漢方薬の種類とは?クリニックフォアで取り扱いのある漢方薬一覧も紹介

漢方薬は、生薬(植物、動物、鉱物など)を組み合わせたお薬のことです。奈良時代に古代中国から伝わり、その後、日本人の体質や生活習慣に合わせて独自に発展してきました。 では、漢方薬にはどのような種類があるのでしょうか。分類や剤型ごとにご紹介します。

漢方薬の種類【処方】

現在、国内で一般用漢方製剤として承認基準が定められている処方は294、医療保険の適用となる処方は148あります。

処方とは、生薬の組み合わせのことを指します。たとえば、大黄と甘草を組み合わせた「大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)」で1処方、芍薬と甘草を組み合わせた「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」で1処方と数えます。

漢方薬の種類【分類】

漢方薬は、処方箋なしでドラッグストアなどで購入できるもの(OTC医薬品)、病院で処方されるもの(医療用医薬品)の大きく2つに分けられます。一般に、医療用医薬品は、OTC医薬品よりも有効成分の量が多いです。

分類処方・対応する人お薬の説明・情報提供ネット販売
医療用医薬品医師・薬剤師義務×※オンライン診療における処方は可能
OTC医薬品要指導医薬品薬剤師対面かつ書面での情報提供義務×
一般用医薬品第1類医薬品薬剤師書面での情報提供義務
第2類医薬品薬剤師または登録販売者努力義務
第3類医薬品薬剤師または登録販売者規定なし

漢方薬の種類【剤型】

続いて、剤型の種類を見ていきましょう。

煎じ薬

煎じ薬とは、生薬を熱湯で煮出した(煎じた)もののことです。漢方の本来の姿なので、成分を吸収しやすく効果も比較的高いとされています。

特に○○湯(例:葛根湯)という名前の漢方薬は、煎じることで最も効果が発揮されるといわれています。

なお、漢方専門店では、煎じ薬にこだわっているところもありますが、ドラッグストアなどで手軽に入手できるものではなく、自分で煎じる手間もかかります。さらに、香りが独特で飲みにくさを感じることもあります。

エキス製剤

一般に流通している漢方薬の多くがエキス製剤です。エキス製剤とは、生薬を煎じたものを乾燥させ、粉末化した薬です。

エキス製剤は「○○エキス顆粒」、「○○エキス細粒」「○○エキス錠」のような名前となっているのが特徴で、剤型は顆粒、粉末、錠剤、カプセルなどさまざまです。

なお、エキス製剤はお湯に溶いて飲むことで、漢方薬本来の姿である煎じ薬のような効果が期待できるとされています。

粉末(散)

散(さん)とは、生薬を粉状にしたものです。「○○散」(例:当帰芍薬散)という名前になっているのが特徴で、お湯で飲むとよいとされています。

なお、現在は「○○散」という名前の漢方薬であっても、エキス製剤として流通していることが多いです。

丸(がん)とは、粉末にした生薬を蜂蜜などで固めたものです。「○○丸」(例:八味地黄丸)という名前になっているのが特徴で、そのまま噛んだり舐めたりはせず、水や白湯で飲むとよいとされています。

なお、現在は「○○散」という漢方薬であっても、エキス製剤として流通していることが多いです。

クリニックフォアで取り扱いのある漢方薬の種類一覧

最後に、クリニックフォアで取り扱っている漢方薬の名前と、効果が期待できる症状・病気を紹介します。

なお、当院で取り扱っている漢方薬は、全て医療用医薬品です。

漢方薬名効果が期待できる症状・病気
大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ) 便秘症
麻子仁丸(マシニンガン)便秘
桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)しぶり腹、腹痛
真武湯(シンブトウ)胃腸疾患、胃腸虚弱症、慢性腸炎、消化不良、胃アトニー症、胃下垂症、ネフローゼ、腹膜炎、脳溢血、脊髄疾患による運動ならびに知覚麻痺、神経衰弱、高血圧症、心臓弁膜症、心不全で心悸亢進、半身不随、リウマチ、老人性そう痒症
五苓散(ゴレイサン)水様性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔いなど
半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)急・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症
六君子湯(リックンシトウ)胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐
大建中湯(ダイケンチュウトウ)腹の冷え、痛み、腹部膨満感
防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、癰、せつ、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順
十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、急性湿疹、水虫
清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)にきび
桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンヨクイニン)月経不順、血の道症、にきび、しみ、手足のあれ
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)子宮並びにその付属器の炎症、子宮内膜炎、月経不順、月経困難、おりもの、更年期障害(頭痛、めまい、のぼせ、肩こり等)、冷え症、腹膜炎、打撲症、痔疾患、睾丸炎
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)貧血、倦怠感、更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こり等)、月経不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症
加味逍遙散(カミショウヨウサン)冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症
黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)鼻血、高血圧、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症
葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎
荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒における水様の痰、水様鼻汁、鼻づまり、くしゃみ、喘鳴、せき、流涙
桔梗湯(キキョウトウ)扁桃炎、扁桃周囲炎
麦門冬湯(バクモンドウトウ)痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそく
呉茱萸湯(ゴシュユトウ)習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気衝心
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症
十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
清暑益気湯(セイショエッキトウ)暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠、夏やせ
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛
抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンチンピハンゲ)神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声
加味帰脾湯(カミキヒトウ)貧血、不眠症、精神不安、神経症
柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)高血圧症、動脈硬化症、慢性腎臓病、神経衰弱症、神経性心悸亢進症、てんかん、ヒステリー、小児夜啼症、陰萎

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