早漏治療薬にはどんなものがある?種類・効果・注意点を詳しく解説!

早漏とは、挿入から射精までの時間が短いことを指します。“短い”の定義はさまざまですが、国際性機能学会では、挿入から1分以内での射精が早漏の条件の一つとなっています。また、海外の研究結果ではありますが、挿入から射精までの平均時間が5.4分と言うデータもあるので、一つの目安にするとよいでしょう。 そのほか、射精までのタイミングが調節できなかったり、早漏を自覚しており苦痛があったりする場合でも、受診を検討したほうがよいとされています。医療機関では、薬で早漏にアプローチする治療を行うことがあります。 この記事では、早漏の治療薬について詳しく解説。種類や選び方、入手方法を紹介するとともに、治療薬以外の対処法についても紹介します。

代表的な早漏治療薬とは?

日本で承認されている早漏治療薬はありません。しかし、厚生労働省から正式に効果が承認されているわけではないものの、早漏に効果が期待できるとされる薬を適応外で使うことがあります。

主な成分として、ダポキセチン、リドカインなどが挙げられます。また、早漏の原因によってはED治療薬が有効な場合もあります。詳しく見ていきましょう。

ダポキセチン(SSRI)

ダポキセチンを有効成分とする飲み薬を、早漏治療に使うことがあります。ダポキセチンは、セロトニン(精神を安定させる神経伝達物質)の不足を抑え、射精までの時間を長くする効果が期待できる成分です。

日本では未承認ですが、世界規模でみると、プリリジーという名前で早漏治療薬として認可されています。

また、ダポキセチンを含む薬は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という種類に分類されます。SSRIは、通常は抗うつ薬として使われています。副作用は出にくいですが、人によっては頭痛や口の渇き、めまい、吐き気などのほか、ED(勃起不全)が生じることがあります。さらに、SSRIは、使い方によっては攻撃性や自殺念慮が生じたり、精子に影響が及んだりするといった有害事象が指摘されています。

SSRIは、日本では早漏に対して本来適用外であることもあり、使用する場合は医療機関を受診し、十分に説明を受けた上で納得して使うことが大事です。

リドカイン(麻酔薬)

リドカインは麻酔薬に使われる成分です。知覚・運動神経の遮断によって感覚が麻痺する作用があります。

つまり、麻酔効果によって性的な感覚を抑え、射精までの時間を長くする効果が期待できる成分なのです。早漏改善目的で使う場合は、軟膏やスプレータイプのものを外用することが一般的です。

なお、副作用としてかゆみやかぶれ、発疹などが現れる場合があります。

シロドシン(α遮断薬)

α遮断薬は、前立腺肥大症などの治療に使われる薬です。しかし、副作用として射精障害が生じることがあり、この副作用を逆手にとって早漏の改善をする場合があります。中でもシロドシンを有効成分とするユリーフという薬は、射精をおさえることが以前から知られています。

シロドシンは、精嚢(前立腺の後ろにある器官)に多く存在するα1A受容体をブロックする作用があります。精嚢は、精液の7割を占める精嚢液を分泌する器官であり、射精のためには精嚢液が出ることが重要です。しかし、α1A受容体がブロックされると、精嚢液の分泌もブロックされ、結果として射精を遅らせることにつながるのです。なお、副作用としてめまいなどが生じることがあります。

ED治療薬(PDE5阻害薬)

ED治療薬は勃起をサポートする薬です。陰茎内の血流が増えて膨張するため、表皮の神経に刺激が伝わりにくくなり、射精までの時間が長くなるとされています。

日本で承認されているED治療薬は、バイアグラ、レビトラ(現在は販売中止)、シアリスとそれぞれのジェネリック医薬品です。いずれもPDE5阻害薬に分類され、勃起に必要なcGMPという物質を分解するPDE5酵素を阻害することで、勃起をサポートするというメカニズムになっています。

また、血管が広がる作用があるため、それによってほてりや頭痛、動悸などの副作用が生じることがあります。

【早漏のタイプ別】早漏治療薬の選び方

早漏には以下のようなさまざまなタイプがあり、タイプや原因に合った治療薬を使うことが大事です。

  • 心因性早漏(ストレス性早漏):緊張や不安によって射精がコントロールできなくなる
  • 過敏性早漏:陰茎や亀頭部の感覚が過敏になることで射精しやすくなる
  • 衰弱性早漏:加齢、運動不足などによる筋肉・筋力減少で射精しやすくなる

また、複数の要因が重なる複合型早漏というケースもあります。この場合は複数の薬を組み合わせて使う場合があります。

心因性早漏(ストレス性早漏):ダポキセチン(SSRI)

心因性早漏は20~40代に多いとされています。心因性早漏の原因のひとつとして、ストレスやプレッシャーなどによるセロトニン(精神を安定させる神経伝達物質)の不足が挙げられます。

射精は、精神を安定させるセロトニンが不足し、興奮させるノルアドレナリンが活性化することで起こります。そのため、普段からセロトニンが不足していると、射精が早まりやすいのです。

ダポキセチン(SSRI)を使うと、セロトニンの不足が抑えられるので、射精までの時間が長くなる効果が期待できます。

過敏性早漏:リドカイン

過敏性早漏は、陰茎などの感覚が過敏になることで生じるので、リドカインの麻酔効果で感覚を鈍らせることで早漏の改善が期待できます。

なお、過敏性早漏は、性行為の経験が少なく、刺激に慣れていない若い人や、包茎のために刺激に慣れていない人に起こりやすいです。

衰弱性早漏:ED治療薬

40~60代に多いのが衰弱性早漏です。年齢を重ねると男性ホルモン(テストステロン)の量が低下し、それに伴い筋肉量も減少します。すると、射精に関係する筋肉にも影響が出て、射精までの時間が短くなるのです。若くても運動不足であれば、同じようなことが起こりえます。

また、勃起のためにも筋肉は重要です。骨盤底筋が衰えると勃起のための血流が不十分となり、勃起できなくなったり、硬さが得られなくなったりします。さらに、40代以降は、年齢的にも生活習慣病などでEDになりやすい年代です。

勃起の硬さが不十分だと性的刺激を感じやすくなるので、早漏の原因にもなります。このような場合にED治療薬を使うと、硬さが出て感度が若干鈍くなり、早漏が改善されることがあります。

早漏治療薬の入手方法

早漏治療薬を使いたい場合は、専門のクリニックの受診を検討してください。

この記事で紹介した薬は、市販されていません。さらに、ED治療薬以外は日本で認可されていないので、取り扱っている医療機関も少ないです。ネット通販で販売されていることもありますが、安全性などに懸念があるので利用は避けましょう。

なお、クリニックフォアではED治療薬を取り扱っています。診察はオンラインで行い、薬は配送が可能なので、忙しい方や、直接受診するのがためらわれる方は利用をご検討ください。

薬以外の早漏の治療法・対処法

薬以外の治療法として、早漏を改善するためのさまざまなトレーニングがあります。

  • ストップアンドスタート法:マスターベーションをする際に、射精しそうになったら刺激を中止して、落ち着いてから刺激を再開することを3回繰り返してから射精する方法
  • セマンズ法:パートナーに陰茎を刺激してもらい、射精しそうになったら刺激を中止して射精を我慢する方法
  • スクイーズテクニック:射精しそうになったら、パートナーが陰茎を圧迫して射精をおさえる方法

その他、カウンセリングで精神的な問題を解消することもあります。また、対症療法ではありますが、厚いコンドームを使うと刺激が緩和され、射精しづらくなるので試してみるとよいでしょう。

このように、早漏の治療法や対処法にはさまざまなものがあるので、適切な対策が取れるように、専門のクリニックなどの受診を検討してください。

EDの診断・治療はクリニックフォアで

クリニックフォアでは、オンライン診療でED治療薬の処方を行っています。診察はオンラインで実施し、薬は後で配送されるので、忙しい方でも利用しやすくなっています。

EDにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

  1. 日本性機能学会/日本泌尿器科学会|ED 診療ガイドライン