にきびに効果が期待できる漢方薬とは?にきびのタイプごとに徹底解説!

にきびとは、毛穴に皮脂などがつまってアクネ菌が繁殖し、炎症を起こしたものです。皮脂などがつまって毛穴が盛り上がると白にきび、皮脂が酸化して黒くなると黒にきび、菌が繁殖して炎症を起こすと赤にきび、さらに悪化して化膿すると黄にきびとなります。 にきびの治療法にはさまざまなものがありますが、漢方薬も選択肢の一つとなることをご存知でしょうか。この記事では、にきび治療における漢方薬のメリットや、にきびのタイプごとに適した漢方薬などについて解説します。

にきび治療における漢方薬のメリット

漢方薬は長期間飲み続けられることも多く、にきびができにくくなるよう体質を改善させるというメリットや特徴があります。

一般的に、にきび治療では塗り薬が使われることが多いですが、症状がひどい場合は、殺菌のために抗生物質の飲み薬を使うことがあります。しかし、抗生物質を長期間使い続けると、抗生物質が効きにくい体質になったり、抗生物質が効かない耐性菌が出現したりすることがあります。そのため、抗生物質の使用は最低限にしたほうがよいとされています。

さらに、にきびは再発することも多いので、皮脂の除去や殺菌だけでは根本的な治療にはなりません。その点、漢方薬であれば、体質を改善し、にきびができにくい状態を目指すことができます。

漢方におけるにきび治療の考え方

漢方では、にきびは気(熱)や、肺、脾胃(消化管)と関係していると考えられています。また、治療の際は、にきびの原因や色、状態、できやすい場所などから、適した漢方薬を選びます。

ポイントは「気」(熱)

漢方において、人間の体は「気・血・水」で構成されていると考えられています。そして、以下のような理由でにきびができると考えられています。

  • 体内の余分な気(熱)が皮膚に影響し、外界の熱(風熱)の刺激が加わってできる
  • 気(熱)のめぐりが悪くなって、熱がこもることも関係する

このような場合は、熱を取り除き、熱が発生しないようにすることで、にきびができないようにすることを目指します。

肺・脾胃も関係する

漢方では、にきびは肺や脾胃(消化管)とも関係していると考えられています。そのため、これらの臓器にアプローチする漢方薬を使うこともあります。

にきび治療ガイドラインに掲載されている漢方薬

日本皮膚科学会による「尋常性痤瘡(にきび)治療ガイドライン」では、治療の選択肢の一つとして漢方薬が掲載されています。

ここからは、治療ガイドラインに掲載されている漢方薬の特徴や推奨度を解説します。

荊芥連翹湯

荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)は、余分な熱を追い出し、首から上の炎症をよくするとされる漢方薬です。

治療ガイドラインでは、炎症性皮疹(赤にきび)や面皰(白にきび)に対して、他の治療が無効または、他の治療ができない場合に、選択肢の一つとして推奨されています。

  • 効果が期待できる症状・病気:にきび、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎

清上防風湯

清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)は、熱を冷まし、かゆみを抑えたり、膿を排出したりするとされる漢方薬です。

治療ガイドラインでは、炎症性皮疹(赤にきび)に対して、他の治療が無効または、他の治療ができない場合に、選択肢の一つとして推奨されています。脂ぎった感じの赤にきびが多い時に特に適しています。

  • 効果が期待できる症状・病気:にきび

十味敗毒湯

十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)は、たまった熱や水分を発散させ、肌を正常化すると考えられており、腫れ、赤み、かゆみ、化膿などを改善するとされる漢方薬です。

治療ガイドラインでは、炎症性皮疹(赤にきび)に対して、他の治療が無効または、他の治療ができない場合に、選択肢の一つとして推奨されています。一方、面皰(白にきび)に対しては推奨度がやや低く、他の治療が無効または、他の治療ができない場合に「行ってもよいが、推奨はしない」と記載されています。

患部がじゅくじゅくしているような状態に特に適しています。

  • 効果が期待できる症状・病気:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、急性湿疹、水虫

黄連解毒湯

黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)は、体の熱を冷まし、炎症を抑えるとされており、赤みや炎症の強いにきびに適しているでしょう。

ただ、治療における推奨度はやや低く、治療ガイドラインでは、炎症性皮疹(赤にきび)や面皰(白にきび)に対して、他の治療が無効または、他の治療ができない場合に「行ってもよいが、推奨はしない」と記載されています。

  • 効果が期待できる症状・病気:湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、鼻血、高血圧、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸

温清飲

温清飲(ウンセイイン)は、黄連解毒湯と、血流をよくして身体をあたためるとされる四物湯(シモツトウ)を合わせた漢方薬です。

治療における推奨度はやや低く、治療ガイドラインでは、炎症性皮疹(赤にきび)に対して、他の治療が無効または、他の治療ができない場合に「行ってもよいが、推奨はしない」と記載されています。

  • 効果が期待できる症状・病気:月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症

温経湯

温経湯(ウンケイトウ)は、血行をよくするとされる漢方薬です。月経不順などにも効果が期待できるため、女性に処方されることが多いです。

にきび治療における推奨度はやや低く、治療ガイドラインでは、炎症性皮疹(赤にきび)に対して、他の治療が無効または、他の治療ができない場合に「行ってもよいが、推奨はしない」と記載されています。

  • 効果が期待できる症状・病気:湿疹、しもやけ、月経不順、月経困難、おりもの、更年期障害、不眠、神経症、足腰の冷え

桂枝茯苓丸

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は、血行をよくするとされる漢方薬です。

にきび治療における推奨度はやや低く、治療ガイドラインでは、炎症性皮疹(赤にきび)や面皰(白にきび)に対して、他の治療が無効または、他の治療ができない場合に「行ってもよいが、推奨はしない」と記載されています。

赤みまたは、やややくすみがちな顔色で、青黒い感じのにきびに適しています。

  • 効果が期待できる症状・病気:子宮並びにその付属器の炎症、子宮内膜炎、月経不順、月経困難、おりもの、更年期障害(頭痛、めまい、のぼせ、肩こり等)、冷え症、腹膜炎、打撲症、痔疾患、睾丸炎

【にきびのタイプ・原因別】にきびに効果が期待できる漢方薬

治療ガイドラインに掲載されていないものの、にきびに効果が期待できる漢方薬は他にもいくつかあります。にきびのタイプや原因ごとに見ていきましょう。

膿を持った黄にきび:排膿散及湯

排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)は、名前の通り膿を排出する効果が期待できる漢方薬です。患部に赤みや腫れ、痛みをともなう化膿性の皮膚疾患に使うことが多いです。

  • 効果が期待できる症状・病気:患部が発赤、腫脹して疼痛を伴う化膿症、瘍・せつ・面疔(いずれもできもの)など

皮脂の多いにきび

皮脂の多いにきびには、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)や防風通聖散(ボウフウツウショウサン)が使われることがあります。詳しく見ていきましょう。

芍薬甘草湯

芍薬甘草湯は、不足した気や血を補い、急な筋肉のけいれんなどに効果が期待できるとされています。

また、男性ホルモンを抑制する作用も期待できるため、男性ホルモンによって皮脂の分泌が増えたことが原因となるにきびにも効果が期待できます。

  • 効果が期待できる症状・病気:急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛

防風通聖散

防風通聖散は、主に便秘や肥満症に対して用いられる漢方薬ですが、脂質の摂りすぎによって生じるにきびにも効果が期待できます。

  • 効果が期待できる症状・病気:むくみ、肥満症、便秘、高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)

にきび跡:柴苓湯

柴苓湯(サイレイトウ)は、余分な水分を体外に出すとされる五苓散(ゴレイサン)と、免疫機能を調整して炎症を和らげるとされる小柴胡湯(ショウサイコトウ)を合わせた漢方薬です。

炎症を和らげる効果が期待でき、にきび跡ができるような難治性のにきびや、ケロイドのようなにきび跡に使うことがあります。

  • 効果が期待できる症状・病気:むくみ、水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり

生理に伴って悪化するにきび

生理に伴って悪化するにきびには、桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)や、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、加味逍遥散(カミショウヨウサン)が使われることがあります。詳しく見ていきましょう。

桂枝茯苓丸加薏苡仁

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、先述した桂枝茯苓丸に薏苡仁(ヨクイニン=はとむぎ)を加えた漢方薬です。月経不順や、女性ホルモンの変動によって現れるさまざまな症状(血の道症)にも効果が期待でき、生理に伴って悪化するにきびにも効果が期待できます。

なお、作用としては「血」のめぐりを良好にし、肌に栄養が届くようにする作用があるとされています。

  • 効果が期待できる症状・病気:にきび、しみ、手足のあれ、月経不順、血の道症

当帰芍薬散

当帰芍薬散は婦人科三大処方に数えられ、生理不順や冷えといった女性のさまざまな悩みに使われる漢方薬です。

血行不良改善や、ホルモンバランスを整える効果が期待でき、赤みや腫れのない白にきびに使われることが多いです。

  • 効果が期待できる症状・病気:貧血、倦怠感、更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こり等)、月経不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症

加味逍遥散

加味逍遥散(カミショウヨウサン)も婦人科三大処方に数えられる漢方薬です。

ホルモンバランスの乱れによってイライラしたりすることが多い方に適しているとされており、炎症が強いにきびに対して使うことがあります。

  • 効果が期待できる症状・病気:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症

湿疹やかゆみがある場合:消風散

消風散(ショウフウサン)は、かゆみの強い皮膚症状に使われる漢方薬です。皮膚の熱を冷まし、体内の「水」のめぐりを整え、「血」のめぐりを良くして皮膚症状を改善するとされています。

  • 効果が期待できる症状・病気:分泌物が多く、かゆみの強い慢性の皮膚病(湿疹、蕁麻疹、水虫、あせも、皮膚そう痒症)

肌荒れが気になる場合:薏苡仁

薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギのことで、昔から肌のために使われてきた漢方薬です。体内の水分バランスのコントロール、消炎作用などがあるとされています。

  • 効果が期待できる症状・病気:関節痛、筋肉痛

ストレス・生活習慣の乱れによるにきび

ストレスや生活習慣の乱れによるにきびには、半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)や半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)を使うことがあります。いずれも半夏(はんげ・サトイモ科の植物の根茎)が配合されています。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

半夏瀉心湯

半夏瀉心湯は、胃腸の不調に使うことが多い漢方薬です。ストレスや、食生活の乱れなどによって、主に口の周りにできるにきびに使うことがあります。

  • 効果が期待できる症状・病気:急・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

半夏厚朴湯

半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)は、不安などの精神的なトラブルにアプローチする漢方薬です。ストレスが原因となるにきびによく使います。

  • 効果が期待できる症状・病気:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声

胃腸に不調がある場合:六君子湯

六君子湯(リックンシトウ)は、胃腸トラブルに使われる漢方薬です。胃腸が弱っているとニキビができることもあるので、そのような場合に使うとよいでしょう。

  • 効果が期待できる症状・病気:胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐

クリニックフォアはオンラインで漢方処方しています

クリニックフォアは、オンライン漢方処方を行っています。不調や悩みに合わせて32種類の漢方薬の中から、適切なものを医師が処方。取り扱っている漢方薬は、全て有効成分量が多い医療用医薬品です。

診察はスマホやPCを使ってオンラインで受けていただき、お薬は診察後に配送いたします。