漢方薬の基本的な飲み方
漢方薬は、水または白湯で飲むことが基本です。また、医師の説明や、添付文書をよく確認した上で、正しい方法で飲むようにしましょう。
ここでは、基本的な飲み方についてもう少し詳しく解説します。
水または白湯で飲む
味が苦手だと感じる場合も、出来る限り水や白湯で飲むのがよいでしょう。これは、漢方薬の種類によっては、苦みなどの味によって胃を活発にすることを目的とする物があるためです。
また、飲み物によってはお薬の効果に悪影響が出ることがあるため、水や白湯で飲むのが無難でしょう。
お茶・ジュース・牛乳で飲まない
お茶やジュース、牛乳などでつい飲んでしまうという方もいるでしょう。しかし、これらの飲み物で漢方薬を飲むと、漢方薬の吸収が妨げられてしまい、適切な効果が得られないことがあります。
【お薬のタイプ別】基本的な飲み方
漢方薬には、錠剤、顆粒、粉末などさまざまな剤型があるため、形状別の飲み方も見ていきましょう。
なお、お湯に溶かすとよいタイプが多いですが、外出先などで、お湯で溶かすことなどが難しい場合は、一般的な粉薬のように水で飲んでも問題ありません。
エキス剤:お湯に溶かして飲む
エキス剤とは、生薬を煎じたものを乾燥・粉末化したものです。現在、一般に流通している漢方薬の多くはエキス剤となっています。
エキス剤は、お湯に溶いて飲むことで、漢方薬本来の姿である煎じ薬のような効果が期待できます。
なお、エキス剤は「○○エキス顆粒」、「○○エキス細粒」「○○エキス錠」のような名前となっており、剤型は顆粒、粉末、カプセルなどさまざまです。
以下で湯、散(粉末)、丸薬といった種類ごとの飲み方を紹介しますが、それぞれの漢方薬も、実際は多くがエキス剤として流通しています。
湯:お湯に溶かして飲む
湯(とう)とは、生薬を水から煮出して煎じたものを指します。「○○湯」(例:葛根湯)という名前になっているのが特徴です。
湯は、お湯に溶かしてよく混ぜて飲みましょう。
ただし、吐き気がある場合、温かいものを飲むと嘔吐につながることがあるので注意が必要です。このような場合は、漢方薬を溶かした後、冷やして飲むとよいでしょう。
散:お湯で飲む
散(さん)とは、生薬を粉状にしたものを指します。「○○散」(例:当帰芍薬散)という名前になっているのが特徴です。
散はお湯で飲むとよいとされています。
丸:水や白湯で飲む
丸(がん)とは、粉末にした生薬を蜂蜜などで固めたものを指します。「○○丸」(例:八味地黄丸)という名前になっているのが特徴です。
丸は、そのまま噛んだり舐めたりせず、水や白湯で飲むとよいとされています。
漢方薬を飲む時間・タイミング
空腹時(食前・食間)に飲むことが一般的
漢方薬は、基本的に胃に食べ物がない時に飲むため、食前または食間に飲むことが一般的です。
- 食前:食事の30分~1時間前
- 食間(食事と食事の間):食後2時間後くらい
医師の指示や添付文書にしたがって飲む
漢方薬の種類や状況によっては、食前や食間以外のタイミングで飲むこともあります。たとえば、睡眠を助ける目的で服用する場合は、寝る前に飲む場合があります。
そのため、医師の指示や添付文書に従って飲むとよいでしょう。
飲み忘れた分をまとめて飲まない
飲み忘れた場合でも、飲み忘れた分をまとめて飲むようなことはしないでください。1回の服用量が多すぎると、作用が強くなりすぎて体に悪影響を及ぼすことがあるためです。
早い段階で飲み忘れに気づいた場合は、その時すぐに飲めば問題ありません。ただし、その次の服用時間には注意が必要です。
1日2回服用する漢方薬は6時間以上、3回服用する漢方薬は4時間以上あけてから、次の服薬をしましょう。
服用期間は医師や添付文書の確認を
服用期間は、症状や体質、生活習慣などによって個人差があります。風邪なら15分ほどでのどの痛みや頭痛が楽になることもありますが、慢性的な症状だと、効果を感じるまでに数週間かかることもあります。
そのため、基本は、医師や添付文書の指示に従いましょう。そして、気になる症状がなくなれば、服用をやめてもよいでしょう。
一方で、効果が出ないときは、さらに継続するか、お薬を変更するなどの判断をする必要があるので、医師などに相談してください。
味・匂い・食感が苦手な方におすすめ!漢方薬の美味しい飲み方のコツ
ここからは、漢方薬の味や匂いが苦手だという方に向けて、漢方薬の美味しい飲み方をご紹介します。
水や白湯を含んでから飲む
粉末・細粒・顆粒などは、水や白湯を口に含んでから飲むと、味や匂い、ザラザラ感が緩和されます。手順は以下の通りです。
- ①水または白湯を口の中に含む
- ②口の中に漢方薬を注ぎ、含んでいた水または白湯と一緒に一気に飲み込む
- ③もう1杯、水または白湯を飲む
服薬ゼリーを使う
服薬ゼリーを使うと、のどにつまったりむせたりしづらいです。さまざまな味のものがあり、漢方薬の味が苦手な方でも飲みやすくなります。
子供だけでなく、大人向けのゼリーもあるので、年齢にかかわらず誰でも使えます。
オブラートを使う
オブラートは、お薬を包んで飲むもので、服薬ゼリーと同じような感じで使うことができます。
ただし、オブラートは口の中に張り付きやすいというデメリットがあります。張り付きを防ぐためには、オブラートで漢方薬を包み、水に浸してから飲むのがおすすめです。
食べ物に混ぜる
漢方薬の味が気になる場合は、以下のような食べ物に混ぜてもよいでしょう。
- ヨーグルト
- ジャム
- ピーナッツバター
- はちみつ
- アイスクリーム
- コンデンスミルク
- チョコレートクリーム
- ココア
- バナナ
- みそなど
苦みのあるものは、チョコレートやココアなど、あえて苦みのあるものと一緒に服用すると、苦みが気になりにくいです。
お湯に溶かして飲む
粉末・細粒・顆粒などは、少量のお湯に溶かして飲むと歯などにつまりにくいです。ただし、味や匂いはあまり変わらないので注意しましょう。
特殊な飲み方も!
漢方薬の種類によっては特殊な飲み方をするものもあるため、ここでいくつかの例を紹介します。
ただし、基本的には水や白湯で飲めば問題ないので、無理して以下のような方法で飲む必要はありません。
お酒で飲む
お酒と一緒に飲むと、血流がよくなってより効果が期待できる漢方薬もあります。たとえば以下のような漢方薬が挙げられます。
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
- 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
- 八味地黄丸(ハチミジオウガン)など
当帰芍薬散は、少し温めた日本酒で飲むことで、より効果が期待できるとされています。
ただし、基本的にはお酒で飲まないほうがよい漢方薬がほとんどなので注意しましょう。
お酒が苦手な場合は、無理して飲む必要はありません。
おもゆで飲む
五苓散(ゴレイサン)は、おもゆ(たっぷりの水分でよく煮た薄い粥の上澄み液)で飲む方法があります。
なお、五苓散は、喉の乾きや尿量減少などの改善に効果が期待できる漢方薬です。
うがいで飲む
のどの症状に効果が期待できる桔梗湯(キキョウトウ)などは、お湯に溶かしてガラガラうがいをしてから飲み込むとよいとされています。
漢方薬に関する注意点
複数の漢方薬の併用に注意
複数の漢方薬を併用したい場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
相反する作用を持つ成分を同時に摂取してしまうと、適切な効果が出なかったり、特定の成分を過剰摂取したりすることにつながるためです。
特に、過剰摂取に注意したい成分の代表例は以下の通りです。
- 甘草(カンゾウ)
- 麻黄(マオウ)
- 大黄(ダイオウ)
- 芒硝(ボウショウ)
- 附子(ブシ)
妊娠中・授乳中の服用は主治医に相談を
妊娠中や授乳中に漢方薬を服用したい場合は、必ず主治医に相談しましょう。母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがあるためです。
たとえば、授乳中に大黄(ダイオウ)が配合された漢方薬を飲むと、その成分が母乳中に移行し、赤ちゃんが下痢をしてしまうことがあります。
直射日光の当たらない涼しく湿気が少ないところで保管する
漢方薬を保管するときは、直射日光の当たらない、涼しく湿気が少ないところで保管しましょう。品質の悪化や誤用を防ぐため、他の容器に入れ替えるようなことはしないでください。
丸は冷蔵庫で保管する
丸(がん)は常温で溶けやすいため、冷蔵保存し、飲む直前に常温に出しましょう。
使用期限に注意する
漢方薬の未開封での使用期限は3~5年程度です。使用期限に注意して飲みましょう。
また、以前病院で処方されて飲んでいた漢方薬が残っていても、自己判断で飲むのは避けてください。お薬の品質に不安があるほか、現在の体質や症状に適していない可能性もあるためです。
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