高尿酸血症の合併症とは?病気の特徴や予防・対処法をたっぷり解説!

高尿酸血症とは、血液中の尿酸の濃度が基準よりも高い状態、つまり尿酸値が基準よりも高い状態の事を言います。 よく、「ビールを飲みすぎると痛風になる」と言いますが、痛風は高尿酸血症の発作として現れるものです。 そして高尿酸血症は、痛風だけでなく、さまざまな合併症を引き起こし、中には命にかかわるものもあります。この記事では、高尿酸血症の代表的な合併症や予防・対処法について詳しく解説します。 痛風の詳細はこちらで解説しています。 痛風とは

高尿酸血症の代表的な合併症と対処法

まずは、高尿酸血症の代表的な合併症と対処法について見ていきましょう。

尿路結石

尿酸が結晶化し、硬い結石になったものが尿の通り道にできるのが、尿路結石です。結石がある場所によって名前が異なり、腎臓にあれば腎臓結石、尿管にあれば尿管結石、膀胱にあれば膀胱結石、尿道にあれば尿道結石と呼ばれます。

症状は、わき腹や背中に起こる突然の激しい痛み、血尿などが代表的です。

一般に、尿管に結石があるときに、強い痛みを感じると言われています。

予防・対処法:十分な水分摂取・尿アルカリ化

水分をしっかりとることで、ある程度尿路結石が予防できます。尿の量を増やすことで、結石の原因物質(尿酸)の濃度が低下するためです。具体的には、1日2~2.5L程度の水分摂取をするとよいとされています。

水分摂取は高尿酸血症の予防・改善のためにも重要です。しかし、お茶は逆に尿路結石の原因となることがあるので、水を選ぶのがよいでしょう。

また、尿をアルカリ化するには、クエン酸などの有機酸が含まれるものを食べるとよいとされています。有機酸が含まれる食べ物としては、たとえば、以下のようなものが挙げられます。

  • ひじき
  • わかめ
  • 昆布
  • 干しシイタケ
  • 大豆
  • ほうれん草
  • ごぼう
  • さつまいも など

対処法:水分摂取などによる自然排石・砕石治療

尿路結石ができてしまったら、まずは自然に排石されるように努めます。水分摂取や、体を動かすことなどが有効なので、医師の指示に従いましょう。

結石の場所や大きさによって自然排石が難しい場合は、内視鏡やレーザーなどを使って砕石治療を行う必要があります。そのため、痛みを感じたらまずは医療機関を受診しましょう。

腎障害

尿酸値が高いままだと、腎臓が傷つき腎障害になることがあります。腎障害になると尿酸を排出しづらくなるため、さらに尿酸の濃度が高くなるという悪循環に陥ります。

なお、腎障害になっても、初期はほとんど自覚症状がありません。しかし、悪化するとむくみや尿量の変化、頻尿、だるさ、貧血、発疹のないかゆみなど、さまざまな症状が現れることがあります。

また、放置すると慢性腎臓病となり、最終的に腎不全となって命にかかわることがあります。

予防・対処法:生活習慣の改善

腎障害の予防のためには、生活習慣の改善が大事です。具体的には、肥満の改善、減塩、規則正しい食事などが必要となります。

対処法:安静・食事療法・薬物療法・人工透析・腎移植

腎機能が低下してしまった場合は、医療機関で適切な治療を受ける必要があります。まずは安静や食事療法(タンパク質、塩分などの制限)、薬物療法などが行われることが一般的です。

さらに、重度の腎障害になると、人工透析や腎移植が必要となります。

高血圧

高尿酸血症は高血圧を合併しやすいとされています。高尿酸血症も高血圧も、ともに心血管疾患(心筋梗塞など)につながる可能性があるため、合併すればそのリスクがさらに高まると考えられます。

なお、血圧が高くても自覚症状はほとんどありません。

予防・対処法:減塩

高血圧の大きな原因は塩分のとりすぎです。そのため、予防、改善のためには減塩が大事。予防目的の場合は、1日の摂取量は食塩換算で成人男性7.5g未満、成人女性で6.5g未満が目標とされています。

(参考)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

対処法:生活習慣の改善・薬物療法 

高血圧になってしまった場合は、減塩を含む食生活の改善のほか、適正体重の維持、節酒、適度な運動、禁煙なども重要になります。このとき、1日の塩分摂取量は、食塩換算で6g未満が目標となります。

高血圧の予防法や対処法は、高尿酸血症の予防・対処法とも類似するので、ぜひ積極的に生活習慣の見直しに取り組んでください。

なお、生活習慣の改善だけでは高血圧が改善できない場合は、薬物療法を行うこともあります。

メタボリックシンドローム

高尿酸血症はメタボリックシンドローム(メタボ)とも合併しやすいとされています。メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に加えて、高血圧、脂質異常、高血糖の少なくとも1つが合わさった状態のことをいいます。

メタボも高尿酸血症と同じく心血管疾患につながることがあります。

なお、メタボになると、尿酸の再吸収が活発になり、尿酸の排出量が低下するため、尿酸値が上がる悪循環に陥ることがあります。

予防・対処法:生活習慣の改善

予防・改善のためには、内臓脂肪を減らすために食べ過ぎを避け、運動不足を解消することが必要です。

そして同時に、血圧、血糖値、脂質(コレステロール、中性脂肪など)の改善も目指す必要があるため、食生活の改善や適度な運動など、生活習慣の全般的な改善を行います。

その他の生活習慣病

その他に、脂質異常症(血中の脂質の濃度が高い)や糖尿病(血中のブドウ糖の濃度が高い)も、高尿酸血症と合併することがあります。

理由のひとつとして、脂質異常症や糖尿病になっていると尿酸が再吸収されやすく、排出量は低下することが挙げられます。

なお、脂質異常症も糖尿病も高尿酸血症も、動脈硬化(血管が硬くなり、弾力がなくなった状態)につながります。動脈硬化になると、血栓などができやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患につながるため注意が必要です。

なお、動脈硬化になっているだけでは自覚症状はありませんが、心血管疾患を発症すると数時間以内に死に至ることも珍しくありません。

予防・対処法:生活習慣の改善・薬物療法

生活習慣病の予防、対処法は、まず生活習慣を見直すことです。それでも改善しない場合は、薬物療法が検討されることもあります。

合併症を発症しても気が付かないことが多い!

ここまでで解説した合併症は、尿路結石以外は自覚症状がないことが多いです。そのため、症状がなくても合併症を発症しているケースは珍しくありません。

放置すると動脈硬化が進行したり、腎臓の機能がどんどん低下したりして、症状が出たときには命にかかわるような状態になっている可能性もあります。

そのため、日ごろから高尿酸血症をはじめとした生活習慣病の予防、治療に努めることが大事です。

高尿酸血症で合併症がある場合の治療法

尿酸値や合併症の有無によって、治療の方針が異なります。合併症がある場合は、尿酸値にかかわらず(※)生活習慣の改善と薬物療法が検討されます。

※高尿酸血症の診断基準は7.0mg/dL以上

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健康診断で尿酸値の異常を指摘された方も、すでに高尿酸血症の治療中という方も受診をご検討ください。

参考文献

  1. なるほど尿酸.com 放置しているとどうなるの?〜高尿酸血症の合併症〜
  2. 気になる尿酸値.jp 「高尿酸血症」って何ですか?
  3. 気になる尿酸値.jp 尿酸値が高いと言われた。痛風かも。
  4. 東京女子医科大学病院 泌尿器科 腎臓病総合医療センター 尿路結石
  5. 東京女子医科大学病院 泌尿器科 腎臓病総合医療センター 尿路結石
  6. 一般社団法人 日本腎臓協会 3.腎臓がわるくなったときの症状
  7. 旭化成ファーマ 病気の進行と治療方法
  8. e-ヘルスネット 高血圧
  9. e-ヘルスネット メタボリックシンドローム改善のための基本戦略
  10. e-ヘルスネット 高尿酸血症
  11. e-ヘルスネット 動脈硬化
  12. 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019
  13. 三和化学研究所 高尿酸血症の怖い合併症
  14. 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン