低用量ピル「トリキュラー」の特徴や効果とは?他のピルとの違いも医師が解説します。

ピルは女性ホルモンが含まれた薬で、避妊や、生理痛・PMSの改善、婦人科系の病気の治療などに使われるものです。さまざまな種類がありますが、今回は低用量ピルのひとつであるトリキュラーについてご紹介します。他のピルとの違いや特徴などについて詳しく見ていきましょう。


低用量ピルとは?

ピルは配合されているホルモンの量や種類によって、低用量ピル、超低用量ピル、中用量ピル、アフターピルの4種類に分けられます。トリキュラーは低用量ピルのひとつです。

低用量ピルとは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンが少量ずつ配合されている薬で、避妊、生理痛やPMS改善などの効果が期待できるものです。

低用量ピルの効果の詳細はこちらをご覧ください。

トリキュラー(低用量ピル)と中用量ピル・超低用量ピルの違い

中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルの順に卵胞ホルモンの量が少なくなっています。また、中用量ピルは生理の移動を目的に使うことが多く、低用量ピルと比べると吐き気などの副作用がやや起きやすいです。

一方で超低用量ピルは卵胞ホルモンの配合量が少ないため、低用量ピルよりも副作用が起こりづらいです。

低用量ピル「トリキュラー」とは

低用量ピルにはさまざまな種類があり、含まれているホルモンの種類や量が異なります。トリキュラーは、配合されるホルモンの量が3段階に変化する3相性というタイプのピルです。また、レボノルゲストレルという種類の黄体ホルモンが含まれる第二世代に該当するピルです。

トリキュラーは3相性のピル

低用量ピルは、1相性と3相性の2タイプに分けられます。実薬のホルモン量が一定のものを1相性、3段階に変動する(1シートの中にホルモン量の異なる3種類のピルが入っている)ものを3相性といい、トリキュラーは3相性のピルです。

3相性のメリット

どのような薬にも効果がある反面、副作用があり、低用量ピルの代表的な副作用には不正出血があります。しかし、3相性のピルは、配合されるホルモン量が3段階に変化することで、比較的自然なホルモン分泌変動に近い状態にすることができます。そのため、不正出血が起こりづらいとされています。

1相性との違い

1相性は実薬のホルモン量がずっと一定です。そのため、実薬の中で飲む順番を間違えたとしても問題がなく、生理日の移動もしやすいという特徴があります。一方で3相性は必ず順番通りに飲む必要があるため、服用時には注意しましょう。

トリキュラーは第二世代のピル

低用量ピルと超低用量ピルは、開発・改良された順番に第一~第四世代に分類されています。どの世代も卵胞ホルモンの種類は同じで、世代によって黄体ホルモンの種類が異なります。

トリキュラーは第二世代のピルで、レボノルゲストレルという種類の黄体ホルモンが配合されています。

第一世代との違い

第一世代は一番古い世代のピルで、ノルエチステロンという種類の黄体ホルモンが配合されています。トリキュラーなどの第二世代のピルは、第一世代から黄体ホルモンとしての作用が強まり、より治療的効果を発揮するようになりました。しかしその反面、男性ホルモンとしての作用も強くなり、ニキビや多毛といった副作用も見られるようになります。<h4>第三世代との違い

第三世代のピルは第二世代のピルよりも男性ホルモンの作用が抑えられており、ニキビや多毛の改善にも効果が期待できます。<h2>トリキュラーに期待できる効果やメリットは?

トリキュラーには避妊効果や生理痛・PMSの改善などが期待できます。詳しく見ていきましょう。

避妊効果

トリキュラーには、他の低用量ピルと同じく避妊効果が期待できます。低用量ピルに含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンが血液中に入ると、脳の視床下部と下垂体という場所に作用します。すると、排卵を起こすために必要なホルモンの分泌が抑えられ、結果的に排卵が起こらず避妊につながるというメカニズムになっています。

また、ピルに含まれるホルモンが子宮に作用し、子宮内膜を通常よりも薄い状態でキープするため、受精したとしても着床しにくくなります。さらに、子宮頸管の粘液の性状も変化し、精子が子宮頸管の中を通過しにくい状態になることも、避妊効果につながっています。

生理初日から5日目までの間に服用を開始し、7日間以上飲み忘れなければ排卵が抑えられ、避妊効果が期待できます。また、トリキュラーをはじめとする低用量ピルは、正しく服用すれば99.7%程度の確率で避妊効果が得られるというデータがあります。

生理痛・PMSの改善

トリキュラーには、他の低用量ピルと同じく生理痛やPMS(月経前症候群)

の改善も期待できます。生理痛は、子宮内膜からプロスタグランジンという物質が分泌され、子宮が収縮することで起きるものです。ピルを飲むと、ピルに含まれるホルモンが子宮に作用し、子宮内膜を自然な状態よりも薄い状態でキープすることでプロスタグランジンの分泌が減り、生理痛軽減につながるのです。

また、PMSとは、生理前の3~10日間ほどの時期に頭痛やいらいらなど、さまざまな症状が出るものです。黄体ホルモン分泌の急激な変動で起きるため、低用量ピルでホルモン変動を抑えることで、PMSの改善につながります。

トリキュラーの飲み方は?

トリキュラーには、トリキュラー21とトリキュラー28があり、クリニックフォアではトリキュラー28を取り扱っています。それぞれ1シートが21錠、28錠になっており、3相性なので、配合されるホルモン量ごとに赤褐色、白、黄色と錠剤の色が異なります。

トリキュラー21の飲み方

トリキュラー21には、1シートに21錠の実薬が入っています。最初は生理が始まった日から飲み始め、1回1錠を21日間毎日飲み続けます。

赤褐色の錠剤が6錠、白が5錠、黄色が10錠あり、記載された矢印、数字に従って順番通りに飲みましょう。最後の錠剤を飲み終えたら7日間休薬し、新しいシートを始める、というサイクルを続けます。また、毎日同じ時間に飲むとよいでしょう。

トリキュラー28の飲み方

トリキュラー28には、1シートに21錠の実薬と7錠の偽薬(ホルモンが配合されていないプラセボ)が入っています。実薬部分はトリキュラー21と同じで、大きな白色の7錠が偽薬です。

こちらも矢印、数字が書いてあるので、順番通りに28日間飲み、最後の偽薬を飲み終わったらすぐに次の新しいシートを飲み始めましょう。こちらも毎日同じ時間に飲むのが望ましいです。また、偽薬があるので飲み忘れのリスクが少ないというメリットがあります。

トリキュラーの副作用は?

トリキュラーに限らず、どのような薬にも副作用のリスクはあります。トリキュラーをはじめとする低用量ピルの重大な副作用として代表的なものが血栓症(血管が血栓でつまる病気)です。発症する可能性はかなり低いですが、下肢の急激な痛みや腫れ、脱力、麻痺、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、言葉がはっきり発音できない、突然の視力低下や視野の異常などといった症状が何かしら現れた場合は服用をやめてすぐに受診をしてください。

そのほかの副作用としては、悪心、下腹部痛、胸の張り、嘔気、頭痛、、腹痛、倦怠感、不正出血などが現れることがあります。ただ、悪心や不正出血などの副作用は、飲み始めてから3ヶ月くらいまでの間に現れやすく、飲み続ければ解消されることが多いです。

トリキュラーの価格は?

トリキュラーは保険適用外なのでクリニックによって価格が異なりますが、相場は1ヶ月分で2,500~3,000円程度です。

クリニックフォアでは1ヶ月分が3,278円(税込)、定期配送の場合は15%オフで2,783円(税込)となっています。また、初回診察料が1,650円、1回の配送料が550円かかります。

トリキュラーを処方してもらうには?

トリキュラーは必ず医療機関で処方してもらうようにしましょう。ネット通販などで販売されていることがありますが、通販などでの購入は個人輸入にあたるため、さまざまなリスクがあります。例えば、品質や安全性が保障されていない、偽物の可能性がある、自分の体質などに適した薬なのか医師や薬剤師が判断することができない、副作用のリスクも高まるといったリスクが考えられます。

ネットだけで完結したい場合は、オンライン診療を検討しましょう。オンラインで診察を行い、薬は自宅に配送されるため、忙しい方でも利用しやすいです。


参考

https://w-health.jp/delicate/anticonception/
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/254910BF1047_2_15/
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/630004_254910BF1047_2_00G.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html