類似物質ローション0.3%(ヒルドイド後発品)

アダパレン – 毛穴の詰まりを解消する

アダパレンは塗るタイプの外用薬。毛穴の詰まりを改善させ、ニキビをできづらくさせたり、初期段階のニキビ治療に効果的な薬です。

副作用で肌の乾燥や赤みなどが見られますが、症状は徐々に和らいでいきます。

アダパレンの詳細はこちらで解説しています。

へパリン類似物質ローション0.3% – 保湿・血行促進・抗炎症作用

ヘパリン類似物質ローションも、アダパレンと同様に塗るタイプの外用薬です。主に保湿・血行促進・抗炎症作用の効果があり、乾燥が原因で起きているニキビや、アダパレン外用薬の副反応である「赤み、皮むけ」などの症状を軽減するなどの効果もあります。

ヘパリン類似物質ローションにも稀ですが副作用があり、皮膚炎などの症状が見られる可能性があります。

皮膚科でのニキビ跡の治療法

ニキビ跡の治療にはマッサージピールや、ダーマペン等の美容施術が効果的です。ニキビとニキビ跡では、それぞれ治療方法が異なるため注意しましょう。

ニキビ跡の対処法、治療法などについてはこちらで詳しく解説しています。

ニキビではなくマラセチア毛包炎の可能性もある!

背中のできものは、ニキビではなくマラセチア毛包炎という病気の可能性もあります。これは、マラセチア菌という細菌が、毛根を包む毛包に感染して炎症を起こしたものです。

見た目はニキビに似ていますが、皮膚科で適切な治療を受ける必要があるため、早めに受診するとよいでしょう。

首にニキビができたら皮膚科へ!

ニキビは放置すると悪化したり、ニキビ跡が残ったりすることがあります。そのためこの記事で紹介したようなセルフケアとともに、皮膚科で適切な治療を受けることが大切です。

また、首のできものはニキビではない可能性もあり、適切な診断を受けるためにも皮膚科の受診を検討するとよいでしょう。

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参考文献

  1. 厚生労働省,平成26年,「健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会報告書」