勃起薬(ED治療薬)の種類とは?薬の詳細と勃起力・持続力・即効性の比較【ジェネリックあり】

ED(勃起不全)とは、性行為を行う際に勃起が起こらない、十分な硬さが得られない、勃起状態が続かないといった状態のことをいいます
治療には薬を使うことが一般的です。

そこでこの記事では、日本で承認されている勃起薬(ED治療薬)3種類の特徴や選び方、注意点、飲み方、副作用、処方の方法、費用などについて詳しく解説します。これから勃起薬を使いたいと思っている方はご参考にしてください。

勃起薬の特徴を徹底比較!

現在、厚生労働省で承認されている勃起薬(ED治療薬)は、バイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類のみです。またそれぞれに、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィルというジェネリック医薬品もあり、こちらも承認されています。

これらの薬は全て作用機序(勃起を促す仕組み)は同じですが、効果の強さや効果が出るまでの時間、持続時間などに違いがあります。それぞれの主な特徴は以下の通りです。

名称バイアグラレビトラシアリス
特徴即効型超即効型マイルド・持続型
成分シルデナフィルバルデナフィルタダラフィル
作用機序血管を広げて血流を増やし、勃起を促す血管を広げて血流を増やし、勃起を促す血管を広げて血流を増やし、勃起を促す
効果しっかりしっかりマイルド
効果の持続時間約4時間約8時間約36時間
効果が現れるまでの時間約30~60分約15~60分約30~60分
副作用出やすい出やすい出にくい
服用前の食事の効き目への影響ありややあり少ない
お酒の影響適量なら問題なし適量なら問題なし適量なら問題なし
価格※376円/錠~1,247円/錠~871円/錠~
ジェネリックの有無・名称シルデナフィルバルデナフィルタダラフィル

※CLINIC FORの定期配送での1錠分の価格を記載しています。

以上のほか、日本では未承認でも海外で承認されている薬もあります。ただし、危険性(後述)もあるため、日本で承認されている薬を医療機関で処方してもらうのがよいでしょう。

勃起薬の効果のメカニズム

勃起薬でなぜ勃起ができるようになるのでしょうか。そもそも勃起は、海綿体(陰茎の内部にあるスポンジ状の組織)に血液が流れ込むことで起きます。具体的には、脳が性的刺激を感知すると、cGMPという物質が出て、陰茎の平滑筋がゆるむことで海綿体に血液が流れ込み、勃起が起こるというメカニズムになっています。

しかしcGMPは、PDE5という酵素によって分解されて消えてしまいます。勃起薬は、PDE5を阻害することでcGMPの量を増やし、海綿体への血流を増やし、勃起を促すというメカニズムとなっています。また、このようなメカニズムの勃起薬をPDE5阻害剤と呼びます。

勃起薬を服用しても、性的興奮なしに勃起することはない

上記のメカニズムからもわかるように、勃起をするには脳が性的刺激を感知する必要があります。勃起薬が無理やり血流を良くするわけではなく、神経の興奮に応じて血流が良くなるため、性的興奮なしに勃起することはありません。つまり、勃起薬は性欲増進剤ではないため注意しましょう。

勃起薬の種類①バイアグラ

ここからは、日本で承認されている勃起薬について詳しく解説します。まず、バイアグラは一番最初に誕生した勃起薬です。そのため、有効性、安全性に関するデータが世界中にあり、知名度も高い薬です。

海外では100㎎錠(有効成分が100㎎配合されている)が正規品として流通していますが、日本では25㎎錠と50㎎錠が正規品として流通しています。水なしで、口の中で溶かして飲めるODフィルムというタイプもあります。

また、バイアグラには、即効性が高く、勃起力も強いという点が特徴です。一方で、副作用が多い、食事内容によっては吸収が阻害されて効果が低下する、持続時間が短いなどのデメリットがあります。

バイアグラのジェネリック医薬品はシルデナフィルであり、こちらは2014年に承認されました。ジェネリック医薬品なので価格はバイアグラよりも安価ですが、効果などはバイアグラと同等とされています。

勃起薬②レビトラ

レビトラは、勃起力が最も高く、硬さも出る点が特徴です。レビトラ20mg錠とバイアグラ100mg錠は同等の効果があるともいわれています。ただし、硬くなりすぎて感度が鈍くなる場合があるため注意が必要です。即効性が最も高く、早いと15分ほどで効果を感じられる場合があります。また、脂肪分が多い食事をとると効果が下がることがあるため、服用時は脂っこい食べ物を控えたほうがよいでしょう。

レビトラには10㎎錠と20㎎錠がありますが、65歳以上の方が使えるのは10mg錠までです。

ジェネリック医薬品はバルデナフィルで、2020年に承認されました。ジェネリック医薬品なので価格はレビトラよりも安価ですが、効果などはレビトラと同等とされています。

勃起薬③シアリス

特にヨーロッパや南米で多く使われている薬で、持続時間が約36時間と長いのが特徴です。硬さはレビトラに次いで硬くなりやすいため、レビトラで硬くなりすぎる場合はシアリスに変更するとちょうどよく感じる場合があります。

また、食事の影響をほとんど受けないため、食事内容や食事時間(服用時間)をあまり気にしなくてよい点もメリットです。副作用も出にくいとされています。

ジェネリック医薬品はタダラフィルで、2020年に承認されました。ジェネリック医薬品なので価格はシアリスよりも安価ですが、効果などはシアリスと同等とされています。

勃起薬の選び方

ここまで紹介した薬は、総合的な有効性に差はないとされています。ただし、勃起力の強さ、効果が現れるまでの時間、効果の持続時間、食事やアルコールの影響、副作用などが異なるので、EDの原因や自分のライフスタイルに合った薬を選ぶとよいでしょう。

たとえば、以下のような選び方ができます。

  • 重度のEDの場合:勃起力の強いもの(バイアグラ、レビトラなど)
  • EDの原因が精神的なものである場合:マイルドな効き目のものでもよい(シアリスなど)
  • 服用してからすぐに効果を得たい場合:即効性が高いもの(レビトラなど)
  • 持続力を重視したい場合:持続時間が長いもの(シアリスなど)

また、「持続時間は短いよりも長いほうがいい」と思うかもしれませんが、持続時間が短い分、副作用があってもすぐに解消されたり、効果が残りすぎないといったメリットがあります。

このようにそれぞれの薬に特徴があるため、医師と相談しながら自分に合った薬を選びましょう。

勃起薬の注意点

勃起薬は食事やアルコールに影響を受けたり、副作用のリスクがあったりするため、事前に理解した上で服用しましょう。詳細は以下の通りです。

食事・アルコールの影響

シアリスは比較的食事の影響を受けない薬だとされています。

しかし、勃起薬は一般的に食事の影響を受けることがあるので、どのような薬でも空腹時の服用がすすめられています。食後に飲む場合は、2時間ほど時間をあけてから服用するとよいでしょう。特に脂質との相性がよくないため、服用のタイミングにかかわらず、脂質をおさえた食事を心がけるのがおすすめです。

一方アルコールは、適量であればリラックスでき、勃起にもプラスに働くとされています。しかし、飲みすぎると神経の働きが鈍くなって勃起が不十分となることがあります。さらに、勃起薬には血管を広げる作用があるため、アルコールがまわりやすく、酔いやすくなるので注意しましょう。

グレープフルーツに注意

多くの勃起薬はグレープフルーツに含まれる成分に影響を受け、体に悪影響を及ぼすことがあります。この成分は数日間体に残るので、勃起薬を服用している期間はグレープフルーツなどの柑橘類を避けるとよいでしょう。

副作用

どんな薬にも効果がある反面、副作用のリスクがあります。勃起薬も、血管を広げる作用などによって副作用が生じることがあります。主な症状としてほてり、頭痛、鼻づまり、低血圧などが挙げられますが、多くは一過性で、薬の効果が切れると副作用もなくなることが一般的です。

また、副作用の出現頻度は、薬剤の量に依存して変わりますが、シアリスの10mgは、ED治療薬の中では出現頻度が少ないと言われています。

ED治療薬の中での副作用の出現頻度は、タダラフィル10mg<<バルデナフィル10mg=シルデナフィル50mg<タダラフィル20mg<シルデナフィル100mg<バルデナフィル20mgと言われています。(※)

※Eur Urol (2015)

勃起薬を処方してもらう方法

勃起薬は医療機関で処方してもらうのがよいでしょう。勃起薬は、体質や年齢、持病などによっては飲めない人もいます。たとえば不整脈や肝障害、心血管疾患などがある方は飲めなかったり、併用できない薬もあったりします。そのため、医師に問題ないか確認してもらったうえで処方してもらうのが安心です。

クリニックフォアではオンライン診療でも勃起薬の処方を行っています。

通販などで購入するリスク

すでに説明した通り、日本の医療機関で処方できる勃起薬はバイアグラ、レビトラ、シアリスとそれぞれのジェネリックのみです。これらの薬やそのほかの海外製の薬が通販などで販売されている場合がありますが、偽物のリスクや、健康を害するリスクなどさまざまなリスクがあります。

また、海外で正規に流通している薬だったとしても、日本とは異なる基準で作られていたり、日本人の体質に合わなかったりする場合があるため、服用しないのが賢明です。

通販などを利用した購入については厚生労働省からも注意喚起がなされているので、医療機関を受診して処方してもらいましょう。

勃起薬の費用

勃起薬の処方は基本的に保険適用外となるため、クリニックによって費用が異なります。また、薬の種類によっても費用は異なりますが、相場は1錠あたり1,000~2,000円となることが一般的です。ジェネリック医薬品は価格がやや低いのが特徴で、1錠500~1000円程度の場合もあります。

一方、糖尿病など生活習慣病が原因のEDや、EDによる不妊治療目的の場合は保険適用となることもあります。クリニックフォアでは、どのようなケースでも自由診療で勃起薬の処方しています。

参考文献

  1. 厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ
  2. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構